音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年6月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●男料理:料理サイトの活用で楽しく調理、他●

提案者:宇高竜二 イラスト:はんだみちこ

宇高竜二(うだかりゅうじ)さん

仕事中に、高所から転落し首の骨を粉砕骨折したことにより頸髄損傷になる。現在は、愛媛県松山市にあるCIL星空に所属し、当事者スタッフとして活動中。


男料理:料理サイトの活用で楽しく調理

けがをする前から多少料理に興味があり、一人暮らしの経験もあったため、簡単な料理くらいは作っていました。

自立生活を始めた当初は、料理の際の介助者への細かな指示出しや、毎日の献立を考えるのにすごく悩まされました。

もともと、食べ物の好き嫌いは少ないはずだったのですが、けがをしてからは、ずいぶん好き嫌いが多い体質に変わってしまいました。

初めは、『何度も作りたい豆腐・もやしレシピ』という本を購入して簡単な炒め物や和え物を作っていましたが、今では、時代の流れもあり、インターネットの『クックパッド』という強い味方のおかげで、煮物やちょっと手の込んだハンバーグやグラタンなども介助者さんと楽しく作って美味しくいただいています!


自宅のお風呂で温泉気分!

頸髄損傷により自律神経が正常に働かないため、暑さ寒さの体温調節が苦手な身体ですが、冬場はもちろんのこと、夏場でも私の楽しみは、週2回(いつでも入れますが(笑))の排便後の入浴です。熱があろうと、風邪をひいて体調が悪い日であろうと、大好きなお風呂に入れないなんて考えられない!!全身湯船に浸かってリラックスできると思えば、しんどさを忘れてシャワーチェアーに乗り換え、浴室へLet's go!

冬の寒い日は、暖かい部屋から寒~い浴室に行くのは嫌なので、入浴10分前に、浴室に予備暖房をつけて寒暖差を解消。あったかい浴室で身体全体を洗ってもらった後に、シャワーチェアーから湯船に浸かるためのリフトで、溢れんばかりのお湯が張られた湯船にジャボン!

ちょっと湯船が小さいですが、浮力によって普段の身体の負担も抑えられ、すべての辛さをリセットでき、心も身体もリフレッシュ!おかげで、入浴した日はいつも以上に快眠です。


外出は愛車でお出かけ

田舎暮らしの私の普段の外出手段は、もっぱら自家用車(福祉車両)です。なぜなら、公共交通機関が整備されている都会に比べると私の住んでいる所は雲泥の差ほどあるからです。

外出時は介助者さんに運転をしてもらい、私は車の後部に車いすごと乗り込み、いろいろな活動や遊びに走り回っています。

車内では、音楽を聴きながら車いすの背もたれ座面をリクライニング・チルトにし、遠出の際は、最低2時間ごとに介助者さんのゴッドハンドで数秒間除圧してもらいながらの褥瘡(じょくそう)予防!

今まで遠出した中で一番印象に残っているのは、2015年に富士山麓で行われた長渕剛10万人オールナイトライブに参戦したことです。21時にヘリコプターでの登場に始まり、翌朝6時過ぎまでの約9時間以上テンションMAX状態!ふと横を見ると介助者さん寝てる…(笑)。

途中小雨が降り、身体も冷えきり声も枯れ果て、満身創痍ながらも奇跡的に朝日が富士山を照らした時のあの光景は、今でも鮮明に焼き付いています。