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第6回障害者権利条約締約国会議における国際連合日本政府代表部久島直人公使の声明

2013年7月19日

大統領閣下、
各国大使の皆様、
各国代表の皆様、
ご列席の皆様、

このたび、第6回障害者権利条約締約国会議において、署名国として声明を発表する機会をいただきましたことを感謝申し上げます。

この条約は、障害のある人々の人権と基本的自由を確認する、歴史に残る合意です。日本は2007年にこの条約に署名して以来、集中的に制度改革を進め、条約締結に向けて取り組んでまいりました。2009年に内閣府に設置された障がい者制度改革推進本部は、内閣総理大臣を長とし、すべての大臣が参加して、改革を主導してきました。特に、2011年には障害者基本法が改正され、「合理的配慮」という法的概念が、日本の国内法で初めて明記されました。さらに、今年6月には、障害者雇用促進法が改正され、新たな障害者差別解消法が制定されました。

大統領閣下、

この条約で述べられている雇用の可能性を確保するという目標を実現するために、日本の改正障害者雇用法では、障害を理由とする、雇用にかかわる不当な差別を禁じております。さらに、同法では、障害のある従業員に合理的配慮を提供するという雇用主および事業主の義務も規定しております。2012年6月現在、民間企業で働いている障害のある従業員の数は、前年度から4.4%増加し、382,000人となりました。また、民間企業における障害のある人々の法定雇用率は、今年4月に1.8%から2.0%へと引き上げられました。これらの取り組みにより、障害のある人々の労働の権利が守られ、促進されるものと願っております。

障害者差別解消法は、市民社会、特に障害のある人々の団体からの要求に応えて制定された、画期的な法律です。これは、障害者基本法の原則を具体化し、民間企業と国家政府および地方自治体による、障害を理由とした不当な差別を法的に禁じ、さらには、政府に対し、合理的配慮を提供する義務を課すものです。日本の国内法の開発は今後も進められていきますが、条約の原則は、引き続き、ますます反映されていくことでしょう。

大統領閣下、

日本は、開発途上国における障害のある人々のエンパワメント促進と社会へのインクルージョンに向けた国際協力の役割を、大いに重視しております。日本政府は政府開発援助(ODA)を通じて、さまざまな協力の取り組みを続けてきました。たとえば2009年には、マレーシアにおいて、「障害者の社会参加支援サービスプロジェクト(フェーズ2)」と称する技術協力プロジェクトが開始されました。このプロジェクトの目標は、障害のある人々への支援を通じて、このような人々が仕事と職場に適応できるようにする、雇用増加を目的とした「ジョブコーチシステム」の設立による、障害のある人々の社会参加の促進です。

日本はまた、人間の安全保障を基本とした、アジア太平洋地域の障害のある人々のための政策開発に、大いに貢献してきました。アジア太平洋障害者の10年(2013‐2022)の行動計画であるインチョン戦略は、アジア太平洋地域と、実に世界に対して、地域で合意の得られた障害インクルーシブな一連の開発目標を、初めて提供しています。また、これには、日本の外交政策における重大な関心分野である、障害インクルーシブな災害リスクの軽減と管理の促進という視点が含まれています。日本代表団は、この分野における経験と知識をもって、インチョン戦略の実施に貢献できると信じております。

大統領閣下、

条約締結のための日本の条件は今、満たされつつあり、障害のある人々にかかわる政策は改善されました。さらに我々は、9月に開かれる、障害と開発に関するハイレベル会合を楽しみにしており、障害のある人々の人権促進に向けた機運の高まりが見られることを願っております。これらの機会を利用して、日本は、障害のある人々の人権の保護と促進、およびその尊厳の尊重に取り組み続けます。

ご清聴ありがとうございました。


原文
Statement by Mr. Naoto Hisajima
Minister, Permanent Mission of Japan to the United Nations
at the sixth Session of the Conference of States Parties
to the Convention on the Rights of Persons with Disabilities
19 July 2013
http://www.un.emb-japan.go.jp/jp/statements/hisajima071913.html