母親が語る『発達障害のある大学生、ユニコと歩む日々』 その5
ユニコ、ピカピカの1年生になる
晴れて通級にも通えることになり、小学校に入学したユニコ。
でも、現実はそう甘くはなかった。
1年生の生活が始まると、
次から次へと問題行動…。
幼稚園の頃から、指かじりがひどかったが、これがさらに悪化。
鉛筆をかじり、教科書、ノート、歌集、プリントをちぎって食べる。
(「紙質がいろいろで、おいしいのとまずいのがあった」←ユニコ談)
授業中、ずっと関係のない本を読み続ける。
でも、ベテランの女の先生は、ユニコを通級には行かせたくなかったようで、
「様子を見ましょう」と言うばかり。
しかたがないから、
赤い筆箱の蓋に、黒マジックで大きく、
「かじるな」
と書き、
提出物を出し忘れるユニコのために、
ランドセルの蓋の外側(みんなから見える場所)に、
今日提出するものや、やることのリストを書いて、貼り付けた。
こうしておくと、世話好きな子がそれを読んで、
「ユニちゃん、○○するの、忘れてるよ!」
と言ってくれるから。
プールの授業は、よちよち歩きの弟を連れて見学(というより監視)に行き、
溺れないように、ずっと見学席から目を光らせていた。
そんな中、ユニコの意外な特技も判明。
読書好きのせいか、音読が上手で、
先生からは音読名人と呼ばれ、何かと文章を読む機会をもらうようになった。
クラスメートのRちゃんは、「お友だちのよいところをさがそう」という授業で、ユニコについてこんなことを書いてくれた。
「ユニちゃんが読むと、心がほんわかあたたかくなります。」
ありがとう。ありがとう。
その後、今に至るまで、音読・朗読にはユニコもそれなりに自信を持っているけれど、
あまり実生活には生かされていないようだ。
でも、何か1つでも自信があれば、それが強みになり、支えになる。
DAISY図書の朗読のボランティアをさせてもらったこともあるユニコ。
これから、この特技を生かす場面が増えればと願っている。
初めての学校生活。
不安はいっぱいだけれど、どの子にもきっと、ユニコのように思いがけない特技が見つかると信じて、送り出そう。