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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年6月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編 ●通勤途中の手つなぎ、他●

提案:清水茜 イラスト:はんだみちこ

清水茜(しみずあかね)さん

生まれつき筋力の弱い病気を持っていますが、ゆっくりなら一人で杖も使わずに歩くことができます。ただ、段差・階段が苦手で、手すりや人の手がないと上り下りできません。現在は、オフィス家具を中心に販売しているイトーキ ユニバーサルデザイン(UD)室にて、社内外にUDを啓発・PRする仕事をしています。休日は街のバリアを尻目にあちこちと出かけ、まさに「エンジョイライフ」の日々です!!


動線の利用

動線とは、建物や街など、日々の行動の中で人が動く道筋のことを言い、設計の段階からこの道筋は迂回したりせず、単純に移動できるように配慮されるべきだと言われています。そして、この動線を私は上手く利用しています。

「事のついで」という言葉があります。歩くのが不自由な私は、オフィスでも多くのことを「ついで」にやっています。

書類を持って席を立ち、自分のワゴンにある荷物から財布を取り、別のフロアへ書類を届け、お手洗いへ行き、そのフロアの自動販売機でジュースを買い、自分のフロアのワゴンへ財布を置いて、ワゴンから別の書類を取って、ジュースとその書類を抱えながら席に着く。これを一つの動線でこなします。なので、どのルートで辿ったら一番効率的かを、頭で考えてから席を立ちます。時々、ルートの途中で忘れてしまう時もありますが(笑)。

ただ、これは決して特別なことではありません。皆さんもスーパーの帰りに隣の花屋へ寄り道ということを、オフィスという狭い中でも行っているだけなのです。


通勤途中の手つなぎ

私の勤める会社の最寄駅は、エスカレーターが上り方向だけ、しかも途中までしか付いていないので、毎日とてももどかしい思いをしています。

こんな時、私は必ずと言っていいほど、人の手をお借りします。まず、身体が左に傾きがちなので、右側に手すりを、そして左側に手すり以上に強い支えとなってくれる人の手が来るように、移動します。そして、通りがかりの方に「すみません。足が悪いので手をお貸しいただけますか?」と声がけすると、たいていの方は立ち止まってくださいます。そして、荷物をお持ちいただき、相手の方の手を借りて階段を上り/下りします。階段が終われば、「もうここで結構です」とお礼を言って別れます。

この一連の流れで重要なのは、少しでも相手の方の負担を軽くする工夫。急いでいる方にはまず声をかけません。また、私とは逆方向から来る方にも、あまり声をかけないようにしています。また当たり前のことですが、一人でできることは一人でやる。つまり、できることなのにいつまでも相手を拘束しない。ただでさえ、「人と手をつなぐ」という不慣れなことをしていただいているので、頼むこちら側も気持ちよく接することが大事です。そうすれば、相手の方もきっとお手伝いしやすくなるでしょう。


会議中の椅子選び

今日は大事な会議の日。しかも、長丁場の予感。そんな時大事なのが、椅子選びです。

身長は千差万別。なので、椅子の高さを調節する必要がありますが、いかに簡単でかつ軽い力で高さ調節できるか。レバーがどこにあるか分からないのはもっての外です。そして、レバーが小さすぎず大きすぎず適当な大きさのものを選びます。また、最近の椅子は多機能になりつつあり、いろんなレバーが付いているので、絵文字などで分かりやすくガイドしてくれている椅子には、さらに魅力を感じます。

そして、もうひとつ重要なのは、いろいろな姿勢に耐えてくれるかどうか。長い会議はもちろんパソコンを中心としたデスクワークは、悪い姿勢との闘いです。そんな時、人間は寝返りするのと同じように、無意識にどんどん姿勢を変えたがります。なので、体重をかけるだけで背もたれが自在に動くことで、前傾姿勢から後ろに反るような後傾姿勢まで、いろんな姿勢をひとつの椅子で解決してくれるものを選んでいます。

姿勢でお困りの皆さん。椅子ひとつで仕事の効率もグーンとアップしますよ。