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DAISY 2.0 規格 (日本語)

1.0 はじめに

DAISY 2.0 HTML 仕様は、主に見出しやページ番号のレベルでタグ付けされたデジタル録音図書の構造を記述するためにまとめられた簡易な仕様である。本仕様は、Sigtuna録音・製作システムを用いて録音図書を出版する組織にとって有用なものである。また、アナログ録音図書をデジタル化する場合にも、本仕様が有用であると考えられる。本仕様では、全文テキストの利用にも対応している。本仕様は、World Wide Web Consortium (W3C - http://www.w3.org)によって定義された HTML 4.0 STRICT document type definition (DTD) を使用している。DAISY の仕様で利用している HTMLタグは、HTML 4.0 で定義されているもののうち、ごく一部のものである。

1.1 概要

DAISY 2.0仕様に対応した録音図書には、見出し、ページ番号および書誌情報を表すメタデータが含まれていなければならない。現在使用されている再生用ハードウェアやソフトウェアは、容易に本仕様に対応することができると考えられる。本仕様では、必須の HTMLタグおよびその使用法を定義している。文書構造とデジタル音声データの再生を同期させるために、HTMLとともに、 Synchronized Multimedia Integration Language (SMIL) で記述されたファイルを用いるが、本仕様では、 SMILファイルのメタデータ部分の記述に関する点についてのみ解説する。完全なSMIL 仕様はすでにW3Cで定義されている。また、ページ間の移動や再生の制御に関連した情報を記述するファイル (NCCファイル) も用いる。本仕様においては、 NCCファイルはその利用が必須のものとなっている。

本仕様に対応した録音図書を作成するために、複数の方法が利用可能になることが期待されている。Sigtunaレコーダを使うことにより、本仕様に準ずる録音図書を作成することができる。Sigtunaレコーダが発表される際には必須であるNavigation Control Center(NCC)ファイル、SMILファイル、オーディオファイルを作成する機能が提供される。構造化された全文テキストを含む HTMLファイルが存在する場合、このファイルから本仕様に準拠したデータを生成することも可能である。この場合、SMILファイルと音声データを含むサウンドファイルもともに提供されている必要がある。必要な NCCファイルは、HTMLデータ、SMILファイルおよびサウンドファイルを解析することで生成することができる。

2.0 ページ番号

DAISY 2.0の録音図書は、ページ間の移動を可能にする目的で、各ページへの参照情報を含む。再生装置は、常に前後のページへ移動する機能を提供する必要がある。また、任意のページへ移動する機能も必要である。本仕様は、ページに直接アクセスする機能を実現するために必要な柔軟性を提供している。

ページ番号は、HTMLの "span"タグを用いて記述する。span要素は、ページの先頭に配置する。span要素の内容には、書籍中に表示されているページ番号を記述する。活字書において、ページ中のどこにページ番号があるかに関わらず、このspan要素はその内容とともに、そのページの最初の語の前に配置しなければならない。活字書のページ番号の記述がそのまま span要素の内容となることに特に注意されたい。録音図書製作者は、この要素の内容を変更してはならない。再生装置は、この情報に基づいて、ページ間の移動や検索の機能を実装する。

注: 白紙のページには、連続したページ番号を含む span 要素を記述する。

2.1 CLASS 属性

Class 属性 には、page-front, page-normal, page-special のいずれかを指定する。

class属性として "page-front" が指定されているページは、書籍の前付けの部分で、通常の番号付けがされているページの前に配置されたページである。

class属性として "page-normal" が指定されているページは、通常の番号付けがされているページで、 1ページから始まり、後付けの前または書籍の終わりまで続くものである。通常ページの番号は、必ず正の整数を ASCII文字で記述したものでなければならない点に注意されたい。再生装置は、この正の整数をページ間の移動に用いる。

class属性として "page-special" が指定されているページは、書籍の前付けの部分ではなく、また従来の方法での番号付けがされていないページである。多くの場合このような特殊なページのページ番号は、いくつかの要素が複合された形になっている。複合されたページ番号には下部構造があり、たとえば接頭辞があり、続いて分割記号、連続している下位部分 (一般的なページ番号)、分割記号、接尾辞といった構造が考えられる。例として、第1章の15ページの後の 2番目の挿入ページ ('1-15a'の直後で、'1-16'または '2-1'の以前) を表す '1-15b' が挙げられる。

この形式は美しくないことは確かだが、未だにルーズリーフ型の図書の改訂の過程などでは用いられている形式である。また、古い書籍の中にも、このようなページ番号は用いられているだろう。

2.2 ID

各要素の IDは、固有なものでなければならない。固有な IDは、SMILファイル、NCCファイルおよび提供されていれば全文テキストのデータを同期させるために用いられる。同期させる各項目には、それぞれ固有な IDを割り当てなければならない。全文テキストが提供されている場合は、録音データと同期させる必要のある全ての要素に IDを付加しなければならない。なお、全文テキストは必須のものではなく、必要に応じて提供されるものである。ほとんどの場合、 IDはソフトウェアが内部的なアルゴリズムを用いて生成する。IDに関する必須条件は、それぞれが固有な IDであることと、 HTMLの仕様で定められている IDの条件に適合していることである。

注: W3Cは、有効な id属性について以下のように解説している。

IDおよびNAMEは、文字 ([A-Za-z]) で始まり、任意の数の文字または数字([0-9])、ハイフン ("-")、アンダースコア ("_")、コロン (":")、ピリオド(".") が続く文字列。

IDの指定でコロンは用いないことが推奨されている。コロンは将来別の目的で利用される予定であり、コロンを IDの中で用いないことで将来の混乱の発生を防止することができる。  

2.3 ページ番号の例

書籍中のページ番号が 57の場合、 span要素は以下のようになる:

<span id="x1228" class="page-normal">57</span>

この例にはとりたてて問題はなく、誰もが考えるとおりだろう。

章番号に続いてページ番号を記述する形式のページ番号を用いていて、新しい章毎にページ番号が 1に戻るような番号付けをしている図書の3-85ページの場合は、以下のようになる:

<span id="z22273" class="page-special">3-85</span>

XVのようなローマ数字により示される、前付け中のページの span要素は、以下のようになる:

<span id="xx34s7" class="page-front">XV</span>

最後の例は後付けの中でページ番号に連続した番号を使用していない場合である。この例では、付録Aのページ番号は "A 1"のようにつけられていて、363ページの直後から始まるものとする:

<span id="a123" class="page-special">A 1</span>
3.0 構造化タグ

HTMLの見出し (heading) タグのレベル1からレベル6までを利用することができる。 class属性を用いて意味的な情報を付加することができる。

3.1 見出しにおいて使用可能な class属性の値

class属性には、以下に示す値を用いなければならない。

title, jacket, front, title-page, copyright-page, acknowledgments, prolog, about-author, other-books, introduction, dedication, forward, preface, print-toc, part, chapter, section, sub-section, minor-head, bibliography, glossary, appendix, index, index-category.

注: 文書中の特定の場所への移動を実現するために、文章のまとまりを用いることがある。たとえば、次の段落、箇条書き中の次の項目や表中の次の行などが、この種類の移動を可能にするために、 NCCの中で定義されることがある。NCCの中では、この種類の情報への参照情報は、 "div" 要素の中に記述される。この場合、class属性には "group" を指定する。 div要素の内容として、アンカー (リンク) を記述する。全文テキストが存在する場合、その要素が固有なIDを持っていれば、いかなる HTML要素に対する参照情報を div要素の中に記述してもよい。

class属性の値は、小文字で記述し、ダブルクォーテーションで囲まなければならない。

HTML 4.0では、見出しが適切な入れ子構造を持っていることを必須とはしていないが、 DAISY 2.0仕様では、適切な入れ子構造の使用を推奨している。これは、h3 は必ず h2の後になければならず、また h2は必ず h1の後になければならないということである。特定のレベルを使わないことも使用上は可能だが、このような記述を行わないことを強く推奨する。入れ子構造が適切でない場合、製作ソフトウェアはこのことに関する警告を発するべきである。

3.2 例
<h1 class="front">Front Matter</h1>
   <h2 class="title-page">Title Page</h2>
   <h2> class="copyright-page">Copyright page</h2>
<h1 class="part">House pets</h1>
<h1 class="chapter">Chapter 1, All about Dogs </h1>
   <h2> class="section">Care and feeding</h2>
      <h3 class="sub-section">Dog Food</h3>
         <h4> class="minor-head">Nutritional Value</h4>
            <h5 class="minor-head">meat</h5>
               <h6 class="minor-head">lamb</h6>
      <h3 class="sub-section">Exercise</h3>
   <h2 class="section">Training</h2>
<h1 class="chapter">All about Cats</h1>
 .
 .
 .

<h1 class="bibliography">For further Reading</h1>
<h1 class="glossary">Some terms you should use</h1>
<h1 class="appendix">Appendix A: First Aid Supplies</h1>
<h1 class="index">Index</h1>

注: 上記の例の字下げは、単に読み安さを考慮したものである。実際の HTMLが、このような形で記述される必要はない。このような形式で記述してもよいし、そうしなくてもよい。読み易さを考慮して、上の例では必須である ID属性は記述されていない。これらの各構造化要素には、それぞれ固有な IDを割り当てなければならない。

3.3 複数のHTMLファイル

製作者は、コンテンツ作成のために複数の HTMLファイルを用いることができる。特に全文テキストを提供する場合には、複数の HTMLファイルを用いる場合があるだろう。この場合、段落、箇条書き、表、整形済みテキストなどの構造化のためのブロック型の要素を、論理的で分かりやすい形で用いていることが望ましい。表の記述のための要素を用いて、テキストのフォーマットを制御してはならない。フレームおよびHTMLのその他の視覚的な整形のための機能を用いることは、望ましくない。

HTMLファイルの正しい順序の特定が可能なように、 HTML標準の link メタ要素で順序を指定しなければならない。このリンク情報は、各 HTMLファイルのヘッダ部分に記述する。

3.3.1 リンクデータの例
<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.0 Strict//EN">
<html lang="en">
<head>
other heading information

<link rel="start" href="first-file.html">
<link rel="previous" href="previous-file.html"> 
<link rel="next" href="next-file.html"> 
</head>

注: 最初のファイルには"previous"はなく、最後のファイルには"next"はない。

注: 上の例で用いている linkのタイプ以外に、 HTML 4.0仕様では contents,index, glossary, chapter, section, subsection, appendix, copyright,help, bookmark を link 要素で利用可能としている。詳しくは、 HTML 4.0仕様を参照されたい。

4.0 ダブリン・コア書誌情報メタデータ

DAISY 2.0ではダブリン・コア規格に基づく書誌情報を記述できる。定義済みの記述子も含めて、現在も拡張されている参照情報記述に関する定義については、
http://purl.org/metadata/dublin_core を参照のこと。

メタデータは、ヘッダ情報やページ番号に関する情報を含むHTMLファイル、または全文テキストを含む HTMLファイルの中に記述する。また、メタデータはNCCの中にも含まれていなければならず、この場合は "DC"という接頭辞を付加しなければならない。メタデータが全文テキストのファイルに記述されている場合も、接頭辞 DCが必要である。

注: XMLW3C Namespacesとの互換性を保つため、ツールの開発者は"DC:"や"NCC:"という表記を用いるべきである。ただし":"のかわりに"."が使用されたり、"dc"・"ncc"のような小文字による表記が行われることもある点に注意が必要である。

以下にメタデータのラベルを挙げる:title, creator, subject, description, publisher, Contributor, date, type, format, identifier, source, language, relation, coverage, rights

情報を明確にするために、メタデータとともに "scheme" 属性を用いなければならない。 scheme属性を用いることで、製作者がユーザエイジェントに対してメタデータを正しく解釈するために必要な情報を提供することが可能となる。メタデータが異なる形式で記述されている場合など、時によって、このような付加的な情報が不可欠な場合もある。詳細については、 HTML 4.0仕様を参照。
http://www.w3.org/TR/REC-html40/struct/global.html#profiles

注: 現在も拡張されているダブリン・コアにおける scheme 属性の記述詞のリストについては以下を参照。
http://www.loc.gov/marc/dcqualif.html

4.1 例
<head>
<title>All About Dogs</title>
<meta name="DC:title" content="All about Dogs">
<meta name="DC:creator" content="George Kerscher">
<meta scheme="keyword" name="DC:subject" content="animals">
<meta scheme="keyword" name="DC:subject" content="pets">
<meta scheme="original" name="DC:publisher" content="Barking Press">
<meta scheme="yyyy-mm-dd" name="DC:date" content="1998-11-05">
<meta scheme="ISBN" name="DC:identifier" content="333-333-333-333">

<meta scheme="edition" name="DC:identifier" content="3rd">

<meta name="DC:format"  content="DAISY 2.0">
<meta name="DC:type" content="textbook">
<meta name="language" content="en">
</head>
4.2 書誌情報を表すメタデータの必須項目

DAISY 2.0準拠の図書では、以下の書誌情報が必須である: title, creator, publisher, identifier including edition, type, format, date, language.

仕様に従っていれば、その他のダブリン・コアで定義されたラベルを用いることもできる。

5.0 NAVIGATION CONTROL CENTER (NCC)

NCCは通常、ソフトウェアがHTML、SMIL、デジタル録音を解析することにより自動的に生成される。Sigtunaレコーダのようなソフトウェアでは直接 NCCの生成を行う。NCCは見出し、ページ、場合によっては文章のまとまり(グループ)に移動するために、再生機器によって使用されるHTML 4.0のファイルである。この情報により、再生機器は基本的な確認を行う。NCCに含まれる内容は、第4章で指定されている必須もしくは任意の書誌情報のメタデータや、再生機器用や SMILへの移動のためのリンク情報を記述した付加的なメタデータである。

5.1 NCCのファイル名とフォルダ

全ての DAISY図書には、NCC.htmlというファイルが含まれていなければならない。再生機器はこのファイルを用いて全ての関連するファイルへのアクセスを行う。通常一冊の図書が1枚のCDに収録されている。NCC.htmlファイルはCDのルートに配置する。もし一冊以上のDAISY 図書が同じ媒体に収録されている場合には、それぞれの図書を固有のフォルダ(ディレクトリ)に収録しなければならない。CDやDVDなどの媒体のルートには、媒体中のすべての録音図書へのリンクを含むdiscinfo.htmlというファイルを作成しなければならない。

5.1.1 discinfo.htmlの例

<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.0 Strict//EN">
<html lang="en">
<head><title>CD Information</title></head>
<body>
<a href="./book1/NCC.html">All About Dogs</a>
<a href="./book2/NCC.html">All About Cats</a>
</body>
</html>

5.1.2 CD-ROM の形式

注: ファイル名の付け方やCD-ROMのモードに制限はない。すなわち、MODE IとIIが使用できる。また、"Romeo extensions"や "Joliet extensions" による、長いファイル名にも対応している。また、ISO9660で定義されている形式にも対応している。CDの配布者はもっとも適したファイルシステムを使用するべきである。

日本語の文字を用いる場合は、 "Romeo" ファイルシステムの使用が推奨されている。この形式では、長いファイル名の利用が可能で、またこの形式は日本語を初め、多くの 2バイト文字を用いる言語で使用されている。"Joliet"ファイルシステムはUNICODE文字セットをサポートしている。

注意: 拡張子 ".smi"は有効な拡張子ではない。CD-ROMに書きこむ時、SMILファイルの拡張子が、無効な拡張子".smi"と縮められる場合がある。。この他のパスとファイル名も選択されたCD-ROMの形式により影響を受ける。DAISY 2.0のCD録音図書の配布者は、選択したファイルシステムが、製作過程において使用される文字と互換性があることを確認しなければならない。すなわち、Joliet形式で作成されたデータは、Joliet形式で CD-ROMに書き込まれなければならず、Romeo形式で作成されたデータは、Romeo形式で CD-ROMに書き込まれなければならない。

注: これらおよび他のCD-ROMの形式についての詳細は以下のページを参照のこと。 http://www.ping.be/~pin11466/formtxt.html.

5.1.3 何巻かに亘る図書

多くの場合、1冊の図書が 1媒体に収録されて配布される。例としてCD-ROMによる配布について解説するが、これは全ての固定されない媒体においても同様である。サウンドファイルの要領を小さくするために、一般的に用いられている符号化技術を利用することが推奨されている。たとえば、 MPEG 2 level 2を用いた場合、 40時間の録音された音声データを収録することができる。 MPEG 2layer 3を用いれば、50時間以上の録音が可能となる。しかし、このような技術を用いても、容量の大きい図書を配布するために複数巻の配布媒体が必要となることもあるだろう。

複数巻からなる図書の再生においては、必要に応じて CD-ROMの挿入を読者に対して促すようにしなければならない。 3枚の CD-ROMからなる図書を例として解説する。もし読者が 3枚目の CD-ROMに収録されている 802ページへの移動を要求した場合は、「ディスク3を挿入してください。」というメッセージが必要である。読者が今挿入されているディスクを抜き、 3枚目のディスクを挿入すると、再生機器は直接 802ページへと移動する。このような機能を実現するために、以下の取り決めに従わなければならない。

  1. 各 CD-ROMには、完全な形の NCCを多少異なる形で収録する。
  2. 現在どの巻なのかを特定する metaタグがなければならない。
    <meta name"NCC:setinfo" content="1 of 3" >
    contentの1 of 3、2 of 3、3 of 3はCD-ROMの順序を表す。
  3. 音声データが含まれていない情報を参照する場合は、 SMIL ファイルと 対応する"Please insert disk x." (x はディスクの巻数) という内容のサウンドファイルへの参照情報を記述する。
  4. 現在挿入されている CDに含まれていない情報を参照している項目には、 "rel"属性を付加しなければならない。 rel属性の値として有効なものは、"1 of 3","2 of 3", "3 of 3" などである。

上の 3枚の CD-ROM からなる図書の例の場合、1枚目の CD-ROMには、全ての通常の NCC情報に加えて、 setinfoメタデータを収録する。 1枚目の CD-ROMに含まれていない情報を参照する hrefは、対応するメッセージを含む SMILメッセージファイルにリンクする。 2枚目の CD-ROMに収録されているデータを参照する全ての href は、データそのものではなく、同じメッセージファイルにリンクする。ほとんどの再生機器は、読者が再生を中止した部分を記憶する。次の CD-ROMが挿入されると、同じ IDへ直接移動するが、このときには、実際のデータを含むファイルを参照する href が提供されている。もし読者が誤った CD-ROM を挿入した場合は、適切なディスクの挿入を促す同じメッセージが読者に対して提示される。

注: この例は、本仕様を満たす参照資料の中で提供される。

5.2 NCCのメタデータ

書誌情報に関するメタデータに加えて、以下の metaラベルの指定が必須である。 "NCC:format", "NCC:TOCItems", "NCC:page-front", "NCC:charset", "NCC:page-normal", "NCC:page-special", "NCC:generator", "NCC:publisher", "NCC:identifier"

* NCC:format: 有効な値、 "DAISY 2.0" およびサポートされている DTBの形式を、 meta要素の NCC:format を複数回記述して指定する。

* NCC:TOCItems: 有効な値は、 DAISY 2.0のドキュメントインスタンスの中に存在する異動先の数を表す整数。

* NCC:charset

注: 登録されているcharsetの値のリストは次のところからダウンロードできる。 http://www.iana.org/assignments/character-sets
また文字セットの仕様は次を参照のこと。 http://www.w3.org/TR/REC-html40/charset.html#doc-char-set.

* NCC:page-front, NCC:page-special, NCC:page-normal:有効な値は0または正の整数。この値には、各種類のページの総数を指定する。

* NCC:generator: NCCを生成したソフトウェア。 NCCの生成に複数のプログラムが用いられている場合もある。また、 NCCが手動で生成される場合もあり、この場合にはこのことが記述されていなければならない。

* NCC:publisher: アクセシブル版を製作した団体名。

* NCC:identifier: DTB製作者によって使用される、固有の整理番号(本の番号、書庫番号等)

5.3 例
<meta name="NCC:format" content="DAISY 2.0">
<meta name="NCC:Generator" content="Sigtuna Digital Audio Recorder 1.6">
<meta name="NCC:ToCItems" content="57">
<meta name="NCC:Charset" content="3,Windows ANSI CP 1252,Windows 3.1 Latin 1
code page (US\, Western Europe),3">

<meta name="NCC:page-front" content="3">
<meta name="NCC:page-normal" content="150">
<meta name="NCC:page-special" content="0">
<meta name="NCC:publisher" content="RFB&D">
<meta name="NCC:identifier" content="shelf zz999">
5.4 必須ではないメタデータ

注: "NCC:totaltime" の指定は必須ではないが、読者が残り時間を知るために用いることができると言う点で、有効な情報である。もしこの情報が SMILファイル中の time メタ情報とともに提供されていれば、読者が既に読んだ部分の時間と残りの時間を再生機器が算出することができる。

* NCC:Totaltimeは hh:mm:ss のように表す。NCC:total time is represented as hh:mm:ss.

<meta name="NCC:TotalTime" content="3:04:11">
<meta name="NCC:Country" content="SE,Sweden,99">
<meta name="NCC:Producer" content="production site name">
<meta name="NCC:ProducedDate" content="1998-03-11">
<meta name="NCC:RecordedBy" content="technician name">
<meta name="NCC:RecordedDate" content="1998-03-11">
<meta name="NCC:Revision" content="1998-03-11">
<meta name="NCC:LastRevision" content="1998-03-11">
<meta name="NCC:Narrator" content="John Doe">
<meta name="NCC:ProjectNumber" content="122">
5.5 NCCの BODY部分の例

見出し、ページ番号および場合によっては移動に必要な文書のまとまり (グループ) を記述し、 SMILファイルの URLおよび、 SMILファイル中の特定の部分の IDをアンカーの中で指定する。この情報を用いることで、 DAISY図書の構成要素間を関連づけて移動およびデジタル音声情報の再生を行うことが可能となる。 NCCの BODY部分の先頭には、図書のタイトルを記述しなければならない。この際の class 属性には、 "title" を指定する。

<h1 class="title" id="t1"><a href="title.sml#t1">All about pets</a></h1>

<h1 id="h1_004" class="chapter"> <a href="DAIS004A.smil#h1_004">All About Dogs</a></h1>

<div id="p004_001a" class="group">
<a href="DAIS004A.smil#p004_001a"></a></div>

<h2 id="h2_000" class="section"> <a href="DAIS004B.smil#h2_000">Care and Feeding</a></h2>

<h3 id="h3_001" class="sub-section"> <a href="DAIS0018.smil#h3_001">Dog Food</a></h3>

<span id="p21" class="page-normal"> <a href="DAIS0018.smil#i21">21</a></span>
6.0 SMILファイル

SMILは、W3C の SMIL 1.0の仕様に準拠したものでなければならない。この企画に加え、いくつかのメタデータの記述が必須であり、またいくつかの取り決めを用いる。

6.1 メタデータ

次のメタデータの指定は必須である。

<meta name="format" content="Daisy 2.0"/>

次のメタデータの指定は任意である。

<meta name="DC:title" content="Title of book"/>

次のメタデータの指定は任意である。

<meta name="title" content="Title of SMIL Section of book"/>

次のメタデータの指定は任意だが、指定されていれば、再生装置はこの情報を用いて読者に再生注の音声情報の経過時間と残り時間を提示することができる。

<meta name="total-elapsed-time" content="03:32:02"/>
<meta name="time-in-this-smil" content="01:10:22"/>

注: 本仕様の将来のバージョンにおいては、上述のメタデータ中の時間に関する情報に代わって、"master SMIL file" 中の情報が用いられる。

6.2 サウンドファイルとSMILファイルの拡張子

全てのサウンドファイルは、ファイル名の拡張子に関するデファクト標準に従った拡張子を用いて作成しなければならない。たとえば、 PCMおよび ADPCMのwaveファイルでは拡張子 ".wav" を使わなければならない。また、 SMILファイルの場合は、拡張子 ".sml" または ".smil" を用いなければならない。これらのファイルの拡張子は、 Microsoft Windows に登録されている。その他の例としては、以下のようなものが挙げられる。

  • ".mpg"はMPEGファイル".mpg" for MPEG files.
  • ".mp2"はMPEG2 layer 2ファイル".mp2" for MPEG 2 layer 2 files
  • ".mp3"はMPEG2 layer 3ファイル".mp3" for MPEG 2 layer 3 files.
  • ".ra"はReal Audioファイル".ra" for Real Audio files.
  • ".vqe"、".vqf"、".vql"はTwin VQファイル".vqe .vqf, or vql" for Twin VQ files.

7.0 相互運用性と DAISY による承認

標準的な HTMLおよび XMLのバリデータを用いることで、全ての HTMLおよび SMILファイルは、その記述の正しさを確認することができる。 NCCの内容および、全文テキストを記述した HTMLファイルは、HTML 4.0 のstrict DTDに対してその記述の有効性の確認を行う。また、 SMILファイルについては、 XMLのバリデータを用いてSMIL 1.0 の仕様に対する確認を行う。

バリデータによるこれらの一般的なテストに加えて、いくつかのテスト用図書を利用できる。DAISY 2.0仕様を取り入れようとする再生機器製造者は内部テストでこれらの規格とテスト用図書を使用すべきである。提供される全てのテスト用図書が再生機器によって再生できれば、製造者はその機器がDAISY 2.0仕様準拠であるという証明を受けることができる。

製作ツールの製造者はそのツールをこれらの仕様に適合したものにしなければならない。もし仕様に準拠していて、その製作ツールによって製作されたものがテスト用図書と同様の内容であれば、製造者はその製作ツールが DAISY 2.0準拠であることの証明を要求することができる。

DAISYコンソーシアムからの証明を受けるためには、再生装置または製作ツールを DAISYコンソーシアム による動作テストのために提供しなければならない。