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「障害者と防災」に関する当事者アンケート 報告

【目次】

<数値データも含むテキストデータはこちら>


 

「障害者と防災」に関する当事者アンケート 報告

2016年5月
日本障害フォーラム(JDF)

【この調査について】

□東日本大震災発生から5年を機に、JDF、NHKが実施。(日本財団助成)

 JDFでは、日本財団の支援を受けつつ、東日本大震災の発生以来、被災障害者の支援と、 障害と災害に関する提言、啓発を行ってきた。またNHK制作局(文化・福祉番組部)では、 従来からJDFとの連携を行ってきたが、「ハートネットTV」において震災5年の特集番組を企画することとなった。 このような経緯から、この共同の当事者アンケートを実施した。

調査期間 2015年12月28日(月)~2016年2月10日(木)
調査方法 (1)アンケート調査票を障害者関係団体を通じて団体会員・関係者等に配布し、回収
      (電子メール、郵送、FAX)※支援者等による代筆を含む
     (2)同内容のWEB回答フォームをインターネット上に公開
調査対象 災害時(避難時など)に支援を必要とする在宅暮らしの障害当事者等
回答件数 1,877件
実施主体 NHK、日本障害フォーラム(JDF)(日本財団助成)

※「ハートネットTV」およびJDF「第五次報告会」(2016年3月9日)では回答数1,809件の速報値が報告されたが、 本報告は速報集計以降に届いた68件の回答を加えて集計したものである。

 

□回答者は、障害者関係団体を通じて配布した紙調査票による回答が84%
 一般公開したWebアンケートによる回答が16%

 したがって、障害当事者の中でも、日ごろから障害者団体や福祉事業所等につながり、 福祉等の施策に比較的意識の高い層が多いことが推測される。

 

□平成28(2016)年熊本地震の発生前に実施
 しかし多くの普遍的課題が読み取れる

 障害者を含む要支援者に関わる課題については、 東日本大震災発生以前から官民において多くの取り組みが重ねられてきたが、 熊本地震においてもなお共通の課題が見て取れる。
 熊本地震では、長引く余震の影響から、車中泊・テント泊の多発など、 地震発生から一定時間経過後の避難のあり方に問題が生じている。 余震への恐怖や避難所暮らしへの不安は、すべての住民に共通しているが、 障害者の場合は、避難所におけるバリアフリーを含めた居住性、情報保障、 無理解・偏見など、従来から指摘され続けている課題がこれにプラスされる。 避難生活におけるこうした不安は、避難行動自体を行わないという選択にもつながり、課題解決が求められる。

【結果概要】

□要支援者名簿、個別計画、福祉避難所などの言葉を知らない人が51%
 名簿登録者は22%、個別(避難)計画作成者は5%

 これらの施策がより有効に機能するためには一層の努力と工夫が必要と言える。  なお本報告執筆時点で、熊本地震において避難行動要支援者に関わる施策がどの程度効果を上げたかの検証はなされていない。 地震発生後の安否・ニーズ確認においては、避難行動要支援者名簿の整備状況や、 同名簿は対象範囲が限られるなどの理由から、主として障害者手帳の名簿が活用されているのが実情である。

 

□避難指示で避難所に行くと答えた人は53%、「分からない」が26%
 福祉避難所の場所を知らない人は76%

 避難所に行く、または行く可能性がある(分からない)との回答が大半を占めることからも、 豪雨や水害などで避難のための準備時間が比較的ある場合や、熊本地震のように本震発生以降の避難行動の必要性も考慮し、 避難行動支援の実効度を高める努力がさらに求められる。  避難所に行かない(または分からない)理由を見ると、避難所生活はバリアフリーを含めた居住性、 情報保障、無理解・偏見などの課題から、自分にとって「到底無理」、 「自宅が倒壊しないかぎり自宅で過ごしたい」という意見が根強い。 このことは、熊本地震で破損した自宅に留まったり、車中泊やテント泊を選ぶ人が数多い事実と符合する。 避難所に関わる課題の解決は、円滑な避難行動を促すうえでも重要であると言える。  なお記述回答では、多くの障害者にとって、福祉避難所が自分の障害に適したものであるか、 そもそも自分が行くことのできる場所にあるかを事前に知る必要性が高く、 日ごろの訓練時も含めて事前に場所や仕様の開示が必要との意見が複数見られた。
 そのような中で、熊本地震において、一般避難所をインクルーシブなものとし、 (福祉避難所の指定を受けずに)障害者を多く受け入れた熊本学園大学の取り組みは今後の参考となる。

 

□地域の防災訓練等に参加したことがない人は65%
 地域の防災計画づくり等に参加したことがない人は87%

 記述回答を見ると、「そもそも障害者の参加を想定した形になっていない」 「そのような中でただ参加しても実効性がない」などの回答が見られ、単なる無関心だけが背景とは考えられない。  一方、「訓練や計画づくりで参加の成功体験を積むことが災害時の円滑な避難につながる」 「日ごろからの交流と学習の積み重ねがあってはじめて障害者を含めた防災訓練ができる」との意見もあり、 日ごろの防災活動に障害当事者が参加していくことは、安心安全な地域社会づくりにつながるとのヒントも読み取れる。

 

□今後の大規模災害があったときの避難や防災について考えていること

 自由記述回答では、「ハートネットTV」でも紹介されたように、「(避難の大変さから)本心は、 ひと思いに命が絶たれてしまえばいいと思っている」「あきらめている」などの深刻な声がある。 一方、NPOなどの枠組みで自ら講演活動を行ったり、地域の行事に積極的に参加するなど、 障害当事者自身がさまざまな取り組みを行っている姿も見て取れる。 このような声や取り組みは、防災施策全般に十分活かされるべきであり、またこうしたことも踏まえ、 すべての人が参加できる防災を引き続き目指していかなければならない。 (文責 事務局原田潔)

 

「障害者と防災」に関する当事者アンケート 集計結果

調査期間 2015年12月28日(月)~2016年2月10日(木)

調査方法 (1)アンケート調査票を障害者関係団体を通じて団体会員・関係者等に配布し、回収
      (電子メール、郵送、FAX)※支援者等による代筆を含む
     (2)同内容のWEB回答フォームをインターネット上に公開

調査対象 災害時(避難時など)に支援を必要とする在宅暮らしの障害当事者等

回答件数 1,877件

実施主体 NHK、日本障害フォーラム(JDF)(日本財団助成)

 

■回答の方法

紙調査票Webアンケート合計
1,573
83.8
304
16.2
1,877
100.0

単位:件数、%。以下同じ

 

■このアンケートを回答している方は、どなたですか?

本人家族が代理支援者が代理回答なし合計
1,065
56.7
681
36.3
79
4.2
52
2.8
1,877
100.0

 

問1あなた(当事者)について、教えてください。あてはまるもの全てに印をつけてください。

視覚障害聴覚障害盲ろう言語障害肢体不自由内部障害知的障害 発達障害精神障害難病呼吸器ユーザー
102
5.4
323
17.2
43
2.3
129
6.9
338
18.0
78
4.2
649
34.6
259
13.8
428
22.8
73
3.9
19
1.0

胃ろう認知症要介護高齢者1人暮らしをしている 身体障害者手帳を持っている精神障害保健福祉手帳を持っている療育手帳を持っている回答なし回答者数
15
0.8
14
0.8
39
2.1
161
8.6
685
36.5
281
15.0
544
29.0
20
1.1
1,877
100.0

 

問2災害が起きた時、自分だけで避難するのが難しい理由をお聞かせください。
(自由記述項目。次項の記述回答<抜粋>参照)

 

問3防災に関する次の言葉のうち、知っているものすべてに○をしてください。

避難行動要支援者
(災害時要援護者)名簿
個別(避難)計画 福祉避難所いずれも知らない回答なし回答者数
601
32.0
299
15.9
524
27.9
961
51.2
66
3.5
1,877
100.0

問3の棒グラフ

 

問4あなたはお住まいの市区町村の「避難行動要支援者(災害時要援護者)名簿」に登録していますか?

登録している登録していない分からない回答なし合計
406
21.6
748
39.9
679
36.2
44
2.3
1,877
100.0

問4の円グラフ

→「登録していない」「分からない」と答えた人は、その理由をお書きください
(自由記述項目。次項の記述回答<抜粋>参照)

 

問5あなたは、個別(避難)計画を作成していますか?

作成した作成していない回答なし合計
91
4.8
1,676
89.3
110
5.9
1,87
100.0

問5の円グラフ

→「作成した」と答えた人は、いつ、どのように作成したか具体的に教えてください
(自由記述項目。次項の記述回答<抜粋>参照)

 

問6あなたは災害が起きて避難指示が出た場合、避難所に行きますか?

行く行かない分からない回答なし合計
1,000
53.3
191
10.2
492
26.2
194
10.3
1,877
100.0

問6の円グラフ

→行かない、分からないと答えた人は、理由をお書き下さい。
(自由記述項目。次項の記述回答<抜粋>参照)

 

問7あなたはいざという時に自分が利用できる福祉避難所の場所を知っていますか?

知っている知らない回答なし合計
366
19.5
1,421
75.7
90
4.8
1,877
100.0

問7の円グラフ


問8避難所や福祉避難所について、希望があれば書いてください。
(自由記述項目。次項の記述回答<抜粋>参照)

 

問9お住いの地域で行われている防災訓練や避難訓練などに参加したことがありますか。

いつも参加している参加したことがある参加したことがない回答なし合計
139
7.4
482
25.7
1,213
64.6
43
2.3
1,877
100.0

問9の円グラフ

 

→参加したことがある場合、どのような形で参加しましたか。
(あてはまるものすべてに○をつけてください。また、その訓練の名前もお書きください。)

一般の住民として参加障害者・要支援者に関する訓練の取り組みに参加その他回答なし回答者数
432
69.6
160
25.8
46
7.4
29
4.7
621
100.0

棒グラフ

※「その他」「訓練名」は、自由記述あり

 

→その訓練は、障害者が参加しやすいよう、どのような配慮が行われていましたか。
(あてはまるものすべてに○をつけてください)

会場や設備をバリアフリーにする 手話通訳・要約筆記の配置 資料の点字化、読み上げなど 資料に読み仮名をふったり、分かりやすい資料を配ったりする その他 特に行われていない回答なし回答者数
53
8.5
81
13.0
13
2.1
39
6.3
59
9.5
353
56.8
68
11.0
621
100.0

棒グラフ

※「その他」は自由記述あり

 

問10お住まいの地域の防災に関わる計画や施策を考えるための委員会・会議・話し合いの場に参加したことがありますか。

参加したことがある参加したことはない回答なし合計
191
10.2
1,630
86.8
56
3.0
1,877
100.0

問10の円グラフ

 

→ 参加したことがある場合、どのような形で参加しましたか。(あてはまるものすべてに○を)

委員会などの委員として ヒアリング、意見発表など 傍聴参加 その他回答なし回答者数
38
19.9
34
17.8
73
38.2
37
19.4
31
16.2
191
100.0

棒グラフ

※「参加した委員会名」「その他」は自由記述あり

 

問11障害者が参加したことで訓練の内容や防災計画などが、よくなった点があれば教えてください。
(自由記述項目。次項の記述回答<抜粋>参照)

 

問12訓練や計画づくりなどに参加したことがない場合、それはなぜですか。(あてはまるものすべてに○)

障害者を含む内容になっていない 会場のバリアフリーや、情報に関わる支援、配慮が得られない 連絡や誘いを受けたことがない その他回答なし回答者数
301
16.0
176
9.4
1,136
60.5
246
13.1
396
21.1
1,877
100.0

問12の棒グラフ

※「その他」は自由記述あり

 

問13訓練や計画づくりに障害者が参加しやすくするためには、何が必要だと思いますか。
(自由記述項目。次項の記述回答<抜粋>参照)

 

問14お住いの地域の計画、訓練は、あなたの生命や安全を守るために役立つと思いますか。

はいいいえ回答なし合計
958
51.1
468
24.9
451
24.0
1,877
100.0

問14の円グラフ

※理由として自由記述あり

 

問15南海トラフ地震や首都直下型地震など、 大規模な災害があった時のあなたの避難や防災について考えていることがありましたら、教えてください。
(自由記述項目。次項の記述回答<抜粋>参照)

 

■回答者の属性

性別

男性女性回答なし合計
939
50.1
853
45.4
85
4.5
1,877
100.0

年齢区分

10歳未満10代20代30代40代50代60代70歳以上回答なし合計
37
2.0
77
4.1
205
10.9
245
13.1
313
16.7
286
15.2
291
15.5
250
13.3
173
9.2
1,877
100.0

都道府県

北海道青森岩手宮城秋田 山形福島茨城栃木群馬埼玉
89
4.7
3
0.2
62
3.3
136
7.2
1
0.1
0
0.0
187
10.0
30
1.6
6
0.3
23
1.2
26
1.4

千葉東京神奈川新潟富山石川 福井山梨長野岐阜静岡
44
2.3
209
11.1
125
6.7
46
2.5
1
0.1
8
0.4
8
0.4
2
0.1
25
1.3
11
0.6
26
1.4

愛知三重滋賀京都大阪兵庫 奈良和歌山鳥取島根岡山
75
4.0
71
3.8
16
0.9
8
0.4
91
4.8
24
1.3
39
2.1
8
0.4
31
1.7
13
0.7
35
1.9

広島山口徳島香川愛媛 高知福岡佐賀長崎熊本大分
23
1.2
17
0.9
2
0.1
4
0.2
29
1.5
8
0.4
58
3.1
3
0.2
74
3.9
2
0.1
10
0.5

宮崎鹿児島沖縄回答なし合計
28
1.5
18
1.0
1
0.1
121
6.4
1,877
100.0

 

「障害者と防災」に関する当事者アンケート 記述回答<抜粋>

問2 災害が起きた時、自分だけで避難するのが難しい理由

  • 聞こえないので、情報が入ってこない。近所に火事があって、消防車の音を気づかなかった。 外に出たら消防車がたくさん停まっていて初めて分かった。3回経験がある。 避難中や避難所でもコミュニケーションが取れないとなすすべがない。
  • 大勢の人のいるところには、いられない。雑音、雑踏、混雑の中に入っていけない。
  • 透析中であれば、到底困難。透析施設が必要。病院からの指示に従う。
  • 停電になるとリフトを使用しているので避難が困難。ヘルパーがいないと車いすに移乗できない。 エレベーターが止まった場合完全に取り残される。
  • たとえ訓練を経験したとしても、信頼関係が築けている人のサポートがないと、 (脳外傷・発達障害などの障害特性から)ルーチン化されていないとっさの行動は取れない。
  • 知的障害があるためどこへ避難すべきかの判断や意思表示が難しい。日常生活でも支援が必要であり、災害時ではなおさら困難である。

問4 「避難行動要支援者(災害時要援護者)名簿」に登録していない(または登録したかどうか分からない)理由

  • 名簿そのものの存在を知らなかった。寝耳に水。
  • 自分の障害のことを開示したくない。障害が知られることに不安がある。個人情報が身近な地域でどう扱われるのか不安がある。
  • 対象になっていないと言われた。(療育手帳Bだと対象にならない。家族と同居だと対象にならない。など)
  • 足手まといになりたくない。地域支援者を決めることは責任を負わせるようで心苦しい。
  • 登録したように思うが、登録完了の通知やその後の更新などの連絡がなく、定かではない。
  • 家族などで避難支援することにしているため。/自宅に避難するつもりでいるため。

問5 個別(避難)計画を作成している場合、いつ、どのように作成したか

  • 町内会や民生委員と対面で話し合って決めた。地域防災支援事業や自主防災組織で支援者が決められている。消防署から声かけがあった。
  • 福祉課の聞き取りや、要支援者名簿登録時に作成した。
  • 利用している施設、事業所、グループホームで作成している。
  • 所属する障害者団体・支援者団体を通じて作成した。
  • 地域福祉課から視覚障害者団体のモデル事業として取り組んでくれ、避難所への避難訓練などを個別に行った。

問6 災害が起きて避難指示が出ても、避難所に行かない(または行くかどうか分からない)理由

  • 目が見えず耳が聞こえないため、避難指示が出たかどうか分からない。
  • 避難所まで行きつける自信がない。停電してエレベーターが止まれば動きが取れない。
  • 避難所でプライバシーを保てるかどうか/迷惑をかけるのではないか/行ってもきちんと情報(保障)が得られるか/周囲とコミュニケーションが取れるか/トイレや居住性・バリアフリーで苦労するのではないか/障害への偏見があるのではないか/呼吸器などを持ち込めるのか・使えるのか、など懸念がある。自宅が倒壊しないかぎり自宅で過ごしたい。
  • 避難所の場所が分からない。福祉避難所が近くにない・または場所が公開されていない。
  • 本人に障害があり、さらに両親が高齢で介助が必要なので、避難行動が不可能に近い。

問8 避難所や福祉避難所への希望

  • 情報コミュニケーションの支援:手話通訳者・要約筆記者の配置。聴覚障害者向けの掲示板・文字表示。
  • 視覚障害者向けの音声案内。指点字での状況説明。目で聴くテレビの設置。
  • 車いすでも利用できるトイレ。ベッドや布団。着替えや清拭ができる間仕切り。必要に応じた誘導・手引きなど。
  • 女子トイレ・更衣室。男女別の対応
  • 医師、看護師、その他専門職がいてほしい。胃ろう・呼吸器・透析など医療ニーズへの対応。 電動車いすや呼吸器のための電源。薬の入手ができるようにしてほしい。
  • 避難所の場所、福祉避難所の場所や概要について周知してほしい。福祉避難所の場所は公表されていないことがある。
    ※本当に必要なときにすぐに利用できなければ意味がない。日常からその場所を知って避難訓練ができないと、 いざというときに到底避難はできない。避難所でどういう対応ができるのか、日ごろから見学・勉強会などで情報が得られないと不安で行くことができない。
  • 直接福祉避難所に行けるようにしてほしい。(一時避難所での振り分けは負担が大きい)
  • 特別支援学校、支援事業所、視聴覚障害者情報提供施設など、なじみの場所で、支援者も含めて集まりやすい場所を避難所にしてほしい。
  • 全員が福祉避難所に行けるわけではないので、すべての避難所でハード面・ソフト面の配慮がなされるべき。

問9 地域の防災訓練・避難訓練に参加したことがある場合、どのような形で参加したか。

  • 市の防災訓練に障害者団体として参加した。
  • 要約筆記者や手話通訳者とともに、聞こえないことを一般市民に学んでもらうテントを設置した。
  • 車いすの扱いかた講習を行った。
  • 障害の疑似体験を行った。
  • 障害者団体、手話・要約筆記サークル、自立支援協議会、事業所、施設、 グループホーム、防災ボランティア協議会、職場、病院等の訓練に参加した。

問9(2)障害者が参加しやすいよう、どのような配慮が行われていたか(選択肢以外の「その他」の回答)

  • 誘導ボランティアの支援を受けた。
  • 区役所や社協職員による訓練会場への送迎。ノンステップバスや駐車場の準備。
  • 移動が困難な人、高齢者、子どもを車に乗せて避難する訓練。車いすの貸し出し。
  • 支援者がついて避難を練習。作業所職員の誘導。

問10 地域の防災計画・施策を考えるための委員会・会議・話し合いに参加したことがある場合、 どのような形で参加したか。(選択肢以外の「その他」の回答)

  • 行政・社協・町内会による「意見交換会」に参加
  • 地域の自治会等の役員として参加
  • 地域の障害者団体で行政への要望活動/交渉
  • 障害者団体の集まりに行政担当者が来て説明・懇談
  • 視覚障害者の意見をまとめる会合に盲ろう者として参加

問11 障害者が参加したことで訓練の内容や防災計画などがよくなった点

  • 障害者がどこに住みどのような生活を送っているのか、行政、社協、そこに集まった市民・委員に知ってもらうことができた。
  • 地域に障害者がいるという意識・認識を持ってもらえた。地域の人と知り合うことができ、 偏見が少なくなった。子どもたちを含む市民の理解が深まり協力的になった。
  • 防災訓練に手話通訳や要約筆記者が公費で派遣されるようになった。 住民や市職員も筆談やノートテークをするようになった。 防災用品倉庫にホワイトボードなどの筆記・掲示品が含まれるようになった。 音声情報では避難できないという当たり前のことを理解してもらえた。
  • 訓練会場への送迎や、訓練会場のスロープ・車いす用トイレ設置
  • 要支援者・援護者名簿の作成が進んだ。
  • 福祉避難所設置が実現した。
  • 低たんぱく米の備蓄、透析患者への配慮についてマニュアルの項目に追加された

問12 訓練や計画づくりなどに参加したことがない理由

  • 通訳がいない。コミュニケーションの支援がない。
  • 難しい内容についていけない
  • 長時間の参加は難しい。人が大勢いるところは厳しい。1人では参加できない。
  • 訓練の場などで偏見や好奇の目で見られるのが困る。
  • 訓練や計画について知らない、情報がない。
  • 障害者が参加できるものなのか、分かりやすい案内がない。
  • あまり関心がない、仕事や家庭があり忙しい。
  • 施設やグループホームでの訓練に参加している。

問13 訓練や計画づくりに障害者が参加しやすくなるためには、何が必要か

  • 手話通訳、要約筆記、指点字通訳、点字資料などの情報保障と、内容や進行に関する分かりやすい資料・説明
  • 分かりやすく案内し呼びかけるとともに、参加するための通訳・介助・移動等のサポートが必要。 呼びかけには障害者の参加にどのような配慮があるのかも記載するとよい。
  • 参加案内にあたっては、障害者団体等を訪問し意見聴取を行うなど積極的な働きかけが必要。
  • 障害者団体、専門職、医療関係者などが仲介役を務めること
  • 発達障害など障害の特性によっては、訓練や計画づくりへの参加で成功体験を積むことは非常に大切であり、 それが災害時の円滑な避難につながる。逆に日ごろの訓練等の参加に失敗すると避難行動自体が取れなくなってしまう。 このことから、訓練そのものにも十分な準備や打ち合せ、参加支援や分かりやすい資料と説明が必要。
  • 身体、知的、精神などの障害がどのようなものか、日ごろから住民との交流や学習を積み重ねて理解を深めておく必要があり、 そのうえではじめて障害者を含めた防災訓練ができる。
  • そもそも住民が防災訓練の企画に参加できる状況にはない。障害者を含む訓練を実現するには、 障害者団体等が主体になって要請するとともに、行政からも強く働きかけが必要である。
  • 人と会うことが苦手な人には、アンケートや書面などの媒体を活用するのも一案。

問14 地域の計画、訓練は、あなたの生命や安全を守るために役立つと思うか

  • 事前の備えが役立つことを信じて、参加している。障害のある自分がいることを地域にアピールするだけでも意義がある。 訓練で知り合った人がいざというときに一緒に行動してくれると思う。(数値結果と同様、とにかく「役には立つ」という記述が多くを占める)
  • ただ参加しただけでは十分な効果は期待できない。それぞれの障害に対する理解が必要。 また参加のための配慮が必要。計画自体が健常者主体となっている。障害のある自分の存在や発言に対する十分な反応が得られない。
  • 行政と学識経験者のみで計画が作られており、市民の意見が取り入れられていない。 特に障害者や高齢者の意見を聞かずに作られている。 (原発事故の避難計画などは大ざっぱで現実性がなく、障害がなくてもどうしたらいいか分からない。)
  • 計画や訓練に具体性がない。平時の行事などでも配慮が得られないのに、 緊急災害時に計画や訓練がどれだけ機能し役立つのか不安がある。

問15 今後の大規模災害があったときの避難や防災について考えていること

  • 防災関係者やボランティア関係者は、障害者を理解することなく防災について話し合ったり、 研修会を開いている。このような状況では災害時の対応は難しい。今からお互いが理解できる環境を作らなければいけないと思う。
  • 地域行政や自治会の幹部・役員等を含めて人々の意識を変えていく必要がある。 障害者への配慮のみならず、一般住民の支援や共助についても十分とは言えない現状がある。 このため、必要な要請や、NPOとして防災講演活動を行っている。
  • 週3回透析している。透析中の災害を想定しての機械からの離脱の手順を教わり、 理解もしているが、パニックになればどうなるかわからない。
  • 正直どうすればいいのかイメージがわかない。備えは必要とは思うが、日常に追われて対応できずにいる。
  • 本心は、ひと思いに命が絶たれてしまえばいいと思っている。 車いすの盲ろう者が避難、避難所生活、とにかく大変すぎるので。
  • 障害のない人でも逃げ遅れて亡くなっている。あきらめましょうと言って亡くなった障害者もいる。あきらめの気持ちが強い。
  • 避難所に行くことはできるだけ避けたい。そのため自宅の耐震、非常用品や食料の確保、災害ダイヤルなど情報手段を備えておきたい。
  • 緊急時には障害者の避難誘導や支援物資が、どうしても後回しになる。障害者ほど優先して行ってほしい。
  • 自分の身は自分で守るものということは十分わかっている。 だからこそ家族間の連絡方法や、(防災や自助共助などの)すべを学んでいきたいと考えている。 いつ何が起きてもいいように、災害時の備えもよく話題にする。
  • 自分自身を知ってもらうために、日ごろから地域の人との交流や関係機関の会議、行事には積極的に出るようにしている。 防災訓練にも参加した。災害時に自分が何を支援してほしいか情報発信しておくことが必要だと考えている。 一人暮らしなので近隣との挨拶を心がけている。
  • 障害者、高齢者は地域の助けが必要である。名簿登録はもとより、 隣近所のネットワークや見守りを強化すべき。高校生等の若い力も役立つはずだ。

注:記述回答より一部抜粋。個人情報が分からないようにしたり、似た回答をまとめるなど、一部編集して記載。


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