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障害者対策の今後の方向-第二次長期行動計画-〔改訂版〕

平成10年3月

三重県

第6節 住みよいまちづくり

『基本的な考え方』


 障害者や高齢者が地域社会において、様々な社会生活活動に参加し心豊かに自立性を持った生活を営むことができるよう、「人にやさしいまちづくり」の実現に向け、生活環境の整備改善を推進する必要があります。
 さらに、障害者の生活行動圏を拡大するため、移動・交通手段の確保等も重要です。また、災害や犯罪から障害者を守るため、防災等安全の確保も不可欠です。
 そのためには、官民あげて取り組んでいく必要があります。
 この節では、次の事項を重点目標にします。

1 住宅・生活環境整備の促進

2 移動・交通手段の確保


1 住宅・生活環境整備の促進


『現状と課題』

 障害者や高齢者が安全で生活しやすく、かつ快適な日常生活を送るためには、住宅や環境の整備が必要です。現在、住宅の増改築等の整備資金補助制度によりその支援を行っており、また、平成6年4月に「三重県だれもが住みよい福祉のまちづくり推進要綱」を制定し、新築等の公共的施設に対し要綱の技術基準に合致するよう指導するとともに、県有施設の改善も図ってきました。
 今後とも、住みよいまちづくりに向けた努力が必要です。
 また、障害者や高齢者の安全な生活を確保することも重要な課題です。そのため緊急時の連絡通報システムの普及、通信手段の確保を図ることが必要です。


『施策』

① 住まいの整備

  • 障害者や高齢者に配慮した住宅の新築・リフォームのための住宅相談体制の整備を図ります。
  • 「障害者対応住宅設計指針」を作成し、居室の段差解消等、障害者が住みやすい住宅の普及を図ります。
  • 障害者住宅改造資金の補助制度、生活福祉資金の貸付制度等を周知し、活用の促進を図ります。

② 公共建築物等の整備

  • 公営住宅については、スロープ、手すりの設置、段差の解消等身体機能の低下に配慮した対策を進めます。
  • 公営住宅への障害者の優先入居を引き続き実施します。
  • 官公庁施設については、すべてスロープ、玄関自動扉、エレベーター、障害者トイレ等障害者に配慮した措置を講じます。
  • 公共施設について改善を促進するため、市町村等関係団体の協力を積極的に求めていきます。
  • 「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」及び「三重県だれもが住みよい福祉のまちづくり推進要綱」に基づき、不特定多数の者が利用する建築物の建築主に対して必要な指導及び助言又は指示を行います。
     まちづくりの整備目標を次のとおりとします。
〔平成8年度末〕 〔平成14年度〕 〔平成22年度(総合計画目標年度)〕
○民間の商業施設等におけるスロープ、
段差の解消、身体障害者用トイレの整備状況
13.7% 28% 40~50%

③ 防災等安全の確保

  • 地域での安全な生活を確保するため、緊急通報システムの整備・充実に努めます。
  • 各種防災訓練の実施等を通じて、防災意識の高揚を図ります。
  • 震災等の非常時に、住民に対する災害警戒や避難指示等の情報伝達手段を確保するため、緊急通信網の整備や市町村が行う防災行政無線の整備を進めます。
  • 地域住民の連帯意識を背景に、災害時における障害者の安全確保にも留意した自主防災組織の育成強化を図ります。
  • 防犯指導員による一人暮らしの障害者や高齢者宅に対する訪問パトロールを行い、防犯指導の充実を図ります。

④ 福祉のまちづくりの推進

  • 福祉のまちづくり事業により、障害者や高齢者が安心して生活できるまちづくりを総合的、計画的に推進します。
  • 「三重県だれもが住みよい福祉のまちづくり推進要綱」に基づき、障害者や高齢者に配慮した住みよいまちづくりを推進します。
  • 公園、水辺空間等オープンスペースの整備に当たっては、障害者等が安全で快適に楽しむことができ、健康づくりやふれあい・交流の場となるよう、障害者用トイレ、スロープの設置等障害者等へ配慮した整備を推進します。


2 移動・交通手段の確保


『現状と課題』

 障害者の安全な通行、利用に配慮した交通安全施設の整備、改善を進めていますが、まだまだ十分とは言えない状況です。
 障害者の積極的な社会参加を促進するためには、いつでも安全に望むところへ行くことができるよう道路等の交通施設の整備を図ることが大切です。
 歩道については障害者の安全な通行を妨げる物件が放置されており、その対策が望まれています。
 また、障害者が移動するのに、鉄道、バス等の公共交通機関は大きな役割を担っていますが、まだ運賃の割引制度や助成制度等、経済的な面あるいはターミナルの設備、車両構造面において十分配慮されているとは言えず、改善、充実が望まれているところです。地域の実情に応じた施策を推進する必要があります。


『施策』

① 交通安全施設・道路等の整備

  • 車いすがすれ違うことができ、障害者等も安全で快適に利用できる幅の広い歩道を整備します。整備目標は次のとおりとします。
〔平成8年度末〕 〔平成14年度〕 〔平成22年度(総合計画目標年度)〕
○幅の広い歩道の整備 280㎞ 360㎞ 490㎞
  • 歩道の段差解消、スロープや視覚障害者誘導用ブロックの設置、路面の整正等道路交通環境の整備を進めます。
  • 歩道における安全な通行を確保するため、放置自転車、看板、商品等による道路の不適正な占用を是正するため、啓発活動を行います。
  • 乗降客の多い鉄道駅について、今後の駅舎の改良などにあわせてエレベーターの設置を促進します。整備目標は次のとおりとします。
〔平成8年度末〕 〔平成14年度〕 〔平成22年度(総合計画目標年度)〕
○鉄道駅舎へのエレベーターの設置
(バリアフリーな駅)
4駅 6駅 8駅
  • 障害者や高齢者が安心して外出できるよう、公共交通機関の整備について事業者に協力を求めていきます。
  • 障害者や高齢者が気軽にバスが利用できるよう、低床バスやリフト付バスの導入を促進します。
  • 市街地等における障害者用駐車スペースの確保を促進します。
  • ●視覚障害者用信号機(音響信号機)等の交通安全施設の整備を推進します。

② 移動時の支援

  • 自動車改造や運転免許取得に対する助成の充実に努めます。
  • 外出が困難な重度の視覚障害者等に外出介護員(ガイドヘルパー)を派遣し、社会参加の促進を図ります。
  • 重度の障害者が、都道府県指定都市間を移動する場合に、その目的地において必要となる外出介護員(ガイドヘルパー)を確保するためのネットワークを整備し、移動支援に努めます。
  • 重度視覚障害者に対する盲導犬の育成、給付の充実に努めます。



第7節 スポーツ・レクリエーション・文化・情報

『基本的な考え方』

 障害者が心身機能を向上させ、生活に潤いと楽しみをもたらし、充実した日常生活を送るためには、スポーツ、レクリエーション、文化活動は重要な役割を担っています。
 また、視覚障害者や聴覚障害者のように情報利用ができにくい、制約を受けることの少なくない者に対する情報提供手段の充実も、障害者の社会への完全参加を促すうえにも欠かすことができません。
 「ゆとり」と「生きがい」のある生活を実現するため、この節では、次の事項を重点目標にします。

1 スポーツ・レクリエーションの振興

2 文化活動の充実

3 情報提供の充実


1 スポーツ・レクリエーションの振興


『現状と課題』

 障害者が積極的にスポーツ・レクリエーション等の社会活動に参加し、地域の人々と交流を深め、共に活動していくことは、障害者が生きがいを持つうえできわめて重要なことです。
 現在、障害者スポーツ大会県大会を開催しているほか、市町村等を単位とした地区大会等を催しているところですが、さらにこれらの事業の充実を図り、障害者スポーツの振興を図る必要があります。
 レクリエーションについても、各種施設等で実施されていますが、市町村及び関係団体との連携のもとに、さらに幅広い取り組みが必要です。


『施策』

① スポーツの振興

  • 各種スポーツ教室及びスポーツ大会を拡充強化し、スポーツ人口の拡大を図ります。
  • スポーツ指導員の増員に努めます。
  • 全国身体障害者スポーツ大会、全国精神薄弱者スポーツ大会に選手を派遣します。
  • 障害者スポーツ協会の設立を支援するなど、スポーツ振興のための組織づくりに努めます。
  • スポーツ大会等へのボランティアの参加を促進し、障害者スポーツに対する理解と関心の高揚を図ります。

② レクリエーションの振興

  • 障害者が実践できるレクリエーション・スポーツやレクリエーションの開拓・研究と普及を推進します。
  • 障害者が各種のレクリエーションを楽しむことができるよう、レクリエーション教室を開催します。
  • 施設入所者や在宅障害者のレクリエーションの振興を図ります。


2 文化活動の充実


『現状と課題』

 障害者が障害のない者と同じレベルでの意思疎通、社会意識を持ち、社会の一員としての連帯感を持ったコミュニケーションの場を広げることは、これらの人々の社会への「完全参加と平等」を実現するうえで、極めて重要です。
 また、障害者がいきいきと毎日を過ごすために、文化行事への参加や障害者自身による文化活動への支援についての取り組みが必要です。


『施策』

① 文化活動の充実

  • 障害者や障害者関係団体による様々な文化活動の支援に努めます。
  • 障害者の才能の開発に必要な、絵画、書道等の指導を行う、障害者カルチャー教室を開催します。


3 情報提供の充実


『現状と課題』

 情報処理と通信技術の融合が進み、産業、行政、生活など社会のあらゆる分野で高度情報化が進んでいます。
 しかし、視覚障害者や聴覚障害者は、通常の情報媒体や情報手段による情報利用が困難な場合が多く、制約を受けることが少なくありません。
 このため県では、県政一般の動きや行政情報等をカセットテープに収録し、視覚障害者協会を通じて広報を行っています。
 その他、点訳・手話通訳等の奉仕員の養成や派遣事業を行っています。
 しかし、まだ十分とは言えない状況にあり、これらの制度の充実強化を図り、障害者が社会の一員として各種の情報が的確に得られ、社会の人々とのコミュニケーションが十分確保されるよう努める必要があります。


『施策』

① 情報提供の充実

  • 点字による即時情報ネットワーク事業の充実に努めます。
  • 点訳・手話通訳等の奉仕員の養成、派遣事業の充実に努めます。
  • 手話字幕入りビデオカセットライブラリー事業を充実します。
  • 点字図書館の積極的な活用を図ります。
  • 行政機関の窓口に手話が可能な職員の配置に努めます。
  • 聴覚障害者情報提供施設の設置に向けて検討を行います。
  • 公衆電話ボックスにFAXを設置するよう関係機関に働きかけをします。

主題:
障害者対策の今後の方向
-第二次長期行動計画-
  〔改訂版〕

発行者:
三重県

発行年月:
1998(平成10)年3月

文献に関する問い合わせ先:
三重県津市広明町13番地
三重県健康福祉部障害福祉課