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第22回総合リハビリテーション研究大会
「地域におけるリハビリテーションの実践」-総合リハビリテーションを問い直す-報告書

開会の挨拶

日本障害者リハビリテーション協会副会長
板山 賢治

  第22回研究大会に全国から 300人を越えるみなさまに参加をいただき、ありがとうございました。
 この総合リハビリテーション研究大会は22回を数えましたが、専門分野を越え、それぞれの立場から横につながる情報交換の場として、また研究者と障害当事者、行政と現場実践者などが、ともに集い考える場としてこの大会を続けてきました。幸い関係者や実行委員会のご協力により、今日まで発展してきました。厚く感謝申し上げます。
 いま日本の社会福祉、とりわけ障害者分野は大きな転機を迎えようとしています。
社会福祉構造改革という意味については、三浦先生、調先生の対談を通してご理解いただき、障害者施策の方向についても参考にしていただきたいと存じます。
 私たちがいま直面しているのは介護保険問題です。政治的な動きもありますが、来年4月、矢は弓を離れ、実現に向け取り組まなければならない。これは障害者施策との関連では大きな問題を抱えてのスタートです。
 まず基本的に64歳までの重度重複障害者は対象にならない。40歳から保険料を拠出しても、64歳までは給付対象にならない。また、39歳以下の若年障害者問題もあり、法のもとの平等にもとる仕組みが残っています。疎外された障害者への介護は障害者施策一般、つまり障害者プランなどで市町村がサービスを提供する、と政府は約束しました。しかし肝心の3250の市区町村においては、障害者計画をいまだに半分くらいしか策定していません。障害者計画すらない残りの市町村は介護保険に遜色のない介護を、重度障害者に提供できるのか。たいへん難しい問題を私たちに投げかけています。皆様方の市町村はどうでしょうか。
 また、介護度が目安となりますが、リハビリテーションで介護度が軽減されると介護保険のサービスも低下していきます。長い間私たちが突き付けられているリハビリテーションによる障害の軽減、自立生活力の回復、社会生活力の開発に伴うサービスの低下というリハビリテーションの意義が改めて問われています。介護度によって給付額が変化する介護保険によって、リハビリテーションを軽視し、リハビリテーションをやめようとする福祉施設、市町村が出てくるということを覚悟しなければなりません。これに対してどのように対処していくか。地域リハビリテーション展開のうえで当局、障害者自身、家族にこうした価値観の問いかけをしていくことも我々専門家の立場から考えなければなりません。
 この大会がそうした問題についての新しい方向を、ともに学び、情報交換し、発信できる一つの場となれば、主催者としてこのうえない慶びであります。
 ご参会の皆様方はもちろん、パネラー、分科会での報告者のかたがたに心からの感謝を申し述べ、開会の挨拶とします。


日本障害者リハビリテーション協会
第22回総合リハビリテーション研究大会事務局
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