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全ての人の為の図書館
2008年第3号 スウェーデン国立録音点字図書館発行

新プロジェクト: 生徒達は録音図書により、文章を読んでみた
文:レーナ・ブークヴィスト
写真:マーヤ・ススリーン

 リーディングエー市ではディスレクシアやその他の機能障害を持つ生徒達が文章、絵、音声の入った録音図書で読書をしている。 「かつてこんなすばらしいものが出版されたことはありません!とてもうまくいっています。」 シェールセットラ校の特殊教諭アッキー・トーングレンは言った。

この春、様々な読字障害を持つ生徒達が、教師達と共にリーディングエー市において録音点字図書館が運営しているプロジェクトに参加した。ティレスエー市*レークニィッタン(Leknyttan)教育のアニータ・ヒルデンは、文章と音声付のデイジーを様々な学校で試してみる任務を請け負った。目的はこれらの録音図書が、生徒達に適合する為には、どのようなものであるべきかを調査することである。

マーキングと拡大文字

シェールセットラ校の4年生、ヨハン・アーンファルクはコンピューターにかがみこんでいた。どんな風になるのかやってみせる為である。あっという間に画面の上には、一冊の本が浮かび上がってきていた。文章も絵も見える。読み上げられている文字には、黄色い枠組みでマークがつく。
 「マークがつくのはいいね。これがないと文章のどこを読んでいたのかすぐに 分からなくなってしまうんだ。」
彼は言った。

 ヨハンのクラスメイト、ビクトール・ビェルクベリィが話しに入ってきた。
「ぼくもいいものだと思うよ。絵が見えると、いつもよりよく理解できるんだ。ぼくは本の中の文字が小さいとよく読めないんだけど、文字が拡大できるだけで楽になるんだ。」 AMIS(アミ)というプログラムには、文字を4倍まで拡大できる機能がついている。 「読字障害を持つ生徒達の多くが、大きい文字を好むことには気がついていました。なぜかは分かりませんが、そのように見受けられました。」 アッキー・トーングレンは言った。

35~ 50人の生徒達が試してみた

教師達はアニータ・ヒルデンと共に、文と音声付きデイジーと呼ばれている録音図書を用いる手法を編みだした。 例えば、初めに生徒達は1ページ聞いてみる。その後読み上げを停止し、同じ文章を自分で読む。その後に教師に質問できるのである。 「かつてこんなすばらしいものが出版されたことはありません!とてもうまくいっています。生徒達が自分で吹き込みもできたら、おそらくもっと良くなるでしょう。」 アッキーは言った。 シェールセットラ校でこのプロジェクトに参加した生徒は5人だ。このグループは5冊の別々の図書を録音点字図書館から借りた。後にこの図書を評価する為である。 『普通の図書を読むのと比べ、画面に出てくる文章を読んでみてどのように思いましたか?』といった類の質問に子ども達は答える。 また教師達には『あなたは指導において、(文章なしの)録音図書を用いることに慣れていますか?』といった、別の種類の質問が与えられた。
 リーディングエー市全域から、35~50名の生徒達と、それに教師がこのプロジェクトに参加した。

10月の評価

アニータ・ヒルデンは当面、2008年の10月中に済ませなければならない評価に関する業務を行っている。 「読書トレーニングにおいては、内容も大変重要だと思います。親しみやすい図書の方が、読書にすっと入り込めますから。」 アニータは述べた。 テストグループの中には読み書きが困難な生徒、注意欠陥障害の生徒、発達障害の生徒がいる。 「これらの図書はほとんどの生徒達に適しています。養護学校を対象とした特別録音はもう必要ないと私は考えています。」 アニータは続けた。 「図書の内容理解において重要なのは、予備知識を持っていることです。全ての図書がこのような形態であるべきです。生徒達は見ることと聞くこと、両方ができることによって、内容を確かによりよく理解しています。」

イージーリーダー(EasyReader)とAMIS

録音図書をコンピューター画面で読む為には、それに対応する読み上げプログラムが必要である。このプロジェクトではイージーリーダーとAMISを用いている。イージーリーダーはもう何年も前からあるプログラムであり、ドルフィンコンピューターアクセス株式会社から購入できる。AMISはフリーウェアの新しいプログラムであり、国立録音点字図書館のホームページからダウンロードすることができる。 「AMISの弱点は読み上げのスピードを遅くできないことです。ちょうどこの読書トレーニングに参加しているのは、その機能をこそ歓迎しているグループなのです。」 アニータ・ヒルデンは言った。

『私はこのようにして本を読みます』

各学校に何か新たなものを紹介するとき、多くの場合ブレーキとなってしまうのが、技術だ。多くの教師達に、変革に対応できるように迫ることになるからだ。
 アッキー・トーンブロムは、だからこそ生徒達が自覚して、できるだけ早期に自分の望む読書スタイルを把握することが重要だと考えている。 「そうすれば生徒達は、小学校高学年から中学生に進級する時に自分でその情報を携えていって、新たな多くの教師達に出会うことができます。そうすれば生徒達は『私はこのようにして本を読みます。ですからこのような図書を望みます』と言うことができるのです。」 評価はまだ済んでいないが、シェールセットラ校の生徒達と教師達の意見は一致している。彼らは今後も続けて文章と音声付のデイジーを使っていきたいと考えている。

*レークニィッタン(Leknyttan)教育:誰でも楽しみに満ちた方法で学ぶ時に最も良く学習することができるという考えの下、コンピューターのソフトウェアを用いた教育を提供している企業です。(訳者)