快適生活・暮らしのヒント-見えにくい生活を便利に楽しく!

「新ノーマライゼーション」2023年9月号

岡島喜謙(おかじまよしのり)
日本弱視者ネットワーク

私は、約40年前の中学時代に発症した病気が原因のロービジョン(見えにくい人)です。視力は右目0.03、左は目の前の指の本数が分かるくらいです。お風呂場のくもった鏡を見ているような見え方です。盲学校の教員をしています。

趣味は、日常生活をいかに便利に楽しく過ごすか! 例えば、お金は生きていくために必要不可欠。いかに便利につきあうかは大切な問題です。

まず紹介するのは、15年ほど使っている貯金箱。小銭を入れると種類ごとに自動で振り分け、取り出しも種類ごとにできます(写真1)。財布にいろいろな小銭が入っていると、探すのが大変です。そこで、私は中が二つに分かれた小銭入れに十円と百円のみを入れて持ち歩き、帰宅後はすべてのおつりを貯金箱へ投入。十円と百円以外は、まとめて窓口で入金していたのですが、最近は小銭の入金にも手数料がかかるので、対応を思案中です。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真1はウェブには掲載しておりません。

また、財布に入れるお札は千円札のみです。以前千円札と間違えて一万円札を出しそうになり、それ以来千円札のみにしました。ちなみに多くのATMでは、金額入力で「10」の次に「千」「円」と指定すると、千円札が10枚出てきます。普段は近所のゆうちょ銀行のATMを使っています。ゆうちょ銀行はタッチパネル以外に、受話器で自動音声を聞きながら操作できるので間違いが少なく便利! タッチパネルですと、見えにくいため画面に顔を近づけすぎて、鼻でボタンをタッチした!などの笑い話もあるくらいです。

さらに、セブン銀行のATMもとても便利です。画面横の受話器を持ち上げて、キャッシュカードを挿入。すると、そのカードの金融機関名を読み上げます。それから音声ガイダンスに従って受話器のボタンで入出金や残高照会の操作ができます。不具合があったら自動でコールセンターにつながったり、周りの方に取引状況を知られないよう画面が消えたりするなど、工夫や配慮が満載です(写真2)。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真2はウェブには掲載しておりません。

他に、電子マネーは小銭のやり取りがないのでおつりをうっかり落とす心配もありません。電車に乗る時は料金表を見る必要もないので、視覚障がい者にもとても便利。オートチャージにしておくと、残高が減ったら自動でチャージしてくれるのでなお便利。

またネット銀行は、スマホの画面を白黒反転したり、拡大したりして、自宅で見やすい環境で振り込みできるのがとても便利です。手数料が一定回数無料なのもお得です!

日常生活に切っても切れないお金。これからも、生活がより便利に楽しくなる工夫を探していきます。

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