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障害者対策の今後の方向-第二次長期行動計画-〔改訂版〕

平成10年3月

三重県

第Ⅱ章 各論

第1節 啓発・広報

『基本的な考え方』

 障害者の「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念が真に社会に定着するためには、関係する各種制度の充実が必要であることは勿論ですが、さらに「障害」と「障害者」について正しい理解と認識を定着させることが必要です。
 すべての県民に対し、障害者問題について理解と協力を求めて行くとともに、障害者との交流・ふれあいを深めるため、この節では次の事項を重点目標にします。

1 啓発・広報活動の推進

2 福祉教育の推進

3 地域ぐるみの福祉の推進


1 啓発・広報活動の推進


『現状と課題』

 障害に関する県民の理解と認識を深めるため、様々な啓発・広報活動を進め、障害児(者)に対する認識は着実に進んできました。
 しかし、まだ障害者に対する無理解や偏見が社会全般に根強く残っており、障害者の社会参加を阻んでいる状況にあります。
 こうした無理解や偏見は社会の歴史、思想、習慣と深いかかわりを持つものであり、一朝一夕にぬぐい去ることは難しい面もあります。
 このため、広くこれらの問題について県、市町村、関係団体が連携を図り、各種広報や集会等の機会を利用して幅広く県民の意識の啓発、広報活動を進め、障害者等ハンディキャップを持つ人々も共に安心して生活できる地域社会を形成していくことが必要です。


『施策』

①啓発活動の充実

  • 「障害者の日(12月9日)」、「障害者週間(12月3日から9日)」、「人権週間(12月4日から10日)」、「精神保健福祉普及運動週間(10月の第4週)」、「障害者雇用促進月間(9月)」等を通じて啓発活動の充実を図っていきます。
  •  特に、12月9日の「障害者の日」を意義あるものとするため、障害者週間の問に市町村、障害者団体等の民間諸団体との連携の強化を図りながら啓発広報を進めます。
  • すべての行政関係職員が障害者に対する理解を深めるため、研修体制の整備・充実に努めます。
  • 福祉大会の開催、表彰等、各種大会・行事を通じた啓発活動の充実を図ります。
  • 雇用ニュース、各種パンフレット等により、障害者雇用に関する啓発を図ります。
  • 障害者関係団体と連携して障害者の社会参加促進を図るための広報を行います。

②障害についての正しい理解の促進

  • 広報誌、テレビ、ラジオ等の県広報媒体を積極的に活用して、障害者に対する理解の促進を図ります。
  • パンフレット、ポスター等を発行することにより、障害者に対する正しい理解の啓発を促進します。
  • 施設や小規模授産所等の利用者が作った陶磁器、木工製品等の展示販売を行い、障害者に対する正しい理解の促進を図ります。
  • 県民の障害についての理解の促進を図るため、障害者関係団体の開催する大会等広域的かっ障害者福祉の向上に寄与するものについて、その後援を積極的に行います。
  • 精神障害者に対する誤解や偏見が、回復途上の精神障害者の地域での自立、就労の促進等に大きな阻害要因となっていることから、地域住民に対する正しい知識の啓発普及活動の強化を図ります
  • 障害者に対する「心の壁」をはじめ人々の自由な活動を阻害するものこそが「障害」であるとの認識のもと、すべての障害を取り除くため、人々の意識からまちづくりまでを含めた「バリアフリー社会推進条例(仮称)」の制定を検討します。


2 福祉教育の推進

『現状と課題』

 高齢化社会の急速な進展などに伴い、国民の福祉サービスに対する期待が質・量とも増大してきていますが、障害を持つ人々に対する福祉対策も今後の大きな課題となっています。
 障害者が地域社会の中で、地域社会の一員として自立した生活を送るためには、県民すべてが障害者に対する理解を深め、思いやりと助け合いの心を育て、うるおいとゆとりのある福祉社会を構築していくことが大切です。
 そのため、学校教育において児童・生徒が障害者に対する理解と認識を深めるよう、低学年からの指導の充実に努めるとともに、思いやりと優しさに満ちた豊かな人間性を育む教育を行う必要があります。また、地域住民に対しても生涯学習の場において、ボランティアの養成など、福祉教育の充実を図る必要があります。


『施策』

① 児童・生徒に対する福祉教育の推進

  • 保育所、幼稚園の時期からの福祉教育の推進に努めます。
  • 社会福祉に対する理解を促進するため、小・中学校での実践的な活動を重視します。
  • 学校におけるボランティア教育の推進を図るとともに、障害児(者)や高齢者に対するボランティア活動への参加機会の充実に努めます。
  • 小学生福祉読本「ふくしのこころ」を充実し、子供たちに福祉の心を育むよう努めます。
  • 「学童・生徒のボランティア活動普及事業」を推進し、福祉協力校の児童生徒の福祉に対する正しい理解と認識を深めるよう努めます。
  • 高等学校に設置されている科目「家庭看護・福祉」の充実を図ります。
  • 高等学校の「福祉科」及び「福祉関連コース」の充実を図ります。
  • 福祉教育の推進を図るため、指導者の研修を充実します。

② 地域における福祉教育の充実

  • 社会福祉協議会等が開催する「ボランティアスクール」等を通じ、ボランティアの発掘、育成に努めます。
  • 福祉人材センター等において「福祉講座」を開催するなど、新たな福祉マンパワーの育成を図ります。


3 地域ぐるみの福祉の推進

『現状と課題』

 障害者福祉を推進するためには、地域住民が地域社会で障害者と身近なふれあいや交流を図るなど、地域ぐるみの社会福祉活動に積極的に参加・協力することが重要です。
 地域社会で行われる文化、スポーツ、レクリエーション等各種の行事における障害者とのふれあいや交流の機会、さらに、施設訪問やボランティア活動への参加も徐々に増えてきています。
 今後も、障害者が家庭や地域社会の中で自立した生活を営むためには、県民一人ひとりの障害者問題に対する正しい理解と共感の場づくりを推進するとともに、地域住民の自主的、自発的なボランティアによる社会福祉活動への参加と協力を一層促進し、地域ぐるみの社会福祉活動を推進していく必要があります。


『施策』

① 交流の場づくり

  • 地域において、障害のある者とない者が交流を深める各種の文化、スポーツ、レクリエーション活動等を促進します。
  • 障害者への理解を一層深めるため、施設訪問などによる交流を促進するとともに、中学生・高校生など青少年のボランティア活動の体験事業を充実します。
  • 社会福祉活動を推進するため、県民のボランティアヘの理解と参加を促す事業を推進します。
  • 在宅障害者や施設入所者の、地域の催しへの積極的な参加を促進します。
  • 施設の地域開放を推進することにより、施設入所者と地域の人々の交流を促進します。
  • 全国身体障害者スポーツ大会、全国精神薄弱者スポーツ大会等に選手を派遣し、スポーツ交流の促進を図ります。
  • 障害児と障害のない児童・生徒の交流、ふれあいを深める交流教育を推進します。

② 交流の場の定着

  • 社会福祉活動への理解と参加を啓発する事業を充実し、交流を深める場づくりを推進します。
  • 地域の公民館や生涯学習センターにおいては、障害者との交流の場づくりや催しの開催を促進します。
  • 障害者の作品や製品、生産物等の展示、販売を行う「福祉の店」の充実を図り、「福祉の店」を通じて交流を深めるとともに、障害者の自立、社会参加の意欲を高めます。

主題:
障害者対策の今後の方向
-第二次長期行動計画-
  〔改訂版〕

発行者:
三重県

発行年月:
1998(平成10)年3月

文献に関する問い合わせ先:
三重県津市広明町13番地
三重県健康福祉部障害福祉課