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母親が語る『発達障害のある大学生、ユニコと歩む日々』 その1

今日もまた、事件発生

「美容院に行っておいで」と3千円持たせて送り出したのが1時間前。

帰ってくるなり、「ただいま」も言わずに「財布がない」と探し回る。

「ズボンのうしろポケットに入れておいたのに、なくなった!」

またか…

夕飯の準備は中断。とりあえず、もう一度お金を持たせて美容院に向かわせる。

途中で、どこかに落ちていないか探すように、一応、声をかける(が、探し物が自力で見つけられると期待してはならない。)

母も、弟の帰宅と入れ替わりで家を出て、美容院までの一本道を、目を皿のようにしながら歩く。

途中で、こちらに向かって帰ってくるユニコをつかまえ、交番に届けに行くように指示。

結局、財布は見つからなかった。パスモも入っていたというのに。

思い起こせば、何度こうしてユニコが歩いた道を逆にたどったことか。

「明日使う体操着をどこかに落としてきた」と言われれば、

雨の中、(やっぱり夕飯の準備は中断して)2駅離れた通級の学校へ向かい、

慣れない駅前をキョロキョロと探していくと、

線路沿いの駅前商店街の一角に、びしょ濡れになった体育袋を発見。

「定期券を落とした」と言われれば、

家から最寄駅までの道をたどり、大通りの交差点の隅に落ちている定期入れを発見(幸い、定期券も無事)。

「電車の中に水筒を忘れてきた」と言われれば、

沿線のみならず、相互乗り入れ先の線の遺失物保管所にも連絡。結局、最寄り駅の公衆電話の横に置き忘れていたというあっけない結末。

「明日提出するプリントがない」なんて、しょっちゅうだ。

でもしかたがない。それがユニコだから。

こんなユニコは、今、大学1回生。

字も満足に書けなかった(書けるようになったのは奇跡だと、今でも思っている)ユニコが大学生だなんて!

ここに至るまでには本当にいろいろなことがあり、いや、今も現在進行形で、事件は日々起こり続けていて、

でも、確実に少しずつ進歩している部分もあって、

つらいことも、確実に少しずつ減っている(と信じたい)。

そんな話が、誰かの心に響けば、と願いつつ、

これから、ぼちぼちとつづっていこうと思う。

発達障害のある大学生、ユニコと歩む日々のことを。