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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年9月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編 ●私の靴選び、他●

提案:上里直子 イラスト:はんだみちこ

上里直子(うえさとなおこ)さん

生後3か月で、高熱を出し脳性マヒになる。左足を使い電動車いすを操作し、趣味の映画鑑賞やカラオケ等に行き、一人暮らしを謳歌している。現在、沖縄県自立生活センターイルカを中心に、さまざまな活動を行っている。


私の靴選び

私が靴を選ぶ時の条件は、必ず靴のかかとの上部に「プルカウンターループ」がついていることです。

私は右足首が内側に変形しているために、靴を履いて立つとすぐに靴が足から抜けてしまいます。それを防ぐために「プルカウンターループ」は欠かせません。

私は靴を買うたびに、ヘルパーさんに足首が巻けるくらいの長さの布を「プルカウンターループ」に通し、その布にマジックテープを縫い付けてもらっています。足首に布が巻かれているため、それだけで、靴を履いても簡単に靴が足から抜けないのです。

また、私は左足で自宅のドアの鍵を開けているので、常に鍵は左足の靴の中にあります。その鍵の位置も土踏まずの所と決まっています。

どうしてかと言うと、そこは足裏のツボに当たるので、年中忙しい私にとってはマッサージ効果もあり、まさに一石二鳥です。(笑)


飲み物を飲む時

私が飲み物を飲む時に、必要な道具が3つあります。

それは一般的に使用されているハサミと、未使用のガムテープ、それに小さいビニール袋です。

使い方は、まず冷蔵庫からビニール袋に入れた缶の飲み物を、左足指で掴んでベッドに運び、ガムテープの真ん中の輪になった穴に、缶を入れて固定します。

そして、ハサミの刃の先端を、プルタブと缶の間に差し込みプシュ!という音がでるまで押し上げます。

押し上げた後、人指し指の腹をプルタブに当てて、プルタブの反対側を土踏まずで押さえたまま、人指し指を思い切り土踏まずの方向に曲げます。

ただし、缶の種類によって指の力の入れ具合が違うので注意が必要です。私が何種類か試した結果、スチール缶とアルミ缶とでは、スチール缶のほうが開けやすいことがわかりました。

なぜかアルミ缶はビール等に使用されていることが多くて、そのせいか(?)私はお酒を飲まなくなりました。


ベッドの活用法

ベッドは、私にとっては寝る場所であると同時に、さまざまな作業をする場所でもあります。

私は手芸が好きなので、よく手芸ネットでティッシュケースや、簡単なバッグ等を作ります。その際、必ず針に糸を通す作業があります。その時、私はベッドのマットの弾力性を利用しています。

やり方ですが、まず適当な長さに糸を切り、手芸針(針穴が大きく、長さは1.5cmぐらい)をマットの上に針穴を真上にして置きます。そこへ、指でつまんだ糸を針穴の上から押しこみます。すると糸は、マットの凹みを利用して下に押し出されます。その後は、針穴の向きを横にして、穴から出ている糸の頭を親指で押さえると糸が伸びるので、指でつまんだまま50cmぐらい持ち上げて軽く振ります。すると重い針は、真下に滑り落ちて糸通しの作業は完了します。

これで私は、手芸を楽しむことができるのです。

ベッドの弾力を利用して、手芸を楽しむことができるなんて、意外でしょう!?