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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年7月号

岡部亮佑くんの自立生活を支援する

末永弘

1 両親からの最初の介護依頼

2002年に両親が岡部くんと一緒にグッドライフへ相談に来た。当時の私のノートに両親の発言が残っている。「今はまだ小学4年生だけど、20歳を過ぎたら親とは別の人として自立していってほしいと考えている。子どもが何か活動したりどこかへ行く時に、いつも母親と一緒ではなく、介助者と一緒に行くという形を作っていきたい。障害をもった人が生きていく力、自己主張していく力を身につけていくには子ども期が重要だと思う」。その後、介護派遣を始め、徐々に介護者の人数と派遣日数を増やしていった。

2 コーディネーター

数年後の自立生活を想定し、高校1年生の時に、岡部くんの介護を5年ほど続けていた中田了介くんにコーディネーターを私から引き継いだ。岡部くんに適度に振り回され、適度に提案やセーブもできる、そういう位置取りで介護をしている中田くんが適任だと判断した。自立後も岡部くんらしさを支えていく上で、中田くんが大きな役割を果たしている。

3 自立生活のスタート

岡部くんは、2011年の3月に高校を卒業し、4月から市内の生活介護事業所に通い、そこにもある程度慣れたタイミングで、7月から市内のアパートで自立生活を始めた。岡部くん自身の力(自己肯定感やそれぞれの介護者を使いこなせる経験値など)がすでに十分あり、介護者も9人のうち5人が岡部くんの介護を5年以上経験しているという恵まれたスタートだった。

この時の三鷹市の支給決定時間は行動援護、身体介護、家事援助、移動支援の合計で月374時間。2014年4月の改正により、同年5月から重度訪問介護で月531時間という形に移行した(自立した日から、通所時間と月に1回実家へ日中帰る時間以外、介護者は毎日24時間付いている)。

4 課題

自立から6年経つが、この間特に大きなトラブルや問題は起きていない。

しかし、この間体重は増加し中性脂肪や尿酸値の値も上昇している。コーディネーターや介護者は、健康を維持していくことと、岡部くんの食べたい欲求などとの間で日々悩みながら、折り合い所を探し続けている。

(すえながひろし 自立生活センターグッドライフ)