「リハビリテーション研究」1971年10月(第4号)

世界を広げよう
  ─住宅障害者サービスにおける最近の進歩─
H.Rusalem
  障害児の教育的措置の実際
  ─視覚障害児と肢体不自由児の場合における比較─
M.W.Weishahn
R.Mitchell
  重複障害をもつ脳性マヒ児について
   最近、重複障害児の教育に関心があつまっている。しかし、この領域の研究や調査はまだかなり立ち遅れていて、参考とすべき資料はじゅうぶんでない。2年前に、J.Wolfらは、これまで発表された重複障害児に関する主要な論文をあつめ編集して、The Multiply Handicapped Child (J.M.Wolf & R.M.Anderson〔ed. 〕,Thomas,1969)という本を出した。これはさまざまな重複障害児のもつ問題をはっきり知るのに貴重な本である。こうした領域に関心をもつ者は、一読すれば多くの示唆を受けることができよう。
  この本はしかし、聾精薄や盲精薄などあらゆる重複障害を扱っている。そこで、筆者は主として重複障害をもつ脳性マヒ児についての問題を概観することを目的として、この本から2編の論文を選び、理解を助けるために他の文献から1編の論文を選んで、あわせ紹介することにした。
  論文執筆者の意図をなるべく正確に伝えるため、要旨紹介でなく、ほとんどそのまま訳してある。筆者の力量不足による誤訳などがあると思われるので、不明の点は原論文を参照されたい。
   3編の論文によって、1.重複障害児の評価のしかた、2.脳性マヒには、どのような重複障害がどれほど付随しているか、3.中度精薄脳性マヒ児の指導では何が必要とされるか、などについて、おおよそ知ることができよう。
  これらの論文の紹介によって、重複障害をもつ脳性マヒ児の理解と指導について、何か参考になるところがあればさいわいである。
(東京都心身障害者福祉センター 中司利一)
  障害児の分類についての提案 R.S.Holt
  脳性マヒと重複障害 J. M. Wolf
R. M. Anderson
  脳性マヒを伴った精神薄弱児の諸問題 R. Shakespeare
  痙直性マヒ者評価コースの手びき 英国痙直性マヒ協会
〈書評〉
  E.W.Ayrault著「障害をもつティーンエイジャーを成熟させるには」
G. Nigro
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