「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2009年12月号
工夫いろいろエンジョイライフ
実用編●一石三鳥!?、他●
提案者:立澤みき イラスト:はんだみちこ
立澤みき(たつざわみき)さん
自立生活センターと障害者生活支援室の2か所に勤務。全盲の夫と弱視の私、4人の男の子の6人家族。大量の洗濯物と料理や片付けに追われ、ケンカやケガ、思春期や反抗期、学校からの呼び出し等々、泣いて笑って怒ってとドタバタの毎日続行中。
一石三鳥!?
2年前からIHクッキングヒーターを使い始めました。ガスの火が怖かった訳ではないのですが、わが家はわんぱく4兄弟。常にボールやおもちゃ、時には子どもが飛び交っている(笑)ので、エアコン以外の暖房器具は危険で使えず、電気代が高額で困っていました。
そこで思い切ってオール電化にしたのです。このIHがなかなか便利。煮物もタイマーセットで自動で切れ、そばに付いていなくても焦げないし、得意な揚げ物も火が出ないという安心感からグンと回数が増えました。グリルもクリーニング機能があり、お魚の臭いが残ることはありません。それに点字も付いているし、何といっても音声で知らせてくれるのがとても便利。そしてお掃除も簡単。今まではガスレンジのゴトクやグリルの掃除がとても大変でしたが、サッと拭くだけでキレイ!最近では、私の留守中に子どもも料理をするようになり、火が出ないのでとても安心です。もちろん、電気代もグンと安くなり、これもうれしい!
社会資源をフル活用
わが家の子どもたちは牛乳が大好き。何と1週間で1リットルの牛乳を25本消費します。でも車を使えない視覚障害者にとって、家族6人分の買い出しは、容易ではありません。
そこで生協とホームヘルパーを利用しています。生協で食材を注文しますが、それだけでは足りず、週に一度ホームヘルパーに買い物をお願いします。ほしい物をその日の安いお店で買ってきてもらえて、とても助かります。そのお陰で、仕事帰りの毎日の買い物も少なくて済みます。生協は、夫がインターネットで注文をしています。
洗濯や洗い物、ゴミ出し等は、夫や子どもたち、家族みんなで協力をしながら行っていますが、お風呂のカビや細かい汚れなどは私には見えないので、お掃除の部分は、ホームヘルパーに手伝ってもらっています。
その他、用途に応じて、ガイドヘルパーや有償、無償のボランティアを利用します。社会資源を上手に活用し、できるところは自分たちでする。これがわが家の工夫です。
いろんな人がいて当たり前の地域
子どもたちは全員、地域のサッカーチームに入っています。役員やお茶当番、試合の引率と健常の親でも大変です。ましてや見えない私は、試合に行っても、他のお母さんに手間をかけます。
だけどそれよりも、「私も子どもの試合を見に行きたい」と率直に伝えます。お茶当番も役員も私のできるかたちで、みんなに協力をしてもらっています。
それぞれに考え方も違うので、子どもの学年によって私の関わり方も違います。自分の気持ちを伝えながら、みんなでやりやすい方法を作っていきます。時には意見が衝突することもあるけど、それもお互いを理解するための大切なプロセスです。
- 障害があることを引け目に感じない。
- 自分の希望はストレートに伝える。
- 頑張らない。
- ありのままの私を見てもらう。
- できないことは遠慮をせずに手伝ってもらう。
- はじめは障害者に理解がなくて当然。時間を共有することで少しずつ分かってもらうとのんびり構える。
これが私の工夫です。