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お知らせ 第3回アジア太平洋CBR会議の見どころを紹介します②

1 主な会議の内容

 来る9月1日から3日まで開催する第3回アジア太平洋CBR会議では、5つの全体会と13の分科会を予定しています。3日間それぞれに、ポスト2015の国連の新たな開発課題を念頭においてサブトピックを設定し、国際的な動きとコミュニティでの活動の両方を考えていただけるよう企画しています。  1日目のサブトピックは、貧困削減とインクルーシブネス、2日目は強靱なコミュニティ、3日目は持続可能な協調です。これらは2016年以降の国連の開発目標(SDGs)達成の柱でもあり、コミュニティの視点からみても重要な課題です。国際的な動きと合わせ途上国でも先進国でも地域の課題には共通点があることを認識していただけたらと願っています。  共通する地域課題とは、少子高齢化により公助への期待が持てなくなること、地球環境の問題はまずは地域から実現できること、そして若者の雇用などです。障害のある人とその家族もこのような地域課題に当然飲み込まれた存在であることを、今回の会議をとおして考える機会としたいと思います。  3日間のプログラムは図1のとおりです。分科会での主な発表者と概要は図2に紹介します。  現在、続々とペーパーが集まり、日本語訳の作業も進んでいます。当日のCBR会議参加者には抄録集をUSBで配布し、後日、ホームページでも紹介する予定です。

2 講演者からのメッセージ

 第3回アジア太平洋CBR会議に期待することについて、お二人の講演者からメッセージを送っていただきました。一人は、バングラデシュの開発における障害センター(CDD)理事長のノーマン・カーンさん。2日目の全体会の発表者です。  「第3回アジア太平洋CBR会議では、アジア太平洋地域のCBRの政策決定者と実践者および幅広い関係当事者が集まる場が提供されることを期待する。CBIDのさまざまな実践を学べる機会である。CBRガイドラインの5つのコンポーネントだけではなく、補足に書かれてある精神障害、ハンセン病、災害と紛争などを含めてである。発表以外にも交流の機会があることを期待したい。この会議で得たことは国と地域、およびアジア太平洋地域で政策課題に効果的な影響をもたらすことを期待する」  二人目は、WHO西太平洋地域事務所(WHO WPRO)障害とリハビリテーション部門のポーリン・クライニッツさんです。3日目の全体会の発表予定者です。 「CBR会議は人々が集まって学びあうすばらしい機会である。多くの国から幅広い人たちが集まり、経験を共有し、自国へ持ち返る新しいアイデアを見出そうとするであろう。確かに言えることは、CBRは場所により違って見えるということ。CBRは柔軟で、参加型であり、コミュニティアプローチのため、コミュニティの強みやニーズによって異なる姿を見せる。新しいアプローチや教訓から学べることと古い友人たちに会えることを楽しみにしている」  お二人のメッセージは、多くの参加者の期待と共通することと思います。それに応えられるよう関係者一同、万全な準備でお迎えしたいと考えています。

図1

【9月1日】

開会式

全体会1 基調講演「貧困削減とインクルーシブネス」

分科会1-1 障害と高齢化社会

分科会1-2 障害インクルーシブビジネス 

分科会1-3 障壁のない環境

【9月2日】

全体会2 強靱なコミュニティ

全体会3 アジア太平洋のCBIDの事例発表 リソースパースンはマヤ・トーマス氏、発表者はフィリピン、カンボジア、インド、ネパール、日本(草の根ささえあいプロジェクト)の5人

分科会2-1 多様な障害

分科会2-2 ジェンダーとインクルーシブネス

分科会2-3 支援機器

分科会3-1 地域資源の動員

分科会3-2 都市化と貧困

分科会3-3 災害リスク削減とつながり

分科会4-1 コミュニティにおける自助グループと障害当事者団体

分科会4-1-1 分科会4-1を継続

分科会4-2 早期発見・早期療育

分科会4-3 官民連携

【9月3日】

全体会4 持続可能な協調

全体会5 持続可能な協調

閉会式

図2

【1-3 障壁のない環境】

上野俊行氏(日本)

概要:ベトナムにおけるインクルージョン。ベトナムにおける公共交通機関のバリアフリー化の視点で、ベトナムにおけるインクルージョンについて調査結果を踏まえて発表する。市民社会はバリアフリー化に対してどのような影響力を有するのかを論じる。

【3-1 地域資源の動員】

Jung Pyu Hong氏(韓国)

概要:全国に254のヘルスセンター、200のコミュニティ・リハビリテーションセンターが、CBRプログラムの実施を担っている。両機関は障害のある人へのサービスやサービスプログラムのすべてを行う特徴を持つ。コミュニティ・リハビリテーションセンターは、地域に根ざした、障害者の権利へのパラダイムシフトを行う基点となる。Gwancheon市(果川市)は人口70,000人、そのうち障害者人口は2,154人。同市にあるコミュニティ・リハビリテーションセンターは、官民のパートナーシップにより地域資源の動員を行なっている。

【3-2 都市化と貧困】

Sanga Dorji氏(ブータン)

概要:ブータンは国民総幸福の国として知られているが、Dorji氏は障害者のインクルージョンの視点で国内を見る。山国という地形の暮らしへの影響もあるなかで、1997年にCBRが導入され、保健ワーカーが障害の概念を伝えてきたが、障害者への影響は少なかったという。障害者のエンパワメントでは、3つの障害団体が設立された。障害者への職業訓練を行う団体、障害のある子どもへのリハビリテーションを行う団体、そして障害者当事者によってつくられた団体である。

【4-1 コミュニティにおける自助グループと障害当事者団体】

Mukhabbat Rakhimova氏(ウズベキスタン)

概要:“Istiqbol”という自助グループは、2009年に設立された民間のグループで、JICAとのパートナーシップの成果で誕生した。Rakhimova氏は2012年から代表を務めている。活動は研修の実施やピアカウンセリング、理学療法を行なっている。CBRガイドラインがウズベク語に翻訳されたことを捉えて、同ガイドラインの使用により、エンパワメントのコンポーネントすべてに関するプロジェクトと立ち上げる予定である。

(上野悦子 日本障害者リハビリテーション協会国際課)


出典:
上野悦子.お知らせ 第3回アジア太平洋CBR会議の見どころを紹介します②.ノーマライゼーション.Vol.35, No.8, 2015.8, p.60-61.
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n409/index.html