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工夫いろいろエンジョイライフ

実用編
●お金をかけないちょっとした工夫●

提案:今西正義
イラスト:はんだみちこ

今西正義(いまにしまさよし)さん

 私は頸髄損傷(C5、6完全)で、四肢マヒです。38年前に海で飛び込みをして受傷しました。電動車いすを使用しています。現在、NPO法人トータル・アクセス・サポート・センターで障害のある人たちの経験や体験を活かしたニュービジネスの仕事をしています。仕事柄外出が多く、移動は電車を使っています。家族は妻と愛猫の3人(?)暮らしです。

自分仕様のスーツでスマートに

 車いすに座った状態だと既製服は背中が出てしまったり、脇にたまってしまったりして、動きにくいものです。
 私はスーツをイージーオーダーにしています。「オーダーメイド」というと「高い」というイメージがあるかもしれませんが、イージーオーダーだと2着で5~7万円くらいです。生地や色や柄も選べますし、ダブルかシングルといったように型を変えることもできます。
 私は車いすに座ったときに、後ろとサイドに服がたまらないようにカットしてもらっています。背広のポケットは使わないので飾りポケットに、ズボンの後ろのポケットは褥瘡(じょくそう)予防のためにつけません。また、後ろの股がみを長めにして背中が出ないようにしています。
 また、一度型紙を作ってしまうので、再度注文する時はカルテがあるので採寸の手間が省けます。

携帯電話を楽々使う

 打ち合わせなどで外での仕事の多い私は、連絡を取るための携帯電話は必需品です。私のように四肢マヒがある場合、とくに指が動かなく物を握ることのできない人たちの携帯電話購入のポイントは、「ボタンを押すことができるか(ボタンの押し込みの感覚)」「手の中に入る大きさ」にあります。
 現在使用しているのは、折りたたみ式です。以前はアウトドア用でストラップのついたものを使っていましたが、携帯のコンパクト化が進み、大きさもボタンも小さくなり使いにくくなっていました。買い替えの時期になり、折りたたみ式を購入することにしましたが、手の上で開くことができません。仕方がないので開いたまま使おうと思っていましたが無理でした。カバンに入れると出し入れに時間がかかるので、たまたま首にかけてみたところ、首が支点になって指で携帯のアンテナ部分を押したところ開きました。これは大発見です。
 でも開くことはできましたが、握ることができません。手で抑えることができても長い時間電話をしていると、携帯が手から落ちてしまいます。そこでいろいろ試した結果、フックで手にひっかけることにしました。親指と人差し指の間にひっかけて腕を車いすの肘掛けにおいて固定すると安定して電話をかけることができます。

割り箸をフォーク代わりに

 手が自由に利かない人の場合、自分でフォークやスプーンを持ち歩く人がいます。持ち歩かなくてもお店に置いてあるので借りる方法もあります。私も借りるほうです。
 洋食や中華料理の場合、お店の人にお願いするとだいたいフォークを持ってきてくれます。問題は、和食のお店です。あったとしてもデザート用フォークで小さすぎて使いにくい、そんな時は、割り箸を代用しましょう。
 割り箸の間に割り箸袋を1cm幅まで折りたたんだものを挟みます。そうすると割り箸の間が開き、フォークの代用として使うことができます。割り箸袋がなければ、楊枝を挟んでもOKです。ポイントは割り箸が二つに割れないようにギリギリまで差し込み、箸先が松葉のように開くまで入れていくことです。
 場面的には、会議の時などに出される弁当をイメージしてください。会議室にはフォークの用意がされているところはほとんどありません。そんな時、この割り箸フォークが活躍します。お弁当のおかずには煮物やフライなどが多いですね。これらは割り箸フォークで刺しやすいのです。ご飯も冷えているので刺しやすいですよ。