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宇部市障害のある人へのコミュニケーション支援条例

 本市は、障害のあるなしにかかわらず、お互いの個性を認め合い支え合って、市民一人ひとりが安心していきいきと暮らせるまちを目指しています。
 しかしながら、いまだ現代社会においては、音声や文字をそのままでは受け取りにくい障害のある人の多くは、必要な情報の取得や周囲の人たちとのコミュニケーションが困難なことから、日常的に不安を抱えて生活しています。

 このような状況の下、平成26年1月に国が批准した障害者の権利に関する条約においては、コミュニケーションには、手話、文字の表示、点字、音声、平易な表現など多様な手段があると規定され、同条約を基に改定された障害者基本法においてはコミュニケーション手段の選択と利用の機会の確保が求められています。
 さらに、平成28年4月に施行された障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律においては障害を理由とする差別的取扱いの禁止と情報伝達やコミュニケーションについての合理的配慮が、社会の中で求められることとなりました。

 本市においても、これらの法の制定又は改正の趣旨を踏まえ、障害のある人が現在よりも容易に情報を取得し、意思疎通を十分に図ることができる環境を整備することは不可欠です。
 そこで、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の選択と利用の機会を十分に確保するとともに、障害のある人への市民の理解を促進することにより、本市の全ての人々がお互いを尊重し支え合うことで、心豊かに共生していくことができる宇部市を目指し、この条例を制定します。

(目的)
第1条 この条例は、障害のある人へのコミュニケーション支援について、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、市が実施する施策の推進方針を定めることにより、障害のある人にとってそれぞれの障害の特性に応じたコミュニケーション手段の選択と利用ができるような環境を構築し、障害のある人もない人も全ての市民がお互いの人格と個性を尊重し、支え合いながら生きる共生社会を実現することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 (1) 障害のある人 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難治性疾患その、他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により、継続的又は断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
 (2) コミュニケーション 相互に意思を伝え合い、つながりを築くことをいい、障害のある人への情報の伝達、障害のある人からの意思表示及び発言の保障もこれに含む。
 (3) コミュニケーション手段 手話、触手話、要約筆記等の文字の表示、点字、音訳、平易な表現、代筆及び代読、代用音声(咽頭摘出等により使用するものをいう。)、重度障害者用意思伝達装置その他障害のある人が日常生活又は社会生活を営む上で必要とされる補助的及び代替的な手段としての情報並びにコミュニケーション支援用具等をいう。
 (4) コミュニケーション支援 手話、要約筆記、点訳及び音訳、盲ろう者向けの通訳、平易な表現の実施、代読及び代筆その他障害のある人への伝達補助等の支援をいう。
 (5) コミュニケーション支援者 手話通訳を行う者、要約筆記を行う者、点訳及び音訳を行う者、盲ろう者向けの通訳・介助を行う者その他障害のある人への伝達補助等を行う支援者(成年後見人等を含む。)をいう。
 (6) 事業者 市内に事業所又は事務所を有し、事業を行う法人その他の団体又は個人をいう。
 (7) 情報保障 情報の取得及び利用の機会を保障することをいう。
 (8) 合理的配慮 障害のある人が日常生活又は社会生活を営む上で障害のない人と同等の権利を行使するため、特定の場合において必要とされるものであり、必要かつ適切な現状の変更、調整等であって、その実施に伴う負担が過重でないものをいう。
 (9) 社会的障壁 障害のある人が日常生活又は社会生活を営む上で障壁となる社会における事物、制度、慣習、観念等をいう。

(基本理念)
第3条 第1条に規定する共生社会の実現は、次に掲げる事項を基本理念として推進するものとする。
 (1) 障害のある人がコミュニケーションを円滑に行う権利は、障害の特性に応じた適切なコミュニケーション手段を活用することにより、最大限に尊重されなければならない。
 (2) 障害のある人のコミュニケーション手段の選択と利用の機会の確保は、障害のある人とない人とが相互に違いを理解し、それぞれの人格と個性を尊重することを基本として行われなければならない。

(市の責務)
第4条 市は、前条の基本理念にのっとり、障害のある人が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるよう、次に掲げる施策を推進するものとする。
 (1) コミュニケーション手段の普及及び利用の促進に関する施策
 (2) 障害の特性に応じたコミュニケーション手段における情報保障及び合理的配慮に関する施策
2 前項の規定による施策の促進に当たっては、事業者をはじめ、国、山口県その他の関係機関と連携を図るよう努めるものとする。

(市民の役割)
第5条 障害のある人もない人も全ての市民は、第3条の基本理念に対する理解を深め、前条の規定により市が推進する施策に協力するよう努める。

(事業者の役割)
第6条 事業者は、第3条の基本理念に対する理解を深め、障害のある人が利用しやすいサービスを提供し、及び働きやすい環境を整備するよう努める。
2 事業者は、第4条の規定により市が推進する施策に協力するよう努める。

(施策の推進方針)
第7条 市は、コミュニケーション手段に関しその普及及び利用の促進並びに情報保障及び合理的配慮を推進するため、次に掲げる施策を実施するものとする。
 (1) 市民に対して、障害のある人への理解及びコミュニケーション手段の意義についての理解を促進するための施策
 (2) 障害のある人が障害の特性に応じたコミュニケーション手段を容易に利用することができるよう、支援環境の整備を促進するための施策
 (3) コミュニケーション支援者を確保し、及び養成するための施策
 (4) 事業者等に対して合理的配慮の実施について啓発を行うとともに、その取組を促進するための施策
 (5) 市内教育機関において障害のある人への理解を促進するための施策並びに障害のある児童生徒等に対し適切なコミュニケーション手段を活用した学習及び生活支援を行うための施策
 (6) 障害のある人が適切なコミュニケーション支援を受けることができるよう、移動等における社会的障壁を除去するための施策
 (7) 前各号に掲げるもののほか、第1条の目的を達成するために必要な施策
2 市は、前項各号に規定する施策の推進に当たっては、障害のある人、コミュニケーション支援者その他関係者の意見を聞くための協議の場を設けるものとする。
3 市は、第1項各号に規定する施策を策定した場合は、当該施策を宇部市障害者福祉計画に位置付け、総合的かつ計画的に推進するものとする。

(財政上の措置)
第8条 市は、前条第1項各号に規定する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

附則

 この条例は、平成29年4月1日から施行する。