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アジア太平洋障害者の10年の評価<完全参加と平等<へのNGOの展望

台湾

RNN レポート

I 台湾NGOによる「10年」の活動成果

台湾政府 政策の鍵の一つとして、非政府資源とNGOの融合が掲げらる。この政策は、福祉システムが台湾国内の広い範囲に渡って確実に実施される事を実現する動力源にもなっている。現在、各NGO組織(特に障害者福祉関連組織)は様々な意思決定の過程に参加することができている。

活動の成果・貢献:

  1. 1980年の障害者市民福祉法制定、1997年の身体的・精神的障害者市民(Physically and Mentally Disabled Citizen)権利擁護法改正。
  2. 福祉組織の数量的増大(1993年:67組織→2002年:200組織以上)
  3. 訓練スタッフの支援;家庭・地域でのサービス提供;地域ケアシステムの強化;家族に対する支援の提供。
  4. バリアフリー施設におけるアクセサビリティー視察の実施。
  5. 教育的権利の擁護。
  6. 職業訓練の実施。
  7. 547の福祉団体および様々なレクリエーション活動に対する助成金の補助。

II 台湾における障害者の完全参加と平等に関する検討課題と問題点

これまでに以下のような問題点が各NGO/GO組織より指摘されている:

  1. バリアフリー施設への公的アクセスの欠如;バリアフリー施設への公的アクセス建設において、都市部-農村部間にみられる不均衡さ。
  2. 障害者(特に聞く事と話す事に困難を持つ者)に対する雇用者の理解と受容の低さ。
  3. 障害のある人のための補助支援機器サービスの欠如。この問題は、障害者が直面する”参加機会の不足”および”不十分な権利保障”などの問題とも関連している。例えば、(電動)車椅子を使用する身体障害者は、アクセシブルな公的移動手段の欠如、都市内におけるアクセシブルな道路・経路の不完全整備、あるいは新規に開発された障害者用補助支援機器の広報の不十分さ等のために、一般市民生活への参加および職探し等において多大なる困難に直面し、こういった不十分さが障害者の不就業に繋がっている。

III 「10年」後NGO/GO活動としての、アジア太平洋地域間地域協力に関する行動計画の提案

アジア太平洋地域における「10年」後の行動計画は、以下のような活動を通してその組み立てが可能になると思われる:

  1. 今後推移する精神的障害者(mentally disabled people)の平均年齢の予測と、彼らが直面する高齢化に伴う問題点の洗い出し。
  2. インターネットデータベースの構築:これにより、障害者が補助支援機器の輸入および使用に関する最新の情報を効率よく得る事が可能となる。
  3. 障害発生に対応する方法の研究の強化。
  4. アクセシブルな環境づくり(移動、アクセシブルな住宅、障害者用の補助支援機器なども含め。)に関する情報の交換と協力体制の強化。
  5. 障害者の社会参加促進。(障害当事者を含む国際的福祉関連団体間の相互交流)
  6. 障害者の自立生活支援。(就労支援、就労相談の評価、長期安定雇用の促進、など。)

[A]台湾「10年」の評価:「行動課題」に基づく「107の目標」達成を4段階評価尺度を用いて検討する

  1. 障害者市民の支援を目的として「身体的・精神的障害者市民に対する移行期/就労支援サービスの原則」および「身体的・精神的障害者市民のための補助支援機器サービスの原則」を設けたり、また、障害者の受験資格制限の緩和や建築関連規則の改正など、障害者市民の社会参加の機会均等に関わる法的規則の改正を行った。

よって我々の自己評価は、4段階評価尺度の1と2の中間程度の達成度であると評価する。

[B]これまでのまとめと今後の方針、および基礎的データ

A.これまでのまとめと今後の方針
(a-1) この「10年」の間に我が国の障害者にもたらされた3大変化。
  1. 障害者市民の権利を護る法律が制定され、障害者が尊厳と幸福感をもって暮らせるようになった事。
  2. 障害者市民の教育を受ける権利(障害児教育)が、3歳児にまで拡大された事。早期発見システムを構築し、知的障害児に対する早期治療サービスを提供することができている。
  3. 障害者市民就労の飛躍的増大。
(a-2)我が国の障害者市民の生活と障害をもたない市民の生活との比較により認められる三大課題。
  1. 障害者にとってアクセシブルな施設の強化。
  2. 障害者が従事できる職の多様性の増大;障害者市民のニーズに適切に対応できる職種の発掘。
  3. 障害者の市民生活・活動参加の拡大。
(a-3)我が国の政府が焦点をすえるべきであると思われる三大改善指標。
  1. 環境の改善
  2. 教育レベルの向上
  3. 就労機会の創出
(a-4)アジア太平洋地域内における地域協力活動として今後望まれる三大優先事項。
  1. アクセシブルな環境づくり(移動、アクセシブルな住宅、障害者用の補助支援機器なども含め。)に関する情報の交換と協力体制の強化。
  2. 障害者の社会参加促進。(障害当事者を含む国際的福祉関連団体間の相互交流)
  3. 障害者の自立生活支援。(就労支援、就労相談の評価、長期安定雇用の促進、など。)
B.基礎的データ
(b-1) 障害種別・性別・教育レベル・識字率・就労率等にみる障害者市民現在の状況
1. 性別
1993 2001
男性 166,307 (64.2%) 448,724 (59.5%)
女性 92,590 (35.8%) 305,360 (40.5%)
計(人数) 263,557 754,084

内務省・統計課データ1995、2002にそれぞれ基づく。

2. 教育レベルおよび識字率
1993 2000
6歳以上、文盲/就学経験なし 29.1% 23.7%
小学校 27.1% 31.5%
中学校 18.3% 16.0%
高等学校/職業訓練校 14.7% 16.2%
大学 8.9% 7.7%

内務省・統計課データ1995、2001にそれぞれ基づく。

3. 就労率
1993 2001
就労率 26.3% 19.05%
非就労率 5% 5.04%
非労働者層 68.7% 75.91%
(b-2) 国民の意識レベル

1.アジア太平洋障害者の10年(1993―2002)について。

c.約25%*
*この推計には、1998年1月台湾(台北)のWu-Nan 出版社により出された本「障害者およびその家族の福祉とソーシャルワーク」(p. 470-472) の影響も含まれている。
政府は「10年」に関する広報を国民に対して行いましたか?
a. はい

2.1975年 国連障害者の権利に関する宣言について。

c.約60%*
*この推計には、1987年内務省社会問題課による「RI宣言」「障害のある人々の機会均等化」「障害者に関する世界行動計画」などの出版物の影響も含まれている。

3.1981年 国際障害者年について。

c.約80%*
*1.切手発行およびその他政府/非政府による広報活動の影響を含む。
2.国連により定められ1992年12月3日にスタートした「障害者の日」関連イベントとして、毎年政府やその他非政府組織が主催する記念イベントが開催されている。2002年のイベントは、「障害のある人々の機会均等化と参加の促進」というテーマの下開催された。

4.1983―1992年の国連障害者の10年について。

c.約60%*
*この推計には以下の出版物による影響が含まれている。
1.1998年1月台湾(台北)のWu-Nan 出版社により出された本「障害者およびその家族の福祉とソーシャルワーク」(p. 683-684)
2.1987年内務省社会問題課による出版物:「RI宣言」「障害のある人々の機会均等化」障害者に関する世界行動計画」

[C]情報提供

・障害者関連台湾全国レベルNGO組織
台湾障害関連団体リスト 電話
エデン社会福祉財団 8862 2230-7715
Syin-Lu 社会福祉財団 8862 2592-9778
子ども 聞こえ 財団 8862 2827-4500
台湾社会福祉創生財団 8862 2396-7777
聴覚障害者のためのNWL 財団 N/A
台湾自閉症児・者財団 8862 2832-5286
視覚障害者文化教育財団 8862 2738-3303
中国視覚障害者文化教育協会 8862 2738-3303
中国聴覚障害者協会 8864 729-7760
台湾 障壁のない環境促進協会 8867 2411-100
中国 障壁のない環境促進技術開発協会 8862 2629-3332
台湾自閉症協会 8862 2592-6928
中国視覚障害数霊術研究協会 8863 524-2394
台湾新武道術(Bo Do)協会 8862 2558-1081
中国鎖肛協会 886-937332617
中国子ども早期発達協会 8863 857-4362
中国障害者協会 8867 763-9380
中国ナビゲーター協会 8862 2935-1516
障壁のない環境促進のための文化教育財団 N/A
中国視覚障害者協会 N/A
中国学習障害協会 8864 350-5899
中国台北障害者スポーツ組織 8864 2597-4352
中国障害者インターネット協会 8862 2383-2999
中国障害者就労技能協会 8862 2736-2536
台湾てんかん協会 N/A
中国視覚障害者社会福祉協会 8862 2599-1234
中国Thereof 社会福祉協会 N/A
障害児者の親の会連合 8862 2701-7271
脊椎損傷連合 8862 2250-1968
中国聴覚・知的重複障害資源協会 8864 874-3702
中国障害サービス協会 8862 2389-0910
国際特別なアート協会台湾連合 8862 2522-3152
中国腎臓協会 8863 319-6024
中国 Hone-En 障害者協会 8862 2761-9107
中国障害者自立社会福祉協会 8862 2747-1225
中国視覚障害者連合 8862 2522-1599
中国身体障害者連合 8864 776-0430
台湾筋ジストロフィー症協会 8867 380-0566
中国四肢切断ユースカウンセリング協会 8862 2389-4832
中国視覚障害者アークカイロプラクティス促進協会 8862 2542-2055
中国障害者改良協会 8862 27363633
台湾先天異常協会 8862 2522-4036
中国障害者自己改善協会 8864 529-6739
中国ベジタリアン回復協会 8862 2873-9929
中国 Woo-yen 協会 8862 2708-5595
中国 Eu-Ming 視覚障害協会 8867 373-1587
中国 Sheng- huan 協会 8864 531-2684
・台湾においてロールモデルあるいは障害者リーダーとして既に広く認識された人物/今後のリーダー的活躍が期待される人物の紹介。
  1. Shu-chen Wu さん
    Wuさんは、中国大統領ご婦人です。慈善事業に定期的に参加したり、外交において貢献したりもされています。彼女は人生を愛し人間が持つ権利を尊重する、障害者市民のモデルでもありリーダーでもある人物です。
  2. Liu Hsia さん
    Liu さんは、発達に障害をもつ子供たちの支援・中年期に障害者となった人々の自信回復・高齢障害者市民へのサービス提供等に取組むために、エデン社会福祉財団を設立されました。彼女は、支援を必要とする人たちのために、これまでに台湾国内15の郡に合計43個所のサービスポイントを設置しました。更に、海外に財団の支部を設けるなどして、マレーシアのペナン、およびクアランプールにも彼女の経験により培われた知識や技能を提供し、国際レベルでの社会福祉サービスの提供や関連学会への参加にも積極的に取組んでおられます。また、アフガニスタン・カンボジア・モザンビーク・ヨルダン・ベトナムなどに住む、地雷による被害で障害者になった人々のために車椅子を寄贈されたりもしました。Liu さんは、人権を尊重し、人生を享受する、勇敢な女性の模範といえましょう。
・台湾障害者問題関連分野において重要な取組み・協力をしている海外組織の紹介。
  1. 国連により定められた12月3日の国際障害者の日を記念して、政府および私的企業の主催による一連のイベントが毎年開催されている。
  2. ニュージーランド盲導犬訓練センターの支援により、盲導犬のトレーニングとその普及がすすめられている。
  3. 日本人材交流協会(Japan Interchange Association)との連携により、「人的資源交換計画」を立案した。
  4. 国際地雷禁止運動(ICBL)の正式メンバーでもあるエデン社会福祉財団が、台湾国内における地雷使用の禁止を目指して運動を行っている。
  5. たんぽぽ財団が、1991年にアジア太平洋地域国際音楽祭を主催した。
・台湾における障害者関連政策および研究に携わる専門家
  1. Guo-yu Wang 教授
    国立Chung Cheng 大学、社会福祉大学院
    連絡先:No 160, Min-Hsiung Village, Chia-yi County, Taiwan, R.O.C.
  2. Yue-ching Chou 教授
    Soochow 大学、ソーシャルワーク大学院
    連絡先:No 70 Linshi St. Taipei, Taiwan
  3. Yu-wei Wan 教授
    Tzu Chi 大学、ソーシャルワーク大学院
    連絡先:: No 701, Chung Yan Road, Sec 3, Hualien, Taiwan

エデン社会福祉財団(Eden Social Welfare Foundation)

訳:シラキュース大学院 笠原真帆