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障害者差別解消法社会保険労務士の業務を行う事業者向けガイドライン
~社会保険労務士の業務を行う事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針~

平成27年11月
厚生労働大臣決定

はじめに

 平成28年4月1日から「障害者差別解消法」が施行されます。
 この法律は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項や、国の行政機関、地方公共団体等及び民間事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置などについて定めることによって、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現につなげることを目的としています。
 この対応指針は、「障害者差別解消法」の規定に基づき、社会保険労務士の業務を行う事業者が障害者に対し不当な差別的取扱いをしないこと、また必要かつ合理的な配慮を行うために必要な考え方などを記載しています。
 日々の業務の参考にしていただき、障害者差別のない社会を目指しましょう。

目次

第1 趣旨

(1)障害者差別解消法制定の経緯

 近年、障害者の権利擁護に向けた取組が国際的に進展し、平成18年に国連において、障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し、並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進するための包括的かつ総合的な国際条約である障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)が採択されました。我が国は、平成19年に権利条約に署名し、以来、国内法の整備を始めとする取組を進めてきました。
 権利条約は第2条において、「「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。」と定義し、その禁止について、締約国にすべての適当な措置を求めています。
 我が国においては、平成16年の障害者基本法(昭和45年法律第84号)の改正において、障害者に対する差別の禁止が基本的理念として明示され、さらに、平成23年の同法改正の際には、権利条約の趣旨を踏まえ、同法第2条第2号において、社会的障壁について、「障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。」と定義されるとともに、基本原則として、同法第4条第1項に、「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」こと、また、同条第2項に、「社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない」ことが規定されました。
 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)は、障害者基本法の差別の禁止の基本原則を具体化するものであり、すべての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害者差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月に制定されました。我が国は、法の制定を含めた一連の障害者施策に係る取組の成果を踏まえ、平成26年1月に権利条約を締結しました。
 法は、平成28年4月1日から施行されることになっています。

(2)対象となる障害者

 対象となる障害者・障害児(以下「障害者」という。)は、障害者基本法第2条第1号に規定する障害者、すなわち、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」です。
 これは、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む。)のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるというモデル(いわゆる「社会モデル」)の考え方を踏まえているものです。
 したがって、法が対象とする障害者は、いわゆる障害者手帳の所持者に限りません。なお、高次脳機能障害は精神障害に含まれています。
 また、特に女性である障害者は、障害に加えて女性であることにより、さらに複合的に困難な状況に置かれている場合があること、障害児には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに留意する必要があります。

(3)障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針

 法第6条第1項の規定に基づき、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(平成27年2月24日閣議決定。以下「基本方針」という。)が策定されました。
 基本方針は、障害を理由とする差別の解消の推進は、雇用、教育、医療、公共交通等、障害者の自立と社会参加に関わるあらゆる分野に関連し、各府省の所掌に横断的にまたがる施策であるため、政府として、施策の総合的かつ一体的な推進を図るとともに、行政機関間や分野間における取組のばらつきを防ぐため、施策の基本的な方向等を示したものです。

(4)社会保険労務士の業務を行う事業者への対応指針

 法第11条第1項の規定に基づき、主務大臣は、基本方針に即して、事業者が法第8条に規定する事項に関し、適切に対応するために必要な指針(以下「対応指針」という。)を定めることとされています。
 本指針は、上に述べた法の目的を達成するため、特に社会保険労務士の業務を行う事業者の対応指針を定めたものです。
 本指針において定める措置については、「望まれます」と記載している内容等法的義務ではないものも含まれますが、法の目的を踏まえ、具体的場面や状況に応じて柔軟な対応を積極的に行うことが期待されるものです。

 本指針の対象となる事業者の範囲は、社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)第2条及び第2条の2に規定する社会保険労務士の業務を行う事業者です。

注)事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、法第13条により、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の定めるところによることとされており、同法に基づき別途定められた「障害者差別禁止指針(※1)」及び「合理的配慮指針(※2)」を参照してください。
   ※1 「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(平成27年厚生労働省告示第116号)
   ※2 「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成27年厚生労働省告示第117号)

第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方

(1)不当な差別的取扱い

①不当な差別的取扱いの基本的考え方

 法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、役務の提供を拒否する又は提供にあたって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付するなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止しています。
 なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではないことに留意する必要があります。
 したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たりません。
 不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務・事業について本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことです。

②正当な理由の判断の視点

 不当な差別的取扱いであるのかどうかの判断には、その取扱いを行う正当な理由の有無が重要となります。正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、役務の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合です。
 正当な理由に相当するか否かについて、事業者は、個別の事案ごとに、障害者、事業者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止など)の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要であり、事業者は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望まれます。
 なお、「客観的に判断する」とは、主観的な判断に委ねられるのではなく、その主張が客観的な事実によって裏付けられ、第三者の立場から見ても納得を得られるような「客観性」が必要とされるものです。
 また、「正当な理由」を根拠に、不当な差別的取扱いを禁止する法の趣旨が形骸化されるべきではなく、抽象的に事故の危惧がある、危険が想定されるといった理由により役務の提供を行わないといったことは適切ではあり ません。

(2)合理的配慮

①合理的配慮の基本的な考え方

<合理的配慮とは>

 権利条約第2条において、合理的配慮は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されています。
 法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、事業者に対し、その事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)を行うことを求めています。
 合理的配慮は、事業者の事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られ、障害者が障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであり、事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及びません。
 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について様々な要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じ、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされるものです。合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変遷することにも留意すべきです。

<意思の表明>

 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを、言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられます。
 また、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人からの意思の表明が困難な場合には、障害者からの意思の表明のみでなく、障害者の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含まれます。
 なお、意思の表明が困難な障害者が、家族等を伴っていないことなどにより、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白であるときには、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提供するために自主的に取り組むことが望まれます。

②正当な理由の判断の視点

 過重な負担については、事業者において、具体的な検討をせずに過重な負担の意味を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要であり、過重な負担に当たると判断した場合、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望まれます。

第3 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の例

(1)不当な差別的取扱いと考えられる例

 社会保険労務士の業務を行う事業者がその役務を提供するに際して、次のような取扱いをすることは「不当な差別的取扱い」となるおそれがあります。
 ここに記載する事例はあくまで例示であり、これに限られるものではありません。また、客観的にみて正当な理由が存在する場合(第2(1)②参照)は、不当な差別的取扱いに該当しない場合があることにご留意ください。

○役務の提供を拒否すること

  • 身体障害者補助犬の同伴を拒否すること、また、身体障害者補助犬の同伴を理由に役務の提供を拒否すること

○役務の内容を制限すること(場所・時間帯などの制限)

  • 正当な理由なく、対応を後回しにすること

○役務の提供に際し条件を付すこと(障害のない者には付さない条件を付すこと)

  • 家族や支援者・介助者の同伴を役務の提供の条件とすること

(2)合理的配慮と障害特性に応じた対応について

 事業者は、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合には、合理的配慮を提供することが求められています。合理的配慮を提供する際には、障害者の性別、年齢、状態等に十分に配慮することが必要です。また、障害者と接する際には、それぞれの障害特性に応じた対応が求められます。
 ここに記載する事例はあくまで例示であり、これに限られるものではありません。また、事業者に強制する性格のものではなく、ここに記載された事例であっても、事業者の事業規模等によっては過重な負担となる可能性があるため、事業者においては、法、基本方針及び本指針を踏まえ、具体的場面や状況に応じて柔軟に対応することが期待されます。

■障害特性に応じた具体的対応例

自分のタイミングで移動したい(視覚障害)

 全盲の視覚障害者Aさんは、労働相談のため社会保険労務士事務所を訪問する際、案内看板が見えず単独で行くことができませんでした。しかし、労働相談の予約を取る際に、事務所の入り口付近に職員を配置しておいてほしい旨伝えたところ、快く引き受けていただき、職員の方が事務所の外で待ってくれており、声をかけていただいたので、付き添いがいなくとも一人で通うことができました。

講演会等での配慮(聴覚障害)

 聴覚障害者(2級)のBさんは、ある社会保険労務士事務所が開催する講演会に参加することとなりました。Bさんは補聴器を付けていましたが、講演会の事務局に聴覚障害があるため配慮してほしいと事前に伝えたところ、当日は、手話通訳者や要約筆記者に対応してもらえるよう配慮していただきました。

建物の段差が障壁に(肢体不自由)

 車椅子を使用している身体障害者(1級)Cさんが、外出中、社会保険労務士事務所の建物に入ろうとすると大きな段差があり立ち往生してしまいました。事務所に協力をお願いしてみると、事務所のスタッフが段差を車椅子で乗り越える手伝いを申し出てくれました。介助のお陰で、無事に建物に入ることができました。

苦手なことに対しては、事前のサポート(発達障害①)

 発達障害のDさんは文字の読み書きが苦手であり、様々な手続きの際、書類の記入欄を間違えたり、誤字を書いてしまったりして、何回も書き直さなければなりませんでした。そこで、Dさんの相談を受けている社会保険労務士事務所の職員が、「記入欄に鉛筆で丸をつけたり付箋を貼って示す」「書類のモデルを作成して示す」などを試してくれ、Dさんは書類作成を失敗する回数が少なくなりました。

相談対応での配慮(発達障害②)

 発達障害のEさんは吃音症で、会話の際に単語の一部を何度も繰り返したり、つかえてすぐに返事ができないことがあります。本来は電話をかけることは苦手なのですが、職場の悩みについてどうしても相談することが必要になったので、社会保険労務士事務所に電話をかけました。
 その際、相談を受けた社会保険労務士事務所の職員は、Eさんの吃音症に気づき、時間がかかっても話を急がせることなく、不快感を示すこともなく、話す内容を丁寧に聞いてくれました。
 そして、Eさんは、いろいろな場面で時に言われることのある「性格に問題がある」「それでは仕事にならない」という誤解や無理解からくる言葉をかけられなかったので、安心して相談をすることができました。

第4 事業者における相談体制の整備

 障害者差別の解消を効果的に推進するには、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に応じることが必要です。そのためには、法で定められた国や地方公共団体における相談及び紛争の防止等のための体制整備のみならず、障害者に役務の提供を行う事業者において、直接、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に応じるための体制の整備や職員の研修・啓発を行うことが重要です。
 社会保険労務士の業務を行う事業者においても、より充実した相談体制の整備(対面のほか、電話・ファックス・電子メール等多様な相談方法を用意しておくこと)や相談窓口の分かりやすい周知をはじめ、日頃から、障害に関する理解や人権意識の向上・障害者の権利擁護に向けた職員の研修に積極的に取り組むことが重要です。
 なお、実際の相談事例や対応については、相談者のプライバシーに配慮しつつ順次蓄積し、その後の合理的配慮の提供等に活かしていくことが望まれます。

第5 事業者における研修・啓発

 障害者差別は、障害に関する知識・理解の不足、意識の偏りなどにより引き起こされることが大きいと考えられることから、障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重する共生社会を目指すことの意義を職員が理解することが重要です。
 また、こうした理念が真に理解されることが、障害者差別や、障害者が時に感じる大人の障害者に対する子ども扱い、障害者に対する命令的、威圧的、強制的な発言などの解消にもつながるものと考えられます。
 このため、事業者においては、研修等を通じて、法の趣旨の普及を図るとともに、事業所の地域の取組のなかで近隣住民への理解を促していくことが重要です。
 なお、障害者差別の理解には、障害者虐待防止に関する理解も極めて重要になってくることから、併せて研修を行うことが望まれます。

第6 国の行政機関における相談窓口

 法第14条において、「国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする」と規定されています。
 相談に際しては、地域の自治体の様々な相談窓口(福祉事務所、児童相談所など)や各都道府県において組織される障害者差別解消地域協議会などもご活用ください。
 なお、厚生労働省における社会保険労務士関係の担当窓口は、労働基準局監督課社会保険労務士係です。

第7 主務大臣による行政措置

 事業者における障害者差別解消に向けた取組は、本指針を参考にして、各事業者により自主的に取組が行われることが期待されています。しかし、事業者による自主的な取組のみによっては、その適切な履行が確保されず、例えば、事業者が法に反した取扱いを繰り返し、自主的な改善を期待することが困難である場合など、特に必要があると認められるときは、主務大臣は、「事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる」と法第12条に規定されています。

おわりに

 法の理念を実現していくには、国民一人ひとりの障害に対する理解と適切な配慮が不可欠であり、差別と解される事例についても、お互いの意思疎通不足や理解の不足に起因していると思われることも見受けられます。法に定められたから義務として行うという姿勢ではなく、事業者や障害者が歩み寄り理解を深めていくことが、差別解消の第一歩につながると考えられます。
 本指針は、そうした事業者の取組に資するよう、今後も、より具体的な事例、特に好事例をお示しできるよう随時見直しなどに努めてまいります。
 事業者のみなさまの本法に関するより深い理解とともに、障害者差別解消に向けた取組を積極的に進めていただくようお願いします。


出典:厚生労働省.厚生労働省における障害を理由とする差別の解消の推進.http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sabetsu_kaisho/index.html (参照 2015-12-9).