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障害を持つ人びとの福祉 No.1

島根県安来市 障害者対策に関する基本方針

島根県安来市

項目 内容
立案時期 平成7年3月

心のかよう福祉の推進を目指して

 超高齢化社会を急速に迎えるなかで、高齢の人も含めて、心身に障害を有する人が、自立して生活し、積極的に参加していくことができる社会を構築していくことが重要であります。
 これまで、ともすれば主として健常の人の利用を想定した住宅や社会資本整備が行われてきましたが、これからは、だれもが必然的に老いを迎え、障害をもつ可能性を有するものであるという認識に立って、障害を有する人を含むすべての人が、あらゆる分野に積極的に参加できるよう「移動及び利用の自由」と「安全」への配慮及び確保を行うとともに、ノーマライゼーションの理念の実現を図っていくことが求められております。
 市では、こうした状況下において、高齢の人、障害を有する人、若い人がよりよい人間関係を築いていただくことを願い、昨年3月糺市営住宅の改築を行い、県内では初めての建設大臣表彰を受賞したところであります。今後、当住宅を拠点として、だれもが支え合い、共に暮らすことのできる相互支援活動の輪が広がっていくことを切望するものであります。
 また、このたび、激動する社会情勢に高齢の人、障害を有する人が社会の様々な分野に積極的に参加できるよう、その諸問題の解決を図る指針として、「安来市障害者対策に関する基本方針」を策定いたしました。
 この基本方針は、市民のみなさまのライフステージの全ての階段において、全人間的復権を目指す「リハビリテーション」の理念と高齢の人も、障害を有する人も有しない人も、共に住みなれた家庭や地域で生活し、活動する社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念のもとに「完全参加と平等」を実現していくことを目標にしております。
 どうか、市民のみなさまの一層のご理解とご協力をいただきますようお願いいたします。
 おわりになりましたが、本基本方針の策定にあたり格段のご協力を賜りました障害者とともに歩む地域づくり推進委員並びに策定委員のみなさまに厚くお礼申し上げます。

平成7年3月

安来市長 加藤 節夫

目次

「第1章」 基本方針策定の概要

  • 第1節 目標
  • 第2節 基本方針策定の概要
    1. 策定の趣旨
    2. 性格
    3. 内容
    4. 施策の推進

「第2章」 障害者の動向と障害者を取り巻く状況

  • 1.障害者の動向
    • (1)障害者の推移
    • (2)身体障害者
    • (3)精神薄弱者
  • 2.障害者を取り巻く状況
    • (1) 障害者の雇用の促進等に関する法律の成立
    • (2) 社会福祉関係8法の改正
    • (3) 保健福祉のサービスの基盤整備
    • (4) 障害者基本法の制定

「第3章」 方針策定の基本的方向

  • 1.主体性、自立性の確保
  • 2.自主生活への支援
  • 3.平等な社会づくり
  • 4.市民参加によるノーマライゼーションの実現
  • 5.住みよいまちづくり
  • 6.障害の重度化、重複化や障害者の高齢化への対応
    • 第1節 啓発・広報
      • 1.啓発・広報活動の推進
      • 2.保健・福祉教育の推進
      • 3.理解と共感の場づくり
    • 第2節 保健・医療
      • 1.心身障害の発生予防の推進
      • 2.早期発見・早期治療と療育
      • 3.リハビリテーションの推進
    • 第3節 教育・育成(教育・育成の推進にあたって)
      • 1.障害児教育の推進と充実
      • 2.生涯学習の推進
    • 第4節 雇用・就業(雇用・就業の推進にあたって)
      • 1.職業能力の開発
      • 2.雇用の促進と安定
      • 3.福祉的就労の場等の整備促進
    • 第5節 福祉サービス
      • 1.地域福祉の推進
      • 2.生活安定のための施策の充実
      • 3.福祉機器の活用促進
      • 4.施設福祉の充実
      • 5.保健・医療・福祉等の連携
    • 第6節 ひとづくり
      • 1.専門職員の養成・確保
      • 2.ボランティア活動の推進
      • 3.研修体制の充実
    • 第7節 まちづくり
      • 1.総合的なまちづくりの推進
      • 2.住宅、生活環境の整備
      • 3.交通、移動対策の推進
    • 第8節 社会参加
      • 1.情報提供機能の充実
      • 2.社会参加の促進
      • 3.余暇活動の充実

資料

  • 「障害者とともに歩む地域づくり」事業実施要綱
  • 「障害者とともに歩む地域づくり」推進会議設置要綱
  • 「障害者とともに歩む地域づくり」推進会議委員名簿
  • 就学相談
  • 年次別盲・ろう・養護学校児童・生徒数の推移
  • 用語解説

[第1章]

基本方針策定の概要

第1節 目標
第2節 基本方針策定の概要
    1 策定の趣旨
    2 性格
    3 内容
    4 施策の推進

第1節 目標

 障害を持つ人も持たない人も、誰もが家庭や住みなれた地域でともに生活することができる社会を築くことが大切です。
 そのためには、市民一人ひとりが、「完全参加と平等」の目標を実現する基礎となる「障害」及び「障害者」についての正しい認識の一層の普及に努めるとともに、障害を持つ人が日常生活を営んでいくうえで、その能力を最大限に発揮できるような生活環境の整備や雇用機会の拡充等の諸条件を整備していくことが急がれます。
 また、障害を持つ人自らも社会の一員としての努力を重ね、可能な限り自立をめざして社会に参加していくことが求められます。
 施策の策定に当っては、以上のような基本的な考え方に立ち、ライフステージの全ての段階において全人間的復権を目指す「リハビリテーション」の理念と、障害を持つ人も持たない人も、ともに住みなれた家庭や地域で生活し、活動する社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念のもとに、「完全参加と平等」を実現していくことを方針の基本目標とします。

第2節 基本方針策定の概要

1.策定の趣旨

 我が国の障害者対策は、ここ10年間「リハビリテーション」の理念と、「ノーマライゼーション」の理念のもと「完全参加と平等」の目標にむけて進められてきました。
 一方、島根県ではこうした国の基本指針に基づき、昭和57年度に平成3年度を終期とする10年間の「障害者対策に関する島根県長期計画」が策定され、これを基本方針として各種施策の推進が図られてきましたが、残された課題も少なくありません。
 また、この間、過疎化や高齢化の進行、障害の重度化、重複化等障害を持つ人を取り巻く環境も大きく変化してきました。
 このため、県では過去10年間の取り組みの成果を踏まえながら多様化、高度化する障害ニーズに応え、障害者福祉の一層の推進を図ることを目指し、「障害者対策に関する島根県新長期計画-島根県障害者対策ダイヤモンドプラン-」が平成5年度に策定されました。
 本市では、こうした国及び県の計画方針に、本市の障害を持つ人の実情に即した諸施策の推進と、福祉を先行した行政を展開するうえでの新たな方向性を確保することにより、本市の障害者福祉の一層の推進を図ることを目的に、策定するものです。

2.性格

(1) 本市の障害者施策の方向を明らかにし、具体的施策を展開するための基本指針とするものです。
(2) 市民の努力目標となるものであり、障害を持つ人を含むすべての人が「住みよいまちづくり」の実現に向けて自主的かつ積極的な活動と協力を期待するものです。
各種団体、民間企業に対しても同様の活動と協力を期待するものです。
(3) 国、県に対しては、施策の実現に向けた支援と協力を期待するものです。

3.内容

次に掲げる大項目を設定し体系的に推進します。
 「啓発・広報」 「保健・医療」
 「教育・育成」 「雇用・就業」
 「福祉サービス」 「ひとづくり」
 「まちづくり」 「社会参加」
 また、これをうけて中項目、小項目を設定しています。
 そして、それぞれの中項目単位ごとに《現状と課題》、それぞれの小項目単位ごとに《施策の方向》を示しています。

4.施策の推進

以下の点に留意し、施策の総合的推進を図ります。
(1) 障害者問題の解決には、すべての分野からの協力が必要であるため、国、県、障害者関係団体、企業、報道機関等と密接な連携を図り、市民各層の理解を得ながら総合的に推進していきます。
(2) 施策の推進計画については、安来市総合計画に基づく実施計画の中に位置づけて推進します。

[第2章]

障害者の動向と障害者を取り巻く状況

1.障害者の動向
  (1) 障害者数の推移
  (2) 身体障害者
  (3) 精神薄弱者
2.障害者を取り巻く状況
  (1) 障害者の雇用の促進等に関する法律の成立
  (2) 社会福祉関係8法の改正
  (3) 保健福祉のサービスの基盤整備
  (4) 障害者基本法の制定

1.障害者の動向

(1) 障害者数の推移
 本市の平成6年4月1日現在の身体障害者、精神薄弱者は、あわせて1,306人(人口比率4.1%)で、平成元年に比べ126人(増加率10.7%)多く、増加傾向が見られます。(表1)

本市の障害者数(表1)

年\区分 身体障害者 精神薄弱者 合計
平成元年 1,051人 129人
(内身障手帳保持者25人)
1,180人
平成6年 1,164人 142人
(内身障手帳保持者34人)
1,306人
増加率 10.8% 10.1% 10.7%

※なお、上記の数は下記の数値であります。
身体障害者・・・毎年4月1日現在の身体障害者手帳所持者数
精神薄弱者・・・毎年4月1日現在の療育手帳所持者数

(2) 身体障害者
 本市の平成6年4月1日現在の身体障害者手帳所持者数は、1,164人で、人口比率は、3.64%で全国平均の2.88%を上廻っていますが、これは、60歳以上の手帳所持者が全国平均より多いためであります。(県平均4.27%)
1 年齢階層別身体障害者
 手帳所持者の年齢階層別構成比は、20歳以下3.8%(人口比率0.14%、全国平均0.29%、県平均0.08%)、21歳以上50歳15.1%、51歳以上65歳24.9%、66歳以上56.2%と年齢階層が高くなるにしたがって、その構成比が高く60歳以上が全体の69.3%(全国平均63%)と過半数を占めています。(表2)
 又、男女別の比率をみますと、男子666人(57.2%)、女子498人(42.8%)で、手帳所持者のおよそ5人のうち3人が男子であります。

年齢階層別身体障害者数(表2)

0歳~20歳 21歳~50歳 51歳~65歳 66歳以上 合計
手帳所持者 44(24)人 176(67)人 290(107)人 654(300)人 1,164(498)人
構成比率 3.8% 15.1% 24.9% 56.2% 100%

( )は、内女子数

2 障害種類別身体障害者
 障害の種類別では、「肢体不自由」が703人で、60.4%(全国平均55.8%、県平均55.9%)を占め最も多く、次いで「内部障害」「聴覚障害」「視覚障害」の順になっています。(表3)
 「肢体不自由」の年齢階層別構成は、20歳以下25人(3.5%)、21歳以上50歳109人(15.5%)、51歳以上65歳179人(25.5%)、66歳以上390人(55.5%)であります。(表4)
 又、「肢体不自由」の内訳は、上肢227人(32.3%)、下肢247人(35.1%)、体幹201人(28.6%)、脳病変による運動機能障害28人(4.0%)であります。
 次いで「内部障害」の内訳は、心臓機能障害が最も多く99人(51.3%)で各年齢階層に分布していますが、66歳以上が44人と約半数を占めています。次いで、じん臓機能障害45人(23.3%)、ぼうこう又は直腸の機能障害30人(15.5%)、呼吸器機能障害19人(9.9%)であります。
 「視覚障害者」「聴覚言語障害者」は、およそ10人中7人が65歳以上であります。

障害種類別身体障害者数(表3)

視覚障害 聴覚言語障害 肢体不自由 内部障害 合計
手帳所持者 126人 142人 703人 193人 1,164人
構成比率 10.8% 12.2% 60.4% 16.6% 100%
構成比率(県) 14.9% 16.5% 55.9% 14.7% 100%
構成比率(全国) 14.0% 13.2% 55.8% 17.0% 100%

障害種類年齢階層別身体障害者数(表4)
障害種類年齢階層別身体障害者数グラフ

3 級別身体障害者
 障害級別では、「1、2級」の重度者が457人で最も多く、手帳保持者の39.3%(全国平均40.1%、県平均40.2%)、次いで、「3、4級」の中度者32.6%、「5、6級」の軽度者28.1%の順となっております。(表5)
 「1、2級」の重度者の障害内訳は、肢体不自由が最も多く251人(54.9%)、次いで内部障害124人(27.1%)、視覚障害者57人(12.5%)、聴覚言語障害25人(5.5%)であります。
 とくに、内部障害では手帳保持者の64.2%が1~2級の重度障害者であります。
 次に、障害の男女別、年齢階層別に「1、2級」の状況をみますと、男子244人、女子213人で、年齢階層別では、20歳以下33人(7.2%)、21歳以上50歳86人(18.8%)、51歳以上65歳102人(22.3%)、66歳以上236人(51.7%)であり、とくに、61歳以上の人が289人と重度障害者の63.2%を占めております。

年齢階層、級別身体障害者の数(表5)

年齢階級\級別 1級 2級 3級 4級
~20歳 14 16 30 1 2 3 2 4 6 1 0 1
21歳~50歳 34 20 54 20 12 32 16 10 26 14 11 25
51歳~65歳 28 24 52 34 16 50 27 19 46 40 19 59
66歳~ 51 68 119 62 55 117 58 49 107 63 47 110
127 128 255 117 85 202 103 82 185 118 77 195
構成比(%) 10.9 11.0 21.9 10.1 7.3 17.4 8.9 7.0 15.9 10.1 6.6 16.7
年齢階級\級別 5級 6級 構成比
(%)
~20歳 2 2 4 0 0 0 20 24 44 3.8
21歳~50歳 12 6 18 13 8 21 109 67 176 15.1
51歳~65歳 29 14 43 25 15 40 183 107 290 24.9
66歳~ 68 40 108 52 41 93 354 300 654 56.2
111 62 173 90 64 154 666 498 1,164 100
構成比(%) 9.5 5.4 14.9 7.7 5.5 13.2 57.2 42.8 100 -

(3) 精神薄弱者
 平成6年4月1日現在の療育手帳所持者数は、142人で、人口比率0.44%(県平均0.53%)であります。
 手帳所持者142人のうち、身体障害(手帳所持者)とのダブル障害の人が34人あります。又、手帳所持者のうち施設入所者は61人(43.0%)、通所施設者は18人(12.7%)、在宅者は63人(44.3%)であります。(表8)
1 年齢階層別精神薄弱者
 手帳所持者の年齢階層別構成比は、20歳以下38.7%(人口比率0.17%、県平均0.09%)、21歳以上50歳51.4%(人口比率0.23%)、51歳以上65歳7.8%(人口比率0.03%)、66歳以上2.1%(人口比率0.01%)と年齢階層が高くなるにしたがってその構成比が低くなっています。(表7)
 又、男女別の比率をみますと、男子91人(64.1%)、女子51人(35.9%)で、手帳所持者のおよそ3人に2人が男子であります。

年齢階層別精神薄弱者数(表7)

0歳~20歳 21歳~50歳 51歳~65歳 66歳以上 合計
手帳所持者 55(17)人 73(26)人 11(6)人 3(2)人 142(51)人
構成比率 38.7% 51.4% 7.8% 2.1% 100%

( )は、内女子数

2 程度別精神薄弱者
 療育手帳「A」の所持者は81人で手帳保持者の57.0%(県平均56.2%)、「B」の所持者は61人、42.9%(県平均43.8%)であります。(表8)

程度別精神薄弱者数(表8)

療育手帳A所持者 療育手帳B所持者
内身障手帳
所持者
内施設
入所者
内身障手帳
所持者
内施設
入所者
49人 32人 81人 31人 48人 42人 19人 61人 3人 31人
60.5% 39.5% 100% 38.3% 59.3% 68.9% 31.1% 100% 4.9% 50.8%
合計
内身障手帳
所持者
内施設
入所者
91人 51人 142人 34人 79人
64.1% 35.9% 100% 23.9% 55.6%

(注) 表等の数字はすべて平成6年4月1日現在の実数から算出したものであります。

2.障害者を取り巻く状況

  • (1) 障害者の雇用の促進等に関する法律の成立
    昭和62年5月、「身体障害者雇用促進法」が「障害者の雇用の促進等に関する法律」に改められました。
     これは、すべての障害者を対象とするとともに、職業リハビリテーションの考えに基づき雇用の促進と安定を推進しようとするものであります。
    主な改正点としては、
    • ア 身体障害者雇用調整金等の支給範囲の拡大
      精神薄弱者を雇用する場合も身体障害者雇用調整金、報奨金の支給対象になりました。
    • イ 精神薄弱者を雇用率に算入
      身体障害者と同様に精神薄弱者についても雇用率に算入されることになりました。
    • ウ 雇用率の引き上げ
      障害者雇用率が0.1%引き上げられ、民間企業は1.6%、公共団体は現業部門が1.9%、非現業部門が2.0%になりました。

  • (2) 社会福祉関係8法の改正
     平成2年6月、社会福祉関係8法の改正を内容とする「老人福祉法等の一部を改正する法律」が成立し、我が国の社会福祉制度は抜本的な改革が行われることとなりました。
     これは、昭和20年代に骨格が形成された社会福祉制度を取り巻く環境が大きく変化していることに加え、人生80年時代にふさわしい社会福祉制度を構築していくことが強く求められていることによるものであります。
     主な改正点としては、
    • ア 障害者関係施設の範囲の拡大等
       新たに、視聴覚障害者情報提供施設を身体障害者更生援護施設として、精神薄弱者通勤寮及び精神薄弱者福祉ホームを精神薄弱者援護施設としてそれぞれ位置付けるとともに、精神薄弱者地域生活援助事業(グループホーム)が法定化され、精神薄弱者相談員についての規定が設けられました。
    • イ 在宅福祉サービスの積極的推進
      1. 在宅福祉サービスの位置付けの明確化
         ホームヘルパー、ショートステイ、デイサービス等福祉各法の在宅福祉サービスを法定化するとともに、社会福祉事業法上の社会福祉事業に位置付けられました。
      2. 在宅福祉サービスの支援体制の推進
         社会福祉・医療事業団に長寿社会福祉基金を設置し、地域の実情に即したきめ細かな在宅福祉事業等の推進を図るとともに、社会福祉協議会及び共同募金の活動を推進し、在宅福祉サービスの供給体制の整備や在宅福祉サービス等への助成が強化されました。
    • ウ 在宅福祉サービスと施設福祉サービスの市町村への一元化
       身体障害者更生援護施設及び特別養護老人ホーム等の入所決定等の事務を町村に移譲することにより、住民に最も身近な市町村において、在宅福祉サービスと施設福祉サービスが一元的に提供される体制の整備が図られました。
    • エ 市町村及び都道府県老人保健福祉計画の策定
       老人に対する保健サービスと福祉サービスの一体的提供を図るため、市町村及び都道府県はこれらのサービスの実施の目標等に関する計画を策定することとされています。

  • (3) 保健福祉のサービスの基盤整備
     平成元年末に厚生、大蔵、自治三大臣の合意により「高齢者保健福祉推進10か年戦略」(ゴールドプラン)が策定され、高齢者や障害者の保健福祉サービスの基盤整備が図られることとなりました。
     加えて、平成3年度から高齢者保健福祉推進特別事業を実施し、高齢者や障害
    者の保健・福祉に必要な地方公共団体の基盤整備を推進することとされました。
    (島根県障害者対策ダイヤモンドプラン抜すい)

  • (4) 障害者基本法の制定(H5.12.3施行)
     完全参加と平等の基本理念が明確に取り入れられるとともに、精神に障害をもつ人が障害者基本法の中に位置づけられました。又、内容も基本計画の策定、雇用、まちづくり、情報の確保等について、新しい内容が盛り込まれるなど障害をもつ人の福祉の増進施策が義務づけられました。

[第3章]

方針策定の基本的方向

1 主体性、自立性の確保
2 自主生活への支援
3 平等な社会づくり
4 市民参加によるノーマライゼーションの実現
5 住みよいまちづくり
6 障害の重度化、重複化や障害者の高齢化への対応


―「完全参加と平等」の基本目標の実現に向けて
次の考え方に基づいて、今後の施策を推進します。―

1 主体性、自立性の確保

 障害を持つ人は特別な存在ではなく、障害のない人が享受しているものと同等の権利を有し、また果たすべき義務を負い、責任ある個人として主体的に自身の生活を設計し、社会の発展に能動的に参加していくことが期待されています。
 このため、障害を持つ人自らが社会の一員として努力を重ね、主体性、自立性を確保し、社会へ積極的に参加していくことが大切であり、その能力が十分発揮できるように各種施策の推進を図ります。

2 自主生活への支援

 障害を持つ人が住みなれた家庭や地域で主体性をもって生活ができるよう、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ等の在宅福祉サービスの充実を図るとともに、各種の奉仕員等在宅福祉を支える人材の養成と確保に努めます。
 一方、自宅で生活が困難な障害を持つ人のために、グループホーム、福祉ホーム、生活ホームなどの生活の場を拡充し、自立を支援します。
 また、障害を持つ人の仲間づくりを支援するとともに、各種のイベントへの積極的参加ができるよう配慮します。

3 平等な社会づくり

 障害を持つ人を取り巻く社会環境は、物理的な障壁、制度的な障壁、文化・情報における障壁、意識上の障壁があり、障害を受け入れないことが多く、そのことが障害を持つ人の就労や社会参加活動の機会を制約し、その持てる能力を十分発揮できない現況にあります。
 このため、例えば、物理的な障壁を取り除き障害を持つ人が公共施設をはじめ民間施設を利用できるようにするなど、いかなる障壁もなく各種の活動に自由に参加できる、平等な社会づくりを目指す施策の推進を図ります。

4 市民参加によるノーマライゼーションの実現

 ノーマライゼーションの理念を実現していくためには、あらゆる社会経済活動において障害を持つ人の参加や利便を配慮していくことが必要であります。
 そのためには、障害を持つ人のニーズに応じて、行政が中心となって福祉措置を講じていくことが大切でありますが、本当の意味でのノーマライゼーションを実現するためには、住民、企業、団体等社会の全ての構成員が障害を持つ人を取り巻く諸問題を理解し、主体的に取り組んでいただくことが必要であります。
 全市民参加によるノーマライゼーションの実現に向けての啓発活動等施策の推進を図ります。

5 住みよいまちづくり

 障害を持つ人の住みよい社会をつくっていくことは、全ての人々にとっても住みよい社会になると言えます。
 とくに、近年高齢化が進展し、障害を持つ高齢の方が増加していく傾向のなかで、こうした社会づくりに全市民的に取り組んでいくことが強く望まれています。
 こうした状況の下、本市では平成6年度から2か年間、国の補助事業の「障害者とともに歩む地域づくり」事業の適用を受け、障害者対策の基本方針の作成をはじめ、建築物、道路等における物理的な障壁を取り除く事業をはじめ、不自由を感じることなく公共的施設等を利用することができるよう、生活環境面での改善を推進し、障害を持つ人をはじめ高齢者にとっても各種の活動に不自由なく参加できる、住みよい地域づくりの推進を図ります。

6 障害の重度化、重複化や障害者の高齢化への対応

 現在、障害を持つ人のなかには、障害が重かったり、重複している等により日常生活上の介護を常時必要とする人もありますが、年々、重度障害を持つ人の割合は増加する傾向にあります。
 また、高齢化の進展に伴い、障害を持つ人の高齢化とともに、介護者の高齢化も進んできており、家庭における介護機能の低下が問題となっております。
 このため、そうした人の在宅生活を支えていくために、在宅福祉サービスの充実や福祉機器等の拡充など在宅介護支援施策の推進を図ります。
 さらに、高齢者の中でも障害を持つ人が多くなってきており、高齢者対策、障害者対策いずれにも対応できる柔軟な施策運用を図ることができる、総合的な在宅介護支援体制の充実に努めます。

第1節

啓発・広報

啓発・広報 啓発・広報活動の推進 障害及び障害を持つ人についての正しい認識の普及
自立意識の醸成
保健・福祉教育の推進 児童、生徒に対する保健・福祉教育の推進
地域における保健・福祉教育の推進
理解と共感の場づくり 交流・ふれあいの促進
社会参加の機会の拡大と参加促進

1.啓発・広報活動の推進

(現状と課題)

 障害を持つ人を含むすべての人々が、明るく住みよい社会づくりを進めていくためには、行政が障害を持つ人に対する各種施策を実施していくだけではなく、社会を構成するすべての人々が障害及び障害を持つ人に対する正しい理解を深め、必要な配慮がなされることが必要であります。このため、啓発・広報活動の果たす役割は極めて重要であり、今後、その積極的な推進を図っていくことが課題であります。
 これまでに、国及び県においては、「障害者の日」、「人権週間」、「障害者雇用促進月間」、「身体障害者福祉週間」、「精神薄弱者福祉月間」等による各種の啓発・広報活動が実施され、総理府が行っている「障害者に関する世論調査」結果からも着実に国民の障害を持つ人に対する理解と関心は深まってきております。
 しかし、本市の啓発・広報活動は皆無に等しく、今後、ノーマライゼーションの理念の普及を図るため、障害を持つ人が社会の中で障害を持たない人と違った特別な存在としてではなく、障害を持つ人も持たない人も同じ社会の構成員であるという視点に立った啓発・広報活動の推進を図っていく必要があります。
 また、障害を持つ人が自らの人生に目標を持ち、主体的に社会経済活動へ参加していけるよう、自立意識の醸成を図っていく必要もあります。

(施策の方向)

1.障害及び障害を持つ人についての正しい認識の普及

  1.  平成6年度、平成7年度の2年間、啓発、広報活動等に大きな成果をあげている、国の障害を持つ人のためのまちづくりを目的とした「障害者とともに歩む地域づくり」事業の適用を受け、障害者対策推進協議会等の組織づくりを行い、組織を通じた地域ぐるみでの啓発・広報活動に取り組みます。
  2.  障害を持つ人も障害を持たない人も地域の中でともに暮らし、学ぶというノーマライゼーションの理念のもとに、「完全参加と平等」の視点に立った市民の意識啓発事業の促進に努めます。
  3.  「障害者の日(12月9日)」、「人権週間」、「障害者雇用促進月間」、「身体障害者福祉週間」、「精神薄弱者福祉月間」等における啓発・広報活動を推進し、障害及び障害を持つ人に対する市民の理解の促進を図ります。

2.自立意識の醸成

  1.  社会参加促進事業(障害を持つ人の旅事業等)、社会活動支援事業を通じて、障害を持つ人が自立することの意義を啓発し、自立意識を喚起します。
  2.  障害を持つ人の自主的活動や仲間づくり等を目的とする活動を支援することにより、自立意識の向上を図ります。

2.保健・福祉教育の推進

(現状と課題)

 障害を持つ人や、高齢者を含むすべての市民が安心して暮らすことができるやさしさとふれあいのある社会を形成していくためには、市民一人ひとりが正しい理解のもとに助け合いの心を育て、心のかよう長寿社会の構築に参加していくことが大切であります。
 そのやさしさと助け合う心を育むためには、幼少時からの啓発活動によって、障害を持つ人や高齢者に対する偏見をなくすことが重要であります。
 現在、本市では公立保育所での障害児保育と保育所児童、生徒等による高齢者との交流活動事業を実施していますが、今後さらに、保育所、幼稚園、学校、職場、地域社会、家庭等日常生活の場で、自然な形で障害を持つ人や高齢者とふれあうことのできる福祉教育の諸施策を推進していくことが必要であります。
 また、こうした福祉の心を育む施策の推進とともに、心身の健康について市民の関心を高め、日常的な健康管理、障害の発生予防、病気の早期発見、早期治療等についての知識を深めていくことも重要であります。このため、心身の健康の大切さについて広く市民に啓発するとともに、地域ぐるみで健康増進、成人病予防に取り組んでいくための活動を充実していく必要があります。
 さらに、こうした保健・福祉教育の効果的な推進を図るため、保健・福祉サービス実施機関との調整連絡会議等の開催と、市民の理解と認識を深める福祉講演会、映画会等の開催に努めていく必要もあります。

(施策の方向)

1.児童、生徒に対する保健・福祉教育の推進

  1.  幼少時からの「福祉の心」を育てるため、市内の保育所で障害を持つ子どもや高齢者とのふれあい、生活体験活動を進める活動を支援し、その拡大を図ります。
  2.  障害を持つ児童、生徒への正しい理解を深めるために、親子福祉推進事業並びに地域ふれあい学習推進事業の推進に努めます。また、障害を持たない児童、生徒との交流活動を促進します。
  3.  関係機関団体との連携を図りながら市内小、中学校児童、生徒の福祉教育の推進に努めます。
  4.  市内小、中学校児童、生徒のボランティア精神の涵養とボランティア活動等の幅広い福祉活動の推進に努めます。
  5.  障害を持つ子どもの定期健康相談を行うことにより、障害に考慮した正しい心身の発達促進に努めます。

2. 地域における保健・福祉教育の推進

  1.  職場、地域社会、家庭等日常生活の場で、福祉施設体験学習会や福祉講演会等を開催するなど地域における福祉教育の拡大に努めます。
  2.  障害等の早期発見、早期治療のための妊産婦検診、乳児検診、1歳半検診、3歳児検診の受診奨励と妊婦母親教室、健康・育児相談の拡充に努めます。
  3.  保健、福祉サービス実施機関との連携を密にし、市民への一層の保健・福祉教育を推進するための連絡調整会議等の組織づくりに努めます。

3.理解と共感の場づくり

(現状と課題)

 平成4年の『障害者に関する世論調査』(総理府)の結果によれば、障害を持つ人と気軽に話をしたり、手助けをしたことのある人は5割を超え、昭和62年の調査結果に比べて、この割合は徐々に増加してきていますが、逆に話をしなかったり、手助けをしなかった理由として、「どのように接してよいかわからなかったから」、「おせっかいになるような気がしたから」、「専門の人や関係者にまかせた方がよいと思ったから」などの回答もかなりあり、いわゆる「完全参加と平等」の理念が定着していくためには残された課題も少なくない状況であります。
 障害を持つ人に対する無理解や偏見の多くは、障害を持つ人と持たない人との日常生活における自然なふれあいがないために生まれてくると考えられます。自然なふれあいを通じて相互の理解を深め、お互いの人格を認めあうことが大切です。
 現在、地域社会や学校教育の場での交流をはじめ、福祉ふれあいフェスティバルの開催など、障害を持つ人と持たない人の交流・ふれあいのための事業が推進されていますが、今後ともこうした交流・ふれあいの場づくりに努めていく必要があります。
 また、障害を持つ人が各種の行事やスポーツイベント等に自然な形で参加できるよう、社会参加の機会の拡大を図っていくことも必要であります。

話をしたり、手助けをしたことがあったか
(該当者数)

あった なかった
総数(2,271人) 51.5 48.5
男性(990人) 51.9 58.1
女性(1,281人) 51.1 48.9

資料:総理府『障害者に関する世論調査』(平成4年)

[参考]
(該当者数)

ある ない
昭和62年
7月調査(3,884人)
46.6 53.4

話をしなかったり、手助けをしなかったのはどうしてか

障害を持つ方と気軽に話をしたり、障害を持つ方の手助けをすることがなかったと答えた者に、複数回答

該当者数 そのような機会がなかったから どのように接してよいかわからなかったから おせっかいになるような気がしたから 専門の人や関係者にまかせた方がよいと思ったから 自分にとって負担になるような気がしたから その他 わからない 計(M.T.)
総額 1,102人 88.0% 9.1% 7.2% 6.6% 2.7% 0.5% 2.7% 116.8%
男性 476人 88.2% 8.0% 7.1% 8.0% 2.3% 0.2% 2.7% 116.6%
女性 626人 87.9% 9.9% 7.2% 5.6% 3.0% 0.6% 2.7% 116.9%
年齢 20歳~29歳 126人 91.3% 14.3% 8.7% 3.2% 0.8% 1.6% 119.8%
30歳~39歳 170人 88.8% 14.7% 9.4% 10.6% 0.6% 0.6% 124.7%
40歳~49歳 242人 91.3% 9.1% 7.0% 5.8% 1.2% 0.4% 1.2% 116.1%
50歳~59歳 217人 87.1% 9.2% 8.3% 9.7% 3.7% 2.8% 120.7%
60歳以上 347人 84.7% 4.3% 4.9% 4.6% 4.9% 1.2% 5.2% 109.8%

資料:総理府『障害者に関する世論調査』(平成4年)

[参考]
障害者等に手をかしたりしたことがない者に、複数回答

該当者数 そのような機会がなかったから どのように接してよいかわからなかったから おせっかいになるような気がしたから 専門の人や関係者にまかせた方がよいと思ったから 自分にとって負担になるような気がしたから その他 わからない 計(M.T.)
昭和62年7月調査 2,075人 84.5% 10.9% 10.1% 4.7% 2.8% 0.8% 2.5%
116.4%

(施策の方向)

1.交流・ふれあいの促進

  1.  障害を持つ人と持たない人との日常生活における自然なふれあいを深める啓発運動と事業の推進に努めます。
  2.  障害者関係団体等が、市民との交流を目的とするイベント等の活動を支援します。
  3.  障害を持つ子どもと持たない子どものふれあいを深める交流事業(おもちゃの図書館等)の促進を図ります。
  4.  障害者、高齢者施設が、地域住民とのふれあいの場となるように努めます。

2.社会参加の機会の拡大と参加促進

  1.  障害を持つ人の社会参加の機会の拡大を図っていくため、スポーツ、文化等のイベントに障害を持つ人が自然な形で参加できるよう周知を図るとともに、利用に配慮した会場の整備、必要なケアスタッフ体制の充実に努め、社会活動への参加の促進を図ります。

障害を持つ人へのエチケット

(1) 障害を持つ人に対するお手伝いは人間として当然の行いです。特に意識することなく、ごく自然な気持ちでお手伝いしたいものです。
 障害のあるなしにかかわらず、人間はみなお互いに助けられて生きているのです。
(2) 人間一人ひとりが千差万別であるように、障害を持つ一人ひとりも全てちがうのです。「障害者」とひとまとめに考えるのは混乱のもとです。
 一人ひとりが別々の人格であることを認識することが、障害を持つ人に対するエチケットの基本です。
(3) 障害を持つ人のお手伝いをするときは、あたりまえのことですが、まず、声をかけることが大切です。
 黙っていきなり身体に触れたり、車いすを押したりするのは、失礼でもあり、相手を驚かせたりすることになります。
(4) 障害を持つ人が困っているのを見かけたら、その人が何をしてほしいのかを聞くことが大切です。ひとりよがりに手を出すのは、親切ではなく、お節介になります。
(5) 障害を持つ人自身も介助のされ方を工夫しています。
(6) 障害を持つ人を特別視したり、無能力扱いをしないことが障害を持つ人に対して最も理解ある態度です。
 同情にもとづく言動は控え目に。必要なときには快くお手伝いしてください。

(財)テクノエイド協会発行
「体の不自由な人びとの福祉」より

第2節

保健・医療

保健・医療 心身障害の発生予防の推進 母子保健対策の推進
成人保健対策の推進
保健予防活動体制づくり
早期発見・早期治療と療育 母子及び成人健康診査体制の充実
各種医療対策と療育事業の充実
リハビリテーションの推進

1.心身障害の発生予防の推進

(現状と課題)

 障害の発生予防は、先天性と後天性の面から取り組まなければなりません。
 先天性障害の発生予防のために、妊娠期からの健康診査、健康相談等による知識普及等各種の取り組みがなされています。今後は健やかに子どもを生み育てることを地域社会全体で支えていくような母子保健対策が更に充実される必要があります。
 また、後天性障害の発生原因としては、脳卒中やお年寄りの骨折等、様々な原因が考えられます。そのうち成人保健対策の分野においては、高血圧症等の循環器疾患、糖尿病、肝臓病等の慢性疾患が増加していることから、老人保健法に基づく健康診査、健康教育等の実施を進めるとともに、健康づくり意識の高揚を図るなど、障害予防対策の充実を図ることが必要であります。
 さらに、ねたきり等により日常生活動作能力の低下するお年寄りが増えている状況の下、ねたきりのお年寄り「ゼロ」をめざすことは緊急の課題となっています。「ねたきりは予防できる」ことについての啓発を図るとともに、脳卒中、骨折等の予防から、入院治療、リハビリテーション、退院、在宅ケア等が一貫して行われることが必要であります。
 また、これらの対策を総合的に促進するために、従来から本市の保健予防活動の取り組みがなされている安来市健康会議を中心にした総合保健活動の推進を図る必要もあります。

総合保健活動
総合保健活動図

(施策の方向)

1.母子保健対策の推進

  1.  妊産婦の健康診査、母親健康教室等の充実を図り、障害の発生予防等についての母子保健の知識の普及に努めます。
  2.  健やかに子どもを生み育てることを地域全体で支えていくよう、広く市民に対する母子保健思想の啓発に努めます。
  3.  育児についての訪問指導、電話相談、窓口相談の充実を図るとともに、妊婦、乳幼児の健康管理システムの確立に努めます。

2.成人保健対策の推進

  1.  職域との連携をもちながら、地域ぐるみで成人病等の疾病予防、早期発見、早期治療、健康増進等に関する啓発活動の推進に努めます。
  2.  適正な栄養、運動、休養など健康的な生活スタイルの確立等、積極的な健康づくりを推進します。
  3.  後天的障害の原因となる脳血管や骨組鬆症、糖尿病などの疾病予防に関する健康相談、健康教育活動を推進します。

3.保健予防活動体制づくり

  1.  市の総合保健活動の促進に向けて、安来市健康会議の組織、拡充に努めます。

2.早期発見・早期治療と療育

(現状と課題)

 障害の発生予防に加え、早期発見、早期治療、療育体制の整備を図っていくことが必要であります。
 早期発見については、乳幼児検診の充実と受診率の向上を図るとともに、乳幼児精神発達遅滞対策事業(発達クリニック)等のフォローアップ体制の整備をさらに進める必要があります。発見された障害を持つ子どもに対しては、適切で一貫性のある療育・援助が受けられることを目的にした地域療育・援助活動事業が展開されておりますが、今後もさらに積極的な推進に努める必要があります。
 早期発見は早期治療、早期療育に結びついてこそ意義があります。早期治療の促進を図るため、各種公費負担医療制度の活用と充実にさらに努めていく必要があります。
 また、早期発見、早期治療の重要性について啓発していくことも必要です。

(施策の方向)

1.母子及び成人健康診査体制の充実

  1.  妊産婦や乳幼児の各種健康診査、健康相談、集団指導等の充実と受診率の向上に努め、疾病の予防、異常の早期発見に努めます。
  2.  老人保健法に基づく健康診査事業の推進と受診率の向上に努め、疾病の早期発見、早期治療に努めます。
  3.  早期発見、早期治療の重要性について、広く市民の啓発に努めます。

2.各種医療対策と療育事業の充実

  1.  発見された障害については、各種公費負担医療制度の活用により、早期治療の徹底を図ります。
  2.  保健所における精神発達遅滞対策事業(発達クリニック)や家庭訪問等により、経過観察の必要な子どもに対するフォローアップ体制の充実に努めます。
  3.  各種健康診査等で発見された障害を持つ子ども及びその恐れのある子どもに対し、早期に適切な療育が受けられるよう、心身障害児地域療育・援助事業「たんぽぽの会」の充実を図ります。

3.リハビリテーションの推進

(現状と課題)

 障害の軽減を図ることや、障害を持ちながらよりよい生活の質を保って暮らすためには、リハビリテーションによる各種機能・能力の維持・拡大を図っていくことが、療育事業の充実とともに重要であります。
 そのためには、医療機関等関係機関との連携を深め、リハビリテーションを行う各種施設の整備を早急に進めるとともに、専門職員等のマンパワーの確保を行うことが必要であります。
 また、訪問リハビリテーション、地域リハビリテーション事業、老人保健法に基づく機能訓練事業等を積極的に推進する必要もあります。

(施策の方向)

1.リハビリテーションの推進

  1.  リハビリテーションを推進するため、機能訓練等ゑ備えた施設整備構想について検討します。
  2.  リハビリテーション専門職員等のマンパワーの確保に努めます。
  3.  リハビリテーションの重要性を啓発するとともに、訪問リハビリテーション、地域リハビリテーション事業等の促進に努め、ねたきり予防と日常生活の自立維持や生活の質の向上を図ります。

第3節

教育・育成

教育・育成の推進にあたって

教育・育成 障害児教育の推進と充実 就学指導委員会の充実と教育相談体制
担当教員の資質の向上と研修
学習環境の整備・充実と施設・設備
交流教育の推進と理解・啓発活動
幼保・小・中の一貫性と各関係機関との連携
生涯学習の推進 人と人とがふれあう生涯学習のまちづくり


◎ 教育・育成の推進にあたって
 心身に障害を持つ児童の教育・育成は、その可能性を最大限に伸ばし、将来社会的に自立して生活ができるように、その基礎、基本を習得するようにしていくことが最大の目的であります。そのためには、心身に障害を持つ児童一人ひとりの障害の種類、程度、能力、適性等に応じた多様な教育・育成の展開を図る必要があり、そのための諸条件の整備に努めていくことが重要であります。
 このような考え方のもとに、文部省では、心身に障害を持つ児童に対する教育体制を、盲、聾、養護学校のいわゆる特殊教育諸学校と、小、中学校の特殊学級、通常の学級(留意して指導・通級指導教室の指導)の三つの形態にし、障害の種類、程度等に応じた教育が実施されてきております。
 また、昭和54年度には養護学校教育の義務制が実施され、重度、重複障害を持つ児童の就学機会の保障をはじめ、施設、設備などのハード面の整備充実と、教育内容、方法の改善、教職員定数の改善、特殊教育担当職員の研修の充実などのソフト面の充実等、その質的充実が図られてきております。
 しかし、教育・育成施策の一層の充実に当たっては、心身に障害を持つ児童の成長のあらゆる段階で、教育、福祉、医療、雇用等の連携が不可欠であり、これら関係行政機関が十分に連携して、教育・育成施策の効果的な実施を図っていく必要があります。
 今後、本市における教育・育成については、関係行政機関と十分な連携をとり、障害を持つ児童の適切な教育・育成の場の確保に努めます。

1.障害児教育の推進と充実

 障害の多正化、重度化、重複化の傾向が進行していると指摘されている今日、心身に障害を持つ児童・生徒の立場に立って、適切な教育を保障することを基本理念とし、一人ひとりの障害の状態や発達段階、特性に応じた決め細かい判断と教育措置を行うことが大切であります。そして、児童・生徒の能力を最大限に伸ばし、可能な限り社会参加や自立を図っていかなければなりません。また、各種交流学習や理解・啓発活動を通して保護者のより深い理解を求めるとともに、地域に開かれ、地域に支えられる障害児教育を推進することが大切であります。

  1. 就学指導委員会の充実と教育相談体制
     適切な障害児教育の推進を図るためには、障害を持つ児童・生徒の障害の種類と程度を的確に把握し、適切な就学指導を行うことが大切であります。そのため、各学校の就学指導委員会及び安来市適正就学指導委員会の運営を充実させるとともに、特に教育相談の体制を充実させ障害児に対する適切な教育措置を講じることが大切であります。

  2. 担当教員の資質の向上と研修
     障害の多様化に対応するため、担当教育の確保と専門的指導力の向上は、障害児教育の充実のため最も重要な課題の一つであります。そのため校内研修を中心とした各種研修、研究活動を活性化し、多様化に対応した特別な教育課程の編成、教育内容・指導方法の改善・研究の充実を図ります。

  3. 学習環境の整備・充実と施設・設備
     児童生徒の心身の障害は、多様化、重度化、重複化の傾向が進んでおり、今後、その多様性に即応する各種障害特殊学級の整備を必要に応じて進めることが大切であります。特に、平成5年度から進められる通級指導教室の整備・運営の充実を進めます。また、各種障害に応じた機能性のある教材・教具、ゆとりのある施設・設備の充実と活用を進めていくことが重要であります。

  4. 交流教育の推進と理解・啓発活動
     障害児学級の少人数化傾向の中で、心身に障害を持つ児童・生徒が障害を持たない児童・生徒や他の障害児学級、地域の人々と活動を共にする機会を設けることは、この子達の経験を広げ、社会性を養い好ましい豊かな人間関係を育てる上で重要であります。また、障害を持たない児童・生徒にとっても、自己の生き方の姿勢や態度を見直したり仲間意識を育んだり、人々に対する思いやりの気持ちを育てる良い機会でもあります。このような交流学習等を可能な限り行い、理解・啓発に努めるとともに、共に育つ、地域に開かれ支えられる障害児教育を推進することが大切であります。

  5. 幼保・小・中の一貫性と各関係機関との連携
     この教育における発達の連続性の保障は、とりわけ重要な課題であります。早期教育の観点から、保育所における障害児保育や幼稚園における心身に障害を持つ幼児の適切な教育を充実することは重要であります。そして、その幼児教育から、小・中学校の障害児学級に入級したり、通級する児童・生徒への指導の連続性を図ることが大切であります。
     また、それぞれの発達の段階における、障害の状態に合わせ、各教育、医療、福祉等の専門機関との連携を密に図っていくことが大切であります。

2.生涯学習の推進

―人と人がふれあう生涯学習のまちづくり―

 急速な社会変化が進展する中で成熟社会を迎えた今日、市民一人ひとりが生涯にわたって心身共に健康で個性・能力を伸ばし、生きがいのある充実した生活を送ることのできる生涯学習社会への転換が強く望まれています。
 本市では平成2年11月に「安来市総合計画」を策定し、平成3年度から10年間の「基本構想」「重点事業計画」「基本計画」を定め、「活力みなぎる文化産業都市」の建設に取り組んでおり、「教育文化の向上」については「心豊かな教育文化のまちづくり」を目標として、生涯学習の理念を基本とした施策の推進を目指しています。
 このため、社会教育においては市民がその生涯の各期に応じて、主体的に自己啓発を続けていくうえでの必要不可欠な施設・設備の整備と指導者の確保を行い、公民館・図書館、社会体育、芸術文化の各活動の推進を図るとともに、教育関係団体との連携を密にしながら生涯学習推進体制の基盤整備を行います。情報化社会に対応し市民の学習活動を促進するには、適切な学習情報の提供が必要であり、学習情報紙の発行や情報提供システム構築の検討などの学習情報提供事業の推進と図書館機能の充実を図ります。
 生涯学習推進組織の整備については、安来市公民館活動推進協議会との連携を中心として講座、サークル活動等において障害を持つ人との交流を一層推進するよう呼びかけていきます。また、昨年度から実施している国庫補助の社会教育活動総合事業を更に拡充し、各種事業を総合的体系的に実施し、市民の学習機会の一層の充実を図ります。

盲導犬と階段を昇っている写真
盲導犬と一心同体。深い絆で結ばれています

第4節

雇用・就業

雇用・就業の推進にあたって

雇用・就業 職業能力の開発 職業能力の開発の機会の確保
技能者としての社会的認知
雇用の促進と安定 障害者雇用率達成指導の強化
職業紹介・職業指導の充実
精神薄弱者等の雇用促進
重度障害者の雇用促進
雇用の奨励と啓発
福祉的就労の場等の整備促進 授産の場等の整備
利用者の処遇改善
職親制度の充実


◎ 雇用・就業の推進にあたって
 完全参加と平等をスローガンにした「国連障害者の10年」は平成4年終了しましたが、この10年間に「ノーマライゼーション」の理念が社会に浸透しつつあり、障害を持つ人の雇用数は近年逐次増加してきています。
 島根県の平成5年度の実雇用率状況は1.95%と障害を持つ人の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)に定める法定雇用率1.6%並びに国の平均1.41%(平成5年度)を大きく上廻っていますが、本市の事業所では未だ法定雇用率未達成の事業所が多くあります。
 このため、関係機関との連携を深め、障害を持つ人の雇用の場の確保について市内事業主に理解を求めていくことが必要であります。
 また、障害を持つ人の雇用対策の進展に伴い、中軽度の障害を持つ人の雇用状況は相当改善されているものの、1、2級の重度の障害を持つ人についてはなお不十分であり、今後雇用・就業の場の確保とともに、高齢化する重度の障害を持つ人のニーズに向けた施策を推進していくことが重要であります。
 さらに、一般的就労が困難な精神に障害を持つ人が、訓練を受けたり、働く場である授産施設、共同作業所などの役割は重要であり、今後これらの施設の運営支援を行うことにより施設の充実を図っていきます。

1.職業能力の開発

(現状と課題)

 障害を持つ人の自立というと一般的には、職業的自立をイメージするほど障害を持つ人にとって就業の問題は重要です。そして、障害を持つ人の安定した就業、職業的自立を促進するためにも、その能力や障害の状況に対応した職業能力開発の機会が確保されることが重要です。
 県においても、県立高等技術校等で行う各種職業能力の開発訓練の機会に障害を持つ人を受け入れるなど、職業訓練の充実が図られてきましたが、今後とも障害を持つ人の職業的自立を進めるため、公共職業能力開発施設等の施設・設備の整備が望まれます。
 また、障害の重度化・多様化傾向の中で、全国の能力開発機図等の紹介を行うなどの情報提供体制の整備も重要です。
 さらに、技能者としても社会的認知をすすめていく観点から、技能水準の目安となる技能検定の受験や全国大会への参加を奨励するなど、障害を持つ人の技能修得意欲の向上を図るとともに、障害を持つ人の職業能力を社会的にPRしていく必要があります。

全国身体障害者技能競技大会参加状況

(単位:人)

区分\年度 59 60 61 62 63
和裁 1 1
洋裁 1
家具 1
建具
広告美術 1 1 1 1 1 1 1
写真植字 1 1
和文タイプ 1
日本語ワープロ 1 2
パソコン 1
3 2 3 1 1 2 3 3

昭和60年度、平成3年度は国際大会のため中止。
資料:労政能力開発課調

(施策の方向)

1.職業能力の開発の機会の確保

  1.  障害を持つ人の職業能力開発ニーズに応え、県内の公共職業能力開発施設への入校促進を図るため、障害に配慮した施設の整備を進めます。
  2.  県内での能力開発が困難な障害を持つ人に対しては、全国の能力開発の情報提供を行うとともに、県外の国立職業リハビリテーションセンター等の公的職業能力開発施設への入所のあっ旋を行います。

2.技能者としての社会的認知

  1.  在宅・在職の身体障害者に対し、全国身体障害者技能競技大会(アビリンピック)への参加を積極的に働きかけ、技能者としての自信と誇りを持たせるとともに、技能検定の受験を促進します。

2.雇用の促進と安定

(現状と課題)

 障害を持つ人の雇用数は近年逐次増加し、本市の場合、実雇用率、法定雇用率達成企業の割合とも全国平均に比して高い水準を維持しています。
 しかしながら、未だ法定雇用率未達成の企業が多数あります。このため、障害を持つ人の雇用促進について、一層の啓発と法定雇用率達成の個別指導を強化する必要があります。
 障害を持つ人の雇用促進を図るためには、障害の種類、程度等に応じ、その能力に適合する職業に就き、それを継続していけるよう指導・援助するとともに、関係機関との密接な連携を図る必要があります。
 さらに、重度障害者の雇用の場の確保については、市内企業に理解を求めていく必要があります。
 また、一般雇用に就くことが困難な状況にある重度障害者のために、民間のノウハウを活かしつつ、経営の安定と地域経済との密接な連携を図るための重度障害者多数雇用企業の育成・指導が必要です。

障害者の雇用状況

区分\年度 63
実雇用率(%) 1.95 1.99 1.92 1.92 1.94 1.95
雇用率達成企業の割合(%) 73.7 74.5 71.0 70.4 71.6 72.7

資料:職業安定課

方公共団体における障害者雇用率

区分\年度 63
非現業 県の機関(%) 2.29 2.19 2.26 2.18 2.08 2.13
市町村の機関(%) 2.23 2.32 2.41 2.27 2.27 2.21
現業 県の機関(%) 0.00 0.00 0.00 0.00 1.06 1.08
市町村の機関(%) 4.38 3.69 3.46 3.07 3.01 2.47

資料:職業安定課

障害者職業紹介状況

区分\年度 63
登録者全数(人) 3,714 3,766 2,683 2,831 2,899 3,107
有効求職者数(人) 248 319 298 279 317 419
新規求職者数(人) 515 469 523 500 496 483
就職者数(人) 309 261 260 299 242 252

資料:職業安定課

安来市能義郡の障害者の雇用状況

項目\年度
企業数(社) 32 30 31 30 28
常用労働者数(人) 4,855 4,875 4,965 5,072 4,586
障害者数(人) 121 111 103 102 104
     うち身体障害者(人) 117 107 100 99 99
       うち重度障害者(人) 27 25 24 26 26
実雇用率(%) 2.49 2.28 2.08 2.01 2.27
うち身体障害者(%) 2.41 2.13 2.01 1.95 2.16
達成企業雇用率 企業数(社) 26 22 22 20 15
達成割合(%) 81.3 73.3 71.0 65.7 53.6
雇用不足数(%) 7 12 11 14 7

資料:安来公共職業安定所

(施策の方向)

1.障害者雇用率達成指導の強化

  1.  障害を持つ人の法定雇用率未達成企業に対して、身体障害者雇入計画作成命令制度の積極的かつ厳正な運用により法定雇用率の達成指導に努めます。
  2.  障害を持つ人をあと一人雇用すれば、雇用率を達成する企業に対して、継続的指導を強化します。
  3.  県市町村等の機関は、民間に率先して障害者雇用を推進するよう責務を有する立場にあることから、これらの機関に対して障害を持つ人を計画的に採用するよう指導します。
  4.  求職者情報の整備充実を図り、積極的な情報の提供に努めます。

2.職業紹介・職業指導の充実

  1.  障害を持つ人の職業紹介・職業指導に当っては、公共職業安定所等や特殊教育諸学校並びに関係機関と密接な連携をもとに、雇用の促進を図ります。
  2.  就職を希望する障害を持つ人の適性と能力の的確な把握について、島根県障害者職業センターとの連携を深めます。
  3.  障害を持つ人の雇用の安定を図るため、雇用継続のための助成制度等を活用するとともに、その職業的自立を促進するための、職業指導・職業訓練・職業評価等を始めとする職業リハビリテーションの充実に努めます。
  4.  障害を持つ人を初めて雇用した事業所、重度障害者を雇用した事業所を中心に、公共職業安定所による訪問指導により職場定着に努めます。
  5.  障害を持つ人の職場定着を高めるため事業主が自主的に行う障害者職場定着推進チームの設置を支援し、その活動の育成を図ります。

3.精神薄弱者等の雇用促進

  1.  精神薄弱者等の雇用の促進を図るため、能力開発等条件整備対策を推進するとともに、助成金の活用等により、精神薄弱者等の雇用促進を図ります。
  2.  精神薄弱者等の就労機会の確保を図るため、職業準備訓練等が実施される島根障害者職業センターとの密接な連携を図ります。
  3.  精神薄弱者等の就労を促進するため、雇用、職業能力開発、生活の支援を行う各関係機関との連携システムを検討します。

4.重度障害者の雇用促進

  1.  民間企業における重度障害者の雇用を促進するため、地方公共団体も出資する第三セクター方式による重度障害者多数雇用事業所並びに重度障害者を多数雇用する事業所の設置及び育成を、県にも働きかけます。
  2.  作業施設の設置、改善等にかかる各種助成金の有効活用を指導し、職場開発、職域拡大を図ります。

5.雇用の奨励と啓発

  1.  事業主の負担を軽減し、雇用を容易にする奨励制度、援護制度について周知と活用を図ります。
  2.  障害を持つ人の雇用の促進と安定を目的とする事業主によって構成される島根県障害者雇用促進協会との連携を密にし、啓発事業及び納付金制度等の事業が効果的に実施されるよう指導・援助します。
  3.  雇用促進運動を展開し、広く市民に対して積極的な啓発活動を実施します。

3.福祉的就労の場等の整備促進

(現状と課題)

 県内の身体障害者の就業率について見ると、身体障害者全体の就業率に比して、障害等級が1、2級の、いわゆる重度身体障害者の就業率は低い状況に留まっています。また、就労形態について見ても、自営業やパート就労者の割合が高く、就労しているとはいえ、不安定な状況下に置かれている障害を持つ人も少なくない現状です。
 こうした状況下において、一般的就労が困難な心身障害者が、訓練を受けたり働く場である授産施設、共同作業所などの役割は重要であり、その整備や運営への支援がなされてきました。
 今後も一般的就労が困難な障害を持つ人に対する就労を進める施策として、また社会参加を進める施策として、授産施設や共同作業所並びに職親制度は重要な役割をになっていくものと考えられます。このため、今後とも需要に応じた施設の整備等を図るとともに、適正な作業内容や快適で安全な環境に留意していく必要があります。
 また、授産施設においては、利用者の障害の重度化、重複化傾向等に対応した授産科目の選定などが求められており、利用者の処遇に配慮した授産施設のあり方について検討していく必要があります。
 さらに、重度身体障害者や精神薄弱者及び精神障害者の就労に当たっては、いわゆる「職住分離」の原則に立った生活面での支援が重要であり、福祉ホーム等の充実など生活環境の諸条件の整備が必要です。

等級別にみた就労状況
(単位:人)

等級 就労している 就労していない 合計
1級 282
20.4
1,099
79.6
1,381
100.0
2級 249
21.8
893
78.2
1,142
100.0
3級 228
29.2
553
70.8
781
100.0
4級 392
41.2
559
58.8
951
100.0
5級 326
46.0
383
54.0
709
100.0
6級 266
42.5
360
57.5
626
100.0
不明 134
29.0
328
71.0
462
100.0
合計 1,877
31.0
4,175
69.0
6,052
100.0

資料:「島根県身体障害者実態調査」(平成4年)

(施策の方向)

1.授産の場等の整備

  1.  住み慣れた地域において、身体障害者が働ける環境づくりを進めるため、通所による授産の場の整備を検討します。
  2.  精神障害者共同作業所については、地域的なバランスや利用者状況を考慮した設置を促進します。
  3.  精神薄弱者授産施設(通所)の充実を図ります。
  4.  障害者共同作業所の整備に努めます。
  5.  障害を持つ人へ居住の場を提供するとともに日常生活の援護等を行う、福祉ホーム、生活ホームの整備を検討します。

2.利用者の処遇改善

  1.  作業内容、作業環境、安全衛生等職場環境の充実を図ります。

3.職親制度の充実

  1.  精神薄弱者にとって職親制度は精神薄弱者の技術習得及び福祉的就労の場等として有効であり、当制度の促進を図ります。

車椅子の障害者がコンピュータに向かって仕事をしている写真
障害に負けず、職務に精励しています。(市内事業所にて)

仕事の種類
仕事の種類グラフ
資料:『島根県身体障害者実態調査』(平成4年

共同作業所年度別補助施設数
共同作業所年度別補助施設数グラフ
資料:青少年家庭課調


主題:
障害を持つ人びとの福祉 1頁~38頁

発行者:
島根県安来市

発行年月:
1995年3月

文献に関する問い合わせ先:
〒692 島根県安来市安来町878-2
電話(0854)22-3301(代)