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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2005年2月号

民間からの評価

障害はすべての人に起こりうる

山本征雄

国連の専門機関「世界保健機関(WHO)」は、数多くのモデルを検討した結果から、表題の結論に至り「人民の幸福と円満な関係と安全の基礎である」という宣言の下に「リハビリテーション分野」をはじめ諸施策の推進が最重要であると提唱している。

わが国の高齢化率は19%、50年後は36%と推定されており、出生率は1.29(東京都は1以下)で人口減少・少子高齢化が急速に進行し、世界のどの国も経験したことのない状況のもと「改革のグランドデザイン(案)」の検討が進められている。

まず、第一に感じるのは審議会委員の選任で、昨年の本誌8月号「介護保険制度と障害保健福祉施策」の座談会やこれに関連してかかわった経済界、労働組合を代表する方々の参画をいただき、幅広い分野から審議いただくことによって「真の合意形成」が容易になると考えます。

協働の一例として、アフターファイブに「福祉輸送の運転ボランティア」として地域で活躍する人を行政と企業が資金面で支援し「みんなで支えあう共生社会」を早い段階で実現するという提案をしたい。すでに、NPO等で実現に向けての条件は整っている。

次に、より理解を深める目的で下の表を作成したのでご覧いただきたい。医療、年金、福祉その他の各部門別に日米間で比較する(中国、韓国は部門別不詳のため除外)と、日本がすべてにおいて高水準にある。これらのことからある省は、「現行制度を見直すことなく維持すれば、公的負担は欧州各国の水準に近づくことは必至」として、一方で公的負担を抑制する理論展開を進めている大変な中で、真の改革を進めなければならない。

最後に「応益負担」に関連して、農地改革は敗戦時に実現したが「扶養義務制度の見直し」は四親等~三親等が精一杯であったと聞いた。民法の改正には時間がかかることから、少なくとも成人の場合は「義務的経費」で「個人の尊厳」を保障することを基本にして、経済的な自立を国民的な合意で確立したい。

表:社会保障給付費国際比較(1996年度対GDP比)

(やまもとゆきお 社団法人三重県身体障害者福祉連合会会長)

表 社会保障給付費国際比較(1996年度対GDP比)