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日本障害フォーラム(JDF)被災障害者総合支援本部 宮城県訪問の報告

写真1
津波被災地(名取市)

 JDF被災障害者総合支援本部では、2011年3月22日(火)~23日(水)にかけて、宮城県仙台市、名取市を訪問し、地元障害者団体との会合、県および市の表敬、現地支援センター設置の調整等を行いました。

写真2
県障害福祉課長を表敬

■訪問メンバー
藤井克徳(JDF幹事会議長/日本障害者協議会)
(同行者:斉藤なを子)
森祐司(JDF政策委員長/日本身体障害者団体連合会)
久松三二(JDF幹事会副議長/全日本ろうあ連盟)
(通訳者:石原恵美子)
尾上浩二(JDF障害者権利条約小委員会委員長/DPI日本会議)
大久保常明(JDF幹事会副議長/全日本手をつなぐ育成会)
崔栄繁(事務局/DPI日本会議)
木下努(事務局/DPI日本会議)
北條正志(事務局/きょうされん)
原田潔(事務局/日本障害者リハビリテーション協会)

■行程
3月22日(火)
午前 都内発

午後 現地支援センター 候補地の視察
   (共生福祉会 仙台ワークキャンパス・萩の郷(仙台市太白区))

    CILたすけっと訪問(仙台市太白区)

夕刻 仙台市障害者福祉協会メンバーと打合せ

    難民を助ける会メンバーと情報交換

3月23日(水)
午前 地域の障害者団体・関係団体との会合

午後 福祉避難所訪問
   (仙台市宮城野障害者福祉センター)

   一般避難所訪問
   (仙台市立幸町南小学校)

   宮城県障害福祉課 峯浦課長訪問

   仙台市障害企画課 久保課長
    仙台市障害者支援課 伊藤課長 訪問

   名取市内の被災地を視察(津波被害、建物被害等)

   被災障害者の避難所訪問
   (NPOドリーム・ゲート(名取市大手町))

帰京・都内着


写真3
地域団体との会合の様子

■地域の障害者団体・関係団体との会合について(概要報告)

日時 2011年3月23日(水)10:00~12:15
場所 ホテルモントレ仙台 3階ルツェルナ
参加者 約40名

参加団体(順不同)
ありのまま舎(MPC)
CILたすけっと
仙台市障害者福祉協会
仙台市精神保健福祉会連絡協議会
仙台市聴覚障害者協会
(社福)つどいの家
東北白馬会
NPO法人 ドリーム・ゲート
難民を助ける会
日本福祉支援協会
はらから福祉会
宮城県身体障害者福祉協会
宮城県知的障害者福祉協会
宮城県手をつなぐ育成会
(社)宮城県ろうあ協会
NPO法人 麦の会
ゆにふりみやぎ

取材
共同通信社
目で聴くテレビ

内容
○JDF被災障害者総合支援本部について ○参加団体 現況報告、要望等 ○被災障害者を支援するみやぎの会(仮称)の立ち上げについて

(概要報告)
○JDF被災障害者総合支援本部について

3月18日に本部を東京に設置。
みやぎ支援センター(仮称)を、来週を目途に仙台市太白区内に設置予定。
実態やニーズ把握をしたうえで、人的物的資源を国、県、社協、関係団体等とつなぐ調整機能が特に求められる。
また、対政府、社会へのアピール、財政等の窓口として役立てるようにしたい。

○参加団体 現況報告、要望等
*難民を助ける会 活動報告

被災2日後から宮城を中心に活動。
県、社協と協力し、60の障害者・高齢者施設を回って調査と物資・食料配布を行ってきた。うち10か所程度が倒壊、水没、焼失という状況。
支援物資としては、初期には食料・水・軽油・灯油が求められたが、一週間程度経つと、おむつ、衛生用品、下着肌着、ウェットティッシュ、尿取りパッドなどのニーズが出てきた。
現在は、食料として(米・パン以外に)缶詰、レトルト食品、牛乳、フルーツなどが求められる。ガソリンがないのが問題。家・施設が残っていても買い物にも行けない。県などと協力して巡回し、その場で物資・食料を配布する活動を行っている。
人や物資は集まってきており、国・県などから指定避難所などには支援が行くが、個々の施設には行きとどかない状況。特に沿岸部の状況が厳しい。
情報や課題を共有する「調整の場」が欠如している。せっかくの人、物、情報を共有して、支援をつなぐことができない。
今後は、施設に属さない在宅などの個人をどう支援するかも課題。自衛隊しか入れない被災地もまだあるため、情報を交換しながら、迅速に支援したい。
支援物資は宮城学院女子大学を借りて保管している。物資、人、車はあり、支援がいつでも届けられるので遠慮されずにニーズの声を挙げていただきたい。

*各参加団体の現況、要望等(順不同)

  • 避難所生活をしている人は、ヘルパー、介助者が得られず生活上の困難が出ている。
  • 会員の安否確認は大半はできたが、なお連絡が取れない人がいる。(特に沿岸部)
  • 避難所から自宅に戻れないときに、仮設住宅のバリアフリーなどの課題が間もなく発生するだろう。
  • 都市部はライフラインが比較的早く復旧したが、郊外では水もない状態。ニーズを聞いて物資を送っている状況。被災地間のニーズの差が大きい。特に沿岸部はまだ実態もつかめない。広域的な調整と対応が必要。
  • 自分の団体、施設のニーズにとにかく追われている状況。他地域・他団体との調整や包括的な課題提起にまで手が回らない。
  • 調整役として社協の役割に期待したい。社協は地域の実情を把握しており、人や物も集まる場である。JDFと協力し、県・地域レベルで障害者高齢者のプロジェクトチームなどが作れないか。
  • 施設の職員が災害対応で通常業務ができない、利用者が来られないなどの理由で、自立支援法の給付費が請求できない。3月、4月は直近3か月の利用状況により請求できるなどの配慮を願いたい。
  • ガソリンがなく、薬も取りに行けない。遠くの病院まで家族が公共交通機関等で苦労して取りに行く状況。
  • ガソリンがないため、沿岸部の実情把握がしにくい状況。
  • 物流がなく、作業所での生産活動ができない。食品の場合、放射性物質の問題も出ている。
  • 放送、防災無線、避難所などでの情報保障の課題が出ている。手話、字幕のニーズについて啓発に努めている。全市町村で手話通訳の設置をしてほしい。
  • 停電で携帯電話もメールも使えない。電気が来ても携帯基地局が破損し通信できない。情報保障のためにも、技術力を挙げて通信の確保をしてほしい。
  • 犠牲者の火葬までに1~2か月かかる状況で、保管にも費用がかかる。行政に配慮願いたい。
  • 現場職員が安否確認など災害対応に追われている。きちんとしたノウハウのある人材の支援がほしい。v
  • 施設職員が建物の復旧に手を取られている。施設復旧に行政からの支援が得られないか。
  • 家族のストレスも大きい。家族への支援も課題である。
  • 避難所でのニーズについて、当事者からは声を上げづらい状況。障害者への対応について認知が得られていない。
  • 市街地では物資や人の支援が得られるようになってきたが、通信、事務機器や、制度利用の課題が出てきている。
  • さまざまな課題について、ここに連絡すればなんとか支援をつないでもらえるという拠点がほしい。
  • 福祉避難所の急速な拡充が必要。
  • JDFの支援本部は、緊急の被災者支援のみならず、復旧、復興についても目的として明記すべきである。

○被災障害者を支援するみやぎの会(仮称)の立ち上げについて
今日参加した団体が中心となり、地域のさまざまな団体が参加した「支援する会」を立ち上げることが合意された。JDFの支援センターと協力しながら支援を行っていく。

(文責 原田)