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身体障害者相談員・知的障害者相談員
に期待すること

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課

1 身体障害者相談員の業務

 本年4月から新障害者基本計画や支援費制度がスタートしました。障害のある人もない人も共に地域の一員として、その人らしく生活する「共生社会」の実現が新しい障害者計画のテーマであり、また利用契約に基づく新しいサービスシステムとしての支援費制度においては、地域に住む隣人同士の互助による支援体制が重要となってきます。そこで、障害者福祉においてこの互助を支える一つの仕組みである、身体障害者相談員、知的障害者相談員といった相談員制度についてその位置づけと、期待する点を簡単に述べます。

 身体障害者相談員は、身体障害者福祉法の第十二条の三において、「都道府県は身体の障害のある者の福祉の増進を図るため、身体に障害のある者の相談に応じ、及び身体に障害のある者の更生のために必要な援助を行うことを、社会的信望があり、かつ、身体に障害のある者の更生援護に熱意と識見を持っている者に委託することができる」とされています。
 また、「身体障害者福祉法による身体障害者相談員の設置について」(昭和42年8月1日社更第240の1号厚生省社会局長通知、平成10年一般財源化に伴い廃止)において、「身体障害者相談員設置要綱」を定め、身体障害者相談員の業務として、地域活動の中核体となり、その活動の推進を図ること、身体に障害のある者の更生援護に関する相談に応じ必要な指導を行うこと、関係機関の業務に協力すること、国民の認識と理解を深めるため、関係団体等との連携を図って援護思想の普及に努めること等が挙げられていました。

2 知的障害者相談員の業務

 知的障害者相談員は、知的障害者福祉法の第十五条の二で、都道府県から委託される条件として、社会的信望があり、かつ、知的障害者に対する更生援護に熱意と識見を持っている者が挙げられています。
 さらに、「精神薄弱者相談員の設置について」(昭和43年4月15日厚生省発児第62号厚生事務次官通知、平成10年一般財源化に伴い廃止)において、「精神薄弱者相談員設置要綱」を規定し、(平成10年には精神薄弱の用語改正を受けて「知的障害者相談員制度」となりました)、知的障害者相談員の業務としては、知的障害者の家庭における養育、生活等に関する相談に応じ、必要な指導、助言(福祉事務所、知的障害者更生相談所及び児童相談所が行う専門的な相談指導を除く)、知的障害者の施設入所、就学、就職等に関し、関係機関への連絡、知的障害者に対する援護思想の普及等が挙げられていました。

3 障害者基本計画

 障害者相談員については、「障害者基本計画」(平成14年12月24日閣議決定)において「障害者相談員が地域で生活する障害者の多様なニーズに身近で対応できるようにするため、相談員の養成・研修を行うとともに、相談員相互のネットワーク化等を図り、その活用を推進する」こととされています。相談員は、その業務を行うにあたり、福祉事務所、市町村、民生委員・児童委員、更生相談所、児童相談所等と緊密な連携を図ることとされ、また、施設入所、就学、就職等に関し関係機関へ連絡することとされていますが、今後は、相談員相互のネットワーク化を図り、さまざまな相談事例や各種情報の共有化などにより、障害者の多様なニーズに対応していくことが求められています。

4 支援費制度施行後の役割

 支援費制度は、障害者が自らサービスを選択し、事業者との契約に基づきサービスの提供を受けることにより、利用者本位の制度への転換をめざすものです。この理念を実現するためには、障害者が身近なところでサービス選択のために必要となる適切な相談、情報提供が受けられることが重要となります。
 このため、支援費制度の施行とともに、障害者のより身近な相談者である相談員の役割が今後ますます重要になるものと考えております。支援費制度の活用にあたり重要となる相談業務としては以下のようなものが考えられます。

○サービス選択のための相談

 障害者または障害児の保護者等は支給申請に先立って、提供を受けようとするサービスの種類を選択する必要がありますが、障害者がサービスを主体的かつ適切に選択していくためには、どのようなサービスを利用したらよいか、また、どのようなサービスの組み合わせで利用をしたらよいか等について相談に応ずることが必要となります。

○指定事業者の情報提供

 障害者が事業者を適切に選択するためには、指定事業者の情報(事業者の所在地、施設及び設備の状況、空き情報、当該施設の支援方針等)を知ることが必要でありますが、これらの情報をさまざまな方法で提供し、サービスや事業者を選択するための相談や支援が必要となります。
 指定事業者の情報などは、相談員が単独で入手することは難しいこともあるかと思いますが、市町村等の関係機関との緊密な連携により対応していくことや適切かつ円滑に必要な支援が受けられるよう関係機関へつなげていくことも重要となります。
 以上、障害福祉の転換期を迎え、地域で暮らす障害者が自立し、自分らしい生き方を実現するために相談員の支援が今後ますます重要となってきたといえます。