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 講演2 「マイクロソフト社との共同開発プロジェクト (Save as DAISY)について」

ジョージ・カーシャー
DAISYコンソーシアム事務局長 

まず最初に、日本障害者リハビリテーション協会に対してお礼を申し上げたいと思います。河村宏さん、お招きありがとうございます。

最初にこれまでマイクロソフトと一緒にやってきた。オープンソースのアクティビティについてお話しします。なぜマイクロソフトがこんなに積極的であったのか、私が思う理由について少々お話をしたいと思います。そして、我々のSAVE AS DAISYの全体的な目標について、そして、特にマイクロソフトのプロジェクトについてお話ししたいと思います。

最初のスライドが示していますのは、幅広くDAISYの技術が普及しているということです。世界中にグローバルに広がっているということです。マイクロソフトはもちろんグローバル企業でありますから、大変興味を示してくれました。DAISY図書を再生する18以上のハードウェアプレイヤーがありますし、12くらいのソフトウェアプレイヤーがあります。そしてDAISYコンソーシアムは35カ国から100のメンバーを有しています。そして今、ソリッド・ステイト・プレイヤーがもうすぐ発売されようとしています。非常に小型のもので、性能がいいわけです。携帯電話のソフトウェアも付与していますので、DAISYを携帯電話で使うこともできます。また、多くの人たちがスタンダードのMP3プレイヤーを使ってDAISY図書を利用しています。ただ、DAISYプレイヤーほどの機能性は期待できないようです。そして数十万人以上の人たちがDAISYをスクリーンリーダーとして使っています。

私がDAISYをアクセシブル・インフォメーションという位置づけをしている理由ですが、「アクセシブルな情報」というのがどういうものなのか、定義はありません。しかし、例えば建物は車いすの人が使えるようにしなければならない。そういうときに「アクセシブル」という言葉を使うわけです。高い建物があっても1階しか車いすは入れない。そうすると残りの階はアクセシブルではないということになるわけです。それでその建物がアクセシブルと言えるのかという疑問があります。つまりそれと同じことで、障害のある人すべてに対して情報アクセスが保障されなければいけないわけです。特にPDFですが、アドビがアクセシブルなPDFという言い方をしていますけれども、しかし80%のPDFドキュメントは私には読めません。その一部がやっと読めるだけですので、情報を全部信じることができないわけです。でもDAISYの定義、アクセシブルな情報というのは、完全に情報が世界で利用できるようにすることであると定義しているわけです。

マイクロソフトはすべての障害グループの人たちに対してDAISYスタンダードを提供するという私たちの試みに関心を持ってくれました。視覚障害の方、ディスレクシアの方々、学習障害の方、身体障害があってページをめくることができない人、認知障害の方々、それから高齢者になって十分読めなくなったような人に応用ができるのではないかと思っています。最近なんですが、高齢者がこのカテゴリーに入ってきました。だんだん年をとっていきますと、若いときほどはきちんと読めなくなっります。多くの人たちが「もう読めない、もう見えない」ということを言うんですよね。でも決して「視覚障害」とは言いません。いわゆるブラインドとは言えないということです。ですから高齢者のためにDAISYを普及させるために、決していわゆる盲であるということを主張する必要はないわけです。「高齢者の方々にも十分活用していただけますよ」という言い方をしていいのではないかと思います。

マイクロソフトは研究を何年か前に始めました。コンピュータを使っている人の57%が何らかの情報の提示において調整が必要だったということがわかりました。例えばフォントのサイズを大きくしなければいけない。老眼鏡が必要な方が主にこのような調整をしています。あるいはバックグラウンドやフォアグラウンドの色を変えて読みやすくすることが必要だったのです。そういう人たちが57%いたわけです。高齢化が進んでいくとこういったことがますます重要になってくると思われます。

4番目のスライドですが、DAISYはすべての社会の側面に統合されなければならないと思います。つまりアクセシブルな情報は日常生活の中で保障されていかなければならないと思います。例えば学校では必要です。何か代替的な手段の必要な子どももいるわけです。また、障害はないけれどもコンピュータを使って読むほうがいいという子どもたちもいると思います。また、レジャーやレクリエーションの場面でも活用することができます。高齢者にも使っていただけると思います。また、ビジネスの環境においてアクセシブルな情報をより提供するために使うことができると思います。例えば保険に加入するとか、医療情報を入手するという場合に、ドキュメントを読まなければならないんですが、毎日毎日、日常生活の中でそういうものを読む機会はあるわけです。ですからビジネス界においては、技術があるんだからこの情報を新しい形で提供できるのではないかと考えるようになりました。それから保健施設もアクセシブルでなくてはなりません。政府においてもそうです。よりアクセシブルな情報を提供する必要性があると思います。また、防災情報や、国立公園、美術館などもです。このようにDAISYスタンダードというのは、我々の日常生活のあらゆるところで活用することができます。

また、DAISY図書があらゆるところで再生できるようにしたいと考えています。どこででもです。様々なシステムで再生できるようにしたいと思います。もちろん専用のDAISY読書システムでも再生したいですし、あるいは図書館とつながった無線図書システム、これは図書館の情報をダウンロードできるようなシステムですが、これでも再生したいですし、あるいは点字ノートテイカー、PDA、携帯端末でも再生したいと思います。先ほど、マリッサがCDと統合してインストールしなくてもCDで見られるようにしたいと言いましたけれども、あらゆる場所でDAISYを見られるようにしたいと思っています。

Save as DAISYについてお話しします。Save as DAISYはどのオーサリングアプリケーションにも入れたいと思っています。例えばPDFの場合、完全にはアクセシブルではありません。アクセシブルな情報を製作するためには、オーサリングツールに戻らなければなりません。というのは、作者はドキュメントの構造とコンテンツに関する情報を提供されるからです。オーサリングツールは、例えばマイクロソフトのWordであったり、OpenOfficeやStarOffice、IBMも持っています。アドビもInDesign、FrameMaker、QuarkXPressなど様々な出版用のツールがあります。こういったものを使って出版用のコンテンツを作るわけですが、私たちはこのような企業にSave as DAISYの機能をつけてほしいと働きかけました。現在、こういった企業と議論をしています。Sunは非常にSave as DAISYをOpenOfficeに入れることに意欲を見せています。しかし、一番最初にSave as DAISYを入れたいというで意思表示をしてくれたのはマイクロソフトでした。マイクロソフトが最初のSave as DAISYをリリースしました。Save as DAISY XMLというもので、今年の5月にリリースしました。これはSourceForgeのウェブサイトから提供している無料のオープンソースです。従って、どの企業もソースコードを使ってSave as機能を作ることがSave asできます。

マイクロソフトの方からDAISYコンソーシアムにコンタクトがありまして、このツールを製作するための協力の要請がありました。ソナタという開発会社がインドのバンガロールにあるんですけれども、このソナタという会社が実際には開発を行いました。マイクロソフトがDAISYコンソーシアムにコンサルタント料を払いまして、DAISY規格の実施に関して助言をしました。私たちの方から彼らにどのようにコードを書いたらいいかは告げませんでした。ただDAISY規格についての開発業者からの質問に答えたわけです。マイクロソフトのトランスレーターがどのように機能するか説明してあります。

Word XPかWord 2003あるいはWord 2007を使っている方がいると思いますが、Word XPかWord 2003を使っているのであれば、無料でダウンロードできるの互換用のパックが必要です。この互換用のパックを使うと、Word 2007のdocxという拡張子がついているドキュメントを読み、書くことができます。docxはOOXMLで過去のものとは違います。以前のバージョンはバイナリファイルで固有のものでした。しかしこちらの方はオープンです。今、国際的な標準化組織のISOにおいて標準化の作業が進んでいます。ODFもオープンソースのオフィスソフトで、標準化の作業が行われています。ですのでマイクロソフトとオープンソースの活動の間には競合関係があります。

アドインをインストールしたら今度はファイルメニューにいきます。そこの中にSave as DAISY XMLがあります。そしてダイアログボックスが出てきます。どのフォルダにファイルを入れたらいいかという質問が出てきます。そしてタイトルと出版社の名前が出てきます。OKを押します。非常に迅速にxmlに変換される場合もありますし、時間がかかる場合もあります。一度アドインを入れたらSave as DAISYをファイルメニューに入れて、DAISY XMLにエクスポートすることができます。。

このプロセスの間にどのようなことが起きるのでしょうか。フォルダに特定されます。DAISY XMLが保存されます。これは構造化された情報で、中にある画像も同時に保存されます。またスタイルシートも保存されます。それにより、Wordドキュメントのような見た目には保存されません。ファイルセットの中に入れられ、シンプルなドキュメントのビジュアルレンダリングです。ドキュメントを見た目がWordのように保存するわけではありません。DAISYは、構造とコンテンツを重視し、元の書式や表示方法をそのまま保存するわけではありません。

スタイルというのは、DAISYの中の要素を特定する主な要素です。WYSIWYG(ウィジウィグ;What you see is what you get)という言葉があります。見たとおりの形に出力できるという意味ですが、このやり方は90年代の初めに非常に普及した方法です。印刷した文書と同じような、望むような見た目でスクリーン上に表示できるという方法でした。

例えばセンタリングしたいのであればスペースを入れました。ここにもうひとつスペースを入れよう、見た目がよくなるから。太字にしよう、ハイライトを入れようと。見出しを作ろう、そしてそれが見たままに出力されました。しかしこれをどういうものかを特定せずにいたんです。スクリーン上の見た目を作っていたのです。DAISYトランスレーターが正しく機能するためには、そして効率よく機能するためには、ネームスタイルを効率よく使わなければなりません。見出しをつけたければハイライトしてスタイルを選びます。通常のテキストがスクリーンに出ていて、スタイルが特定されていなければパラグラフとして出されます。これがデフォルトです。ページの番号は自動的に挿入されますが、多くのことがDAISYの中で定義されています。ハイライトをして、ネームスタイルを使うことによって標準のワードプロセッサが非常に意味の豊かなXMLドキュメントに変換されます。WYSIWYGではなく、意味の豊かな情報になるわけです。

視覚障害者や印刷字を読むことが困難な障害を持つ人にとって、セメンティックは非常に重要です。見出しなのか、読むべきか。これはリストアイテムなのか、これは引用なのか、このような情報を得ることを可能にしたいのです。こういった情報はDAISYボキャブラリーを使って、スタイルをつけSave as DAISY機能に保存されます。

Save as DAISY XMLは、マイクロソフトの協力によって可能になりました。しかし、これではまだDAISY図書の完成版ではありません。マイクロソフトのプラグインだけでは十分ではありません。DAISY XML以外に他のファイルも必要です。ナビゲーションファイルも必要です。WordにSave as DAISYがあるだけでナビゲーションファイルは入っていません。シンロナイゼーションファイルも必要になります。あるいは場合によっては音声も必要になるでしょう。フルテキスト、フルオーディオ、そしてオーディオとテキストをシンクロナイズさせる必要もあると思います。また、DAISY Pipelineのような別のアプリケーションを使うこともできます。それによって完全な録音図書を作ることができます。

DAISY Pipelineが何をするかというと、まずマイクロソフトのWordの中で保存された文書の中を、ここにヘディングがある、ここにページ番号があるというふうに見つけて、ナビゲーションセンターを作ります。すべての見出しやページ番号の場所を特定することができます。このような情報は解釈されなければなりません。DAISY Pipelineでオーディオを作成するときには、合成音声を作ります。自動的にテキストスピーチエンジンを使って合成エンジンが作り出されます。そしてMP3ファイルの中に入れられます。このMP3ファイルがテキストと一緒に保存されて合成音声が出てきます。最後にDAISY PipelineはDAISY規格に沿っているかどうか完全なファイルセットを作るために認証します。

マイクロソフトのSave as DAISYの第2フェーズの開発が今始まろうとしています。第1フェーズは5月7日に最初のリリースか出たことで終わりました。そして今、第2フェーズが始まろうとしています。DAISY Pipelineはアドインに統合されます。アドインをダウンロードすると、DAISY Pipelineの軽量版を手に入れることができます。フルDAISY図書を提供するためのフルテキスト、フルオーディオのナビゲーションです。非常に簡単になります。

最初のリリースは、言語上の問題があったので、この問題は最初のベータリリースの中で修正されます。次のフェーズではこういった問題は修正されるでしょう。最新バージョンでは含まれなかったデフィニションリストなどのエレメントも新しいバージョンでは含まれサポートされるようになります。また、数学用のサポートも次のリリースで追加になります。マイクロソフトWordの様々なバージョンにおいて、数学用のサポートを追加していきます。

最初のリリースのドキュメンテーションはひどいものでした。しかし次のリリースではドキュメンテーションも改良されるでしょう。またインストレーションの不具合も、以前のバージョンではありましたが、マイクロソフトのWordの軽量版を使っている人が、こういう問題に直面しましたが、次のバージョンではこういった問題は解決されます。

13番目のスライドです。マイクロソフトの開発がDAISYコンソーシアムにどういう影響を与えたかということですが、信じられないことがありました。DAISYの知名度が非常に上がりました。そしてDAISYについて情報を提供するように、世界中から依頼が来ました。そしてDAISYのスタンダードが重要だということが非常に認識されたわけです。マイクロソフトのリーダーシップがあり、Save as DAISYをオーサリングツールとして使ってくださいと呼びかけてくれたので、世界中でそれが重要であるということが認識されたわけです。

他の企業も大変注目しました。サン・マイクロシステムズなんですが、恐らく次のアナウンスメントにおいては、多分オープンオフィスに組み込まれると思われます。ですから競争が激しくなっているということです。マイクロソフトがオープンソースにするというのは、サンがソースコードを用い、彼らのツールを開発できるということです。マイクロソフトはそれでも構わないということです。つまり、アクセシビリティにおいて競争するのではなく、機能性において競争したいのだと私は思います。

それからもう一つ、とても重要な問題があります。それで今回のミーティングでいろいろ疑問を投げかけているんですけれども。合成スピーチというものがそれぞれの言語で入手可能かどうかということです。DAISYトランスレータを使ってフルテキスト、フルオーディオの合成音声DAISY図書を製作したいのなら、それぞれの言語のスピーチエンジンがなくてはなりません。

今のところ、TTS(Text-to-Speech=合成スピーチ)がないものがずいぶんあります。なので発展途上国において開発しようとしています。それは素晴らしいです。必須のものですから。スクリーンリーダーは非常に重要な開発だと思います。ここにおいてもやはり、発展途上国においてマイクロソフトがTTSエンジンの開発を支援してくれることを期待しています。それからもう一つ、今まで情報アクセスを考えたことがないような企業も考え始めています。利益を追求する企業においては、視覚障害者のみならずディスレクシアや学習障害者、高齢者なども、DAISYの情報を使う対象として考えるようになりました。

最後のスライドです。オープンソース・コミュニティの話をするときに、大体はプログラマーをイメージします。プログラマーはコードを書くわけです。そしてほとんど私たちはそれらを理解できないわけです。しかし、AMISの各国翻訳のプロセスにおいては、多くの人が参加しました。メッセージを翻訳し、レコーディングをしたわけです。地元の人にわかるような、使えるようなAMISを作るためです。 そして、ベータテスティングもAMISを使うことによってテストされなければなりません。つまりオープンソースのコミュニティということです。 このコミュニティは、プログラマーだけでなく、すべての人のために作られなければならないわけです。多くの人たちが一緒になってオープンソース・コミュニティを作っていかなければならないんです。これは絶対的に必須なことです。オープンソースを語るときには、外せないものです。プログラマーのためのものではないんです。

ですから、次の段階、Save as DAISYはマイクロソフトから出てくるんですけれども、私たちは日本語、韓国語、中国語、ドイツ語、すべての言語でテストをしたいと思っています。マイクロソフトのWordがサポートするすべての言語ということです。これをテストしたいと思っております。それによって、オープンソース・コミュニティを助けたいと思っています。今、それぞれの大陸で、協力できる人を探しています。つまりこのソフトウェアのテストに携われる人を探しているのです。彼ら自身がテストをするだけではなく、皆さんも参加してほしいんです。私たちを助けていただきたい。リリースの前のテストを手伝っていただきたいのです。多分、日本のこの地域、あるいはアジア全体で多くの言語のために、多くの人が協力してテストをする必要があると思います。バグを見つけ、マイクロソフトのSave as DAISYの問題点を見つける必要があるんです。皆さんや皆さんの会社が参加したいというのであれば、とてもいい方法だと思います。今こそ、オープンソースの活動に貢献してください。では、マリッサからコメントをもらって、それから質疑応答に移りたいと思います。

マリッサ:一つ、付け加えたいことがあります。今のお話、とても重要だと思うんですね。みんなが参加できるということは大事だと思います。ソフトウェアツールは普通のものとは違うと思います。ソフトウェアというのは、普通、我々素人が手にできるものではありません。しかし、私たちのソフトウェアは違います。何もかも簡単に使えるようにしなければいけないんですね。ですからいろいろな観点の貢献が必要だと思います。エンジニアも必要ですが、一般の人の視点というものも必要です。 「うまくいく、使いやすい」といったコメントも歓迎ですし、また何か問題があればそれも聞きたい。それから改良のご提案もいただきたいと思います。東美紀さんとか私たちの方にぜひコンタクトしていただきたいと思います。それではご質問ございますか?

司会:それでは6分くらい時間がありますが、今、私どものAMISのWEBサイトからダウンロードできるということで、お使いになったことがある方もいらっしゃると思います。使ったことがある人、手を挙げていただいてよろしいでしょうか?

マリッサ:たくさんの手が上がったようですね。

司会:では、今日、初めて聞く人は? ……1人いましたね。AMISを使ってどんなことが起こったか、フィードバックを彼らは欲しいということだそうです。何か質問があれば、1つか2つはお受けできると思います。それではお願いします。

会場:とてもいい講演をありがとうございました。私は、ちょっと興味を持ったんですが、何か理由があってLGPLを使ったのですか? LGPLを選ばれた理由はありますか? ESDP、Apache ライセンスなど他にビジネスにフレンドリーなライセンスなどがあるのに。

カーシャー:マイクロソフトがBSDを選んだんです。そして私たちがDAISY PipelineやObiを開発したときLGPLを使いました。最近聞いたんですけれども、LGPLよりBSDの方がいいという企業もあることを聞いています。なぜ私たちがLGPLを選んだのかと言いますと、BSDを使うと、コードのスプリッティングがされてしまうと思ったんです。LGPL以外だと、ソースを修正する場合にまた元に戻らなければなりません。しかし、自分のコードを持っていれば、キープできるわけです。でも、ベースコードがある場合は、返さなければなりません。こういうことからベースコードを開発することがよい方法だと思いました。かつ、営利企業にとっては製品を売ることを可能にすると思ったわけです。そのアプローチに賛同していない企業もあると聞きました。しかし、その場合、このライセンスを変更する、あるいは別のライセンスを提供してもいいと思います。もし、これがオープンソースの開発の邪魔になるようであれば。

会場:オープンソースプロジェクトに参加するということは、ライセンスを引き継がなければいけません。だからそれが理由かと思ったんですが、そうではないということですね? 変えることはできるということですね?

カーシャー:そうです。異なるライセンスを提供することもできます。もしLGPLが問題であるということであれば。

デメリオ:我々のツールでは、100%私たちが開発したものなので、ライセンスを変える必要はないんです。すべての利害関係者すべてとコンタクトするのに、何の問題もありません。大きなオープンソースプロジェクトの場合、数千の人にコンタクトしないと変えられないということもあるかもしれませんが、我々の場合は、そうではありません。どうもありがとうございました。

司会:他にご質問はありませんか?

会場:マルチメディアDAISYについて勉強をしている段階です。AMISとかは実際に参照用に使っているだけなので、それ以上の意見はないんですが、今回、Save as DAISYができるということでダウンロードして組み込もうとしたんですが、どうもなかなかうまくいかないんで、その辺のアドバイスをいただきたいと思っているんですが。具体的には、環境を何か要求しているんでしょうか? 例えば私、環境を2つ持っています。片方はWindows XP professionalでOffice2007、これにはうまく入りました。けれどもXPのHome editionでOffice 2003、それに互換パッケージとドットネット3.0を載せろと書いてあって載せてみたんですがうまくいかなかったんです。その辺の条件があれば教えて下さい。

カーシャー:ダウンロードはできるがインストールをしようとするとうまくいかないということでしょうか?

会場:インストールはできました。Office 2007は無事にSave as DAISYも動きました。もう一方のOffice 2003に入れようとしたとき、「インストールした」とメッセージは出たんですが実際にはファイルメニューに表示されなかった。動かない。

カーシャー:わかりました。何千人もの人が……。我々、200台、300台とコンピュータにインストールして問題なく動くのですが、バグがあるということがわかっています。マイクロソフトのマネージャーが非常に怒っていました。腹を立てていました。ソナタの責任だとのことですが。もっとテストが必要だと思います。次のリリースはベータバージョンです。来週、これはリリースされます。DAISYコンソーシアムが今、テストをしています。ですからこのテストに参加したいということがあれば、名刺かEメールを送って下さい、あるいは美紀さんと話をしてください。DAISYウェブサイトからコンタクトをとってください。この修正版が世界に向けて9月初旬にリリースされます。インストレーションの問題が修正されたバージョンが9月初旬に出されます。

カーシャー:休憩の前にお見せしたいものがあります。ちょっと変わった名刺でが、DAISYというものを物語っていると思います。リップカードと呼ばれているものです。下のほうに、小さなカードがあってちぎることができるんです。私の連絡先や私のスタッフのことが書いてあります。技術的な開発や広報などの担当者のことが書いてあります。ここにカードがありますので誰でもご自由にお持ちください。オープンソースの中で参加したい方がいらっしゃったら、このカードをぜひお持ちください。

注:
BSD License(Berkeley Software Distribution License):
オープンソースソフトウェアで使用されているライセンス体系のひとつ。「無保証」であることの明記と著作権表示だけを再頒布の条件とするライセンス規定。 この条件さえ満たせば、BSDライセンスのソースコードを複製・改変して作成したオブジェクトコードを、ソースコードを公開せずに頒布できる。
著作権表示さえしておけば、BSDライセンスのソースコードを他のプログラムに組み込み、しかも組み込み後のソースコードを非公開にできるため、GPLに比べ再配布時のライセンス条件を制限する事もなく、商用化及び標準規格の制定に利用しやすいライセンスである。
LGPL(Lesser General Public License)
利用するにあたり、ソースコード改変、再コンパイルには制限がない。 LGPLで配布されたプログラムを再配布する際にはソースコードを公開する必要がある。