開会挨拶
鴨下 重彦
国立国際医療センター名誉総長
日英高齢者・障害者ケア開発機構委員長
皆様お早うございます。ご紹介を賜りました日英高齢者・障害者ケア開発協力機構の委員長 を務めます鴨下でございます。主催者を代表して一言ご挨拶申上げます。
本日はこの国際セミナーに、日曜日の朝からこのように大勢の方々にお集まりを頂きまし て、主催者として誠に喜ばしく、御礼申し上げる次第です。このセミナーは2000 年に第一回 が開かれておりますので、今回で丁度10 年の歴史の節目を迎えることになりました。今回も 英国大使館の後援を頂いておりますことをまず申し上げておきます。
日本では昨年夏の終わりに衆議院総選挙の結果、政権交代が起こり、政治の世界も自民党か ら、民主党に変わりました。新しい内閣は様々な改革に取り組んでおりますが、どうもまだ行 方が定まらない不安定な状態が続いているのであるのは皆様ご承知の通りで、そのような中、 特に社会保障の問題はどうなるのか深い関心が寄せられているところであります。
この国際セミナー毎年、「高齢者や障害者の社会参加を促進する、そのためにどのような支 援を行なうべきか」ということを基本的なテーマとして開催されて参りましたが、今回のテー マは「障害者の新しい雇用 一インクルーシブな雇用の実現」となっております。障害者の一 般就労については、解決すべき様々な困難な課題があります。特に一昨年後半から続いており ます世界的な経済不況は、やや落ち着いてきておりますが、すでに大企業にも打撃を与え、一 般の雇用問題にもかってないほどの深刻な影響を受けております。そのような中で、障害者の 雇用は一層厳しい状況に置かれている、と考えざるを得ません。しかし、そのような危機的な 悪条件の中でこそ、社会的弱者がどのように処遇されるのか、それは社会が真に思いやりのあ る社会であるかどうかを示す一つのバロメーターではないかと思います。そのような状況下 で行われる本日の国際セミナーには、また特別の意義があるのではないでしょうか。
今日は午前中に先ず、炭谷さんが「インクルーシブな雇用の実現」という題で基調講演をされます。炭谷さんについては、今さら申し上げるまでもなく、元環境事務次官でこの国際セミ ナーの生みの親、育ての親であります。次にゲーロルド・シュワルツさんが「社会的企業の発展 に向けた戦略」について講演されます。そのあと、昼食・休憩を挟みまして、午後は「英国におけ るソーシャル・ファイナンス」について、リンクス・ジャパンのフィリーダ・パービスさんがお 話をされます。そのあと、ホワイトボックス・デジタル社のデビッド・バーカー氏にご自身のご 経験からソーシャルエンタープライズの設立についてお話いただきます。
休憩のあと、「日本におけるインクルージブな雇用の実現」というテーマで、パネルディス カッションに移ります。浦和大学の寺島彰教授のコーデネーターの許に、宮嶋望さんと桑山和 子さんのお二人が話題提供され、炭谷さん、シュワルツさん、パービスさん、バーカーさん、上 野容子さんの5人のパネリストが参加されます。閉会は16 時40 分を予定しておりますが、 どうぞ皆様には積極的にご発言や活発なご討論をお願いし、この国際セミナーを実り多いも のとして頂くよう、念願したしまして、開会のご挨拶といたします。有難うございました。