ひと~マイライフ-私のタイミング

「新ノーマライゼーション」2023年10月号

宮城千恵子(みやぎちえこ)

沖縄国際大学大学院修士課程1年次。2001年9月に交通事故による両脚大腿骨・骨盤損傷により車椅子生活に。ダスキン障害者リーダー育成海外派遣事業第37期生としてアメリカへ1年間の研修に励む。帰国後は母校で福祉教育関連業務に携わりながら、大学院生として日々学び続けている。一番の癒しは4匹の保護猫たち。

私はダスキン障害者リーダー育成海外派遣事業の第37期生として、1年間アメリカ合衆国のアリゾナ州に、ピアカウンセリングと障害者の自立生活を学ぶ研修に行かせていただきました。アラフォーと呼ばれる年代を目前にして初めての海外生活、現地の繋がりも一切なく、英語もつたない中、研修先のスーパーバイザーに恵まれ、現地でしか体感できない学びを多く得られました。また、アドバイザーの先生方や現地の日本人会の方からご支援を賜り、充実した研修生活を送ることができました。この一年で最も得られたことは「いくつになっても学ぶ」「動き出した時が私のタイミング」ということです。

これだけを見ると物事に対し積極的な人物だとイメージを持たれるのではないでしょうか。

実は私は動き出す・決断するまでに相当な時間を要し、石橋を叩きすぎてしまう傾向があります。アメリカ研修が決まった後も「私でいいのだろうか、私にできるのだろうか」、いざ準備に動き始めると思ったように進まない自分の状態に「今まで何やっていたんだろう」と自分の不勉強、不甲斐なさに情けなくなっていました。

特に自信がなくなっている日は周りと比べ、自分のできない部分が目立つように感じられ、さらに動くまでのスピードが遅くなるという、悪循環に陥っていました。

そんな私の重い腰を上げる後押しをしてくれたのは大学の恩師です。多忙な中、時間を作っていただき英文のレジュメ等の添削や相談に乗っていただきました。「分からないことがあるのは当たり前。これから学ばせていただきます、の姿勢でいきましょう」と背中を押してくれた言葉は今でも心に留め、新しい挑戦の一歩を踏み出すキッカケの言葉となっています。

悩みに悩んで踏み出した世界からは、さまざまな視点、気づきを得られ、視野が広がりました。ちょうど同じ時期にアメリカに同期の研修生が滞在していたため、リアルタイムで悩み事を共有しあい、励まし合うことでさらに気づきと学びが深まることとなりました。

あの悩んだ期間があったからこそ、かけがえのない友人と出会え、研修先でも安全に過ごすことができ、帰国した今もお互いに切磋琢磨することに繋がっています。当時のご縁から繋がり、沖縄県で初めてとなる車椅子ソフトボールの体験会を開催することもできました。

現在の私は、働きながら大学院で恩師と共に社会福祉・障害当事者運動、地域課題解決などを学ばせていただいております。学部のころと比べるとさらに広い視野と深い思考が求められ、文献を読むことの難しさ、研究者としての立ち位置に悩む日々でもあります。しかし同じ志をもつ先輩や恩師と共に学び、ディスカッションできる充実感は、何ものにも代えがたいと感じます。「今のタイミングでよかった」と何度感じたか分かりません。

やりたいこと、挑戦してみたいことに制限はないと私は考えます。行動を起こす時、そのタイミングは個々人の環境によっても異なります。焦りや不安があるとどうしても周りと比べ、見劣りを感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、これまでの経験から、私は冒頭でお伝えした、「動き出した時が私(あなた)のタイミング」なのだと自信を持って言えます。とはいえ、今後も私は何かに挑戦する前は石橋を叩きまくると思うのですが…。

石橋を叩くことも私にとってベストなタイミングで行動するためのプロセスであり、無駄なものではないと、多くのご縁から実感しています。今後も自分のタイミングでチャンスをつかみ取り、さらなる自己実現に繋げていきたいと思っています。

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