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日英シンポジウム2000「高齢者と障害者の自立と社会参加の促進:NPOと企業・行政の役割を探る」

基調報告 初山泰弘

本日はこの日英シンポジウムを企画いたしましたところ、たくさんの方々にご参加頂き有難うございました。シンポジウムの開催に当たり、現在までの経過についてご簡単に紹介をさせていただきたいと存じます。

 今世紀後半、わが国は、福祉先進国を目標として、福祉施策を積極的に進めてきましたが、1990年代には世界一の長寿国となり、平成11年末の厚生省の調査によりますと、65歳以上の高齢者人口は全人口の16.7%に達し、その数も2100万名を越えております。 また知的障害、精神障害をも含めた障害者数は500万と推定されております。 

 このような状況に対応するため、政府は、年金制度や医療制度の改革を幾度か重ねております。また、先般、社会保障制度の基礎構造改革関連法案が国会で成立いたしました。本年4月から介護保険制度も導入され、わが国は、社会福祉制度の見直しとともに、新しい障害者、高齢者施策の時代に入ったと言えると思います。

 英国と日本は、相異なる歴史的背景、文化を持っておりますが、両国間では古い交流の歴史が在り、かってない高齢社会を迎えながらも、高齢者個人の尊厳を維持し、障害者の社会参加と自立を支援するという共通の目的を掲げ、関連の分野で施策を進めているところであります。

   日英高齢者・障害者ケア開発協力機構は、保健福祉の分野で、日英双方の関係者が交流し、定期的な情報交換活動を続け、両国の障害者、高齢者の社会参加を促進するために、昨年、厚生省社会援護局(炭谷局長(現 環境省官房長)を中心として、行政、保健、福祉関係者が集まり検討会を開いたものであります。  その際、日本障害者リハビリテーション協会、財団法人テクノエイド協会、シルバーサービス振興会などのご支援を頂きました。  当初検討されました具体的活動内容は下記の様に A 日英フォーラムの開催 高齢者、障害者関係者の交流を図る 日英セミナーの開催《年1回・日英交代で開催》 情報ネットワークの構築《www.メーリング・リスト》 B パイロット・プロジェクト 21世紀住宅プロジェクト C 高齢者と障害者の地域支援のための 1) 障害予防 2)福祉機器 3)情報アクセス 4)人材養成 5)地域における統合  などを各分野で研究開発を積極的にすすめることでありました。  この様な背景の下に、本年3月18日に国連大学において日英共同セミナーを開催いたしました。

 テーマは「地域における障害者の社会参加」とし、プログラムのように日英両国の行政の立場、実践の立場から各々意見交換を行うことができました。  さらに本年9月には 日英NPOフォーラムを「共生のコミュニティにおける民間非営利組織の役割と経営」という課題を選び開催いたしました。  わが国では、一昨年NPO促進法が成立して以来、多くのNPOが設立されておりますが、これらのNPO組織、特に福祉関連のNPOが、今後どのような活動を続けるかが、高齢者、障害者の保健・福祉分野に大きな影響を与えると思われ、その成り行きに大きな関心が寄せられているところであります。

 パルテノン多摩で開催されたこのフォーラムにはイギリスからNPOの代表的なお二方をお招きし講演をお願いし、日本側から5名の方の講演後に、英国側のお二方も含め、パネルディスカッシォンを行い、参加されたNPO関係者の方々の間でも相互に活発な質疑応答が展開されました。この結果、両国NPOの規模、役割などのほか、マネジメントとガバナーの相違点、NPOの役割分担などがある程度認識されたと思われました。  第三回に相当いたします今回のシンポジウムは、プログラムに記されている4団体機関の共催で、さらにUK-JAPAN 21世紀委員会のご後援をいただき、開催することが出来ました。

 これには今回の講演者のお一人である元保健省社会福祉局長でUK-Japan21世紀委員会の委員をされているレイミング卿のご支援によって、行政、医療、高齢者、障害者、コミュニティなどの分野から「地域における障害者と高齢者の自立と社会参加の促進」について、NPO企業、行政の各役割をお話いただくことになりました。後半には討議の時間が十分在りますので、ご参加の皆さんからのご意見、質問もお願いしたいと存じます。

 今後この障害者、高齢者のケアについての日英高齢者・障害者ケア開発研究機構がどのような方向性を持って活動を続けていくのかについては検討中でありますが、21世紀のわが国では、地域の保健福祉の分野でNPOの活動がさらに重要になると考えております。

 最後になりましたが、本シンポジウム開催にあたり多大のご支援をいただきましたレイミング卿始め英国側の方々に感謝の意を表すると共に、日本側関係者の方々、会場その他でご支援をいただきました国立身体障害者リハビリテーションセンターにお礼を申し上げます。