母親が語る『発達障害のある大学生、ユニコと歩む日々』 その4
きょうだい、家族も助けてほしい
ユニコにいろいろな検査を受けさせる一方で、
1歳半違いの姉も、何か苦手さやつまずきに悩んでいるのではないかと感じるようになった。
きょうだいは同じような困難を経験することがあるというが、
姉も、なかなか漢字が覚えられなかったり、漢字の間違いに気づけなかったり、
算数の簡単な計算でつまずいたりと、苦労していた。
念のため、と思って、検査を受けてみると、
やはり、自分の中で、できることとできないことの差が大きいことがわかった。
ただ、その内容は、
ユニコと似ている苦手さもあれば、
ユニコとは違い、まったく問題のない所もある。
きょうだいといえども、苦手なことが同じわけではないのだ。
それぞれに合った対応が必要となり、
それぞれの存在が刺激になって状況を悪化させることもあるので、ときには2人を引き離さなければならないこともある。
なかなか大変だった。宿題を見てやるのも、あっちの部屋にいったり、こっちの部屋に入ったり…。
そして、自分はうまくできなかったのだけれど、大事なのは、きょうだいにも心を配ること。
思い返せば、ユニコにかかりきりで、姉がつらい思いをしているときに、心のケアに気が回らなかったことが何度もあった。
時間的にも、心理的にも、余裕がなく、姉には本当に申し訳なかったと思っている。
きょうだいのケア、というのは、とても重要なのではないだろうか?
親亡きあと、きょうだいが協力して生きていかなければならないのだから。
よい関係を築いてほしいと思うけれど、
年齢が近かったり、同性であったりすると、ただでさえライバル意識を持つものなのに、
相手のせいで自分の欲求が満たされなかったことが、たび重なれば、
相手に対して好ましい感情を持てなくなり、関係も悪化する。
また、特に年少の弟妹の場合、
常に当事者のきょうだいと一緒にいると、その問題行動や口調をまねるようになるなど、影響を受けやすい。
子ども同士で遊んでいても、ロールモデルが当事者のきょうだいだけという場合、
よほど周囲の者が気をつけていないと、間違った行動パターンを学んでしまう可能性がある。
支援機関やリハビリなどに通う際に、弟妹を連れて行くのも大変だ。
発達障害のきょうだいがいる子が、保育園など、預け先機関を利用できる制度を、ぜひ作ってほしい。
我が家の場合、幸いにも、仕事をしていたため、弟は保育園に入園することができた。
でも、入園のための申請書には、仕事のことだけでなく、ユニコの通級、病院、支援機関への送り迎えの状況、普段の介助状況(勉強を見てやらなければならないこと、家で生活面、手作業や運動の訓練が必要なこと)も書いて、窮状を訴えた。
場合によっては、一日だけでも預かってくれるような機関もあるので、制度があれば、できるだけ登録し、いざというときに備えるといいと思う。
常々感じているのは、
幼い頃には特に、本人よりもむしろ家族への支援の方が重要ということだ。
家族の心と体が健康でなければ、
生きづらさを抱えている子どもを支えることはできない。
家族が支援方法を知らなければ、
1日のほとんどを過ごす家庭で、支援が受けられないことになる。
少なくとも小学校入学までは、家族に対する支援を何よりも優先すべきだと、強く訴えたい。