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平成17年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した
障害者情報支援に関する調査研究事業報告書

パソコンボランティアと障害者IT支援の展望

―デジタル・オポチュニティー実現に向けて―

河村 宏
国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所障害福祉研究部長

パソコンボランティアは、パソコンを扱うエキスパートでなければならないのだろうか?

ところで、パソコンって、何だろう?ITやICTとパソボラはどうかかわるのだろう?

パソコンは詳しいのだが、誰か携帯のマルチメディア・メールの活用法を教えてくれないか?

ゲーム機に無線LANが付いてメールもWeb閲覧もできるようになり、ポケットに入る携帯電話はインターネットメール、Web閲覧、動画受信そしてテレビ受信ができて、静止画・動画の撮影、メールやファイルの送信、2次元バーコードのスキャンまでできるようになった。

それでもまだパソボラなのだろうか?

情報コミュニケーション技術の進化は急速である。ドッグイヤー(犬の年齢)に例える人や、従来の社会の10年分の進化が1年の間に達成されると言う人もいる。そんなに急いで何処に行く、と言いたくなるが、グローバルな市場経済の下では、世の中挙げて新市場創出に突き進んでいくのである。重くて大きいパソコンよりも、ポケットに入っていつでも何処でも持ち運べる携帯電話に主要な技術開発の流れは向っているように思われる。

ところが一歩オフィスや家庭に入ると、おそらく誰もテレビを携帯電話で見ないし、原稿やレポートを携帯で書く人もいない。どちらか選べるとなればパソコンを使って文書を書き、表計算をし、グラフ等視覚的表現を工夫する。できれば、大きい画面と長時間使っても疲れないキーボードとマウス、そして快適な椅子と机が望ましい。

情報社会に生きる人にとってのITは、うまく使えれば天国にもなり、アクセスを拒絶されれば地獄にもなりかねない。そこで、障害者や高齢者を含めたアクセスの保障の無い人々の状況(デジタル・ディバイド)を改善し、ITが誰にとっても活用できるものであるようにするための取り組みが求められる。これをディバイドの解消と称し、それを更に進めて、従来はできなかったことをITを活用して実現する取り組みが、デジタル・オポチュニティーである。盲ろう者の遠隔地とのコミュニケーションなど、IT抜きには絶対に実現できない障害に固有のITニーズは数知れない。

パソボラが、パソコンを活用してデジタル・ディバイドを解消しデジタル・オポチュニティーを実現する一方の最前線に立つ人々と考えられないだろうか?個々の障害者のニーズに即して既にある技術を最大限に活用すると共に、まだ実現できていない障害者のIT要求を新たな技術の開発の動機とする研究開発につなぐメッセンジャーとしての役割を期待するのは期待し過ぎだろうか?せめて、この要求はまだ実現できていないと障害者本人が技術開発の責任者に伝えることを支援する役割だけでも期待できないのだろうか?

パソコンは、ゲーム機や携帯電話と比較すると、最も標準化が進み内容も開示されている基本となるITツールである。このパソコンの上で実現する障害者支援機能は、大きな市場が見つかればより集積度の高いITツールとして生産される。パソコンでアクセシビリティーを改良し、障害者も共に使えるITツールを生み出し、それを障害がある人も無い人も共有する取り組みが障害者IT支援の長期的な展望ではないだろうか?

このような役割と展望を持ったパソボラの活躍に期待したい。