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シンポジウム 図書館におけるディスレクシアの人への支援

デイジーとEPUBの動向

河村 宏(国際DAISYコンソーシアム理事/NPO法人支援技術開発機構副理事長)

河村宏氏 スライド1(スライド1の内容)

私は、今一番、デイジーについて、ホットな話題を提供してほしいということだと思いまして、このようなタイトルでお話し申し上げます。いくつかのキーポイントがあります。それぞれあまり細かくはいえませんが、キーポイントをいくつか挙げてみたいと思います。

最初に、規格の開発です。デイジーのバージョンでいうと4になります。EPUBのバージョンでいうと3になります。よく聞かれますが、デイジー4とEPUB3ってどういう関係かと。デイジー4を皆さん利用者のお手元に届けるときは、基本的にEPUB3でお届けします。制作するときには、もう一つ、製作用の規格としてデイジー4というものを用意しています。EPUB3に出力するのも容易だし、後で点字とか他のいろんな形で使える。そういう制作用の規格は別に開発しています。皆さん利用者が手にするときは、デイジー4という名前のものではなくて、全部EPUB3になります。

デイジーの開発をしてきているデイジーコンソーシアムという国際団体があり、そこのスタッフが開発している利用者に届けるための規格はEPUB3です。ですから、何か違うものがデイジーとして開発されているわけではなくて、EPUB3は実はデイジーですというふうに思っていただいていいです。ただし、EPUB3は、出版社が使う規格として、どこの出版社でも使ってほしいということで、ちょっとデイジーと違うところがあります。例えば、画集とか写真集とか、全くテキストがない出版物は、世の中にありうるわけですね。それも、EPUB3では作れるようになってます。それから、EPUB3では、音だけの録音図書も作れるようになっています。つまりEPUB3という同じテーブルの上に、あらゆる電子出版物がのるようにしようということで作られています。

しかし、ここからが注意が必要です。EPUB3だから、アクセシブルであるとは限りません。EPUB3は、いってみれば、WebのHTMLと同じようなものだと考えていただいたほうがいいと思います。そこにアクセシブルに作るためのガイドラインがあって、そのガイドラインに沿って作れば、アクセシブルなものが作れます。でも、そのガイドラインを無視して作ってしまうと、アクセシブルでないEPUBもできます。デイジーの場合は、私どもはデイジーといっている限りは、ディスレクシアの方や、普通の出版物を読めない方に読み上げたり、大きく文字を拡大したり、カラーコントラストを変えたり。あとは、センサー等と連動して動いたりとか。そういうことを保証するためのアクセシビリティというのがきちんと含まれています。

河村宏氏 スライド2(スライド2の内容)

EPUBもそれが可能です。可能ですが、そういうふうに作らないとEPUBはアクセシブルにはならないということをご理解いただきたいと思います。EPUBの規格は、今、3.01ですが、それをさらに3.1にしようという活動を進めています。その中で顕著なのは、EDUPUDです。エデュパブと読みます。エデュは教育のエデュです。ここで教育というのは、もちろん、小中高などの教育もありますが、基礎教育とともに、高等教育で使われる科学技術の表現もきちんとアクセシブルにできることを目指しています。だから、数式とか、いろいろな科学の文献に出てくる化学式であるとか、さまざまなものをちゃんと読み上げられるように作ることが、非常に重要な課題です。それと、図で説明しているものの読み方の標準化をする活動もともに進めています。

先ほど、渡辺さんのお話の中に、ステムという一言があったと思います。アメリカの今のEPUBの開発者の中で、STEMと書いてステムと言いますが、よく言われます。それは、SはScience。科学です。TはTechnology。技術です。EはEngineerです。MはMathematicsです。数学とか、工学とか。科学技術全体で使われる、そういうこれまでの出版物を全てアクセシブルにするということです。障害のある人たちが、自分の将来の仕事として、そういう課題を学ぶことができるようにするというのが、このEDUPUDの開発の目標です。しかし、もう十分な規格じゃないかとよくいわれます。確かにある分野ではそうです。文字だけで全部つづれる小説とかですね。それから、本当に文字だけでもって完結できるようなものであれば、デイジーが最初に出たころから、もう十分だという議論もあります。これ以上、別に規格を開発しなくてもいいのではないかと。そういう分野も確かにあります。

今でもデイジーは全盛期ですよね。1900年代に決まったデイジーの規格が、今でも使えています。プレーヤーもあるし、最新のデバイスを使って読むこともできます。つまり、それだけ長生きしてきたデイジーの初期の規格も、今も使えています。でも、それだけでは足りないから、このSTEMに対応するための開発を続けているんです。そして、全ての文献、出版物が全ての人に読めるようにという前進をまだ続けているということです。

最近では、WIPO(ワイポ)という著作権の団体とか、IPA、国際出版連合という民間の出版産業が推奨しています。あと、アメリカ出版協会や、日本ではJEPA、日本電子出版社協会。そういう電子出版に関する、さまざまな出版社の団体がこのEPUBを推奨することを決めています。したがってグローバルに見ると、EPUBが実際の国際的な標準として電子出版の産業に受け入れられたということは、はっきりいえるというふうに考えています。実際に、流通している電子書籍を見ましても、明らかにEPUBでないものが流通しているのはAmazonのKindleです。ただし、Amazonは、出版社が納品する場合、EPUBでも受け入れています。あとは、AmazonのKindle以外では読めないように加工して配っているので、そういう意味では、Amazonも実はEPUBをベースにしているということです。したがって、世界中の電子出版、主要な電子出版界は、EPUBを受け入れたというふうにいっていいと思います。

そのEPUBが、デイジーのように障害のある人たちの身近にまだ使われてないという実態があります。いくつもの原因がありますが、制作のためのツール、再生のためのツールが規格は一応できていますが、これまでデイジーが提供してきたような非常にきめ細かい使い方ができる、ユーザーのニーズに寄り添った使い方ができる再生ツールがまだまだ足りません。その再生ツールの開発の一番期待を持てるのが、リーディアムファウンデーションという団体が開発を進めているリーディアムという、ツールといっていいのですが、モジュールでもあります。自分のところで独自のプレーヤーを開発したい人たちが、そのモジュールを使って、自分たちの好みの形のものを作ることができるというものです。そのモジュールとリーディアムそのもので再生でき、ウェブのブラウザーに乗せる。そういうものと二つ開発しています。一応、これで試してくださいという1.0まで出来ましたので、関心のある方はリーディアムをウェブで検索して、ダウンロードしてください。ぜひやってみてください。

それから、裏方で目立たないところで頑張っているのが、デイジーパイプラインです。これは、先ほどいろんな形でEPUBが作れますといいましたが、それを最後に皆さんの手に届けるときは、EPUB3で届けます。デイジーのこれまで使ってきたファイルは、zipにすると一つになるのですが、これまでのデイジーがプレーヤーに読ませているファイルってすごくたくさんのファイルがあります。それをひとまとめにしてzipにします。そして、そのzipの代わりに、epubにファイルネームを変更する。そうすると、EPUBになります。もともとあったデイジーのたくさんのファイルを、zipにしてepubに名前を変えたと考えると、EPUBの中身が少し分かりやすくなるかなと思います。デイジーのこれまでのファイルを見たことがある方にとっては、epubをzipにおきかえて、unzipすると、EPUBのファイルの中身が見られます。したがって、ご覧になると分かると思いますが、デイジーとEPUBって非常に親和性が高いです。そして、このパイプラインは、デイジーとEPUBの間をつなぐ役割をします。そういう裏方のソフトです。制作に使います。もう一つ裏方のソフトがあって、デイジーの制作ツールなどを作るときに、SDKというモジュールを使います。そういうものも裏方では作っています。

他に市販されているインデザインというレイアウトソフトがありますね。これは世界中どこでもレイアウトソフトの代表がインデザインになります。インデザインには、エクポートファンクションというファイルを書き出す機能があって、そこにはEPUBが含まれています。つまり、EPUBの形で書き出すことができるようになっています。ただし、それはアクセシブルなEPUBかどうかは、事前にかなりきちんと作っておかないと、アクセシブルとは限りません。このインデザインから書き出すときに、どうすればアクセシブルなEPUBが書き出せるようになるのか。そういったことが、今、非常に関心を集めていますし、みんなが取り組んでいることの一つです。つまりいろいろなツールが開発されています。

そして、もう一つは、出来上がった電子図書を提供するのは、電子書店であったり、アメリカでは公共図書館が電子出版物を貸し出しています。非常に評判がいいです。ニューヨークの公共図書館は、非常に有名な図書館で、公共図書館としては、世界で一番大きいといわれています。このニューヨークの公共図書館が今、一つのプロジェクトを始めて話題を集めています。英語でLibrary simplifiedといいます。ニューヨーク公共図書館の他に、ボストンとか、アメリカの大手の公共図書館、それぞれが何百万冊って本持っているところが10館集まって、連邦政府から50万ドルだったと思いますが、5000万円ぐらいの予算をもらって、新しいLibrary simplified、直訳すると単純化された図書館ですが、簡単に使える図書館といったほうがいいかと思います。そういうものを始めました。このプロジェクトの発表文書によりますと、今、公共図書館で、電子図書を借りるためには、手順が19必要だといっています。それと比べて、Kindleを買って読む人は、同じように数えたときの手順は二つだとあります。公共図書館の借りるまでの手順が複雑過ぎるので、これを何とかしようというのが一つです。もう一つは、アクセシビリティです。今の公共図書館に納品されているシステムは、DRMという、著作権の管理システムで、Digital rise managementといいますが、この仕組みがあって中身がのぞけないようになっています。つまりコピーができないようにしてあります。単にコピー防止だったらまだいいですが、中身そのままを暗号化している例が多いのです。そうすると、スクリーンリーダーで読みたいという人にとっては、中身が見えません。基本的に普通のスクリーンリーダーを使っては読めません。つまり、アクセシビリティが確保されないという問題があります。

河村宏氏 スライド3(スライド3の内容)

図書館が電子図書館システムについて、あまりにも自分たち自身での活動をちょっとさぼりすぎました。どこかの会社が作ったシステムを比較して選んで買えばいいんだという姿勢から転換しないと、これは大変な問題になります。つまり、どこかの会社がいいものを作ってくれると待っていたのでは、いつまでたっても図書館の問題は解決しないのではないか。だから、自分たちで、オープンスタンダードの誰でも使える規格に基づいて、完全に誰もが使えるという中に、障害のある人も使えるということを組み込んだ、そういうシステム作りを自らやらないと駄目だという呼びかけをして、この10館が今、オープンスタンダードによる公共図書館のシステム開発に取り組み始めました。これは、今、既に発信している側からみると、大変な脅威なわけです。今までお客さんだったところが、これじゃ満足できないから、自分たちのニーズにあったものを自分たち自身で開発するのだと立ち上がりました。普通、アメリカですと、民間がやれることは民間がやればいい、別に公費を使って開発することはないじゃないかで終わりますが、今回は、そうはなりません。これは連邦政府のお金をもらっているので、やっぱりニーズにそったスタンダードを作らなきゃ駄目なのです。そのスタンダードを作って、こういうシステムをと提示して、それにのっとって、企業が製品を作るというふうに規格作りを進めようという動きが出てきました。

これは実は、どこかで前例があるというふうに思われます。一番そういうことで先駆的なのは、ウェブの世界です。ウェブのHTMLというのは、全く特許も取らずに、ブラウザーを使えば世界中で同じ内容を同じように見られるようにしようということで、知識を今までとは違ったチャンネルで誰もがアクセスできるようにして、スタートしました。それに倣って、デイジーは、規格を作りました。その規格にそってメーカーに製品を作ってもらいました。そして規格そのものは、ユーザーのニーズで作るものだとやってきたわけです。今度、図書館も規格を作ろうとしています。その規格にそって、納品してくれるメーカーが出てくれば、それで解決する。このまま待っていたんでは、それぞれのメーカーがそれぞれのDRMで囲い込んでしまうので、われわれの思うようなものにはならないという宣言をして、いよいよプロジェクトを始めたということです。それが、New York public libraryという、非常に知名度も高い、影響力もあるところが始めたというのは、大いに注目されるところです。特にDRM問題の解決に公共図書館が世界的に連携してどう取り組んでいくのか、大いに発展することを私は期待したいと思っております。

先ほど、リーディアムを紹介しました。このリーディアムを開発しているリーディアムファウンデーションという団体ですが、デイジーコンソーシアムに入っていますし、IDPFというEPUBの団体にも入っています。そこにNew York public libraryも加入しました。つまり、いよいよ本気になって一緒に図書館のシステムを誰もがアクセスできるように作るんだというのが、もう一つの注目点だと思います。

そして、障害者権利条約がいよいよ熟してきて、この権利条約が追い風になりつつあるということが、非常に実感できるようになりました。日本では障害者差別解消法という法律で、再来年の4月に施行されます。ですから、国と地方自治体は、来年度の予算要求の中に、実施のための要求を入れておかなきゃいけないという時期に、今、差しかかっているわけです。来年度の予算が決まるのが、この12月ぐらいですから、そこに入れておかないと、実施の2016年4月に間に合わないという、もう最後の追い込みの時期にきています。

そこでは何が問題かというと、先ほど合理的配慮という話が渡辺さんからありましたけれども、合理的配慮を提供しないということは、差別にあたりますので、合理的配慮の提供を国と自治体に義務付ける。そのために、計画を立てなさい、ガイドラインを作りなさいということです。これは、アメリカの場合は明確に国から補助金をもらってるところは、これに違反すると契約が駄目になって補助金をもらえなくなるという非常に現実的な措置が伴っています。日本の場合には、国と地方自治体に義務付け、民間団体にはこれを努力することを義務付けるというようにしています。したがって、出版社も含めて、全ての団体が努力をする義務があるし、特に、公立の図書館や公立、国立の大学等はこれを実施する義務があるということになります。

昨年の6月にマラケシュ条約という国際著作権条約が結ばれました。この著作権条約の特徴は、これまで著作権条約というと、著者の権利をどうやって守るかに焦点がありました。今度のマラケシュ条約は、逆です。従来の出版ではアクセスができない人たちのアクセスする権利、それを保証するための国際条約です。そして、著作権の制限ということがうたわれています。ある特定の障害があって読めない人たちが、こういうものが欲しいというのは、それは市場なのです。つまり著作権者が、そういう製品を作れば売れるんですね。例えば、点字版とかデイジー版とか、アクセシブルなEPUB版とか、そういうものを作れば、その人たちは読めるようになる。技術的にはそうですが、商業的に考えて、それじゃペイしないので、そこは出版しませんというように決めた場合は、これは図書館、日本の法律では図書館等となってますが、学校図書館や大学図書館でもいいのです。もちろん公共図書館、点字図書館もです。図書館等は著作権者の許可を得ないで、それをデイジー化したり、読める形にしていいとなっています。このマラケシュ条約は、それを国際交換できるように国際条約で保証するというものです。これは国際的な出版社団体も著作権者団体もみんなで賛成したから成立したのです。つまり障害がある人の出版物へのアクセスというのは、これからはそのように保障していかなきゃいけない。そのために、著作権は必要があれば制限しなければいけないということを合意した条約です。これは、まさに追い風であり、特に途上国で、これまで著作権の整備がされてなくて、何をやろうとしても駄目だ駄目だといわれていた国々には、著作権を整備するのに非常にいい条件が出てきました。この条約、批准が20カ国に達すると効力を発揮します。第1号の批准国はインドです。第2号の批准国はエルサルバドルです。そして最近第3号が出ました。確かどこかの途上国だったと思います。日本政府も、一応批准する方向で検討しています。ですから、これが批准されて発行する日はそんなに遠くはないかもしれないと思います。そうすると、世界中のよその国にあるものも、日本からオンラインで借りてこられる。そういう非常に流通のいい制度が出来上がります。

最後に国連防災世界会議というのが世界から約1万人の人を呼んで来年の3月に仙台で開催されます。何をやるのかといいますと、災害のときに人の被害をどうやって減らすのかということを一つの焦点にして、さまざまなこれまでの経験を集め、特に、グッドプラクティス、いい経験を集めて、世界戦略を打ち出すというものです。ちょうどさきほど、お試し版というお話がありましたが、皆さんの封筒の中に入っている、ノーマライゼーションに危険な状況における障害者の保護という、障害者権利条約の解説がのっています。まさに、権利条約の11条というのは、今度の国連防災世界会議でも大きく取り上げられる予定です。具体的には、どうしたらいいのかということです。皆さんに思い出していただきたいのは、最近の気象庁の台風等のときの発表ですね。自分で安全を確保するよう心がけてください。そして必要なときは避難してください。でも、どこへ避難するのかとか、どうしたらいいのかとか、いつが避難のぎりぎりのタイミングなのかというのは、全部、呼びかけを受けた一人一人に任されているわけです。恐らく、地域でみんなで集まって、障害のある人も含めて、こういうときにどうしようという議論を相当尽くしておかないと、そういう警報がきても、どうしたらいいのか分からないというのが、ほとんどの人の実情だと思います。これは障害のある人ももちろんそうですし、障害のない人もそうだと思います。障害のある人の場合には、ある一定のタイミングまでに、早めに避難しないと、障害のない人だったら難なく越えられるところも、越えられなくなる。ただ、直下型地震みたいなものになると、これは障害のある人も、ない人も、上からなにか重いものが落ちてきてつぶされれば、あまり障害の有無と関係なく、今までなにかあったら助けに行くはずだった人が、歩けなくなることだってあるわけです。見えなくなったりとか。

つまり障害の有無によって、誰かが助ける人、助けられる人という関係が災害のときには固定できない。むしろ、あらゆる人が、自分のあらゆる力を結集して、地域のみんなで手を取り合って安全な行動をとるということが必要になってきます。ことに、災害の後、復興のときなんかもっとそうです。今まで、健常で歩けていた人は、急に歩けなくなったらどういうふうにしたら生活できるのか、分かってる人は少ないと思います。でも、それまで、車いすを使ったり、いろんなことで工夫をして暮らしてこられた方は、よくご存知です。その地域にはどんな支援があって、どういうところがアクセシブルであるか、よくご存知ですよね。そういう人たちが、少し助言をするというのは、非常に重要ですし、それから、大災害の後は、皆さんが半分、パニックになったり、いろいろな、いわゆるPTSDに近い状況になります。そういうときに、さまざまな精神的な障害を持った方の経験というものが、こういうときこうしたらいいよというのが、非常に役に立ってくる。つまり、普段から準備をしておく。実は、災害で一番大事なのは、どんな危険があるかを分析して備えることです。災害の情報は、よくご覧になると分かると思いますが、科学的な事象をどう評価するか、どういうふうにこれを見るのが正しいのかが必要になります。この前の、御嶽山の噴火のときは、いわゆる先端の火山学者の間でも見解が一定しませんでした。兆候はあったという人と。いや、これではあったとはいえないという人と分かれます。つまり、得られる情報を科学的に理解して、一番安全な方法をとるということが、一人一人に求められるし、それに基づいた判断が必要になります。これはもう、まさに命がけの判断です。そういう意味で、災害情報というのは、全ての人が自分で納得できるまで理解をして、その上で、自分が適切なときに、適切な判断をする。そのための情報として、誰もがアクセスできるように提供される必要があるわけです。

そういったことが、仙台で話し合われる予定です。そして、話し合って、どうしようかというときに、どうすれば、アクセシブルな出版物がみんなの手に入るようになるのかということは、大いに貢献するだろうと予測しています。そこまでが私がきょう申し上げたいこれからの動向のキーポイントです。

どうも、ご清聴ありがとうございました。