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ジョブコーチ(job coach)

解説

ジョブコーチは、障害者が一般の職場で働くことを実現するため、障害者と企業の双方を支援する就労支援の専門職を指す言葉である。1986年に米国で”Supported Employment”として制度化され、日本には1980年代の終わり頃に紹介された。 ジョブコーチには、職場で障害者に仕事を教えることを主な役割とする狭義のものと、アセスメントからフォローアップに至る就労支援プロセス全体を担う広義の理解があるが、今日では広義のジョブコーチの重要性が認識されてきている。一般に、広義のジョブコーチが行う支援には以下の内容及びプロセスが含まれる。

①障害のある人のアセスメント、②職場開拓、③職場のアセスメント、④ジョブマッチングの調整、⑤仕事の支援、⑥ナチュラルサポートの形成、⑦フェイディング、⑧フォローアップ

今日わが国では、国及び地方自治体が、ジョブコーチの考え方と方法論を取り入れて、様々な就労支援事業を実施している。代表的なものが平成14年度に厚生労働省が開始した「職場適応援助者(ジョブコーチ)」事業であり、これに関連して平成17年10月に、「職場適応援助者助成金」が創設され今日に至っている。この制度の下では、①障害者職業センターに所属するジョブコーチ、②民間社会福祉法人等に所属するジョブコーチ(第1号職場適応援助者)、③障害者を雇用する企業に所属するジョブコーチ(第2号職場適応援助者)、という3種類のジョブコーチがあるが、②及び③が助成金制度となったことにより、身近な地域において就労支援機能を果たす社会福祉法人等がジョブコーチ支援を行うこと、障害者を雇用する企業がジョブコーチを自ら配置し企業内で必要な援助を行うこと、が期待されている。

現在、この制度の下で稼働するジョブコーチの養成は、高齢・障害者雇用支援機構が行う研修の他、厚生労働大臣が指定する特定非営利活動法人等の外部機関が実施する研修によって行われている。 日本障害者リハビリテーション協会では、平成18年度に社会福祉法人日本点字図書館の委託を受けて、池田輝子基金障害者ジョブコーチ支援事業を行い、一般就労をしている自閉症者を対象に職業遂行上の問題点や課題について調査し、就労事例集を作成した。