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盲ろう者のパソコンとネットワーク利用に関する研修会

2-2) 盲ろう者に対するパソコン研修の実施について

東京盲ろう者友の会 渡井 秀匡

盲ろう者むけパソコン通信教室(事業)

 98年度に東京都で初めての試みとして、盲ろう者向けのパソコン通信教室を行なった。

(1) 共通点

受講盲ろう者3名、講師7名、そのほか通訳者を入れながら全20回の講習会を行なった。 原則として、講習場所は受講盲ろう者自宅で行なった。
講習の進め方については、受講盲ろう者のレベルにあわせる必要があったので、まず面接から始められた。そこから、その盲ろう者に似合ったパソコンの動作環境を整えていった。
 次に盲ろう者にキー操作の練習、必要最制限のコマンドを覚えてもらった。
そして、電子メールの送受信が できるようになるまで個々の能力にあわせて講習を進めていった。
その間も講師は、盲ろう者が使いやすいように、パソコンの設定に修正を加える作業も行なっていった。

(2) 大きく二つのタイプに分けられた。

一つは点字ピンディスプレイ使用のパソコン利用、もう一つは拡大画面使用のパソコン利用である。
拡大画面使用の受講盲ろう者は、弱視ろうでコミュニケーション手段は触読手話である。
パソコンのOSはWindows95。
講習は、主にインターネットやメールの送受信が中心であった。
 点字ピンディスプレイ使用の受講盲ろう者は2名いたが、障害は異なっていた。
一人は全盲ろうでコミュニケーション手段は指文字のローマ字式、もう一人は全盲難聴でコミュニケーション手段は主に指点字を使っていた。
このように盲ろう者一人一人障害の程度やコミュニケーション手段が異なっているので、そのような受講盲ろう者とコミュニケーションが取れる講師を確保するのが難しい。
ローマ字式指点字を使用する盲ろう者の場合、できるだけキー操作を少なくして簡単にメールの送受信が行えるようにパソコンを設定した。
 使用ソフトは、Base、Extra、Wterm、カンタスなど。
また、メールの送信は、一回の送信につき一通だけで行うようにした。
つまり、メールの送受信を流れ作業で行えるようにバッチファイルで設定をしたのである。
 しかし、たびたびトラブルがあるようで、いまでも講師が直しに行くことがあると報告されている。
また、独力でメールアドレスを登録したり、ログファイルを削除したりすることが困難である。
それらの作業をするために、一ヶ月に一回程度、担当した講師二人が交代で、行っている状態である。

指点字を使用する盲ろう者の場合、基本的には視覚障害者が利用しているようなパソコンに設定したが、やはり、点字ピンディスプレイだけで操作することを考慮に入れながら設定を行なっていった。
 使用ソフトは、デンピツ、VDM、Wtermなど。
この受講者の場合は、ある程度キーの配置も覚えてもらい、コマンド操作もできるようにした。
従って、今ではほぼ一人でパソコンを使えるようになった。

(3) 課題

 盲ろう者がパソコンを利用するにあたって、特に点字ピンディスプレイ使用の場合は、MS-DOSを使っていくのが望ましいものと思われる。
 Windowsはまず画面を理解するのに苦労するものと予想される。
また、カーソルを動かしていくにも点字ピンディスプレイだけで操作していくのは一苦労である。
それだけで、受講盲ろう者は パソコン嫌いになるという懸念がある。
そうしたことも考慮に入れると、やはり当面の間はMS-DOSだけのパソコンで行なうのがよいと思われる。
また、盲ろう者はデスクトップ型のパソコンが良いようである。
理由としては、スイッチオンオフが判り易いことである。
ノート型パソコンはスイッチオンがよく判らないという盲ろう者が多いのである。
(以上)