列島縦断ネットワーキング
福島・車いすウォークラリー「街なか探険隊」
藤橋秀一
7月20日、郡山市は快晴で大変暑い日となりました。
この日、全国障害者市民フォーラムのプレイベントとして、郡山市街において車いすウォークラリーが開催されました。
これは、体験学習ともいうべきもので、ボランティアが実際に車いすに乗ったり、車いすを押してみたり、または目の不自由な方の疑似体験としてアイマスクをつけて歩いたり、反対に手引きをしたりするというものです。
朝の9時、参加者、スタッフ約60名が郡山駅前に集合しました。参加者は、6名が1班となり、各班に車いす1台とアイマスク、それにウォークラリーに必要なこま図が配られました。まず班内で車いすに乗る人、押す人、アイマスクをする人、手引きをする人、こま図を見る人を話し合って決めてもらいました。途中で役割を交替しながら、最終的には全員がそれぞれを体験できるようにしました。
午前10時、ウォークラリーがスタートしました。まず1班から、見慣れないこま図を頼りに、ゴールに向かいました。5分間ずつ間隔をおいて、6班36名が、次々に出発しました。
ゴールは、8キロ先、歩いて約1時間30分ぐらいのところにある郡山市立赤木小学校の体育館です。ただし、参加者には、ゴール地点は知らされていません。なぜなら、ゴールを知らせないのがウォークラリーの決まりだからです。
ウォークラリーをしながら、街中を点検することになりました。つまり、身体に障害をもっていない人にとっては、ふだん何気なく歩き、暮らしているところが、車いすを使用している人や目の不自由な人にとっては、いたるところに物理的障害があることが分かりました。
その1つに、歩道と車道の段差があります。障害のない人にとっては、高さ3センチぐらいの段差は、何でもありませんが、車いすの場合は、前輪がひっかかりやすく、ひっかかると前のめりになってしまい危険です。ややななめになっている歩道も車いすを押してみると、怖いものの1つです。横に倒れてしまいそうで、押す側も乗っている側も怖い思いをします。このように、低い段差、ななめになっている歩道、歩道に放置されている自転車や荷物などは、階段など明らかに障壁と分かるものと違って、実際に体験して初めて分かるものです。
車いすウォークラリーに参加した人たちには、自分たちの住んでいる街が、障害をもっている人々にとってはいかに不便で危険なものが多いかということが、ほんの少しでも分かっていただけたのではないかと思います。
参加者は、多少のアクシデントはあったものの、全員が無事ゴールしました。昼食を食べながら、感想を話してもらいました。
・アイマスクをして歩くこと、車いすに乗って押してもらうことが怖かった
・街の中は、車いすで歩くと、たくさんの危険があることが分かった
・初めての体験で、おどろくことが多かった(高校生)
以上のような感想が多数を占めました。
今回、車いすウォークラリーを開催して、テレビ・新聞などマスコミで取り上げられたこともあって、市民への宣伝効果はまずまずでしたが、積極的にボランティアとして参加しようという人は、あまりいませんでした。
だれもが住みよい街づくりをめざして、小さな力かもしれませんが、地道に今後も活動を続けたいと思います。
(ふじはししゅういち 全国障害者市民フォーラムボランティア)
(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
1997年11月号(第17巻 通巻196号)62頁・63頁