III. 避難時の対応 【概要】 ・一般の指定避難所における障害者のための対応については、「要配慮者向けの配慮スペースの準備(25.6%、132件)」、「設備のバリアフリー化(22.3%、115件)」、「要配慮者窓口や担当者の配置(13.4%、69件)」などが挙げられたが、「その時の実情に応じて判断・対応するため一概に言えない」との回答が62.8%(324件)で最も多かった。<問3-1> ・指定避難所における障害者への対応についての課題としては、「専門職の人員確保が難しい(57.4%、296件)」、「バリアフリーを含めた設備面での対応が困難(52.9%、273件)」、「専門知識を有する人材や組織との連携が難しい(51.7%、267件)」などが挙げられている。<問3-3> ・一方で、「避難所運営ガイドラインに障害者への配慮事項を盛り込んでいる(33.5%、173件)」、「避難所運営の研修や訓練で障害者の配慮事項を伝えている(25.6%、132件)」との回答もある<問3-2>。 ・福祉避難所について平時から行っていることとして、「場所などの情報を開示・周知している(44.6%、230件)」、「福祉避難所の設置や運営に関するガイドラインを作成している(20.5%、106件)」などが挙げられている。<問3-4> ・福祉避難所の情報開示に関しては、「ホームページや広報などで原則としてすべての福祉避難所の情報を公表している」との回答が43.8%(226件)あった<問3-4-2>。 ・応急仮設住宅に関して、一般の仕様とは異なるバリアフリー仕様の仮設住宅(「福祉仮設住宅」等)を想定しているか尋ねたところ、「まだ検討できていない(28.7%、148件)」、「想定しているが具体的な検討や計画はできていない(20.2%、104件)」などの回答があった一方、「応急仮設住宅全般についての検討がこれからである」との回答が39.3%(203件)と最も多い。<問3-6> ※内閣府より「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」が示されているが、障害者の広範な支援ニーズに対し、なお具体的な想定や対応が難しい面があるようだ。 ※応急仮設住宅については、仮設住宅の供与は都道府県が実施することや、国レベルの新しいガイドラインが示されていないことなども、市町村での検討が進まない背景にあるのではないか。 問3-1 貴自治体では、一般の指定避難所における障害者のための対応を準備・想定していますか。【複数回答】 問3-1のグラフ 1.要配慮者窓口の設置、担当者の配置またはその準備をしている 69件 13.4% 2.要配慮者アセスメントシートを準備している 14件 2.7% 3.手話通訳者、要約筆記者の配置、または要請方法の準備をしている 25件 4.8% 4.介助者や同行援護者の配置、または要請方法の準備をしている 8件 1.6% 5.要配慮者向けの配慮スペース(休める場所や間仕切りなど)を確保・準備している 132件 25.6% 6.設備のバリアフリー化(スロープ、トイレの設置等)を行っている 115件 22.3% 7.視覚障害者や車いす利用者が、トイレや食糧受給のため移動可能な動線を確保している 17件 3.3% 8.障害者向け放送(福祉情報番組や目で聴くテレビなど)を流すことにしている 5件 1% 9.配慮を呼びかけるチラシやポスターを準備している 8件 1.6% 10.福祉用具(日常生活用具・補装具、その他筆談ボード等の用品)を備蓄・準備している 44件 8.5% 11.支援者(手話通訳者等を含む)用のビブスや腕章、バンダナ等を整備・準備している 23件 4.5% 12.必要な人を福祉避難所へ移送するための判断基準や手順を準備している 64件 12.4% 13.その時の実情に応じて判断、対応するため、一概に言えない 324件 62.8% 14.一般の指定避難所での受け入れは想定していない 15件 2.9% 15.避難所に来られない障害のある在宅・自主避難者の安否確認・物資供給の準備をしている 18件 3.5% 16.その他 26件 5% 回答なし 14件 2.7% 回答者数 516件 100% ■「その他」の回答 内訳(主なもの) <地域との連携> ・各避難所において地域と合同で運営マニュアルを策定している。障害者のみならず、高齢者等への配慮は、各マニュアル毎に配慮されているものになっている。 ・ヘルプカード活用等。また、指定避難所の運営主体である地域団体等が、事前の協議等に基づいてスペースの設置等必要な配慮を行っている。 <設備備品やスペースの準備> ・オストメイトトイレを一部の避難所に配備している ・トイレの備蓄、災害用簡易トイレの配備 ・軽度の障害者や高齢者については小中学校(指定避難所)の空き教室を活用した避難所のレイアウトを検討している。 <その他の課題> ・一般の避難所での受け入れについては想定しているものの、現状では避難所の一部バリアフリー化や車椅子の準備程度。今後、障害者自立協議会を中心に検討していきたい。 問3-2 一般の指定避難所において上記の対応をするため、避難所の運営者向けにどのようなことを行っていますか。【複数回答】 問3-2のグラフ 1.避難所運営の研修や訓練を行い、障害者への配慮事項を伝えている 132件 25.6% 2.避難所運営のガイドラインを作成し、障害者への配慮事項を盛り込んでいる 173件 33.5% 3.避難所運営のガイドラインを作成し、冊子、電子データ、テキストデータなどを、避難所運営者が活用できる形で公開・配布している 93件 18% 4.障害者団体、支援団体との協定または平素の連携・協議により避難所運営の支援を受けられるようにしている 29件 5.6% 5.他自治体からの福祉専門職の派遣を受けられるように準備している 11件 2.1% 6.自立支援協議会またはその他の障害者福祉に関する協議会において、避難所運営に関する協議を行っている 17件 3.3% 7.避難所の設備、備品、備蓄などについて、特に障害者支援を想定した予算組みや助成などを行っている 27件 5.2% 8.その他 83件 16.1% 回答なし 157件 30.4% 回答者数 516件 100% ■「その他」の回答 内訳(主なもの) ・特になし、進んでいない(36件) ・ガイドライン/マニュアルを作成予定(14) ・検討中/今後検討(9) ・福祉避難所を利用する(3) ・自立支援協議会において災害時の体制について協議 ・ヘルパー等を派遣する ・各避難所運営モデル作成予定 問3-3 一般の指定避難所において障害者への対応が難しい場合は、何が課題となっていますか。【複数回答】 問3-3のグラフ 1.専門知識を有する人材や組織との連携が難しい 267件 51.7% 2.ヘルパー等専門職の人員確保が難しい 296件 57.4% 3.予算が確保できない 105件 20.3% 4.一般避難所ではバリアフリーを含めた設備面で対応が困難である 273件 52.9% 5.障害者と障害者でない人を区別するのが困難である 117件 22.7% 6.避難所運営関係者への障害者支援に関する研修や啓発が進まない 114件 22.1% 7.何から始めてよいか分からない 92件 17.8 % 8.その他 17件 3.3% 回答なし 23件 4.5% 回答者数 516件 100% ■「その他」の回答 内訳(主なもの) ・指定避難所において十分なスペースの確保ができない避難所がある。 ・障害者の定義が一括りにできないため、対象に合った対策を行うこと自体の定義が難しい。 ・地域の障害に対する理解が進まない/障害者と接していない地域の方が、障害特性に応じた支援を行うことは困難である。 ・各避難所における状況が異なるため、統一されたマニュアルなどでは対応しきれない事案も想定される/要配慮者スペース等の整備や対応が一次避難所によって様々である。 問3-4 貴自治体が指定している福祉避難所について、その機能を高めるために平時から行っていることはありますか。【複数回答】 問3-4のグラフ 1.福祉避難所の設置や運営に関するガイドラインを作成している 106件 20.5% 2.福祉避難所運営の訓練・研修を行っている 75件 14.5% 3.福祉避難所連絡会を開催している 20件 3.9% 4.指定された福祉避難所の場所などを情報開示・周知している 230件 44.6% 5.水、食料等の備蓄、またはそのための助成などを行っている 67件 13% 6.福祉用具(日常生活用具・補装具等)・医療用品、情報関連機器を整備している 42件 8.1% 7.その他避難所に必要な物品(窓ガラス飛散防止用フィルムなど)を整備している 21件 4.1% 8.ラジオなどの情報機器を整備している 46件 8.9% 9.行政担当者と災害時にもつながる緊急電話等の通信手段を整備している 60件 11.6% 10.福祉避難所の整備や訓練等全般に関する補助金、助成金等の支援を行っている 10件 1.9% 11.障害者団体・支援団体と、人材の提供や避難所運営について合意や協定を結んでいる 46件 8.9% 12.他自治体から福祉専門職の派遣を受けられるよう準備している 5件 1% 13.自立支援協議会またはその他の障害者福祉に関する協議会において、福祉避難所の設置や運営に関する協議を行っている 16件 3.1% 14.その他 78件 15.1% 回答なし 101件 19.6% 回答者数 516件 100% ■「その他」の回答 内訳(主なもの) ・特にない(30件) ・作業中、検討中、今後予定(福祉避難所指定、研修、福祉避難所連絡会、福祉避難所周知、ガイドライン)(12) ・協定の締結または連携(高齢者・福祉施設、福祉用具供給協会、社協、介護団体、訪問看護ステーション協議会等)(11) ・訓練、研修の実施(避難所開設訓練、HUG、BCP研修等)(4) ・地域防災計画に掲載(2) ・電源、発電機の確保(2) ・備品の整備(間仕切り、段ボールベッド、戸別受信機、その他物資等)(2) ・福祉避難所の設置や運営に関して、市と随時意見交換 ・県を通じて他市町村に受け入れてもらうよう調整 ・福祉避難所による防災訓練時に町防災担当者(防災士)を派遣し、指導、助言を行っている ・福祉避難所を、福祉係事務所の保健センターにしている ・一部事務組合の福祉施設を指定、村から備蓄品提供 問3-4-2 福祉避難所の情報を開示していると回答した自治体にお聞きします。情報開示の方法や、開示の際に行っている工夫について、該当するものがあればすべてに○をつけ、必要に応じて貴自治体の事例を記載してください。【複数回答】 問3-4-2のグラフ 1.ホームページや広報などで原則としてすべての福祉避難所の情報を公表している 226件 43.8% 2.医療的ケアの必要な人向けの福祉避難所情報は開示しないなど、避難所の機能等によって開示の有無を分けている 4件 0.8% 3.福祉避難所情報は一般公表しないが、要配慮者など必要な人にのみ平時から情報を開示している 7件 1.4% 4.問い合わせに応じてその都度判断して開示するなど柔軟に対応している。 51件 9.9% 5.その他 24件 4.7% 回答なし 215件 41.7% 回答者数 51件 100% ■「その他」の回答 内訳(主なもの) ・防災マップ、ハザードマップに掲載(7件) ・地域防災計画、障害者基本計画に掲載(5) ・ホームページで公表(5件。うち「福祉避難所の施設名・施設住所・受入対象者・法人名を公表」1件) ・チラシの各戸配付 ・協定を結んだ施設のうち、開示を合意したもののみ開示している 問3-6 応急仮設住宅に関してお聞きします。過去の事例から、障害者や高齢者が仮設住宅で生活することは困難な場合が多いですが、貴自治体では、災害時の応急仮設住宅の計画を立てる際に、一般の仕様とは異なるバリアフリー仕様の仮設住宅(「福祉仮設住宅」等)の設置・確保(建設または借り上げ)等について想定し計画に含めていますか。該当するものに○をしてください(複数回答可)。 問3-6のグラフ 1.バリアフリー仕様の仮設住宅について想定をしているが、具体的な検討や計画はできていない 104件 20.2% 2.バリアフリー仕様の仮設住宅の設置場所または確保(借り上げなど)の見込みや、必要戸数について、検討を行っている、または計画 14件 2.7% 3.バリアフリー仕様の仮設住宅への、入居者の調整や手続きの方法について検討している、または計画を立てている 4件 0.8% 4.バリアフリー仕様の仮設住宅についてはまだ検討できていない 148件 28.7% 5.応急仮設住宅全般についての検討がこれからである 203件 39.3% 6.応急仮設住宅全般の仕様を障害者や要支援の高齢者に対応可能なユニバーサルなものとするよう検討している 3件 0.6% その他 33件 6.4% 回答なし 46件 8.9% 回答者数 516件 100% ■「その他」の回答 内訳(主なもの) ・都道府県が担当する。(16件) ・事例・計画なし/不明(8) ・都道府県が担当するが、スロープありの仕様がある。(2) ・都道府県に進言・要望する/した(2) ・高齢者仕様を想定、戸数等は県が計画策定する(1) ・必要に応じて対応する ・応急仮設住宅全般の仕様を障害者や要支援の高齢者に対応可能なユニバーサルなものとするよう検討している