音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

指定発言

小山 貴 社会福祉法人 ひまわり会 就労継続支援B型事業所 すてっぷ 施設長

岩手県から参りました。この間のご支援に感謝いたします。

私は東日本大震災が発生してから5年間、沿岸部で障害のある人たちの支援の活動をしていました。東日本大震災では、特に障害のある人の死亡率がそのほかの人の死亡率の2倍だったことも含め、震災によって表に出たいろんな問題を解決しなければいけないという思いで取り組んできましたが、国や行政による検証はなかなか行われません。検証されないと次につながらないのではないか、と思っているところで熊本の地震が起き、同じような問題が生じたのを見て、やりきれない思いでいっぱいでした。多分、東日本大震災が起きたときに、阪神・淡路大震災を体験された方は、同じような思いを抱いたのだろうなと思います。これをどう考えたらいいのか、なかなか難しい状況で、各地で大きな災害が起こるたびに、どうしたらいいんだろうという気持ちになってしまう毎日です。

被災した地域であれば、新しい取り組みがなされているかといえば、7年9か月過ぎた今でも、それがきちんとできていない地域もあります。この間、避難行動要支援者名簿と、個別の避難計画を作るように法律が変わりました。私の自治体では策定率が100%になっているのですが、私の作業所のメンバーは、きちんと計画が立てられている人はいません。その市町村の取り組みの違いによって、数字は整っているけれども、実際の計画は整っていないという場合もあるのです。

私は、この2年間に台風で川が氾濫する恐れがあるというので、地域の避難所に避難者として2回避難しました。昔から川が暴れる地域でしたので、高齢の方が子どもたちに、過去の経験や言い伝えを子ども会単位で伝えていて、避難準備情報が出たときには、子どもも、お年寄りも、障害のある人も避難する必要があるということを、小学生でも理解していました。1回目の避難のときには、それがきちんと実践されていて、地域の独居のお年寄りや障害のある方も、避難所に入ることができました。

つい2か月前に、また台風が来て川が決壊するかもしれないと言われたときは、地域の民生委員さんが体調を崩して家にいませんでした。しかし、民生委員さんが持っている情報を別の人が見られるのかどうかも分からず、避難は各人任せの状況になってしまいました。その中で、あの人はこれ以上夜遅くなって避難することは難しいので、今避難をしてもらおうというふうに、気づいた人が連絡を取り合って、避難所に誘導する形になりました。たとえ計画があっても、それはあくまで計画であって、それを実行するのも人間です。その人に何かあれば計画が実行されないこともあるのだなと感じました。最終的には、皆さんがこれまでお話しされたように、地域の中で、お隣の誰々さんを具体的にどうするのかということが、肝になるのかなと思います。

地域ごとで人を守るという考えでなければ、多分厳しいと思います。今日お話しを伺った、別府や、神戸、愛媛などの、各地域での考え方や実践を、全国の皆さんと共有できる仕組みができればいいなと思います。