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スウェーデンアクセシブルメディア機関(MTM : Myndigheten för tillgängliga medier)『読書生活(Läsliv)』2015年第3号,p.21

デンマークモデル

フルサンセンターはデンマーク視覚障害者協会の運営するコース及びレクリエーション施設である。MTMはこの施設がIT、コンピューター補助具、及び視覚障害者に対する教育にどのように取り組んでいるかを学ぶため、見学に来た。

文:エヴァ・ニルソン 写真:フルサンセンター

左写真
カーレン・マリエ・ペーダ―セン

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イェスパー・フレンケル

 数年前デンマークでは全ての県が廃止され、5つの大規模なレジオンが設立された。多くの方面で視覚障害者訓練センターが閉鎖された。成人に対する特別教育に関する法律に則り、リハビリテーションと教育に関しては地方自治体が責任を負う。彼らは自分達で教育を提供したり、いくつかの自治体に残っている視覚障害者訓練センター、レジオン立のそのようなセンター、あるいは民間企業から購入したりすることもできる。
 イェスパー・フレンケルはユトランド半島の南東海岸に建つ視覚障害者訓練センターのコース責任者である。カーレン・マリエ・ペーダ―センはデンマーク視覚障害者協会の文化及び余暇審議会の副議長だ。彼らのどちらも各施設を案内し、活動について紹介してくれた。また彼らはデンマークにいる視覚障害者にコンピューターと補助具を提供する方法についても説明してくれた。

 イェスパーはセンターがウィンドウズ及びオフィスパック、それにシャルムレーサレ(skärmläsaren)Jawsに関する研修を行い、iPhon、デイジーに関する学習コース、MacとiPadの使い方に関する学習コースを提供していると話してくれた。
 デンマークでは視覚障害者は自分のコンピューターに*タルシンテス(talsyntes) 及びシャルムレーサレ(skärmläsaren)を入れてもらうことができる。加えて彼らは点字モニターとタルシンテス(talsyntes)を補助具として搭載した特別製作のポータブルコンピューターを受け取ることができる。

 これらの特別なコンピューターの一つはブライユセンスという名称である。その中にはネットサーフィン、ワードプロセッシング、録音図書の読書、自分のカレンダーやe-mailの操作ができるプログラムが入っている。またデイジーフォーマットの録音図書のある図書館に繋げて図書を検索し、ダウンロードして読むこともできる。
 またこのコンピューターを使ってNotaのカタログE17に載っている図書を検索することもできる。Notaは録音図書も音声図書も貸し出している。ある図書が既に音声図書として録音済みだったら、録音図書を製作する代わりにそれを購入する。デンマークの視覚障害者協会は、弱視者にも適合するようにデイジーフォーマットで音声図書を製作し、注釈や(カバーの)宣伝文句まで含めて図書を丸ごと録音するように出版社に働きかけている。

 デンマークではしばらく前から文化庁と教育庁間で、e-ブックの製作に関してはどのように著作権法を解釈するべきかについて、論争が続いている。そのためにe-ブックは全ての利用者の為ではなく、学生のためだけに製作されている。文章付きの録音図書は、現在の処製作することができない。デンマーク視覚障害者協会は著作権法に対する文化庁のこの制限的な解釈について、批判の目を向けている。

*タルシンテス(talsyntes) 及びシャルムレーサレ(skärmläsaren):どちらもスクリーンリーダーの一種


original:
Den danska modellen. Läsliv nummer 3. Myndigheten för tillgängliga medier. 2015
http://www.mtm.se/globalassets/om-oss/publikationer/lasliv3_2015.pdf
http://www.mtm.se/om-oss/Publikationer/lasliv-och-vi-punktskriftslasare/
(cited 2016-01-22)