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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年8月号

札幌市営地下鉄の取り組み

高辺輝樹

1 バリアフリー対策

地下鉄駅のバリアフリー対策としては、昭和51年の東西線開業時に、視覚障害者団体からの要望を受け、東西線の各駅に視覚障害者誘導用ブロックを敷設したことが最初の取り組みでした。

その後、昭和53年の南北線延長時に既設駅を含め南北線に視覚障害者誘導用ブロックを整備し、新たな路線開業時に合わせて整備を行なってまいりました。

また、昭和57年から各駅へのエレベーター設置に取り組み、平成23年、全駅設置が完了したところです。

2 視覚障害者誘導用ブロック

昭和51年東西線開業時から随時、障害者団体などと配置などについての協議を進めながら、視覚障害者誘導用ブロックの敷設を進めましたが、当時は点状ブロックのみの敷設でした。

昭和63年東豊線開業時には、昭和58年に策定された「公共交通ターミナルにおける身体障害者用施設整備ガイドライン」等の趣旨を踏まえ、再度障害者団体と協議を行い、点状ブロックと線状ブロックでの整備を行いました。

平成12年、「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」、いわゆる「交通バリアフリー法」の施行に伴い、平成13年には視覚障害者誘導用ブロックがJIS化されたことから、平成15年から白杖や足で触ると方向が分かるよう線状の突起を加えた点字ブロックの敷設を進め、平成22年に全駅において整備が完了いたしました。

3 段差の解消(EVの設置)

地下鉄駅は、全49駅中地上駅が4駅あり、その他の駅はすべて地下に設置されております。

昭和46年の南北線開業当時は、地上とホームを結ぶ移動経路はすべて階段となっており、車いす利用者や高齢者にとっては非常に利用しづらい構造となっていました。

昭和57年から、大通駅等主要駅にエレベーターを設置し、駅の段差の解消に努め、新たなエレベーターの設置に向けては、駅周辺地上部の用地取得や駅構造の問題など多くの課題がありましたが、平成23年度までにすべての駅にエレベーターの設置が完了し、全駅の段差解消が図られました。

今後は、超高齢社会を見据えた利便性の向上や、上下移動の負荷を軽減することを目的に、地下鉄駅におけるエレベーターの増設を行うなど、さらなる充実を図っていきます。

4 駅ホームにおける安全対策

駅ホームにおける線路への転落や列車との接触事故防止対策として、平成21年3月に東西線、平成25年3月に南北線、平成29年3月には東豊線への可動式ホーム柵設置が完了しました。

これにより札幌市の地下鉄駅は、すべてのホームへの可動式ホーム柵設置が終了し、ホームでの安全が大きく向上しました。

5 その他のバリアフリー対策

平成12年11月「交通バリアフリー法」が施行され、同時に施行された「移動円滑化基準」への対応が公共交通事業者に課せられました。この基準は、旅客施設を新設、または大規模改良を行う際の「義務基準」として規定され、1日の利用人員が5,000人以上の旅客施設が対象とされました。

札幌市の地下鉄においては、すべての駅でこの義務基準が該当しており、平成16年から7年計画で、下記の内容について整備を行いました。

1.車いす対応の身障者トイレ

2.視覚障害者誘導用ブロック

3.エレベーター及びエスカレーターの音声案内

4.駅構内及びトイレの触知図

5.出入口、改札口、トイレの音響案内

6.点字料金表

これらの整備にあたっては、視覚障害者団体や盲学校の教諭、眼科医等有識者で構成する「地下鉄駅等バリアフリー化検討委員会」を立ち上げ、整備内容の確認を行いながら円滑に進めてまいりました。

6 おわりに

地下鉄は、障がいをおもちの方を含めさまざまな方にご利用いただいております。現在よりもさらに利用しやすい地下鉄駅となるよう、ハード面の整備を進めることはもちろんのことですが、最終的には駅職員の対応、いわゆるソフト対策としての「心のバリアフリー」が重要であると考えます。そのため、事業者として障がいをおもちの方のニーズを適切に把握し、心の込もったサービスの提供が行えるよう障害者団体等と連携を図りながら支援策を培い環境を整備していかなければならないと考えており、今後も、バリアフリー対策を進めるにあたり、職員はもとより、お客様同士でも声を掛け合えるような環境づくりに努め、公共交通機関として安心して地下鉄をご利用いただけることを目指してまいります。

(たかべてるき 札幌市交通局高速電車部業務課)