音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

まとめ

井上●
皆様のご協力により予定通りすすみ、意見交換の時間も予定より若干長めにとることができ、各方面から多くのご意見をいただきました。大変ありがとうございます。まとめをとのことですが、別に私はそんなに偉い立場ではございませんので、委員長としてよりも、個人的な意見を含めてお話しいたします。
著作権委員会の委員長をやってはおりますが、すべてが著作権法の改正で片づくなどとはもちろん思ってはおりません。先ほど来ご指摘がありますように、川の上流側ですべての人にとってアクセシブルになっていれば、下流のユーザー側で、それをいちいちバリアフリーにしなければという話にはならないわけです。それは著作権の話とは全く関係ないとは言いませんが、本来的には関係のない話です。例えばテレビにしても、街で売られているDVD、CD、書籍、あらゆるものがすべての人にとってアクセスできるように作ってあれば、何も私どもの委員会は要らないということなのです。しかし、現実にはなかなかそうはいきません。今後作られていく書籍、あるいは流される放送等々は、そういう考えでぜひやっていただきたいと思ってはおりますが。

それは、たとえば読書バリアフリーとか、放送通信バリアフリーとかいろいろあると思いますけれども、そういう制度設計はしていただきたい。ただ、過去において大量の著作物が世に出されており、この会館の隣の国会図書館には大量の蔵書が書庫にあるのです。そういうものは残念ですが、人手をかけてやらねばなりません。
放送でもそうです。過去に放送されたもの、DVDになったものも膨大なものがございますので、そういうものには著作権法が残念ながら引っかかってきます。そういう法律上のバリアは、法律の文言を改正すれば良いわけですので、その方向で取り組んできたわけです。ただ、その法律に実効性を持たせるために、当然、法律の文言だけ変えても、実際にアクセシブルなものが提供されなければいけません。そういったことも合わせて、私どもは活動しています。
障害者放送協議会に三つ委員会があると言いましたが、あと二つの委員会、放送通信バリアフリー委員会、災害時情報保障委員会等でも取り組んでいるわけでございます。 まとめということですが、著作権法の改正は来年1月1日ですが、先ほどもふれました政令案の中身は、法律の実効性を高める重要なポイントであると思います。資料の6~7ページになりますが、ここではいわゆる障害者福祉関係のみ抜粋してあります。全体はこの3倍ほどになります。
具体的な改正内容として、政令で定める者としてどういうところを指定するのか。例えば「大学・高等専門学校に設置された図書館及びこれに類する施設」とあります、「類する施設」とはどういうものなのか。こういったところをパブリックコメントとして12月13日締め切りで、ぜひ多くの方にコメントしていただき、施行までまだ日がありますので、よりよいものにしていただきたいと思います。
まとめになったかどうか怪しいのですが、私どもの活動は残念ながらまだ終わりではありません。本当は早く終わりにして、著作権法をどうこうしなくても、すべての人が同等に、情報や著作物にアクセスできる世の中がくればいいのですが、残念ながらまだしばらく仕事は続くと思います。ぜひ、各方面からのご協力をいただきたいと思っております。あと2分ございますが、コーディネーターからは何かございますか?

河村●
せっかく渡されましたので一言申し上げたいと思います。
先ほど、竹中さんから、ICTは日本が最先端なのだからということをおっしゃられました。確かに最先端の部分も多くあると思いますが、使い方、本当に障害者たちが使えているかどうか。あるいは障害者が使うことを果たして考えているかどうか。その点ではきわめて日本は遅れていて、そのギャップがひどすぎると思うのですね。
そういう意味で、国は科学技術立国という一本の柱であると思いますが、その際、一人ひとり障害があってもなくても、この社会で情報・知識を共有して、自立し、また一人ひとりが社会に貢献できる、それを支援するためのICTの活用。それがあって本来のICT先進国であるということだと思います。
それを時々、さらに人為的な壁である著作権法が、著者の権利はとても大事なものだと思うのですけれども、私も尊重したいと思うのですが、著者の権利ばかりが強調されて利用するときに様々な配慮が必要な人たちの利用が阻まれることはあってはならないと思うのです。
つまり情報アクセス権と著者の権利をどのように両立させるのかが課題であって、そのために、ICTの活用ということが、もう一つの課題になるだろうと思います。
本日、大変いろいろな角度から、どうしてこういうふうにうまくいくのかと思うぐらい、きちんと皆さんが論点を網羅してくださったと思います。この成果をきちんと生かして、次の一歩とすることが、この部屋を出た瞬間から始まると思います。どうぞ皆様、一緒によろしくお願いしたいと思います。

井上●
本日は、皆様大変ありがとうございました。それから、要約筆記、手話通訳の皆様ありがとうございました。リハビリテーション協会のスタッフの皆様、小宮山泰子議員事務所の秘書の皆様、大変お世話になりました。それではこれからも私どもの活動は続きます。どうかよろしくお願い申し上げます。本日はこれで終わります。どうもありがとうございました。
(拍手)