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第3回国連防災世界会議
ワーキング・セッション
Disabilities in Inclusive Disaster Risk Reduction for All
(ワーキング・セッション:インクルーシブな災害リスク軽減における障害者の積極的な参加)

発表者リスト

モデレータ

  • モンティエン・ブンタン、国連障害者権利委員会/タイ国上院議員

開会挨拶

  • 笹川陽平、日本財団会長

パネリスト

  • セタレキ・マカナワイ(Setareki Macanawai)太平洋障害フォーラム最高責任者
  • マーシー・ロス(Marcie Roth)アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁障害者担当局(FEMA)
  • ソニア・マルガリータ(Sonnia Margarita)世界盲ろう者連盟、エクアドル
  • 秋山さとこ、浦河べてるの家、日本
  • ポール・ジョローゲ(Paul Njoroge)、ケニヤ上院議員

閉会の挨拶

  • Zanda Kalnina-Lukaševica, ラトビア外務省副大臣

概要

  • 笹川陽平氏は、世界人口の15%の10億人は障害を持っていること、一般の人と比べて災害の影響が大きいことなどを述べた。また東日本震災においては調査から障害者の死亡率は住民全体の死亡率の2倍から4倍であったことが述べられた。障害者がコミュニティにおいて防災のデザイン、計画、実施のプロセス、また障害者がコミュニティ全体におけるレジリアンスの開発に貢献する機会から排除されている。つまりコミュニティにおける重要なステークホルダーとして認められていない。こういった状況に対して日本財団は、国連機関、国際団体等と共同で取り組んでおり、2012年の4月に国連専門家会議「アクセス可能な情報コミュニケーション技術(ICTs)の促進による共生社会の構築と開発;新たな課題と傾向」(http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/intl/un/egm.htmlにリンク)をDESAとの共同開催で、2014年の4月に「障害者も参加する防災アジア太平洋会議(仙台会議):知識を通じて固定観念を変えよう」(http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/bf/sendaiprogram140422.htmlにリンク)をESCAPやRIと共同開催をした。これまでの国連ISDRの会議では初めてとなる障害者も参加するインクルーシブなDRRのセッションがもうけられたことは重要である。日本財団、日本政府、仙台市などによる支援により、物理的および情報のアクセシビリティも配慮された。日本財団が今回の会議で推し進めた”Disability Inclusive” と概念が、DRRの分野だけにとらわれないで今年の9月に採択されるポスト2015開発アジエンダというグローバルな開発の枠組みにも貢献するものであってほしいとまとめた。
  • 視覚障害者であるセタレキ・マカナワイ氏は、視覚障害者で排除することはコストがかかり、インクルージョンはレジリアンスへの鍵となる(Exclusion is costly and inclusion is key to resilience )という観点から意見を述べた。防災において、誰も置き去りにしない(No one is left behind)こと、特に脆弱な障害者を置き去りにしないことは重要であるが、障害者は、コミュニティにおいて発展に貢献できる可能性と障害者側からの意欲あるグループであることを述べた。アジア障害フォーラムのDiDRRのネットワークが取り組む障害インクルシブルナDRRのイニシャチブに言及し、障害者の完全で効果的な参加の重要性を強調した。障害者を含むすべての人を含む災害軽減のマネジメントは持続的な開発に貢献するものであると述べた。
  • マーシー・ロス氏は、FEMAにおいて障害者担当局を2010年に設立し、万人にアクセス可能で 生存者中心で、インクルーシブな緊急管理を達成しようとするコミットメントを述べた。  これまでの経験から、障害者のニーズに対処する隔離された、特別な計画を策定することが間違いで、コミュニティ全体のアプローチを支援することを強調した。そしてコミュニティ全体の参加には、地方、地域、そして国と全国レベルの防災活動とプログラムに対して差別のない平等なアクセスが必須であること、すべて人の平等なアクセスと機能的なニーズに応じること、計画のすべての面で継続的で積極的な関与と活動が必要であると述べている。
  • べてるの家による寸劇が行われた。
  • ソニア・マルガリータ氏は、盲ろう者であり、障害と重複の障害を持つ子どもに取り組み、大学で教鞭をとっている。DRRにおいては、政府は、権利条約の11条を基に障害者をサポートしなければならない。緊急事態において事前の訓練はとても必要である。学校では子どもたちに聴覚障害者や盲ろう者とどのようにしてコミュニケーションをとるのか、教えるべきであると述べ、手話によるコミュニケーション、異なった言語によるコミュニケーションについて情報へのアクセスの観点から言及している。
  • 車いすのジョローゲ氏は、ケニヤの干ばつなど災害の経験から学んだこと、DRRにおけるコミュニティの役割の重要さと災害が起こった時に最初に対応するところでもあるのでコミュニティのキャパシティ・ビルディングが必要であることが述べられた。
    またケニヤの障害者の利益を代弁する国会議員として、当事者も参加するDRRの推進について積極的に述べていく必要があると考えている。その結果として世界73カ国の障害者を代表する国会議員と共に世界会議を始め、2015年9月23日から27日に障害者のグローバル同盟会議をケニヤ政府の支援により、ケニヤがホストを予定していると述べて、多くの人の参加を呼びかけた。

会場からの発言

  • 国連事務局経済社会局障害者権利条約事務局チーフである伊東氏は、「Inclusion saves Lives」のキャンペーンについて、JICAの担当職員は、活動における障害の主流化とDRRについて、またJICAのインクルーシブなDRRにおける役割について述べた。
  • 内閣府の赤澤防災担当副大臣は、駅にエレベータの設置など物理的なアクセシビリティは、日本の20年前と比較すると良くなっているが、情報のアクセシビリティはまだまだであると述べた。障害者を含めた防災の観点から企画、実施そして全ての段階で、障害者の方が参加できるよう、日本政府としてもきちんと努力を続けることを約束した。
  • ラトビアの外務省副大臣は、EU理事会の議長国としてイニシャチブを取り、当事者も参加するDisability-inclusiveなDRRを新しい戦略として、EU諸国に呼びかけ、専門家による国際的なワークショップを開催したこと、その結果、EUメンバー諸国とEU委員会に何らかの行動を起こすこと、災害リスク管理についてより障害を含むインクルーシブであることを求めるEU理事会結論を採択した。その結論は、行動の原則と枠組みが設定した。最初にEUメンバーは、障害を含むインクルーシブな災害リスク管理が個人で始まり、自助の原則を考えることに同意した。またNGOはこの分野において、常に重要な知識と経験の持ち主となるので重要な役割を担うべきである。国は、災害リスク管理において、障害者のニーズが様々であることとこの事実は無視されるべきではないことに留意すべきであるとしている。上記3つのレベルが協力しあって、障害者のニーズを政策の促進、リスク分析、災害のマネジメント計画、その他の関連する法律文書に組み込まなければならないとしている。最後にこれらの行動を通してEUが手を取り合ってグローバルなアジエンダに取り組んでおり、DiDRRが排除されないことを強調した。

会場の様子

  • モンティエン・ブンタンのまとめの際、仙台防災枠組みのテキストに障害について詳細な統計も含まれることについて含まれたことが述べられた。

ワークショップの内容の詳細は、以下を参照。
http://www.wcdrr.org/conference/events/880