音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

講演会「DAISYの展開」

討論

SMILで何が変わるのか?

デジタル放送、携帯、Web、電子出版、災害情報、途上国など

パネルディスカッションの様子の写真

それではただいまよりよりデジタル放送、携帯、ウェブ、電子出版、災害情報、発展途上国などがSMILで何が変わるのかパネリストの方々に討論をお願いいたします。

河村宏: それでは私河村がこれから司会を勤めさせていただきますのでよろしくお願いいたします。最初にですね、お約束いたしましたように、ここがちょっと不明だ、よくわからないという質問がある方にまず時間をとりたいと思います。今日のプレゼンテーション全体を通して質問を受けたいと思います。順番に行います。まず私の基調報告についてご質問のある方挙手をお願いいたします。ありがとうございました。大変よくわかっていただけたようで。それでは次に移らせていただきます。AMISのプレゼンテーションについて。マリッサさんのAMISのプレゼンテーションについてご質問のある方はどうぞ挙手をお願いいたします。はい、これも大変結構だと思います。その次がSMILとAmbulant Playerを中心としましたディック・バルターマンさんのプレゼンテーションについてのご質問がありましたらどうぞ。お一人だけですか。他にありませんか。はい、それでは今挙手された方にお願いします。最初に簡単にお名前とご所属を自己紹介していただいてそれからご質問をお願いいたします。

会場: 神奈川の藤沢市から参りましたNPO法人やまゆりの芳谷と申します。今お話の中でノキアのお話が出ましたが、このプレーヤなのですががどの位の価格で売られているのかと思いましておききしたいと思います。とういうのは録音図書という事でPlexTalkが日本で発売に4月に発売になりましたけど、これは9万円以上してるんですね。それはないだろうというのが私の視覚障害者をサポートしたいという中で感じていることなのでこのノキアの160万円以上のSMILプレーヤーはいくらくらいで発売されているのかという事をおききしたいと思います。

河村宏: ちょっとクラリフィケーションをします。ノキアのプレーヤーを示したのはマーク・ハッキネンさんがノキアのと言って電話機の写真を出しました。ディックさんはお話の中でスケーラビリティーという話をしてそこでAmbulant Playerが後で触れられているのですが、それではディックさんからはAmbulant Playerはいくらで売られているのか、そういう質問だと思いますのでよろしくお願いいたします。

ディック・バルターマン: わかりました。では二つありまして、ノキアの電話ですが、新しい技術が搭載されいているとまず限られた市場で売られるわけですけど、聾の方や盲の方に特別にという訳ではありませんけれども、お金がたっぷりある人、マークさんなどはそういった特殊なものを買うことが出来ると思います。コンテンツは非常に豊富で最初の段階ですはありますが。非常に安い民生用の携帯電話はSMILの非常にシンプルなバージョンではありますが使うことが出来ます。オーディオのキャプションなどをつけることが出来るようになっています。ヨーロッパでの価格ですけど、例えば何かのサービスを買うといった場合にこの電話がただでついてくるといったギブアウェイのサービスというのもあり、マーケッティングの戦略もあるかと思います。それから長期的にこれをどう売っていいかということはわかりませんけれども、期待としては、そういったものが日常的に消費者の中で使われるようになるということを期待していると思います。そういった非常に高い電話というものがあってもデータとしてコンテンツがそこで再生出来ないのです。つまりコミュニティーが開発されなければならないのです。

つまりSMILのような言語はもう6年間経つわけですけども私のようなもともとそのコミュニティにいたものと致しまして、これは非常に面白いじゃないかと思うのです。皆がこれをこの1,2年で使えるようになったらどんなにか面白いかと思います。現実的には技術上の様々な変更というものには時間がかかるりますし、またそのコミュニティが変更を促進してくれないといけないです。テキストによるメッセージングというのが例えば高校生がたくさん使ったり若い人が使ってメッセージをお互いにやりとりするという形で大いに使われ広く用いられないといけないわけです。技術という面から見て面白いのはDAISYのようなコミュニティというのがたくさんのアプリケーションを出していてくれているそれでそれを使う人がたくさん出来るということ。そうしますと単純なディバイスから非常に複雑なディバイスへとアプリケーションが発展していくことが出来るわけです。ですから、今出た価格が高いからびっくりすることはありません。

例えばBMWやトヨタの車などは部品だけを計算した価格ではなく、その背後にある企業戦略というものも関係してくるわけです。Amubulantの価格は全く違う戦略に基いておりまして、これは既にPocketPCディバイスなどを持っている、あるいはデスクトップのコンピュータなどを持っている場合に私が持っているようなタブレットにAmbulantのプレーヤを入れてこれを経験することが出来るといった戦略です。また技術についてそんなに知る必要はないわけですけれど、このプレーヤをインストールすることでコンポーネントを動かすことが出来ます。そうしてこういった製品が幅広く受け入れられるようになるためにはプレインストールしてテレビのようにとにかくスイッチを入れれば何のトレーニングもなく使えるものにならなければいけない訳です。そういった意味では非常に明確でわかり易いものでなければいけません。ただ価格が日常的なレベルになってくるには2年くらいかかると私は見ています。

河村宏: ありがとうございました。それではさきほどノキアの写真で見せていただいたあの電話機はいくらかマーク・ハッキネンさんに聞いてみたいと思います。

マーク・ハッキネン: 価格は3万か4万円くらいだったかと思います。私一年前フィンランドにいましたが、同じ端末で価格は倍くらいでした。アメリカの方ではかなり割引になっていたと思いますけれども、ただこれで完全なものがそろったというわけではありません。何が出来るのかということと今どんなことが出来る準備が出来ているのかということは別だと思います。ノキアの電話機には非常に弱点もまだあります。今すばらしい機能もついていますけれども、改善の余地もあるという事で、もし盲であれば電話は全く役に立ちません。素晴らしいスクリーンのグラフィックがたくさんでてきます。そうしてオーディオも再生することも出来ますが盲の方がそれを全部それを楽しめるかというとそうではないのです。何社かの会社がスクリーンリーダーを開発しているところもあります。これは携帯電話用です。ノキアもそうですけど、ただスクリーンリーダーが200ドルくらいするのですね、これはかなり高いです。携帯電話にさらにそれを付け加えるということになるとこれはかなり高いです。ですからまだまだ初期段階ということになると思いますけど。潜在的には将来は明るい、魅力的なものが出てくる可能性があると思います。アクセシビリティーへ対してのソルーションということでたくさんの分野がこれから登場してくると思います。

河村宏: フランスのINRIAからお2人いらして非常に複雑な編集まで出来るLimSee2という編集のプロセスも見せていただきました。これにつきましてご質問のある方挙手をお願いいたします。お一人おりましたが他に質問ありませんか?はい、ありがとうございます。それでは、どうぞ。

会場: エルザの笹本と申します。大変素晴らしいツールだと思うのですけど、それをどうしても日本人が使おうとするとローカライゼーションの問題があるのですが、その辺は比較的簡単に対応できるようなふうになっているのでしょうか。それをお聞きしたいと思います。

ネイビル・ラヤンダ: 私から答えさせていただきたいと思います。LimSeeツールについてのご説明になると思いますが。このツールの中にはINRIAの公的機関部門によって作られたものがありまして前の質問というのはそのプレーヤーについて、例えば携帯電話に組み込み型のプレーヤーについてだったと思うのですが制作ツールというのはもっと複雑なツールです。これを開発しなければならないという事でわれわれは取り組んだわけです。このツールというのは違ったバージョンにこれを展開していくというところから始まりました。NTF8からNTF16に変換するという事があったのですが、他の国の人がこのツールを使ってそれを採用して自国のニーズに対応させるという事です。何人かのボランティアがこれをフランス語からスペイン語や他の言語に訳したという作業がありました。ですから日本人の方も、もしそういったご希望があればその時はサポート致しますし、その他の要求があればユーザインタフェースレベルでの要求があればサポートしたいと思います。プロジェクトそのものというのはもし日本の開発の方がそのツールに気づいて使ってくださればうまくいくと思います。LimSee2というのはコンテンツを制作するためのものです。電話からPCに至るまで多様な対応が出来るわけです。それに加えアクセシブルなコンテンツを提供するということです。どの開発者であってもこのツールを使ってすべてのコミュニティーにアクセス可能なものを作ることが出来るわけです。ですから、日本の皆さんが是非こちらに参加していただいて貢献していただけることを同時に期待しております。どなたでもご興味のあるかたは歓迎いたします。またそういった方をお友達にお持ちだという方がありましたらご推薦ください。

ダニエル・ウェック: ネイビルさんのおっしゃいました通りだと思います。現在LimSeeをインストールすると初期設定が英語となっておりますが、メニューに行きますと言語メニューがありますので、フランス語に変えることが出来ます。これは私の言語ですので私簡単に翻訳が出来ました。また、スペイン語にも現在翻訳されていますけれどまだインストールすることが出来ておりません。私達はフィードバックが必要なのです。それが大きな問題です。特にエンコーディングに関しては皆さんの意見が必要です。ご存知のようにローカライゼイションというのは非常に重要ですし多言語でこれを出していくのは重要ですので是非皆さんからご意見を募りたいと思っております。

河村宏: どうもありがとうございました。少し付け加えさせていただくと今回もともといらしているメンバーはSMILを改定するためのワーキングループの会議に今日まで参加されていた皆さんです。そして私が所属しております国立身体障害者リハビリテーションセンターが今回SMILのワーキンググループの開催をホストいたしまして日本に関係者にきていただいたわけです。そして本日ここにこういう場を設けさせていただくのをお手伝いをしているのは明日から二日間予定をしておりますオープンソースでこのDAISYの周辺、特にSMILについて開発をすすめていく国際的な連携を作りたいという会議をやります。その中で国立身体障害者リハビリテーションセンターとしましては当然今ありますツールのいいものを選んで日本語化したいということも考えております。そして当然オープンソースです。これはすべてソースコードまで公開されますのでそれに特にメーカの皆さんがさらに付加価値をつけるというふうな開発をしていただくということを期待しております。そういう形で世界中でさまざまな言語であるいは色々な必要な機能、特にアクセシビリティーに必要な機能、わかりやすいコンテンツを作るのに必要な機能といったものを付け加えてみんなで育てていく、そういうふうな新しい方式の開発というものを何とか作り上げていくという事がせっかくSMILもDAISYもオープンスタンダードとなっておりますのでそれが今一番求められていることではないかと考えて、とりあえず明日から二日間どうやったらうまく連携プレーが出来るのかということを相談しまた皆さんにその結果をお返しする予定です。

それでは続きまして最後にマーク・ハッキネンさんのプレゼンテーションに対しての質問を受けたいと思います。質問のある方どうぞ遠慮なく挙手をしてください。お一人手が挙がりました。他にいますか?お一人だけのようです。それではお願いします。まず簡単にお名前ご所属をおっしゃってください。

<会場>私はソフトウェアーの開発の関連会社で仕事をしております山中と申します。DAISYの将来性についてよくわかりました。私が今困っていますのは聴覚障害をもっておりまして聞こえる人たちとのコミュニケーションがなかなか思うようにうまくいきません。聞こえる人とのコミュニケーションが出来るために、今の画面のデモで出ましたキャプションをつけてのコミュニケーションが出来ればよいと思っております。そのための音声認識の技術は今はまだまだだと思っております。SMILでそういったところを合わせていくという事はできますでしょうか。よろしくお願いいたします。

マーク・ハッキネン: 非常に興味深い質問だと思います。SMILが直接的に音声認識技術に影響を与えることは出来ないかもしれません。ただ音声認識の商品というのは聾の人に対してSMILを使って提供することはできると思います。そのテクノロジー、SMILそのものが音声認識に役立つということはないかもしれません。この音声認識のテクノロジーはリアルタイムのキャプションを可能にすることが必要だと思います。しかし、認知のプロセスでエラーが起こりがちなんです。実際にもちろん完璧なシステムというものは存在しないと思います。近い将来携帯電話がなんらかの形でターミナルのような役目を果たして必要なサービスを取り出せるような、例えば音声認識サービスを用いて携帯電話に入ってきた情報をテキストに直すといったそういった技術は可能になるかもしれません。ただ、まだ今のところその技術はそういったニーズに対応できるほど強固なものにはなっていません。これでご質問にお答えできているとよいのですが。

河村宏: ありがとうございます。他の方も何かコメントがありそうな感じがあるのですがどうですか他のスピーカーの方で今の音声認識について何かコメントのある方がいらっしゃいましたら。

ディック・バルターマン: 音声認識の問題についてなのですがひとつIBMのビアボイスといったシステムがあります。これは一般的なマーケットをターゲットとした時には非常に上手く機能します。例えば発語の問題がある人、必ずしも身体的な問題ではなくて使い方、キーボードが無いときにそして手が使えないような時にそのデバイスにむかって声で指令できれば一番いいわけです。こういった状況に対する適応の仕方というのがこの5年間で出来ました。例えば手に怪我をしているような人キーボードやマウスが使えなくて自然とコミュニケーション出来ないような場合、特別なボキャブラリーですとか利用のケースというのは限られていますが、そういった問題に対して対応しようというような動きは出てきています。ただしかなり時間はかかっています。実際に対象となるユーザグループが少ないという事で経済的なインセンティブが働かないという事で非常に幅広いユーザを対象とした開発でしか出来ていません。DAISY、音声認識の技術にに限らないのですけれどもやはり人々に対しこういった問題を認識させ規制あるいは、法令的な規制を通じて、多少エキゾチックに聞こえるかもしれませんが、規制上の制約を設けることによってDAISYが適応されることを義務化するとかそういったやり方が必要となるかもしれません。そうすればDAISYによって様々なニーズに対する認識が高まってプッシュする形でこういったソルーションの利用が広がると思います。ただ、実際的な問題としては音声認識というのはまだまだ非常に厳しい問題、日本における音声認識というのは他の国における音声認識の問題とはまた違います。ですからそのバランスを上手くとるようになるには時間がかかると思います。ただ15年位前に比べればずいぶん状況はよくなってきていると思います。

河村宏: ありがとうございます。私のほうから少し付け加えますと実は今年から始まる3年間の政府の方の研究プロジェクトで、これまでジョイスティックで車椅子を使う重度の身体障害の方が多かったのですが、その電動車椅子をジョイスティックでは使えない方がなかには多く、脳性まひの方がいました。脳性まひの方は音声でコマンドを出そうとしてもなかなか音声認識ではコマンドを受け取れない、一般の会話によるコミュニケーションも非常に難しい。それからジョイスティックは手が震えたり思わぬ動作をして安全には操作できないというので一つの開発のテーマとして今後3年間でかなり重度の脳性まひの方の発声をコマンドとして受け止めて車椅子を使って自分で移動が出来るという物理的な自立のための研究開発というのが着手されております。多分そういういろんな方面からのアプローチで日本語についても格段とこれから音声認識技術というものは発展するはずですし、特に放送局が字幕をかなり義務に近い形にこれからつけていかなければなりません。デジタル放送を導入する時の一つの大きな目的というのが障害者と高齢者に優しい放送になるということだったと思います。そういうふうな目標に向けてデジタル放送を耳の聞こえない方に伝えるようにしていくためにはどうしても音声認識技術がライブの放送などに必要になってくるという方面での開発が行われていると思います。これらが伴って日本語についてはおそらくかなりの発展が今後数年間見込まれると思います。それらを組み込んだアプリケーションがおおいに期待されるところだと思います。

それではこれで質問の部は終わりましたので、この後意見交換に入りたいと思います。まだ質問がありますか?全体を通じてもう少し質問をしたかったのだけれどもというのはありますか?お一人今手が挙がっています。他にいらっしゃいますか?それではどうぞ。

会場: 有限会社サイパックの工藤と申します。丁度今デジタル放送について少し言及されたのですけれども、今日の副題のデジタル放送についてDAISYとかSMILでどういう取り組みがされているのか少しお話を伺えればと思います。また海外でのデジタル放送に対して同じようにDAISYとかSMILに関してどういった取り組みといったことを少しおききしたいと思います。お願いします。

河村宏: ありがとうございました。皆さんに振る前にちょっと私の方から申し上げますと、実は今月6日に慶応大学を会場にほぼ同じスピーカーが全員登壇したのですが主に技術者、開発者を対象にしたSMILのプレゼンテーションがございました。そこにNHKとソニーが共同で今開発しているSMILを使った編集システムというものがプレゼンテーションで出品されました。大変将来性のあるものだなというふうに思われたのですが、SMILを使ってるのですが、どうしても今のSMILの規格だけでは足りないところがあってそこを独自に拡張しています。その独自に拡張しているものがそれが独自であると絶対に普及しないのです。そこでそれをベースとしてこういう事が可能なんだからSMILをもっと改定をしようというのがNHKとソニーの共同のプレゼンテーションの意図でした。したがってそれらをいわゆるユースケースとして来年から始まるSMIL3に向けての改訂の議論の中ではそれが主たるテーマとなっていきますので、まずバックグラウンド情報としてその事をお伝えした上でそれぞれの発言者がいると思いますのでふりたいと思います。

ネイビル・ラヤンダ: フランスでは二つの会社で衛星放送をやっているところがありまして、この二つの会社が丁度始めたところでSMILを使ってくれているところともう一社はソニーと同じような形でSMILの拡張をやっているところがあります。日本で言われているという事というのは今SMILが今放送の流れを止めたとも言えると思います。つまりエンドユーザ、キャプショニングの柔軟性をいかに実現するかというようなあるいはSMILのコンテンツを端末に載せるというような話になっておりますがフランスではちょっと状況が違います。つまりデコーダ複合の放送信号の複合化をするものを使いましてテレビの番組を放送するわけですが実際にプログラムをデコーダを使ってするということです。どういうシステムの流れになっているかわかりませんけど15秒に1回くらいデコーダにかかるとう事になっています。ですから今複合化にするためのもの、相互のやりとりの出来るというような強化が行われている。SMILの全てのプログラムのインテリジェンスを送ることが可能ですし技術的にもSMILの機能を使うとそれは端末だけで使う事が可能です。それが一点目です。

そして二つ目はテレビ業界が同じような問題を抱えています。他のコミュニティーもそうなんですが、特にコンテンツそのもの作るというこう困難を抱えているのです。放送をする前にまずその中身を作らなければいけないわけですけれどもツールをウェブユーザとして使うのは簡単なんですがコンテンツ製作者を見ると同じようなことをやってインタラクティブテレビ等を作っているわけです。非常に豊富なコンピュータでのコンテンツというものが使うことが出来ますから、技術レベルではそんなに遠くないと思いますが、その需要にこたえていくという事が出来ると思います。例えばフランスでは人々はギャンブルシステム、これは競馬が大好きなんですね。背後にはこういったサービスにはお金を払いたいという市場原理が働いているわけです。フランスにおいてはこのコミュニティーというのが十分に強くなかったためにこの需要を推し進められなかったということですけど、これは技術的には可能であると思います。フランスは技術的に困難という言い訳は出来ないわけです。コミュニティーが一緒になって将来の方法を推し進めるような形にもっていかなければならないと思っております。

ディック・バルターマン: いくつかおもしろい問題があります。放送をよりインタラクティブなものにしていこうという流れがあるわけですが、例えばSMILの技術を放送局が非常に厳しい標準だとというふうに捉えて何らかの規制がかけられると思うと例えばテレビをつけるとすぐにテレビ番組が出てきて、これが民生用の商品というのも非常に信頼できるインターフェースがなければならないと考えるかもしれません。そういった問題というのが将来の双方向のテレビサービスの話の中心となっている訳ですけれども実際的にアプリケーションはたくさんありましてSMILというのは実際に使われています。そのうちの一つというのは放送のコンテンツを各家庭にどうとどけるのかということ。例えばオランダの例で言いますとたくさんの放送局がやはりユーザグループをとろうと、それぞれのチャンネルをそういったユーザグループ向けに、例えば情報チャンネルですとか、エンターテイメント、ドキュメンタリー、スポーツチャンネルといったものを考えています。また双方向のテレビという世界では通常の家庭が本当にパラレルのストリームのコンテンツを何百も受けられるようになる、そこの中から選択をしていくということが出来るわけです。人々にとってみれば何が見られるかわからないとかですね、コミュニティーの問題にもぶちあたるわけです。つまり次の日に会社へ行ってこういったテレビを見たよだけれども、選べるものが限られていた訳ですから自分が見たものを必ずしも他の人が見たとは限らないわけです。オフィスに100人いれば100人とも違うものを見ているかもしれません。そういった意味ではコミュニティを築いていくのは大変難しいといえます。また、放送のコンテンツをSMILを使ってキャプチャーしているということ、そのコンテンツを共有していく、そしてマルチメディアのメッセージを友達に届けるというのは、おもしろいアイデアかもしれません。SMILでおもしろい点は、SMILはフォーマットであり、ブロードキャストのコンテンツを変えたり削除する必要がないということです。放送されたものは、完全に知的所有権のあるもでありますから、コピーライトの制限があり、非常にパワフルなものです。これが実はこの分野においてSMILを使う理由なのです。つまり、自分たちのコンテンツを必死に守ろうとしているディズニー、CNN、BBC等のニーズに応えることができるわけです。

ジャック・ヤンセン: ジャック・ヤンセンと申します。ディック・バルターマン氏の同僚です。ディックの話のなかで今、もうひとつのものを開発しているとい話をしました。皆さんにお聞きしたいのですけど、盲の方はここに何人くらいいらっしゃいますか?自分たち自身のマルチメディアのコンテンツを編集したいと思っていらっしゃる方はどれくらいいらっしゃいますか?例えばテレビやラジオの番組をとってきて、友達と分かち合うとか。というのは、こういった質問は我々にとって重要なんですね。というのは、非常に豊富なグラフィカル・ユーザー・インターフェイス、今までも作られていたわけですが、必ずしも盲の方にとって有益ではない、使うことができるものではないので、それをどうしたらいいのかということを考えなければなりませんし、より簡単なテキストベースでコンテンツを編集できないかなと思っておりますので、そのあたりの意見をお聞きしたいと思っています。自分自身のマルチメディアコンテンツを編集したいと思っていらっしゃる方はいらっしゃいますか?

河村宏: 視覚障害者の方でマルチメディアコンテンツを自分で編集してみたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひ手を挙げて見て下さい。ありがとうございました。参考のために、この会場にいらっしゃる視覚障害者の方全てに手を挙げていただいて、どれくらいの数がさきほど手を挙げていただいたのか知りたいと思います。視覚障害者で今日ご参加の方は恐れ入りますが手を挙げていただけますか?ありがとうございます。全体で15人くらいいらっしゃる中で、4,5人の方がやってみたいと手を挙げていらっしゃいました。想像していたよりもたくさんだとディックさんは言っていまして、これを参考にしてもらえると思います。時間がかなりおしてまいりまして、幸いお約束していた携帯電話、デジタル放送についてはだいたい核心的なことはカバーできたのではないかと、そのような適切なご質問をいただいたことをまず感謝したいと思います。そして、あと発展途上国のニーズについてちょっと補足させていただいてそのあと、今日のプレゼンテーションをした中でまだその後まだ発言をしていない方にふりたいと思います。発展途上国におきましては、特に日本ではNGOとJICAがいろんな支援をする中で、どうしても情報を支援する、あるいは教育訓練を支援するという場面が多くあります。その時に例えば、AIDSの予防ということでパンフレットを配ったりすることが多いです。パンフレットを配っても言葉が読めない人にパンフレットを配っても効果がないんです。従って現地では何をやるかといいますと、パフォーマンス、あるいは紙芝居をしているわけです。しかしそれでは、ものすごい量的なニーズにとても応えられない。なんとかマルチメディアをうまく使えないかという要求があります。それと最近はSARSとか鳥のインフルエンザとかすぐに措置をしないとある地域が根本的に崩されるというふうなものも出てきております。従ってすぐにみんなと必要な人全員が一緒にというニーズがあります。それらに応える可能性のあるものとしてネットで送れる、あるいは携帯でもとれる、そして放送でも同じコンテンツを広い範囲に提供できる、そういうSMIL、あるいはDAISYのこれからの発展したアプリケーションとして使えないかということをJICA等でも今真剣に検討しているところです。その一環としてバンコクに日タイ合同で今建設しておりますアジア太平洋障害者センターにおいてはDAISYを中心にしたマルチメディアのコンテンツ作りの研修が、あらゆる教材のニーズに応えれるようなマルチメディア製作というふうな研修もアジア太平洋障害者センターで予定されているといことをお伝えしておきたいと思います。

それでは、最後に厳密に一人一分づつお話しをいただきます。

マーク・ハッキネン: 大変いろいろなご質問、ご意見を聞かせていただきまして興味深いセミナーでした。SMIL、DAISY、アクセシビリティについて今日お話をしてきたわけですけど、何かここから有益なものを吸収していただけたらよかったと思っております。

ネイビル・ラヤンダ: 私も同じです。唯一申し上げたいことは、こういった会議から持ち帰るべきメッセージは、W3Cが出しているような標準はまだ初期の段階に過ぎないわけです。まだ多くの制限があってアクセシビリティのガイドラインとうのも制限があります。皆さんのようなコミュニティが大きな意見、声をもって業界に標準に準拠するよう要求しなければなりません。多くのエネルギーをニーズを満たすために使われいるわけですが、皆さんこそ本当にこの商品が欲しいという声を大きくしていかなくてはいけません。こういった標準が必要なんだと、皆さんのほうからプレッシャーをかけていただくことが重要です。そして実際にオープンソースを開発し、無料のコンポーネントを作ろうと、また皆さんのために提供しようとしている人たちと皆さん自身が一緒になって業界に対してプレッシャーをかけ、そしてそういった商品を市場に出すようにしていくことが重要だと思います。そうなれば私たちはお互いによりアクセシブルなコンテンツを作るといった目標を満たしていけると思います。今日は本当に素晴らしい会議でした。ありがとうございました。

ディック・バルターマン: 私たちは希望を持つことができると思っています。私はこの15年間キャプションのテレビが開発されるのを見てきました。それが大きな違いをもたらしています。それが例えば70歳を超えますと実際にいろいろなところで障害がでてきますし、テレビを楽しむことができなくなる、例えば手話などに頼らなければならなくなるというような例もあります。ただそれが技術によってキャプションが可能になったことで生活の質が大きく改善されるわけです。今この世界においてはそういったニーズが認識されるようになってきました。まだまだ全体的ではありませんけど、多くの状況において文化的に障害をかかえる、あるいは身体的に障害をかかえる、あるいは何らかのかたちで環境にフィットするために助けを必要としているというケースそういった人たちがたくさんいると思います。しかし、それに対してなかなか手段が講じられてないと思います。経済的にみてもそういった市場に対するニーズを満たすということも意味があると思います。そしてまたその一方でそれは義務であると思います。情報をできるだけアクセシブルにするというのは義務だと思います。この10年間大きな変化は起きてきましたけども、正しいことを実行しない言い訳はできなくなりました。7年前からSMILに着手しておりますが、非常に大きな進展があったと思います。SMILはまだ全体的に必要なもののほんの一部でしかないと思いますが、多くの人が今貢献していますので、希望が持てると思います。進展は早く進んだり、遅々として進まなかったりする場合もあると思いますが、そして今後将来の世代の人たちは今に比べてよりアクシシブルな情報の恩恵を受けることができるようになると私は思っています。今日はほんとうにお招きいただきありがとうございました。

ダニエル・ウェック: 私もアクセシビリティ、LimSeeについて最後に少し述べたいと思います。LimSeeはSMILを使うことによってアクセシブルなコンテンツを作るためのツールとして使うことができます。私たちはあらゆる努力を通じてLimSeeをアクセシブルなアプリケーションにしようとしています。スクリーンリーダーを使ってグラフィカル・ユーザーインターフェースを目の見えない人にも理解してもらえるような形を作ろうとしているわけです。マウスを使えないような人、キーボードを使うことができないような人にもGUIを使ってナビゲートできるような開発もしています。私は直接視覚障害者の人と直接的には仕事はしていませんけど、ユーザーのフィードバックがぜひ必要なのです。ユーザーからの意見が不可欠になります。皆さまからのご意見やコメント、協力をぜひいただきたいと思っています。

マリッサ・デメリオ: もうすでに他の方々がおっしゃたことと同じことなんですけど、ぜひユーザーのフィードバックをいただきたいと思います。ぜひ皆さん、積極的に参加して協力していただきたいと思います。これは私たちにとってどういうニーズがあるのかを特定するために役立つだけではなく、どういうふうに私たちがそれに対処してきているのか自己反省にも役に立ちます。ソフトウェアのプロジェクト、AMISを開発しておりますが、次世代ではぜひ発展途上国から視覚障害者のプログラマーが参加して開発していければと思っております。そうなれば開発に新しい局面が生まれてきます。そういった形の協力が今後ますます増えていくと思いますので、皆さんぜひ積極的にプロジェクトに参加して下さい。またぜひウェブサイトをご覧になって下さい。

河村宏: 最後に簡単にまとめをさせていただきたいと思います。今日は特に製作と再生という、実演を含めながらSMILのアプリケーションはどういうものかということをじっくりご理解いただけたと思います。これまでDAISYについては皆さんよくご存知だったと思いますが、その基礎になっているSMILから見ると、DAISYが使っているのはほんの一部の機能です。SMILの中からいくつかの機能を取り出して、視覚障害者のニーズに必要なものを最初に作り上げた、そこから始まってDAISYは今次々とカバーする範囲を広げてやがてもう一度SMILそのものの規格にDAISYで築き上げてきたものをフィードバックして、SMILをさらに充実させるというプロセスにいよいよ入ってきたのだというふうに思います。そして、今日実は重要な質問がありました。ジャックさんから視覚障害の方でマルチメディアの編集をやりたい人いますか、という質問がありました。これはソフトウェア開発者としては非常に重要な質問です。

実はDAISYの製作ソフトを最初に作った時に、それは今のちょうどLimSeeと同じようにそう簡単に視覚障害者に使えるものではない、スクリーンリーダーを使ったとしてもどうしても使えない部分が最初は残る、そういうものでした。そこで、同時に視覚障害者の方も自由にDAISY録音図書が作れるソフトウェアとハードウェアを開発しようということがテクノエイド基金の助成を受けまして日本障害者リハビリテーション協会が着手したわけです。そして、それが最終的にハードウェアとしては今年の4月1日から日常生活用具になりましたPTR1に結実して、その間には今日もいらしていますシナノケンシの田中伸さんの大変な努力があったわけです。ちょっと田中さんお立ちいただけますか?彼が視覚障害者も使えるユーザーインターフェースとうことで、ずっとしのぎを削って開発してきました。ありがとうございます。

そして、今日このSMILのもっと複雑なマルチメディアに挑戦したいという方が4人か5人手を挙げたと思います。これは素晴らしいことだと思います。つまり開発者たちがこれからはこのSMILの編集に挑戦する、そういう視覚障害者の方たちを念頭において開発する、ということが今日から始まるわけです。簡単に解答は出ませんけれど、しかしそういうユーザーがいるということは非常に重要な開発上のヒントになります。そして、今日はフランスではもう競馬に使われているシステムを使えばそのままほとんどSMILを手元で自由に扱うことができるんだという非常に重要な示唆がありました。これはフランスの放送と通信に関わる制度と日本の放送と通信に関わる制度の違いとうのが非常に大きく壁としてあるのかな、というふうに私は思います。日本ではこれまでNHKがデータ通信をするというのは法律の規制の上でできませんでした。同時にNTTやKDDIが放送するということもやはり規制があったはずです。しかしこれからは技術の上では共通のものであるし、特にアクセシビリティを考える時、あるいはずーっとここのところ私たちを悩ませている災害、ここ連日ですね、台風のことで全国で皆やきもきしていたと思います。こういう災害のときに、今ある技術を最大限に結集しないでどうするんだろうかというふうに思われるわけです。

つまり何か具体的なニーズがなければ壁は越えられません。技術的にはもうほぼ解決がつきそうなものが出てきているということが今日はみんなで確認できたと思います。あとはどうやって社会経済的な壁を崩して、それを本当に必要な人たちが手にするか、その時に当然グローバルなマーケットということがそこに参入する企業の方たちには重要な要素になります。当然グローバルなマーケットというときには発展途上国で特別なニーズを持つ、障害を持つ人たちのこともともに考えていかなければなりません。私たちの日本のODAはちょっと減ったとはいえ、アメリカのODAから軍事費を除きますと今でも世界でナンバーワンです。このODAというのは今までは建築とか結構大きな土木事業に使われてきましたが、いよいよ緒方総裁が誕生してからは人間の安全保障というもっと、人間の日常の生活、あるいは安全に安心して暮らせるためにそれを活用しようというふうになってきています。つまり識字であるとか教育を受ける権利をきちんと保証する、あるいは災害のときに安全を確保する、そういったことは人間の安全保障の基本的なものに入ってくるわけです。

会場の様子の写真

つまりこれからはグローバルに提携して、途上国の人もともに使えるそういう技術、そしてそれぞれの国の言語をきちんとインプリメントできる、そういう開発が必要になってくると思います。そういう意味で、今日パネルの全てのスピーカーはオープンソースでこれから開発戦略を展開しようという共通点を持っております。これは必ずしも企業の方がそこに参加できない、ということではありません。オープンソースで作ったプラットフォームというのは企業の方にもより広いマーケットを開いていくと私どもは確信しております。

本日は、皆さんお忙しい中を5時半から8時半まで3時間にわたってご参加いただきまして、本当にありがとうございました。これからこのアメリカ、アジア、ヨーロッパをつないだアライアンスでがんばっていきたいというふうに決意表明をさせていただきます。ご協力ありがとうございます。