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CBRガイドライン・導入

導入

障害

概念の発展

現在障害がどのように見られているかを理解するには、障害の概念が時間の経過とともにどのように発展してきたかを見ることが役立つであろう。歴史的には、障害は広く神話や宗教的な観点から理解されてきた。障害のある人々は悪魔や霊に取りつかれていると考えられ、障害も過去の悪行に対する罰とみなされることが多かった。このような見方は、多くの伝統的社会において現在も存在している。

19世紀から20世紀には科学と医療が発展し、障害(disability)には生物学的あるいは医学的な原因があり、さまざまな健康状態と関連した身体機能あるいは身体構造の機能障害(impairment)を伴うと理解されるようになった。このような医学モデルでは、障害を個人の問題とみなし、主に専門家による治療と医療ケアの提供に焦点を絞っている。

その後、1960年代から1970年代になると、障害を個人的・医学的なものとして見ることに異議が唱えられ、障害の社会モデルなどのさまざまな社会的アプローチが開発された。これらのアプローチは、障害の医学的局面に対する関心から離れ、代わりに、障害のある人々が直面する社会的障壁と差別に焦点を絞ったものである。障害は個人的な問題ではなく、社会的な問題として再定義され、単に医学的治療だけではなく、障壁の撤廃と社会変革を中心とした解決策が重視されるようになった。

このような障害の理解における変化の中心となったのは、障害のある人々自身による運動である。この運動は、北米とヨーロッパで1960年代後半に始まり、以後、世界各地に広がっていった。「私たち抜きで私たちのことを決めないで」という有名なスローガンは、この運動が与えた影響の大きさを象徴するものである。障害当事者団体は、障害のある人々のために、障害者自身による、そして障害のある人々とともに実現する、完全参加と機会均等化の達成に焦点を絞っている。これらの団体は、障害の人権モデルへの移行を促進する障害者権利条約の策定において、重要な役割を果たした。

BOX1 イラン

連携促進によるエンパワメント

1992年、イラン政府は地域に根ざしたリハビリテーション(CBR:Community-based Rehabilitation)プログラムを2地域で試験的に実施した。このプログラムは成功し、1994年には規模が拡大され、さらに6州の6地域が対象となり、2006年には30州すべてに拡大された。社会福祉省管轄下の社会福祉協会(Social Welfare Organization)が全国のCBRプログラムの運営を担当しており、コミュニティワーカーやCBR中堅スタッフ、医師、CBR専門家およびCBRマネージャーら6,000名を超える職員が、CBR活動の実施に携わっている。

国家CBRプログラムの使命は、「外見、肌の色、信条、宗教、性別、年齢、障害の種類や原因にかかわらず、意識向上、インクルージョンの促進、貧困削減、スティグマの撤廃、基本的なニーズへの対応、ならびに保健、教育および生計の機会へのアクセスの促進により、障害のある人々とその家族および地域社会のエンパワメントをはかること」である。

プログラムの地方分権化は地域社会レベルまで進んでおり、大部分のCBR活動は「CBRタウンセンター」で実施されている。CBRタウンセンターは、農村地域の「ビレッジヘルスハウス」や都市部の「ヘルスポスト」などのプライマリーヘルスケア施設と密接に連携しながら活動している。これらの施設の保健ワーカーは、1、2週間のトレーニングを受講する。トレーニングでは、CBRの戦略や国家プログラムに関するオリエンテーションを実施し、保健ワーカーが障害のある人々を特定し、もっとも近いCBRセンターに紹介できるようにする。

CBRプログラムの主な活動は以下のとおりである。

  • 世界保健機関(WHO:World Health Organization)のCBRトレーニングマニュアルを使用した、家族と地域社会の人々を対象とした障害とCBRに関するトレーニングの実施。
  • 教育スタッフおよび生徒の能力開発と、物理的なアクセスの改善による、教育支援とインクルーシブ教育の促進。
  • 障害のある人々に対する理学療法士、言語療法士、作業療法士の利用が可能な外科的サービスおよびリハビリテーションサービスなどの専門家によるサービスの紹介。
  • 杖、クラッチ、車椅子、補聴器、眼鏡などの支援機器の提供。
  • 所得創出活動のための研修、ジョブコーチおよび財政支援へのアクセスの提供による雇用の機会の創出。
  • スポーツおよびレクリエーションを含む社会活動にかかわる支援の提供。
  • 生活、教育および住宅改築のための財政支援の提供。

1992年以来、229,000人以上の障害のある人々が、国家のCBRプログラムの支援を受けて来た。現在、農村地域全体の51パーセントでプログラムが実施されているが、2011年までにすべての農村で実施することを目標としている。開発部門全体の連携を強化し、イラン国内でのCBRの進展を確かなものにするために、CBR協議会が結成された。

現在の定義

前述のように、さまざまな観点に立った多種多様な障害の定義が存在する。最新の定義は以下に由来している。

  • 国際生活機能分類(ICF:International Classification of Functioning, Disability and Health)には、障害は「機能障害、活動制限、参加制約の包括用語」(2)で、ある健康状態の個人と環境因子(例:物理的環境、態度)および個人因子(例:年齢や性別)との相互作用の結果生じると記されている。
  • 障害者権利条約には、障害は形成途上にある概念で、「機能障害のある人と態度及び環境に関する障壁との相互作用であって、機能障害のある人が他の者と平等に、社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものから生ずる」(1)と記されている。

人々の障害体験は極めて多様である。機能障害は多種多様であり、人々はさまざまな形でその影響を受ける。機能障害を1つだけ抱えている人もいれば、多数の機能障害を抱えている人もいる。先天的に機能障害のある人もいれば、後天的に機能障害を抱えるようになった人もいる。脳性麻痺などの先天的な症状を伴って生まれた子どもや、地雷で脚を失った若い兵士、糖尿病で視力を失った中年女性、認知症の高齢者などはすべて、障害のある人々といえる。障害者権利条約では、障害のある人々を、「…長期の身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害のある人」(1)としている。

世界的傾向

世界的に見て、障害のもっとも一般的な原因として、慢性疾患(例:糖尿病、心臓病および癌)、傷害(例:交通事故、紛争、転落および地雷などが原因)、精神保健上の問題、出生異常、栄養不良、HIV/エイズ、その他の伝染性疾患(3)が挙げられる。世界各地で障害を抱えて暮らしている人々の正確な人数を推定することは非常に難しいが、人口増加、慢性健康障害の増加、高齢化、長寿をもたらす医学の進歩などの要因により、その数は増加している(3)。多くの低・中所得国では、栄養不良や感染症などの従来の問題と、慢性疾患などの新たな問題という二重の重荷に直面している。

BOX2

障害のある人々に関する国際統計

  • 世界の人口の約10パーセントが障害を抱えている(4)
  • 障害のある人々は、世界最大の少数派である(5)
  • 障害のある人々の80パーセントが開発途上国に住んでいると推定される(5)
  • 世界でもっとも貧しい人々のうち、15-20パーセントが障害を抱えていると推定される(6)
  • 62カ国において、障害のある人々を対象としたリハビリテーションサービスがまったく利用できない(7)
  • 開発途上国では、障害のある人々のうち、支援機器を利用できるのは5-15パーセントにすぎない(8)
  • 障害のある子どもたちの就学の可能性は、他の子どもたちに比べてはるかに低い。マラウィとタンザニアでは、まったく学校へ通ったことがない子どもは、障害のある子どもの場合、障害のない子どもの2倍に上ると見込まれている(9)
  • 障害のある人々は失業する可能性が高く、障害のない人々に比べて所得が低い傾向がある(10)

開発

貧困と障害

貧困には多くの側面がある。それは単なる資金や所得の不足にとどまらない。「貧困は、健康の権利、適切な住居、十分な食物と安全な水、教育を受ける権利などの経済的・社会的権利を損ない、あるいは無効にする。同じことが、公正な裁判を受ける権利、政治参加および個人の安全の権利などの市民的・政治的権利についてもいえる」(11)

「どこにおいても、貧困生活から1つの魂を救いあげるとき、我々は人権を保護しているのである。そしてこの任務に失敗するとき、我々は常に人権を損なっているのである」

-コフィ・アナン(Kofi Annan)元国連事務総長

貧困は障害の原因であり、結果でもある(12)。貧しい人々は障害を負う可能性が高く、障害のある人々は貧しくなる可能性が高い。障害のある人々が皆貧しいわけではないが、低所得国では、障害のある人々がもっとも貧しい人々の大部分を占めている。多くの場合、このような人々は顧みられることなく、差別され、主流の開発イニシアティブから疎外されている。そして、保健、教育、住居、および生計の機会にアクセスすることに困難を感じている。これは、貧困の深刻化や慢性的な貧困、孤立、さらには早死につながる。治療、身体的リハビリテーションおよび支援機器の費用も、多くの障害のある人々に貧困の悪循環をもたらす。

障害への取り組みは、どの国においても、貧困の危機を削減するための具体的な措置である。同時に、貧困への取り組みは障害を削減する。障害のある人々の生活の質向上のため、貧困は僕滅されなければならない。そこで、保健、教育、および生計の機会を、障害のある人々にとってアクセス可能にすることによる貧困削減を、CBRプログラムすべてにおいて、主な目的の1つとしなければならない。

BOX3

命拾いをしたセラム

セラムは8歳のときから頭痛を訴えていた。家族はなすすべを知らず、聖水をもらうためにセラムを数回教会に行かせた。だが聖水の効果はなく、セラムは徐々に視力を失い始めた。ある日、セラムは眼科がある地域保健センターに行った。センターの人々は、セラムの症状は難しすぎると考え、首都の病院を紹介した。病院は手術を待つ人のリストにセラムを加えた。1年以上が過ぎたが、セラムの順番は来なかった。貧しいために、家族が私立の病院に手術を受けに連れて行くことができなかったのである。リストに登録した当初は、セラムにはまだ少し視力があったが、時間が経つにつれてほとんど見えなくなってしまった。障害と貧困のためにセラムは学校を続けられなくなり、どんどん気持ちが沈んでいった。セラムは孤立し、家に閉じこもって友達と会うこともなくなってしまった。そしてどうしたらいいのかわからなかった家族にとって、セラムは重荷となってしまった。頭痛は悪化し、嘔吐が始まり、バランス感覚が失われ、彼女の状態は死に近づいていった。

CBR職員は、セラムが神経外科専門医の診察を受けられるよう手配することができた。医師はセラムに良性腫瘍(髄膜腫)があることを発見した。セラムは手術を受け、腫瘍は取り除かれた。手術費の75パーセントを医師たちが設立した社会基金と病院側が負担し、残りの25パーセントをCBRプログラムが負担して、家族は交通費、食費および滞在費を支払った。現在セラムには問題はないが、貧困とシステム上の問題、そして介入の遅れが原因で、ほとんど目が見えない。しかしCBR職員による移動訓練の結果、セラムは現在ではかなり自立し、地域内を自由に移動している。また、復学できるように点字も学んでいる。

CBRの介入により、セラムの生活の質は劇的に変化し、もはや家族の重荷ではない。これはすべて、セラムとその家族の協力、照会センターとの連携と、専門家および病院側の支援により可能となった。

ミレニアム開発目標

2000年9月、国連加盟国は8つのミレニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)を採択した。MDGsは、極度の貧困と飢餓の撲滅から、普遍的な初等教育にいたるまで広範囲にわたり、すべて2015年までの達成を目指している(13)。これらの国際的に合意された開発目標は、新世紀の始まりにあたり、開発のために設けられたベンチマークを代表するものである。MDGsは障害について明記していないが、各目標は基本的に障害にかかわるものであり、障害問題を考慮することなく完全に達成することはできない(14)。このため2009年11月、第64回国連総会において、「障害のある人々のためのミレニアム開発目標の実現」に関する決議(A/RES/64/131)(15)が採択された。

BOX4

世界銀行による、障害のある人々のインクルージョン

「障害のある人々が開発の主流に組み込まれることなくしては、2015年までに貧困を半減すること、あるいは同日までに、すべての少年少女に初等教育を受ける機会を提供することは不可能となるであろう。―(この目標は、)世界の指導者180名以上が、2000年9月の国連ミレニアムサミットにおいて合意した目標の一部である」-ジェームズ・ウォルフェンソン(James Wolfensohn)前世界銀行総裁

2002年12月3日 ワシントンポスト紙

障害を組み入れた開発

インクルーシブな開発とは、すべての人々、特に社会から取り残され、しばしば差別されてきた人々を含めた開発である(16)。障害のある人々とその家族、特に農村地域や遠隔地域、あるいは都市部のスラムに住む人々は、開発イニシアティブの恩恵を得られないことが多いので、開発プロセスと開発政策へのこのような人々の有意義な参加を確保するために、障害を組み入れた開発が不可欠となる(17)

障害のある人々の権利を開発課題の主流に組み込む(あるいはこれに含める)ことは、その平等を達成する一手段である(18)。障害のある人々が、機会の創造に貢献し、開発の恩恵を共有し、意思決定に参加できるようにするには、2本立てのアプローチが必要となるであろう。2本立てのアプローチは、(i)障害問題が主流の開発活動において積極的に検討され、(ii)障害のある人々に焦点を絞り、対象を絞った活動が、適宜実施されることを確保する(12)。本ガイドラインで詳しく述べられているCBRプログラムの活動案は、このアプローチに基づいている。

地域に根ざした開発のアプローチ

開発イニシアティブは多くの場合トップダウン方式であり、地域社会レベルからはるかにかけ離れた所にいる政策決定者が策定し、地域社会が参加することなく設計されてきた。現在、開発に不可欠な要素の1つは、企画、実施およびモニタリングを含む開発プロセスの全段階における、個人、グループまたは組織、あるいは代表者などのコミュニティの参加であると認められている(19)。地域に根ざしたアプローチでは、貧しい人々や社会から取り残されている人々に開発が行き届き、一層インクルーシブで現実的な、かつ持続可能なイニシアティブを促進できるようにする。多くの機関や組織では、開発への地域ベースのアプローチを進めている。世界銀行はコミュニティ主導型開発(CDD:Community Driven Development)(20)を、世界保健機構は地域に根ざしたイニシアティブ(CBI:Community-based Initiatives)(21)を促進している。

人権

人権とは?

人権は、すべての人間に適用される、国際的な合意を得た基準である(22)。誰もが、国籍、居所、性別、出身国あるいは人種、肌の色、宗教、その他の立場に関係なく、教育を受ける権利や十分な食事、住宅および社会保障の権利などの人権を平等に認められる(23)。これらの権利は、1948年に国連のすべての加盟国によって採択された世界人権宣言(24)をはじめ、障害のある人々などの特定のグループ・カテゴリーの人々に焦点を絞った他の国際人権条約でもはっきりと述べられている(22)

国連障害者権利条約

2006年12月13日、国連総会は障害者権利条約(1)を採択した。障害者権利条約は、長年に渡る障害のある人々のための行動の成果であり、障害者の機会均等化に関する基準規則(1993年)(25)と障害者に関する世界行動計画(1982年)(26)を踏まえた、既存の人権の枠組みを補足するものである。この条約は、政府、国内人権機関、非政府団体および障害者団体の代表からなる委員会によって策定された。その目的は、「全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進すること」である((1)〔第1条〕)。

BOX5

新時代を迎えた障害のある人々の権利

「国連障害者権利条約は、障害を抱えて生きる世界中の約6億5千万の人々にとって、新時代の幕開けとなる」

-コフィ・アナン(Kofi Annan)元国連事務総長-

障害者権利条約は、アクセシビリティ、個人の移動、教育、健康、リハビリテーションおよび雇用など、多数の重要な分野を網羅しており、障害のある人々の権利の実現を確保するために締約国が講じなければならない措置を概説している。この条約は、障害のある人々の新たな権利を創出するものではない。障害のある人々も、地域社会内の他のすべての人々と同じ人権をもっているからだ。条約はむしろ、既存の権利を障害のある人々にとってインクルーシブかつアクセシブルなものとするのである。

開発への人権に基づくアプローチ

人権と開発は密接に関連している。人権は開発の基礎であり、開発はこれらの人権を実現する手段である(27)。このため一般に多くの機関や組織は、開発プログラムにおいて、人権に基づくアプローチを採用している。開発への人権に基づくアプローチには普遍的な方法はないが、国連はその重要な特徴を多数、明らかにしてきた(28)

  • 人権の実現-開発プログラムおよび開発政策の主な目的は、人権の実現でなければならない。
  • 一定の原則と基準の順守-すべての開発協力およびあらゆる分野(例:保健と教育)におけるプログラムの策定、また、すべてのプログラム策定過程の各局面(例:状況分析、企画立案、実施とモニタリング、評価)において、国際人権条約の原則と基準を指針としなければならない(障害者権利条約の一般原則についてはBOX6参照)。
  • 権利所有者および義務履行者について-権利所有者とは、権利をもっている人々である。例えば、子どもたちは教育を受ける権利をもっている点で権利所有者である。義務履行者とは、権利所有者が確実にその権利を享受できるよう責任を負う人々または組織である。例えば、教育省は子どもが教育を受けられるようにしなければならない点で義務履行者であり、親は子どもの就学を支援しなければならない点で義務履行者である。

地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)

初期

1978年のアルマ・アタ宣言(29)は、「すべての人に健康を(Health for All)」(30)というWHOの目標達成のための主戦略としてプライマリーヘルスケアを推奨する、初の国際宣言であった。プライマリーヘルスケアは、貧富の差にかかわらず、最高水準の健康を実現するために必要なサービスや条件へ、すべての人がアクセスできるようにすることを目標としている。

アルマ・アタ宣言に続き、WHOはCBRを導入した。当初CBRは、プライマリーヘルスケアと地域社会のリソースとを最大限活用したサービス提供策として開始され、プライマリーヘルスケアとリハビリテーションサービスを、特に低所得国の障害のある人々にとって身近なものとすることを目的としていた。多くの国々(イラン、モンゴル、南アフリカ、ベトナムなど)の保健省が、プライマリーヘルスケア職員によるCBRプログラムを開始した。初期のプログラムは、主に理学療法、福祉機器の提供および医学的・外科的介入が中心であったが、技能訓練や所得創出プログラムによる教育活動や生計の機会を取り入れたものもあった。

1989年にWHOは、CBRプログラムと、障害のある人々、家族、教師、地域の監督者、およびコミュニティリハビリテーション委員などの関係者に指針と支援を提供するため、Training in the community for people with disabilities (31)というマニュアルを出版した。このマニュアルは50を超える言語に翻訳され、現在も重要なCBR文書として低所得国で使用されている。さらに、Disabled village children: a guide for community health workers, rehabilitation workers and familiesも、特に低所得国におけるCBRプログラムの開発に重大な貢献を果たした(32)

1990年代には、CBRプログラムの増加とともに、CBRの考え方に変化が見られた。国際労働機関(ILO:International Labour Organization)、国連教育科学文化機関(UNESCO:United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)、国連開発計画(UNDP:United Nations Development Programme)および国連児童基金(UNICEF:United Nations Children’s Fund)など、他の国連機関の参加を受けて、多部門的アプローチの必要性が認識されるようになったのである。1994年には、初のCBRジョイントポジションペーパーがILO、UNESCOおよびWHOにより出版された。

CBRの25年間を振りかえる

2003年5月、WHOは他の国連機関、各国政府、専門機関および障害当事者団体などの国際非政府団体と共同で、フィンランドのヘルシンキでCBR再考のための国際会議を開催した(33)。会議の報告書では、CBRプログラムで焦点を絞るべき以下の点が強調された。

  • 貧困は障害の重要な決定因子かつ結果であることを考慮し、貧困の削減。
  • コミュニティの参加と当事者意識の促進。
  • 多部門による連携とその強化。
  • プログラムへの障害当事者団体の参加。
  • プログラムの規模の拡大。
  • 根拠に基づく実践の促進。

CBRジョイントポジションペーパー

2004年、ILO、UNESCOおよびWHOは、最初のCBRジョイントポジションペーパーを、ヘルシンキ勧告に合わせて改訂した。改訂版は、サービス提供から地域社会開発へと発展したCBRのアプローチの進化を反映している。そしてCBRを「すべての障害のある人々のリハビリテーション、貧困削減、機会均等化および社会的インクルージョンのための総合的な地域社会開発戦略の1つ」と再定義し、「障害のある人々自身とその家族、組織および地域社会、関連のある政府・非政府系の保健・教育・職業訓練・社会福祉およびその他のサービスとが一体となった取り組みにより」CBRプログラムの実施を促進するとしている(34)

ジョイントポジションペーパーでは、地域保健サービス、子どもの健康、社会福祉および教育プログラムなど、地域社会で利用可能なすべてのサービスを、障害のある人々が利用できるようにしなければならないと認めている。また、人権を重視し、貧困問題に対する取り組みと政府による支援、国内政策の開発を呼びかけている。

現在のCBR

CBRマトリックス

CBRをさらに広範な多部門的開発戦略へと発展させていくために、2004年にCBRプログラムの共通の枠組みを提供するマトリックスが開発された(図1)。このマトリックスは、保健、教育、生計、社会およびエンパワメントという5つの重要な領域(コンポーネント)から構成されている。各領域内には5つの要素(エレメント)がある。最初の4領域は重要な開発部門に関連しており、CBRが多くの部門に着目していることを反映している。5つ目の領域は、障害のある人々とその家族、そしてコミュニティのエンパワメントにかかわるもので、これは、障害のある人々による各開発部門へのアクセスの確保とその生活の質の向上、そして人権のさらなる享受に不可欠である。

CBRプログラムでは、CBRマトリックスのすべての領域と要素を網羅することは期待されていない。むしろこのマトリックスは、CBRプログラムにおいて、地域のニーズ、優先順位およびリソースにもっともよく対応した選択ができるよう設計されている。障害のある人々とその家族が、CBRプログラムの対象となっていない他の部門からも利益を得られるようにするには、障害のある人々を対象とした特別な活動の実施に加え、他部門との連携も必要となるだろう。運営に関する章では、CBRマトリックスに関するさらに詳しい情報を提供する。

図1:CBRマトリックス
図1:CBRマトリックス図1の内容

CBRの原則

CBRの原則は、以下の障害者権利条約の原則(1)に基づいている。さらに、当事者活動(エンパワメントコンポーネント参照)と持続可能性(「導入:運営」参照)の2つの原則が提案されている。これらの原則は、CBR活動のすべての局面で指針として使用されなければならない。

BOX6

障害者権利条約第3条:一般原則(1)

この条約の原則は、次のとおりとする。

(ア) 固有の尊厳、個人の自律(自ら選択する自由を含む。)及び個人の自立の尊重。

(イ) 無差別。

(ウ) 社会への完全かつ効果的な参加、及び包容。

(エ) 差異の尊重並びに人間の多様性の一部及び人類の一員としての障害者の受入れ。

(オ) 機会の均等。

(カ) 施設及びサービスなどの利用の容易さ。

(キ) 男女の平等。

(ク) 障害のある児童の発達しつつある能力の尊重及び障害のある児童がその同一性を保持する権利の尊重。

将来に向けて

CBRガイドラインは、CBRが障害者権利条約(1)実施の実践的な戦略であることを実証し、地域に根ざしたインクルーシブな開発を支援するため、CBRプログラムに関する今後の方策を示している。

CBRは、障害者権利条約がコミュニティレベルで確実に効果を上げられるようにする、多部門的なボトムアップ方式の戦略である。障害者権利条約が哲学と政策を提供する一方で、CBRは実施のための実践的な戦略となる。CBRの活動は、障害のある人々の基本的なニーズを満たし、貧困を削減し、保健・教育・生計および社会的機会へのアクセスを可能にするよう設計されており、それはすべて障害者権利条約の目的を果たすものである。

CBRプログラムは、障害のある人々と開発イニシアティブとを結びつける。CBRガイドラインはインクルーシブにしなくてはならない開発部門を取り上げている。それにより障害のある人々とその家族のインクルーシブな社会、すなわち「すべての人の社会」の実現に貢献するようになる。地域社会の参加は開発に不可欠な要素であるため、ガイドラインはCBRプログラムが地域社会の参加を進める必要性を大いに強調している。

BOX7

CBRプログラムの効果

CBRは、以下の方法により、障害のある人々が地域レベルで確実に障害者権利条約の恩恵を受けられるよう支援することができる。

  • 障害者権利条約の周知-条約について積極的に宣伝し、人々がその意義を理解するようにする。
  • 関係者との連携-障害当事者団体などの非政府団体および地方自治体と協力し、条約を実施。
  • 権利擁護活動-保健・教育・雇用などの部門にかかわる非差別法、インクルーシブな国内政策および地域政策の開発あるいは強化を目的とした権利擁護活動に取り組む。
  • 地方レベルと国レベルの連携-地域レベルおよび国レベルの対話の促進と支援。地域レベルおよび国レベルで重要な役割を果たせるよう地域団体または障害当事者団体を強化する。
  • 地域行動計画の策定とモニタリングの支援-障害問題を地域の公共政策に組み込み、部門間の連携を実現するための具体的な行動と必要なリソースを定めた地域行動計画の開発に貢献。
  • プログラム活動-保健、教育、生計および社会福祉関連サービスを、農村地域で貧しい暮らしをしている人々を含む、障害のある人々すべてにとってアクセシブルにするための活動の実施。

研究と証拠

本ガイドラインに反映されているように、CBRは障害のある人々とその家族を開発イニシアティブに含めるための多部門的戦略である。これは研究者に難題をもたらし、結果的にCBRの効率性と効果に関して、限られた根拠しか得られていない。しかし、正式な調査研究、障害やCBRに関する多様な経験、CBRプログラムの評価、そして国際開発分野における同様なアプローチから得られたベストプラクティスを利用して、長い時間をかけて徐々に証拠が蓄積されてきた。

近年、低所得国に関するCBRの研究が、質・量ともに劇的に増加した(35)。個人の研究ではなく、CBRの研究に関して発表された評論やその他の文献から、以下の点に特に注目することができる。

  • CBRタイプのプログラムは効果的であるとされ(36)(37)、また大いに効果的である(38)ともみなされ た。その成果としては、自立の促進、移動性の向上、障害のある人々のコミュニケーションスキルの向上が挙げられる。また、CBRの費用効果性を示す事例もある(36)(37)(38)
  • 高所得国の脳損傷リハビリテーションで見られる地域に根ざしたアプローチに関する研究の系統的な調査では、そのようなアプローチが、少なくとも従来のアプローチと同程度に効果的であるか、あるいはより効果的であり、心理社会的成果も大きく、障害のある人々とその家族による受容度も高いとしている(40)(41)(42)(43)
  • CBR関連の生計への介入は、障害のある人々とその家族に所得の増加をもたらし(39)、自尊心の向上と社会的インクルージョンの拡大にもつながった(44)
  • 教育の現場では、CBRは障害のある子どもと成人の適応と統合を支援するものと認められた(38)(39)(36)
  • CBRアプローチは、サービス提供にかかわるコミュニティワーカーのトレーニングを前向きに促進すると考えられてきた(38)
  • 高所得国における同様な研究からは、CBR活動は地域社会の態度に影響を与え、障害のある人々の社会的インクルージョンと適応を促進する肯定的な社会的成果を上げていることが明らかになった(38)(39)(36)

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