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【聴覚障害関係】

32ページ、37ページ〜41ページ

法制問題小委員会による「障害者のいわゆる情報アクセスの観点から、障害者が著作物を利用できる可能性をできる限り確保する方向で検討すべき」という基本的な観点から見て中間まとめには前進面とさらに解決を要望する問題点があります。

権利制限について障害者が求めているのは、情報へのアクセスのバリアフリー化であり、それを保障すべき合理的制作方法です。それを妨げているのが著作権法であることからその権利制限を求めているのです。

「まとめ」は要望と現状の把握に関して、現在の「社会福祉法人聴力障害者情報文化センター」を軸とした制作方法、そのシステム図について述べています。

しかし、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターと地方に少数の聴覚障害者情報提供施設しかなかった当時と異なり、今や全国に36施設があり、しかも障害者長期計画により厚生労働省は全ての都道府県に設置することを求めているので、特定の施設に拘ることはニーズの多様化に沿わないものです。今日のバリアフリー化とは、地方分権を核として、それぞれの地方のニーズに応えられるシステムと内容が求められています。

聴覚障害者情報提供施設や、聴覚障害者を対象とする情報保障、社会福祉を目的とする関係諸組織、独立行政法人、公共図書館、大学の図書館等の施設(筑波技術大学の附属図書館等施設、京都大学学術情報メディアセンター等)等が、それぞれ独自に、放送された物や著作物に字幕や手話を付けて、ビデオ、DVDとして障害者に貸し出し、公衆送信することに対する権利制限を求めます。

障害者の情報へのアクセスの現状は、健常者と比べて、著作権に阻まれ、制作作業の窓口が限定され、制作の資格が問われ、貸し出し、アクセス方法が限定される等条件の厳しさがあり、さらにそれらをクリアーするための資金負担が求められる過酷な条件下にあります。この実情は国連での「障害者権利条約の制定」(2006年12月13日)、「日本政府署名」(2006年9月28日)、さらに今後に予定される批准作業からみても早急な改善が図られるべきです。また「まとめ」の資料とされている各国の状況から見ても日本が解決すべき多くの問題を抱えている事がわかります。

複製の主体について

聴覚障害者情報提供施設および障害者福祉を目的とする非営利法人で、聴覚障害者を対象とした字幕や手話などを附しているところとする。

「聴覚障害者情報提供施設など、・・・関係団体」に対して、字幕、手話の付与について、情報文化センター等特定の団体との契約は条件としないことを求めます。

「対象者の範囲」について

高齢者などの増加による今日の社会状況から身体障害者福祉法に定める「障害者」だけをその範囲として決めることはできなくなっているのが現状です。

その理由は高齢者の多くが難聴などの障害を持っているにも関わらず、わが国の障害判定が先進国では例外的に厳しく、障害者と認定されないからです。 したがつて、聞こえや見ることが困難と申告した人を対象とすることを要望します。

その他の条件について

dの鄯について

流出防止のためには、複製を行う主体は障害者を対象としている施設関係者等とすることで十分であり、「主体」を定めること以外に更なる条件を附することは、バリアフリー作業を困難にさせるだけであり本件趣旨に反し信頼性を欠くものとなります。

仮に流出したとしてもそれは一般的な違法行為でありそれに対する処置は別に法的に定められています。したがって結局著作権法適用に関わらない、作業、費用負担を発生させる「技術的保護手段」などを求めないこととし、無断の複製を禁止するクレジットを明記するなど、「主体」の適切な処置、判断に任せることを要望します。

 

e、について

公衆送信への「要望は」「障害者を対象としたCS−−放送ーー」とあるが、これは放送ではなく「CS通信」であり、したがって、このCS通信は「法により」通信相手が特定されております。

要望は、聞こえを困難と感じている人全てを対象とすることですが、現状は、自動公衆送信よりも厳格に対象が限定されており、それが守られています。

この通信の許可を求めているものです。上記流出防止でも要望したようにさらにこれ以上の条件を附しないことを求めます。