母親が語る『発達障害のある大学生、ユニコと歩む日々』 その23
発達障害のある女の子に特有の問題 女子限定 お悩み相談
発達障害って
男の子が圧倒的に多くて、
女の子は少ないようだ。
これまで、女の子特有の悩みを相談する相手がなかなかいなくて、親子で苦労してきた。
女の子特有の悩みとしては、
まず、生理の時の対応がある。
一番の問題は、ナプキンを交換するタイミングがわからず、ずっと交換せずに済ませてしまうことだ。
学校にいるときは、休み時間が目安になるが、
宿泊学習や遠足、運動会など、特別な行事の時には、
学校で配られる予定表に、交換するタイミングをマークしておいた。
また、ナプキンをうまくつけられずに、服を汚すことも多い。
とりあえず、外出時は、夜用の一番大きいサイズを使うようにしている。
デリケートゾーンのことなので、
親といえども、援助できることには限りがある。
本が好きなユニコには、『セイリの味方スーパームーン―生理なんでもハンドブック』(高橋由為子 偕成社 1998年)が役に立った。
着替えも課題の1つだ。
水泳の授業の時に、体が見えないようにバスタオルを巻き、その中で水着に着替えるのは、不器用なユニコにはとても難しい。
女子の場合、男子と違って、水着がなじみのない形で、普段着ている服とは勝手が違うため、よけいに苦労するようだ。
家で、一番やりやすい着替え方を求めて試行錯誤を繰り返し、
通級の先生にも相談にのってもらって、練習を重ねた。
服選びも難しい。
下着類は、例えば、うしろ手にホックで止めるブラジャーは、不器用なために難しいので、かぶるタイプのスポーツブラにするなど、
何よりも着替えやすさを重視して選んでいる。
ほかにも、つなぎの服、キュロットなどは、トイレで大変なことになるので着ない。
スカートも、学校の和式トイレで何度も失敗してしまった苦い思い出がある。
首元が大きくあいた服は、下着が見えてしまうことがあるが、
自分では気づけず、直せないので、外出時は着ない。
紐付きの服は、どこかに紐を引っ掛ける危険があるし、紐をしゃぶってしまうこともあり、衛生的でないので、
幼い頃は、すべて紐を取ってから着せていた。
女の子の服によくある、リボンがついている服も、
ほどけても結べない、ほどけているのに気づかない、そもそも、紐と同じで、どこかに引っ掛けたら危険なので、
買わないようにしている。
服の前後がわからなくなるので、
下着ならマークをつけたり、見分け方(金具がついている方が前など)のポイントを、初めて着るときに教えたりしなければならない。
季節に合わせた服の調節も苦手で、
もう春なのに、真冬のパジャマを着ようとする。
月毎に着る服をまとめた「服暦」を作らなければいけないかな、と思っている。
服を買いに行くのも相当なストレスらしく、
人ごみが苦手なので、にぎやかな繁華街での買い物は無理。
どれを選んだらいいのかわからないし、
店員に話しかけられるとパニックになる。
安心して買い物ができるのは、通販だけかもしれない。
少しずつ一緒に買いに行く機会を増やして、
慣れさせていかなければと考えている。
そして、就職に向けて、
今悩んでいるのはお化粧のこと。
毎日、髪型を整えるのにも苦労しているユニコ。
この不器用さで、顔にいろいろなものを塗れるのか?
塗ったあと、例えば不用意に口をごしごしこすったりして、口の回りがぐちゃぐちゃになるなんてことも十分ありうる。(三歳のときの七五三の悲しい記憶がよみがえる。)
自分で気をつけられるのだろうか?
かといって、まったくお化粧をしないのも、まずいかもしれないし…。
発達障害のある女性は、皆どうしているのだろう?
まだまだ悩みはつきない。
<ユニコからも一言>
生理期間中にナプキンを変えるタイミングは、あるようでいて、実はない。小学生の時だったら、休み時間でいいかもしれないけれど、中学生以降になると、教室移動とか体育の着替えとかいろいろなことがあって、時間が足りない時もある。それに加えて、宿泊行事みたいに、普段とは違う時だったら、非日常的な空間だから混乱しやすい。だから、お母さんは大変かもしれないけれど、私の母みたいに記号を書いてくれた方が、本人にとってはありがたい。
服については、本人と話しながら買うのが一番だと思う。それに試着は欠かせない。面倒くさいとは思うけれど、最初のうちは親子で買いに行ったほうがいいと思う。なぜなら店員さんとうまく話せなかったりするから。多くの店では、服を手に取ると店員さんが話しかけてくるが、まだ私はそれに対して上手に返事をすることができない。だからと言って、本人を連れて行かないと、肌触りが嫌などのトラブルがある。一度本人にも納得のいく服のスタイル(ブラウス・ワンピースなど)が決まったら、いつも似たような服を買っていくのも手かもしれない。
化粧については、女性の上級生に発達障害の知り合いがいないこともあり、どうしたらいいか私もわからない。ただ、高校の先生が化粧をあまりしておらず、就職活動の時にも口紅1本でしたと話していた。これを真似するのも手かもしれない。卒業までになんとかしていきたいとは思っている。