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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年2月号

私のIT活用

早期導入とスイッチの開発

若林佑子

ひょんなことから支援者としての当事者として、ITをどう活用しているか等を書かせていただくことになりました。

全身が動かなくなっていく難病ALSにとってパソコンは心の命綱です。「告知されたらまずパソコンを」をめざして、私たちの支部では6年前から事務所でパソコン教室を週1回開いています。以前はただのお茶飲み会でしたが、パソコンを習うということで参加者が増え活性化し、患者家族同士の良き交流の場となりました。症状が進行し事務所へ来られなくなってもメールでメンバーと交流できるのは大きなメリットです。

患者会支部として幹事団用のメーリングリスト(ML)はあるのですが、今後患者さんの交流を主としたMLを作れるとよいと考えています。

全国的には日本ALS協会本部が管理人になっているmaeeというMLがあり、告知直後の方から人工呼吸器療養十数年のベテランまで情報や心境報告のよい交流広場となっています。支部単位ではパソコンを使いこなせる患者さんが少ないこと、病院や施設で患者さんのインターネット使用が一般化されていないこと、などの問題点があり、今後の課題です。

パソコン教室では障害者用のパソコンではなく普通のパソコンを普通に使えるように、カッコイイ現代人になっていただくことをまずイメージします。ハーティラダーなども素晴らしいのですが、Atokクリックパレットのように普通の人でも使える方法があることをまず知っていただきます。入院してからのリハビリで障害者用パソコンを使い始めるのではなく、できるだけ早期に抵抗無くパソコンに馴染んでいただくことが大切と思います。医師からも告知と同時に通院リハビリとしてのパソコンを処方していただきたいものです。

もう一つの大きな課題は、一人ひとりに合ったスイッチセンサーの選定と設定です。たとえばオペナビを駆使して大学で講義をしたような方でも、センサー設定が上手くいかなくなった数か月後ではメールを打つ気力も無くしています。ミリ以下の単位を微妙に設定できる工学的補助装置の発明を求めます。またスイッチはナースコールにも必要で命と心を守る必需品です。ぜひ日常生活用具に組み入れて、自己負担の心配無く必要な物を入手できるようにしていただきたいと切望します。

(わかばやしゆうこ 日本ALS協会新潟県支部事務局長)