国際図書館連盟(International Federation of Library Associations and Institutions:IFLA)
解説
IFLAは、1927年に設立された図書館・情報のサービスおよび利用者の利益を代表する国際的な機関で、現在は150カ国から1600以上の図書館および情報関連団体が加入している。
毎年8月に開催されるIFLA年次大会(IFLA Annual Conference : World Library and Information Congress)には3000人以上の関係者が集う。2015年はケープタウン(南アフリカ)で開催される。
IFLAには2015年1月現在、5つの部門(Division)、43(*)の分科会(Section)、15の特定の問題に関心持つグループ(Special Interest Groups)、5つのジョイントアクティビティ(Joint Activities)がある。
*分科会は、名称が変わったり廃止されたりすることがあるため、発足当時の番号をそのまま保持している。分科会番号は48まであるが、実質的な分科会の数は、2015年1月現在は43である。
6つの戦略的計画(Strategic Programmes)に取り組み、7つの特別活動とサイト(Special Activities and Sites)が公開されている。その1つが、2014年のIFLAリヨン大会で発表された「情報へのアクセスと開発に関するリヨン宣言」(The Lyon Declaration on Access to Information and Development)である。
また、季刊誌『IFLA Journal』を発行しており、サイト上でも見ることができる。
http://www.ifla.org/publications/ifla-journal
図書館における障害者の情報のアクセスと著作権に焦点を当てた活動を行なっているのは、「特別なニーズのある人々に対する図書館サービス分科会」と「印刷物を読むことに障害がある人々のための図書館分科会」である。
2つの分科会の概要は以下である。
(Library Services to People with Special Needs Section : LSN)
【第3部門:図書館サービス部門(Division of Library Services)-第9分科会】
旧称:図書館利用に障害のある人々へのサービス分科会
(Libraries Serving Disadvantaged Persons : LSDP)
特別なニーズのある人々に対する図書館サービス分科会は、何らかの理由で従来の図書館サービスを利用できない人々への図書館及び情報サービスに携わっている。対象としては例えば、入院患者、服役中の人たち、老人施設に入所している高齢者、在宅患者、聴覚障害者、身体及び発達障害者などである。この分科会は国際フォーラムを開催してアイデアを出し合い、各々の経験を共有し、図書館及び情報サービスの有効性を促進し改善を目指したプロジェクトを開発し、あらゆるレベルでの国内的・国際的協力の推進を目的とする。
(Libraries Serving Persons with Print Disabilities Section : LPD)
【第1部門:館種部門(Division of Library Types)-第31分科会】
旧称:視覚障害者図書館サービス分科会
(Libraries for the Blind Section : LBS)
印刷物を読むことに障害がある人々のための図書館分科会は、視覚障害者と他の理由で印刷物を読むことに障害がある人々を対象とした図書館サービスに取り組んでいる。主な目的は、この分野の国内的・国際的協力の促進、研究開発の奨励、情報へのアクセスの改善である。
また、文化的言語的マイノリティーのニーズを満たす図書館サービスの構築については、「多文化社会図書館サービス分科会(Library Services to Multicultural Populations Section : MCULTP)」が取り組んできた。
日本図書館協会多文化サービス委員会は、MCULTPと連動して活動を行なっている。
日本障害者リハビリテーション協会では、IFLAで刊行された専門報告書(IFLA Professional Reports)のうち、"Guidelines for Easy-to-Read Materials"「読みやすい図書のためのIFLA(国際図書館連盟)指針」と"Guidelines for Library Services to Persons with Dyslexia"「ディスレクシアのための図書館サービスのガイドライン」と"Guidelines for Library Services to Persons with Dementia"「認知症の人のためのサービスガイドライン」を翻訳してDINFに掲載している。また、LSNに常任委員として参加し、活動を行なっている。IFLA Directory 4th Editionを出版し、1997年から2014年4月まで、Directoryをオンラインで提供していた。
"Guidelines for Easy-to-Read Materials"は、2010年に改訂版が出版された。
http://www.ifla.org/en/publications/guidelines-for-easy-to-read-materials
改訂版の英語原文は以下に掲載されている。
Guidelines for easy-to-read materials Revision by Misako Nomura, Gyda Skat Nielsen and Bror Tronbacke on behalf of the IFLA/Library Services to People with Special Needs Section The Hague, IFLA Headquarters ?
31p. - 30 cm (IFLA Professional Reports; 120) ISBN 978-90-77897-42-3 ISSN 0168-1931 http://www.ifla.org/files/hq/publications/professional-report/120.pdf
改訂版の日本語訳は、日本障害者リハビリテーション協会訳、日本図書館協会障害者サービス委員会監訳で、日本図書館協会より2012年6月に出版された。
国際図書館連盟特別なニーズのある人々に対する図書館サービス分科会,野村美佐子,ギッダ・スカット・ニールセン,ブロール・トロンバッケ編.読みやすい図書のためのIFLA指針(ガイドライン).改訂版.日本図書館協会障害者サービス委員会監訳,日本障害者リハビリテーション協会訳.日本図書館協会,2012.6,59p.(IFLA専門報告書第120号)
改訂版の日本語訳は、ウェブでも見ることができる。
http://www.ifla.org/files/hq/publications/professional-report/120-ja.pdf
IFLAについて(IFLA Publications Series 記載文の抄訳)
【IFLAの2014年の計画】
■IFLAによる主要な取り組み(Key Initiative)‐2014年の計画
- デジタルコンテンツのアクセス:IFLAは、将来的にeブックを含むデジタルコンテンツにアクセスするための指針を推進する。グローバルデジタル環境と情報社会のアクセスについて検討する、2013年の年次大会で始まったIFLAの動向報告(Trend Report)は、世界各国でのIFLAのメンバが主導するイベントで討議される。また、IFLAは、情報への公平なアクセスを保障するために国際的に関わっていく。例えば、図書館における著作権の制限と例外についてWIPOにおいて、インターネットガバナンスファーラムで、そしてWSIS+10の再検討の課程に関わっていく予定である。
- インターナショナルリーダーシップ:国際的なリーダーズ・プログラムの最初の2年間のコホート研究は、リヨンの年次大会でのプログラムで完結する。2014年において、IFLAは、3年間継続的に行う、地域における図書館協会等の機能強化のためのプログラム(Building Strong Library Associations programme)を開始し、そのことにより、各国における図書館協会の発展と連携を促進させていく。
- アウトリーチとそのための活動:IFLAは、ミレニアム開発目標に続く、ポスト2015開発課題(post-2015 development agenda)に、開発目標に対応する、また人々が生活を改善していくことをエンパワーする上で、情報やその媒体へのアクセスの中心的な役割と文化遺産の重要性を明示するために参加している。
- 文化遺産:自然災害や紛争で危険にある収集物や情報の登録は、文化遺産のパートナーと相談をしながら進められる。
■専門的なプログラム‐2014年の計画
- 多言語使用:フランス語、スペイン語のウェブサイトが2013年に始まり、IFLAの公式言語であるアラビア語、中国語、ドイツ語、ロシア語のウェブサイトが後に続く予定。
- IFLA図書館:2013年に始まったIFLA図書館を通して、年次大会で発表された論文は入手できる。そして、2014年には他のIFLAの出版物も入手可能になる。
- 基準:主要な取り組みを通して、私たちは新たに質の高い専門的なガイドラインと基準に焦点をあてることで、重要な課題を設定する。
外部リンク
- IFLANET (IFLA公式ページ(英語))http://www.ifla.org/index.htm
- 日本図書館協会国際交流事業委員会
http://www.jla.or.jp/committees/kokusai/tabid/185/Default.aspx - 日本図書館協会障害者サービス委員会
http://www.jla.or.jp/committees/lsh/tabid/191/Default.aspx - 日本図書館協会多文化サービス委員会
http://www.jla.or.jp/committees/tabunka/tabid/202/Default.aspx
Dinfサイト内の関連ページ
- IFLA(国際図書館連盟)の障害者の情報アクセスに関する取り組み
- 特別なニーズのある人々に対する図書館サービス(LSN)分科会
「アクセシビリティ:アクセスのためのハイテク」 - IFLAプリントディスアビリティのある人々のための図書館宣言
- IFLA障害者サービス分科会報告
- グローバル・アクセシブル・ライブラリー(GAL)プロジェクト最新情報
- 特別なニーズのある人々に対する図書館サービス分科会(LSN)の歴史的概観(PDF)
- 特別なニーズのある人々に対する図書館サービス分科会の歴史的概観(HTML)
- 新分野の開拓:印刷物を読むことに障害がある人々のアクセスを拡大するバーチャルグローバルライブラリーサービス
- IFLA/LSN主催「P3会議」報告
- 2009年P3(People:人々 Publishers:出版社 Public Libraries:公共図書館 )会議決議
- 図書館における新たな視点-認知症の人のためのサービスガイドライン-
- 認知症の人のための図書館サービスガイドライン
- アクセシブルな図書館サービスを目指して -盲人図書館分科会報告-
- 視覚障害者図書館および情報サービス事業の資金調達および管理システム: 国際事例研究
- 患者・受刑者・障害者分科会(Libraries Serving Disadvantaged Persons. LSDP) -難読症会議と病院患者図書館ポスター会議-
- 「視覚障害者図書館」サービス分科会
- 障害者のための図書館へのアクセス-チェックリストの紹介
- ディスレクシアのための図書館サービスのガイドライン
- 読みやすい図書のためのIFLA(国際図書館連盟)指針
- 図書館は障害者に何ができるか? -IFLA(国際図書館連盟)年次大会(2006)に参加して-
更新日:2015年1月15日