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日英NPOフォーラム-共生のコミュニティにおける民間非営利組織の役割と経営-

NPOの実務

スチュアート・ミラー氏

スチュアート・ミラー氏(Stuart Miller)
(グレイター・イースターハウス開発会社最高責任者)

 今回、こちらでお話をさせていただくことを、大変光栄に存じております。  2つ、プレゼンをお聞きになったわけですけれども、主に、お二方はNPOの統治、そのアプローチについて、大きな枠組みでお話をなさったと思いますけれども、私自身のNPOについて、私はお話ししたいと思います。それからまた、具体的な例を挙げながら、どんな問題点があるのかということをご紹介申し上げたいと思います。
 私はスコットランドから来たわけですが、もともとはウェールズの出身でございまして、スコットランドに30年ぐらい住んでおります。30年前に初めて日本に来たときは海軍のに乗って来たわけですけれども、今回はまた違った役目を負っております。中国ではなくて、日本に今回は上陸しているわけです。ちょっとこの地図は矢印が中国で消えておりますけれども。
 グレイター・イースターハウスというのは、グラスゴーの一部でございます。グラスゴーはスコットランドにありますけれども、スコットランドの大きな都市でございます。しかしながら、エディンバラというのがスコットランドの首都でございます。グラスゴーはそのスコットランドの西側にあります。グレイター・イースターハウスというのは1950年につくられました。そして、そのときにはたくさんの新しい住宅を供給するニーズがあったわけです。このグラスゴー市の住居というのは非常に貧しいものでございましたので、その当時の政府、当局がたくさんの住宅あるいは学校を建てました。それだけだったのです。そのほかの社会的基盤は、何もありませんでした。そして、14の各近郊の地区からなっているわけですけれども、1950年から始まりまして、いろいろな銃の問題ですとか、ここ20年ぐらいは非常に貧困がみられまして、あるいは暴力事件なども起きております。そして、ここ5年ぐらいこれが変わってきているわけですね。というのは、どんな活動によって変わったのかというのを、私のお話の中できょうはさせていただきたいと思っております。
 グレイター・イースターハウスというところの人口ですけれども、3万2,000人でございます。そして、65年には7万5,000人ほどいたわけですけれども、ずっと時間がたつにつれてこの町を去ることができる人は去っていったということで、非常に貧困の問題を抱えている方たちが、今、そこの地域にいるということになります。そして、住居の数ですけれども、1万1,500でございます。多くの地主さんというのが、地方においての権限を持っている人でございます。そして、工業地域といたしましては3つ、そして2つは提案している地域がございます。ここが主な職業があるところになっているわけですけれども、それからまたショッピングセンターは1つ、そして新しいショッピングセンターをまた来年つくろうということで、これによって2,000の新しい職が創出されるということになっております。これによって、雇用の問題もある程度解決できることになります。そして、この地域ですけれども、ローカルなボランティア、あるいはNPOのグループがおりまして、昔は約350くらいあったんですけれども、今、この地域には、実際に活動しているNPOというのが250ぐらい存在しております。2~3人だけというローカルな団体もある、それからまた、私のところのような大きなところもございます。そして、後になってお話しいたしますけれども、どういったニーズがあるのか、そういった大きなNPOの団体がパートナーシップを組んでうまくやっていくためのニーズについても、後でお話ししたいと思います。  グラスゴーというのは、今、非常に景気が良くなってきております。商業的にも非常に成功した地域になっております。いろいろな開発が過去5年から10年の間に行われまして、そして大きなショッピングセンターもあります。ロンドンに次ぐ大きなところがあるわけです。それから、いろいろな金融機関もグラスゴーに進出してきておりまして、またコールセンターというもの、あるいはコンタクトセンターともいいますけれども、非常に大きなものがグラスゴーにあります。スコットランドのなまりがあります。私はちょっと違うのですけれども、なまりがあるので、たくさんの企業がこのコンタクトセンターというところをグラスゴーに置いているわけです。そして、すべてのコンタクトセンターのうちの75%というのが、グラスゴーにあります。ここにも大きな雇用の機会が存在しているわけです。ただ、グラスゴーの失業率をみてみますと、グラスゴーにおいては8%ですね。そして私の管轄の地域、4つの地区を見てみますと、それの約倍ぐらいの失業率があるわけです。という意味では、まだまだ仕事ができない、職につけない人たちの問題があるわけです。それだけではありませんで、今、就業している人は、グレイター・イースターハウス地区では42%にすぎません。それから、疾病保険に頼っている人というものもいるわけです。ですから、約42%の人だけが経済的な活動をしているということになります。それからまた、片親の家庭というのが非常に多い。これが42%。そして、そのうちのほとんどの人たちは生活保護に頼って生活をしているという状況です。ですから、私の管轄の地域というのは非常に貧しい地域であるというわけなのです。  この建物をごらんいただいていると思いますけれども、これは私どもの会社の本社でございます。これはとても近代的ないい建物になっておりますけれども、あとで昔がどんなだったかをお見せしたいと思います。グレイター・イースターハウス開発会社というのは、グラスゴー地域におけます開発会社は幾つかあるわけですけれども、そのうちの1つでございます。グラスゴーにはこういった非常に独特の開発会社というものがあります。スコットランドに、あるいは英国にもこういったものはないと思うのですけれども、つまり、私たちというのは企業とそしてその社会的な面を抱えている独特な団体なわけですね。
 これが昔のビジネスセンターですね。4年前は、こんな建物だったんです。そして、約250万ポンドを費やしまして、このビルを新しくいたしました。これは地元の子供たちが通っていた中学校だったわけなのですけれども、それを閉鎖いたしまして新しいビジネスセンターに改造したわけです。そして、このビジネスセンターの中には、60%は民間の企業がテナントとして入っております。そして、残り40%というのは、NPOあるいは公共団体が入っているわけです。それからまた、スコットランド議会の地元の議員の人たちがこの中に入っているということもあります。ですから、スコットランド議会とのつながり、あるいは地元自治体とのつながりもできるわけです。  そして、私どもの使命ということですけれども、グレイター・イースターハウスの経済再生のプロセスを導き、そして支援するということですね。そして、人々が誇りを持って仕事をし、生活をし、生活を楽しむことができる持続可能なコミュニティーをつくるということです。我々は有限会社ではありますけれども、慈善性、慈善団体としての性格を持っており、そして利益を追求しない組織であります。
 そして、私どもの活動の範囲でございますけれども、主に4つありまして、まず人々に対してのソウヨウを確保するということ、そして、人々が仕事ができるような支援を行っていくということですね。これは、人々が読み書きができるようになるということもそうですし、算数ができるということ、そして、人々の自信へとつなげるための支援でもあるわけです。自信の欠如のために、仕事に再度つくことができないということもあるわけです。ですから、仕事についてもらう、空いている仕事があれば、それを見つけてふさわしい人にそれを紹介するというようなこともやっております。それからまた、地元の民間企業との協力もしております。  スコットランドにはキルトというスカートがあり、結婚式のためにそういったものをつくるということがあるわけですけれども、そういった産業も育成するということ。10万ポンドを生みだしております。それからまた、ビジネスセンターというものも運営しているわけです。そして、環境のためのいろいろなプロジェクトというものも行っております。
 資金の話を先ほどいたしましたけれども、ここで具体的な数字を挙げたいと思います。このようになっております。まず、市の評議会から約8%収入があります。これによって、この地域に対してのサービスを提供することができるわけですね。特に、仕事をする状態に人々を支援していくために、主にこのお金が使われております。それから、ソーシャル・インクルージョン・パートナーシップというものについては、また後で詳しく触れますけれども、このパートナーシップの資金というのは新しい政府の取り組みでございまして、いろいろな官庁あるいは自治体が一緒になってパートナーシップを組んでいくということです。それからパートナーシップの経済的な側面ということですけれども、メーンの資金は20%、そして私の場合はここからの収入が34%を構成しております。そしてグラスゴーの開発公社というものがありまして、これがスコッティッシュ・エンタープライズ・イン・グラスゴーというふうに名前が変わりましたけれども、これは政府からの資金のうちの主なものを占めておりますスコットランドの民間企業、グラスゴーの開発公社といったようなところから、各企業をアシストするためのお金、それからまた、我々が暫定的な労働市場プログラムというふうに呼ぶものに対しての資金も提供されております。
 また、イギリスではヨーロッパ、いわゆる欧州の資金というものも得ることができます。私ども、EUのメンバーでございますので、このEUからの資金にもアクセスができるわけです。具体的に申し上げますと、例えば、私たちが「こういった資金が必要です。そのうちの半分はうちが、私たちグラスゴー側で用意しましょう。あとの半分は補填してください」というような申し出をすることによって、EUからの資金が調達できるというわけです。もちろん、少し官僚的な手続きは踏まなければいけませんけれども、しかしながら、EUのメンバーということでそのような資金調達ルートもあるわけです。
 次に、ではほかにはどんなサービスをしているか、もう少し具体的にお話を進めていきたいと思います。私の前にエサリントンさんがちょっとおっしゃっていましたけれども、やはり政府からの資金だけを当てにするのはよくないというような話があったと思います。それは同感です。我々NPOとしても独自の資金調達を達成しなければいけないわけです。私どもの場合、私どもの会社の傘下に3つの有限会社を持っています。私はここに書いてある3つの会社のディレクターをしております。まあ役員格でございますね。そして、こちらから得られる収入、収益をまたGEDCという本体の方に、グレイター・イースターハウスに戻すわけです。また、もちろんここに書いてあるものだけでなく、例えば、土地の売買なども通じて得るような収益も、私たちの運転資金・回転資金にまわしています。また、この真ん中に書いてあるenvironmental improvement、環境改善会社というのでしょうか。こちらは比較的最近スタートしたところなんですけれども、非常にうまくいっております。また、失業者に対するトレーニングプログラムといったものも行っています。このトレーニングの中で例えばランドスケーピング、いわゆる景観改善、あるいは景色ですね。景観改善のためのトレーニングをしたり、あるいは工場跡地ですとか、教会のまわり、跡地などの土地を非常に有効に利用しようというようなことをするためのトレーニングを提供しています。そしてもちろん、最終的にはトレーニングを受けた人たちが仕事をし、そこで収益を上げるというのが目標になります。
 また、さらにいろいろな投資を担当するのが、SMEインベストメントリミテッドという会社でございます。ここは、それこそよく株主がある企業の株を所有するのと同様に、私もディレクターとしてこの会社の株式を保有しております。とはいえ、これはもうけるための株式保有ではなくて、一応株主として、そこでおよそ2万ポンド、私個人としても投資をしているのですけれども、今ではその価値が4万ポンドになっているくらいです。もちろん、これらも最終的には我々の活動に使われます。  また、ITの教育なども行っております。おかげさまで、私自身はITの知識等はある程度あるのですけれども、まだまだコンピューター等に弱いという方たちのための研修・教育もしております。また、例えば私のデータベースを地元の短大というかカレッジなどの人たちに提供して使わせてあげるとか、そういったこともしています。  また、例えばいわゆる一般の企業からコンピューターを借りるとか、あるいはそういったところから調達をして買おうと。あるいはNTNというケーブルテレビの会社があるのですが、こういった会社から普通に通常機器などをレンタルしたり、あるいは買ったりすると非常にコストが高くなるところを、こういった私企業とパートナーシップをつくってそのコストをある程度抑えるというような努力もしております。
 さらに、先ほどから申しております非常に多くの失業者を何とか救うために、私と私の下で働いている2人のスタッフとともに、こういった子会社を通じてさらに雇用の機会をふやす。また、就業の機会をふやして、最終的に人々が職につけるようにというような努力をしています。ここに、真ん中にGEDCとあります。私どもの会社です。私たちが何かしらの事業あるいはサービスからプロフィット(利益)を上げる、そしてこれは私たちが儲けるためのものというのではなく、むしろself-sufficiency(自立)のために最終的に投入されるということをご理解ください。
 さて、パートナーシップという言葉がきょうは何回か出ていると思うんですけれども、私たちの場合も、例えばパブリックセクター、公的な機関、そしてプライベートセクター、民間企業ですね、そして我々のような自発セクター、ボランティアセクター、こういった三者が、今、三位一体としてパートナーシップを組んで、いろいろな事業あるいはいろいろなプログラムを展開しております。これらは私どもにとっても非常に強い力になるというふうに考えています。 例えば、パートナーシップを組んで事業を行っているという例の1つなんですけれども、イギリスでは、まだ学校やそのほかのところでコンピューターを使うようになって、まだそれほど進んでいないんですね。ですが、政府といたしましては、特に貧困に悩む家庭にもこういったITの恩恵を享受させてあげようという方向にいっています。そこで、私どもはNTLという私企業、民間企業とパートナーシップを組みました。そして、貧しくてコンピューターなどが買えない家、あるいは買えない世帯に対して、こちらのようなサービスを提供しています。セット・トッポ・ボックスと申しまして、テレビの上に置くとか、テレビに接続をするものなのですけれども、このセット・トッポ・ボックスを使うことによって、まさにコンピューターの代わりに使っていただけるようにしました。そして、いわばコンピューターがなくてもセット・トッポ・ボックスとテレビがあれば、インターネットにアクセスできるようなローカルネットワーク・ゲートウエイを提供するということをしています。もちろん、彼らがこのインターネットにアクセスした場合、私たちからのメッセージを見ることもできるようにしております。また、さらに私たちがどのような情報提供をしているか、これらにアクセスするもできます。 ロンドンでは、特にロンドンの東端のほうなんですけれども、イーストエンド、こちらでもさまざまな開発が進んでいます。今、私がご紹介したような技術を、ロンドンの方でも1,000世帯に導入しようというふうな企画があります。私どもがこのように考えたシステム、NTLと共同で開発したシステムを、今やロンドンでも使おうという動きになっています。ただ、ここでまた、では私たちがコミッションをとろうかと、儲けようかという話になりますけれども、もちろんコミッションは取りますけれども、普通よりは安いレートで提供していこうと考えています。
 もう1つのこちらの例ですね。約50年前でしょうか。ボディショップの社長がこちらに写っている女性なんですけれども、彼女はグラスゴーの非常に貧しい地域に最初の工場をつくりました。石鹸工房といいましょうか、石鹸工場をつくりまして、ここからボディショップといういわゆるボディ商品、あるいはバス商品を扱うお店をスタートさせたわけです。そして、今、こちらのソープワークスという石鹸工房でつくられている、石鹸が世界各地のボディショップで売られています。また、こちらのボディショップの役員も私の個人的な知り合いなものですから、私どものディベロップメントセンター、グレイター・イースターハウスに大いに協力をしてくださっています。さらに、こちらには2万5,000ポンドのお金を応援資金として投入されています。こちらでいろいろな利益が上がる、そしてそれが私どもグレイター・イースターハウスにまた還元されるということもまた事実です。
 それから、もう1つの例なんですけれども、こちらはフォードの――車の会社のフォードですね――こちらにガレージを貸しているというようなビジネスです。このときは地方自治体のトレーニングスクールとパートナーシップを組みまして、そして数名の人たち――6人か10人でしたか――に対してトレーニングコースを提供したわけです。そして、これに対応してくれたのが、カーアンドスミスというこの会社なのですけれども、いわゆる安全衛生の部分の教育を受けた人たちが今や無償のトレーニングを提供して、そしてこちらで働いているという例もあります。
 また、グラスゴーではソーシャル・ジャスティス・チャーター、スコットランド議会でこれは認証されているのですけれども、いわゆる憲章を交付いたしました。この中で、ソーシャル・インクルージョン(社会的包括)というのをうたっています。つまり、この社会に住んでいる一人一人のすべての人たちが、きちんと意見を言う権利を持っているのだということを、この憲章の中で言っています。  先ほどエサリントンさんもちょっとおっしゃっておりましたけれども、パートナーシップを組んで我々NPO、それからほかの私企業たちと一緒に仕事をするときには、やはりもう絶対にMustである、つまり絶対に必要なものである、そして、ソーシャル・インクルージョン・パートナーシップ・ボードという委員会がありまして、ここで活動等のいろいろな監視などを行っています。そしてパートナーシップの中で、例えば医者、あるいは病院、あるいはプライベートセクターによるいろいろなサービス、これらを実際に実現化しようということを考えているわけです。また、パートナーシップのこのメンバーが、例えば議会、あるいは市議会ですとか評議会に参加をするということもあります。  私どもの主な活動としては、先ほども言いましたけれども、経済復興が一番のポイントというふうに申し上げました。ただ、その一方で、同時にいわゆる生涯学習についても相当なエネルギーを割いています。また、さらにコミュニケーションの大切さも認識しておりますので、これを促進するということもやっております。これらについては社会から非常に高い評判も得ております。  また、次に書いてあります、ヘルス・アンド・ウエルビーイング、つまり健康とそして福祉という部分につきましては、それほど私どもの活動は積極的に展開されておりません。しかしながら、市議会または地域政府を説得する、私たちがその説得役という形になって健全なサービスあるいは事業をしてもらえるようにという訴えかけはしております。そのためのバジェットが340万ポンドということになっています。  さて、トレーニングの重要性についてはこれまでにも申し上げていたかと思うのですが、NPOの能力の限りでいろいろな業務計画を立て、そして今現在、10の団体を支援しております。この10の団体が例えばコンピューターなどの教育をするとか、あるいはIT全般の教育をしているわけです。もちろんヨーロッパ、欧州からの基金、ファンドもあるということを言ったんですけれども、こういったお金などもこういったトレーニングセンターなどにまわされる。そしてここでトレーニングを受ける人たちは、無償でその教育を受けることができます。ただし、最低5ポンドは参加者に一応払ってもらうことにしています。基本的にほとんどただ同然ではあるんですけれども、最低5ポンドという非常にわずかな金額ですけれども、一応自分でも払っているんだということで参加意識を持ってもらうようにしています。  先ほど、この地域には250のボランティア団体があると申しました。こちらは今回我々が最近買いました古い教会でございます。さて、ここもコミュニティーエンタープライズセンターという我々の組織に属するある施設として、いろいろなみなさんが集うための、または、ここでオフィスとして使う人がいるかもしれませんけれども、もとは教会ですけれども、また新たな形に変身させて活用していこうと思っています。コミュニティーエンタープライズセンター、これができ上がった暁には、さらにパートナーシップが促進されることと思います。
 このコンピューターの学習センターですけれども、いわゆる商業地域だけではなく、いろいろなところに広げていこうと思っております。これについては、宝くじから得られました収益を使おうと考えています。それにあわせまして、光ファイバーでつなげた生涯学習センターというのを、各地域のローカルカレッジを拠点として設けていきたいと考えています。そして、光ファイバーでつなげていくということを考えています。既に立ち上がったラーニングセンターの1つです。これはショッピングセンターにあるのですが、コンピューター、それからCDライブラリー、ビデオライブラリーなどを揃えています。この地域はかなり犯罪の発生率が高いので、監視カメラの設置も行っています。これは主要な道路、通りということで、ほとんど100万ポンドぐらいお金がかかりました。したがってかなりいろいろな財源ということで、私自身の会社の売上げですとか、それから民間セクター、それから教育機関、それから先ほどお話ししました病院ですとか、それから政府の衛生担当機関などが半分、あとは中央政府から半分という資金繰りを行いました。また、2000年ですのでミレニアムファンドということで、これも宝くじからの収益をベースとしまして、子供用のセンター、クランヒルという場所なのですが、非常に麻薬使用、犯罪の発生率、それから設備なども荒れ果てています。ですので、このミレニアムファンドと私たちが呼んでいる宝くじからの収益を使って、ここに子供用のセンターをつくりました。また、民間セクター、それからグラスゴーのディベロップメンズセンター、それからシティカウンセルといろいろなところからのお金が集まって、パートナーシップを形成しているわけですけれども、それを使いましてスポーツ施設をつくりました。これは例えば、サッカー場ですとか、あるいはほかのいろいろなスポーツができる施設をつくることで、若い人たちが非行に走らないように防止する役割を果たしています。それから、新しいカレッジとしまして650万ポンド、これはほとんどヨーロッパからのお金を使っています。この開発計画も進んでいます。それから、将来的なことなのですが、単に商業地域の開発だけではなくて、やはり美術ですとか芸術ですとかそういうものの振興が大切だと思っております。したがって、スコットランド美術評議会から15万ポンド相当の資金を得ることによって、この芸術、また社会参加型戦略というものをさらに進めていきたいと思っています。
 少し時間が限られておりますので、後は簡単にあとお話をしたいと思うのですが、コミュニティー・アクション・ネットワークという私がメンバーになっている組織があります。もともとはロンドンで2人の人によって立ち上がった組織です。アンドリューモーセン、それからデルブレイクブラザーさんという2人の人によって創設されたものです。これは、ITについてのネットワークです。つまり、同じような考え方を持って、同じような目的に向かって進む人たちのネットワークづくりということなんですけれども、こういう人たちをソシアル・アントレ・プレナー、社会型アントレ・プレナーと呼んでいます。これは例えば、バージンの社長ですとか、そういった普通の企業家と同じ企業家なのですけれども利益追求型ではない、いわゆる社会的なミッション追求型と考えてください。すでに、このネットワークで300の組織団体がインターネットによってつながれています。そしてその中でどういった活動、支援を行っているのか、情報を共有しています。先週、私も日本に来る前に、この宝くじの資金について質問を受けたものですから、このネットワークを通じまして情報をもらいました。スコットランドとイングランドは別々のところですから、お互いに情報の共有をはかったわけです。この宝くじの資金源をどのように使うかということをインターネットを使って情報の共有をしました。また、このコミュニティーアクションネットワークはセンターがあるのですけれども、すでに4つありまして、あと18つくっていこうと思っています。ロンドンの議会のすぐそばに、ロンドンのオフィスがございます。まだ新設の建物ですので、どこからでもアクセスができるようになっています。マンチェスターの場合ですと、古い修道院を改造しまして、これもやはり地方当局ですとか、それから地方のその地域のビジネスなどの援助を受けてつくったものです。それからホワイトヘイブンというところでは、英国教会の司教がホームレスの援助を行っていますので、誰も使っていない車の駐車場、この跡地を失業者のために使っています。これは立体交差の駐車場なんですけれども、それを使いまして、そこがこのコミュニティー・アクションネットワークになっています。そのほかにもいろいろな、このアイロフスカイというところでも青少年育成を中心としましたセンターがございまして、あと18、新しいセンターをつくろうと思っています。  私、ちょっといただいた時間をかなり超過してしまいましたので、もし皆さんの方でさらにご興味がありましたらば、こちらのホームページにアクセスしていただければと思います。  本日は講演の機会をいただきまして、どうもありがとうございました。