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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年2月号

障害者自立支援法をめぐって

施行直前に思うこと、懸念すること、望むこと
家族として懸念すること、望むこと

堤卯平

私は(社団)大阪府精神障害者家族会連合会理事として、また地域家族会としてすでに10回以上法案の説明会や対厚労省抗議行動・全国集会に参加してきましたが、この1月2月で詳細はまた変わるであろうとの審議会参加者の話もありますが、現時点での家族としての意見を述べます。

懸念1:医療費負担増について

●経済的理由で服薬を途切れさせる恐れがあり、病状の悪化とパニック的再発(服薬中止は80%再発する:ノーベル賞受賞ジョン・ナッシュ博士)を引き起こす。

●法案の冒頭に「三障害福祉の一元化」「安心して暮らせる地域社会」を謳いながら普通の患者並に医療費がかかる。これを“ほおかぶり”してはまず冒頭から法に違反だ。

望むこと

●親の老人医療費負担増が国会を通過したばかりで4月からのダブルパンチに耐えられない。三十二条の公費負担の維持を願いたい。

●一般疾病は養育、身体並に扱うべきで“健常者並に払え”と言うなら「所得保障をまず見直すべき」、2級年金66,200円は生活保護より遙かに低い。

懸念2:障害程度区分について

●認定基本調査106項目では認知症や知的障害の設問がほとんどで地域で暮らす精神障害者は支援の対象に入らないのでは?パニック状態の精神障害者は入院しているはずである。

望むこと

●精神障害者は20歳前の思春期の発症が多く、スポーツや音楽、創作等の残存能力がある。指導者の熱意があれば95%のひきこもりを改善できると思われる。

●状態の急変化に伴う支援給付が必要。審査会委員の資質の充実。精神独自の設問の追加項目が必要。

懸念3:就労移行支援について

●「5年かけて作業所利用料、徴収について整備する」試算では、1日あたり5500円の1割550円という説があり、一方工賃が1時間あたり80~120円ならばだれも作業所に出てこないのではないか。さらに何人就職させたか出来高払いのような話も聞くが、これでは職員が皆逃げて地域作業所つぶし法案か?

望むこと

●この法律以前に授産施設の活性化対策をやるべき。市町村独自の上積みを望む(枚方、摂津方面は100万近く上積み有り)。そして、小規模授産施設経営の社会福祉法人に対して「設備整備費助成」を公約通り実行されたい。すなわち法人資本金1000万円の資本供託金として最高800万円助成ということに対し、“全面助成却下”したことは国家的詐欺だ。

(つつみうへい 四條畷市精神障害者家族会会長、授産施設「夢丸工房」設立代表者)