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日英シンポジウム2000「高齢者と障害者の自立と社会参加の促進:NPOと企業・行政の役割を探る」

プレゼンテーション報告:「高齢社会の到来-英国における高齢者のためのボランタリー団体の役割」

テッサ・ハーディング

テッサ・ハーディング

こんにちは。本当に女性のチームとしてまず司会の寺山さんに感謝したいと思います。色々これまでもお話がでましたけれども、日本で大変多くのところに行かせていただきまして、勉強になりました。特に日本とイギリスという関係性においては、似ている点、また違う点というのもあると思います。殆どの国も同じ傾向がありますが、イギリスもやはりだんだんと高齢者が増えてきております。今、女性で60歳以上、男性で65歳以上の高齢者といいますと大体18%ほどになってきております。かなりこれでも高いわけですけれども、この数字というのは次の世紀の中ごろまでには25%に上るだろうというように言われているわけです。このような高齢者というのが全体的には緩やかな伸びではありますが大体2030年頃がピークになると言われております。85歳以上の人の数を見ると急激に伸びています。これを見ていただければ分かると思いますが、この下の方の線は、今85歳以上の人約100万人を表していますが、これがやはり次の世紀の中ごろまでには300万人になるだろうと言われております。そうしますと非常に今後の政策、経済面でも色々と考えていかなければいけないわけです。特に85歳以上の人たちというのは長期的なヘルスケアのサービスが必要であります。そしてまた大切なのは高齢者の幅が非常に広いということです。年齢の幅が広い、40年間、50年間の幅があるということだけではなくて、色々な環境下に置かれている高齢者がいるということです。そして特に少数民族、イギリスに難民あるいは労働者として移民してきた人たちがこの20世紀の後半には多いわけです。特に高齢者にとっての一番大きな問題は低所得ということであります。国の年金、これはかなり多くの人が依存しているわけですけれども、その収入のレベルがそれについていっていません。それにより非常に貧困という問題が発生しているわけです。特に最も高齢な人たち、女性といったような人たちにこの貧困の問題がみられます。若くして退職をした人たち、特にホワイトカラーの人たちは2つ目の年金というのがありますので、比較的楽でありますが、高齢者の中の収入だけを見ても非常にいろいろ幅が広いということです。なんとかやっていける人もいるが、それでもお金が非常に必要な人もいるわけです。これによって最近では特に政府の政策でもってこれをどうしていくのかという問題が取り上げられています。特に国の年金の計画作り、その支給が上げられます。問題なのは、そのお金のことだけではなく人間としての尊厳ですとか、選択、そして自分自身の生活の質といったことにも関係してくるわけです。もちろん、高齢者であっても要求をしたり、尊敬された意味のある役割を社会の中で果たしたいと思っているはずです。つまり彼らにはできる権利があると思っているわけです。これは人間としての誇り、尊厳ということになってくるわけです。そしてこの収入の問題の次に大きな問題となるのはおそらく高齢者にとっての不安ということでしょう。つまり自分たちが自立できなくなったとき、病気になった時どうなるだろうかということですね。高齢者の大体は今自分の家に住んでおりまして、一人暮らし、あるいは配偶者とともに住んでおります。75歳以上のうち半分は一人暮らし、そのうちの大半は女性であります。未亡人であったり、結婚してなかったりする人も含まれます。そしてできれば自分たちの面倒は自分でみたいと思っております。それは自分の自立に対する誇りでもあるわけで、ただそういった人たちが自立出来なくなった時にどうなるかということです。動けなくなった時、あるいは近しい友人が亡くなったときに問題が発生します。そして生活の質というのがここで影響を受けます。ヘルプが必要となったときにどうなるのでしょうか。やはり問題はその高齢者にとって、ケアを提供してくれるものがあるかどうかということが一番大きな心配になってきます。80%の人というのはやはり家族友人隣人に頼っておりますし、10%の人たちが公的な介護サービスの恩恵を受けていて、その残り10%というのがその両方、混在した形になっています。家族はこういったヘルプというのを提供しております。これは配偶者や、もちろん配偶者の場合は自分たちも高齢であり自分達もあまり健康でないということもありますが、あるいはその子供たちがケアをするわけですけれども、イギリスでは8人に1人というのがそういった家族の誰かの面倒を見なくてはならないという状態になっております。これは正確な数字かどうかということはわかりませんけれどもケアをしている自分たち自身が介護しているという認識があるかどうかわかりませんが、子供としては当然のことをしていると思っているかもしれません。でもこういった数字が今のところ出てきております。そしてさらに非常に多くの需要が最近ではあるわけです。つまり病気になったあるいは障害を持った人たちが自立をしたい、自分自身の生活を送りたいと思うわけです。そして24時間の介護が必要な人たちにはどうしていくのかということですね。このボランティアのグループ、NPOの団体として全国介護者協会というところがイギリスにはありますが、ここにおいては政策に非常に影響を与えられるということで法律の中に介護者のニーズを入れてもらおうとしております。これによって家族が介護する場合でも必要なサポートが受けられるようになるわけです。さらに公的な介護のシステム、公的システムの方に話を移しましょう。これは、地方自治体というのがここでは長期的な介護の責任を持っております。これプラス医療セクターとの協力というのもあるわけですけれども基本的には2種類の介護というのがあります、ひとつは自宅における介護、そしてもうひとつは施設における介護ということですね。デイケアセンターなどといったところです。そして65歳以上のうち、5%がこういった入所施設での介護を受けておりますし、これが85歳以上の人になりますと25%という率にあがってまいります。そして同じような数の人たちが自宅での介護を受けております。これも地方自治体によってアレンジされております。大きな問題というのは特に長期的な介護のシステムでは十分なお金がないということですね。特に高齢者のニーズに適切に答えるための資金が十分にありません。やはり高齢者としても自宅にいたい、できれば自宅で介護を受けたい、そういった施設には入りたくないという希望があるわけですが、ここ何年かで自宅で介護を受けられるための基準がだんだんと厳しくなってきました。そして地方自治体としては幅広く予算を使用したいと思っているわけです。だからこういったサービスというのは今や非常に高いニーズを持っている人だけに受けられるものだけになっておりまして、ニーズの低い人には殆ど国からの援助がないという状態です。こういった政府の政策が非常に短期的であるということを我々は段々と認識し始めました。そして人々が本当に介護が必要となるまで放っておくというのはよくないことで、もしもっと早い手当てをすれば彼らが病気になる前に、あるいは自立できなくなる前に何かが出来るのではないかとということや、資金の少ないことや人々が受ける介護の質といったようなことにも問題となってしまっているわけです。これは入所施設におけるもの、自宅における介護の両方にいえることですけれどもほとんどのそういった仕事に携わっている人たちというのは明確な資格がなく、あるいは非常に低い賃金をもらっております。この入所施設に対する査察というのはもちろんありますが、全てが解決というわけにはいかないのです。ですから一番大きな問題のうちのひとつは公的なケアシステムにおいては本当に質の高い生活、そのサポートを提供するサービスが少ないということです。本当に自分たちがほしいものを得るということが出来ないというわけです。そして全てをまかなおうという考え方には無理がありますし、一人一人のニーズに対応していくということは不可能ということが現状です。そしてこの両方の種類の介護を受けるにあたって、人々の資金力のチェックというのが行われます。自分たちの介護に対してどれだけの割合のお金を支払わなければいけないのかということです。これは国のルールがありまして、その人の収入、あるいは資産というものを考慮に入れます。この資産というのは人々の預金だけでなくてその人の持ち家の価値というものも含まれます。これによってますます高齢者にとっては状況が難しくなるわけです。これに対して怒っている人もいます。自宅での介護ということはこの資金力のチェックにより、非常に不公平になるのではないかという声が挙がっております。そして政府は今後、もっと公平なやり方がないかということを考えようとしているわけです。いずれにしても、現状の組織はケアの介護のためのコストというのはつまり高齢者の人がほしいものを値段が高いから断るというような結果になってしまう、これは何とかしなければならないと思うわけです。介護のためのケアというのを介護のためのコストという形でお話をしましたけれども、新しい政府が97年にイギリスに出来ました時に彼らが最初にやったことというのは長期的な介護のための委員会というものを作りました。この委員会に多くの人が集まって長期的な介護のシステムはどうしたらいいかということを考えたのです。そしていろいろな政府の改革を試みました。その中でも一番大きなものは介護のための色々なコストを分割すべきだということです。もちろん、自分たちの生活費は高齢者が自分たちで責任を持つべきですが、ただパーソナルケアのためのコストというのは無償になるべきだということです。そしてこの提案というのはたくさんの支援を受けました。これによってこの不公平がなくなり、そして介護とパーソナルケアとの間の差別というのもなくなるだろうと思ったわけです。パーソナルケアというのは資金のチェックを必要とするということです。残念ながら政府はこれを拒否してしまいました。そこで私の所属しております団体は他の17の団体とこれに反対したわけです。政府は新しい国民保険サービスのプランというのをこれに代わって7月に発表いたしました。新しい資金をそこに投入しよう、つまり医療的、あるいは社会的なケアを提供することで高齢者ができれば病院に行かなくてすむようにしようというのがまず一つ目。そして彼らが退院後、適切なリハビリが受けられるようにしようとするものです。カレン先生がお話しておりましたけれども、退院後のリハビリということ、そしてこの疾病による影響を出来るだけ少なくしようということです。そういった方向性を政府が実施しようとしているわけです。それからもうひとつ、政府が実施していることは、ナショナル・サービス・フレーム・ワークというもの、これは高齢者のための社会福祉体制ということです。ですから色々と前進した面はありましたが、長期的な介護システムという問題はまだ残っております。今朝もいかに障害者自身の力が有効であったかというお話がありました。いわゆる政策、実践の場での成果をもたらすための障害者自身の力です。そういった人たちの声が非常に重要であるというお話がありました。高齢者についてまったく同じ状況だとはいえませんが、しかし高齢者も沈黙してはおりません。イギリスにおきましては高齢者が運動を非常に活発化させています。そしてそれが実際に地域、全国レベルの政策決定に影響を与えています。労働党の大会でも年金の問題が取り上げられました。そして高齢者のやり方というのは障害者のやり方と、また少し違うということがいえると思います。その自分たちの意見を主張していくやり方がちょっと違うみたいです。ローカルな地域レベルのグループはたくさんありますし、高齢者のグループ年金生活者の活動グループ、色々あります。そしてまた全国レベルの高齢者グループ団体があります。そういった組織によって自分たちに関わる政策に影響を与えていこうとするやりかたです。単に年金だけでなく、輸送手段、成人教育、など様々ないわゆる地域サービス、地域施設に影響を与えていこうということです。こういったローカルなグループは全国的なネットワークにも繋がっております。例えば、全国年金者生活大会、ナショナル・ペイショナル・コンベンションというのがありまして、これはより改善された年金制度を常に主張してきました。またARP050というようなネットワークもあります。これは50歳以上の退職者が対象となっている組織であります。また最近では高齢女性のネットワークも出てきております。これが潜在的に力を持った組織であるのはなぜかというと高齢者の声を代表できる法的な枠組をもっているからです。高齢有権者の声を代表できるわけで、実際政治的に高齢者というのは非常に重要なセグメントなので、高齢者はますますその声を高めています。高齢者は社会の中で退職者、非生産者というふうに見られるのはもうたくさんなわけです。高齢者のステレオタイプ化にも辟易しています。マスコミや社会はそういったものであふれています。高齢者は自分の本当の場所を社会で探しています。そして自分たちの価値の認識と家族やコミュニティの中の役割を求めています。そしてまた他の人たちが当然だと思っているものや施設やサービスに自分たちもアクセスをしたいと思っているわけです。単に医療、そして社会ケア、あるいは社会福祉だけでなく、輸送手段や成人教育とかその他の様々なものも含まれます。そういったものは他の人たちには当然手に入るわけです。高齢者はそういったところをきちんと主張していこうと今、組織化されつつあるわけです。ここ3年ほど非常に大きな発展があったと私は思うのは、高齢者のためのよりよい政府と呼ばれるプログラムの活動の実施です。中央、そして地域の政府、そしてまたは私どものようなNPOが一緒になって、高齢者と共にそのニーズを聞いたり、意見を聞いたり、そしてその貢献を奨励することによってよりよい公的サービスを作り上げていこうとして、作成しているプログラムです。これまで28の試験的なプログラムが発進しまして実際に活動調査という意味ではワービック大学も参加しています。そして、このプログラムを通して5つのことを達成しようとしております。まず高齢者問題の優先順位を上げるということ、それから高齢者がより意見を言える機会を増やそうということ、また3点目として高齢者のニーズをよりよく満たそうとするサービスへの変化、変革をやっていこう、それから学習、ボランティア活動、それから雇用のチャンスを増やそうということ、様々な政府レベルの組織と共同して共通の目的に向かって活動していこうということです。実は私の意見でこのプログラムはさらに一歩進んでいると思います。つまりまず高齢者自身が考え方やサービスを変化させるのにどれくらい貢献できるかということを実証できたということがまずあります。また、高齢者問題というのはいわゆる医療問題とかケア問題という枠組みから抜け出させたということがあります。それよりもこの高齢化というのは市民権の問題であり、社会統合の問題であるということが明らかになってきたと思います。また地方自治体に対しても地方自治体が高齢者のためだけでなく高齢者と共に仕事をすることによってよりよい成果を生むことできるということが分かったと思います。小さな変化も色々と起きておりますが、それによって態度の大きなシフトが起きていると思います。本当に意味のある態度の変化が起きていると思います。私どもはこのプログラムからいくつかの勧告を政府に対して出しております。それに対する反応を今待っているところです。これらの勧告の主なテーマというのは、中央、そして地方の政府が戦略的に共同のアプローチを高齢者問題にとるべきで、そのときに高齢者自身が問題の中心で活動すべきだということです。このような発展を私も興奮してうれしく思っております。

 それでは次にNPOセクター、ボランタリー・セクターの役割について触れてみたいと思います。すでに言いましたように本当に何千というボランタリーな組織がイギリスにはあります。非常に地域的なものもありますし、またものによっては全国レベルの構造をもっているものもあります。そういったNPOの役割として、例えば次のようなものがあります。まず、ギャップを埋めて追加サービスを提供するということ、殆どのNPOの方は先ほどニックさんから説明したような形で誕生します。誰かがサービスにギャップがある、不足な部分があるということを認識して、それを何とかしようとしてはじめるというものです。NPOはそのギャップを埋めるために様々ないわゆる生活レベルの予防的サービスというのを提供してきました。例えば、高齢者が必要な家事・雑事のヘルプ、それから移動手段の確保、デイセンター、そして高齢者が交流できる場の提供、あるいは家族の中の介護者が休暇を取れるように訪問看護者を訪問させるとかそういった活動です。これらのサービスは非常に地域的に限られていて、小さなサービスかもしれませんが、高齢者の家族にとっては本当に重要なことです。そしてこれを積み重ねていけば高齢者が自立して自分たちの自宅で生活できることにつながっていくわけであります。私どもの組織、ヘルプジエイジドが提供しているサービスとしてシニアラインという電話アドバイスのサービスがあります。これは高齢者、そしてその家族に対してアドバイスを提供するもので、どんな話でも電話をかけてもよく、なんでも問い合わせ可能というものになっています。問い合わせの殆どは福祉上の権利、そしてケアへのアクセス、また住居についてです。ケアへのアクセスについての問い合わせが最近増加しつつあります。また、情報が入った資料などもたくさん提供しております。この電話や資料についても情報提供することによって高齢者が本来要求できる権利について知ってもらおうというのが目的なわけです。そうすることにより高齢者の自助を助けることができます。またボランタリー・セクター全体として担っている2つ目の役割としまして、専門家による専門的な技術です。大きなNPOは非常にプロフェッショナルな人たちを抱えています。今朝のニック・ぺリングさんのお話にも見られたとおりです。例えば住宅供給組織、ハウジングアソシエーションと呼ばれるようなところはまったく新しい考え方を採用して住居を提供しております。自分たちの家に居たまま電話一本でそのサービスの提供を受けることができるというようなシステムです。また、例えばアルツハイマー協会というような組織がありまして、非常に専門的な情報やサポートをアルツハイマー病が発症した人たちに提供しているわけです。たくさんの革新性、新しい考え方というのがこういった専門家団体によって開発されております。地域の医療機関などとのパートナーシップを組んでそういった活動が行われております。私どもがやっている活動の例としましてはホームレスの高齢者に対する活動があります。イギリスでは若いホームレスの人たちはずいぶん話題になりますけれども、高齢者のホームレスもたくさんいるということがわかりました。政府や地方自治体によるホームレスへのプロジェクトは若い人たち向けだったということがわかり、私どもがいくつか調査いたしまして、高齢のホームレスの人たちによりよいサービスを提供できるように地域のホームレス組織とパートナーシップを組みました。実際に高齢のホームレスの人たちにも調査をしましたし、そしてまたそれをボランタリーな組織のほうにフィードバックしてどんなことが一番いいのかというのを探ってきました。高齢者のホームレスの人達に関するプロジェクトは今数十にも上っています。今ホームレス対策が作られる時には高齢者もきちんとその中に入るという状況になっています。それから3点目の役割といたしましては、NPOとして高齢者の利益を代弁するということです。高齢者と共にキャンペーンを行ったり、高齢者のためにキャンペーンを行うといったことは、影響力を行使していくということです。我々は直接情報を提供したり人間を提供したりすることによって、高齢者と直接関わって支援をすることができます。スピーキングアップフォアアエイジというようなプログラムがありましてこれを通して資金などを提供して高齢者の活動を支えています。また会議を開催したりもしております。また、私どもが出来るもうひとつのこととしては情報収集とその調査と分析です。そうやって情報を提供することによって、高齢者が政策を変更したいという場合の証拠になるわけです。私どもではディグニティ・オンザワードというキャンペーンをやっております。これは病院における高齢者のケアの質を改善しようというキャンペーンであります。病院によっては高齢者が放っておかれるという例もあります。実はこのキャンペーンをやったときにすぐにマスコミに取り上げられまして、そのことによりましてどんどんと情報が入ってまいりました。私の母にこんなことが起きたのよ、私にはこんなことが起きたのよというような様々な情報が入ってきました。その経験をマスコミを通して公表していてきたのです。マスコミについて、今日はあまり言及がありませんけれども、新聞、テレビ、ラジオというようなマスコミは本当にキャンペーンをする際に有効な道具になりますし、また教育系においても非常に有効だと思います。このキャンペーンにおいて何をやったかといいますと、政府や専門家団体と共にそしてまた学会と共に何が最善策なのかというのを調査していったわけです。そしてその活動が実はイギリスの7月に発表されました国民保険サービスの形成に大きな影響力を与えたと思います。そして、また最後に我々が出来ることでありますけれども、これは政府に対して、高齢者問題を取り扱う土台を提供するということです。高齢者を会議やいろいろな場で組織する場合に必ず政府の人たちも招いて一同に会するようにしています。また政府に対して、高齢者の考えはこうですといった説明入りの資料も提供するようにしています。非常にこれらは影響力を行使する道具となります。最近、実例がありまして、非常に勇気付けられたことがありますが、私が政府の保健省の方から直接言われたことで高齢者のための社会福祉体制を作るための諮問委員会のようなものを高齢者で組織してくれないかといわれたわけです。色々な分野のいろんな地域から高齢者を集めてそういった委員会を作りました。高齢者が本当に直接国の政策決定に関わることができたわけです。この高齢者のための社会福祉対策がどのようになるかまだみえておりませんけれども、この委員会に参加した人たちは実際に自分たちの声が本当に反映され、そして高齢者にとっての優先順位がはっきりしたといった感覚を得た人が多かったようです。イギリスのボランタリー・セクターは単にサービスを提供する、あるいはギャップを埋めるというのももちろんやりますけれども、それだけでなく重要な役割があります。つまり権利を持たない人たちの利益を代弁するということ、そして既成の知識に挑戦するということ、そして革新性に貢献するということです。また通常意見が取り上げられない人々に基盤を提供し、マスコミの注目を引き、政策に影響を与えることができると思います、というわけで、ボランタリー・セクターというのは社会政策の発展と変化の本当の触媒になっていけると思います。ありがとうございました。